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『コリアン・シネマ ――北朝鮮・韓国・トランスナショナル』(李香鎮[著] 武田珂代子[訳] みすず書房 2018//2000)

原題:Contemporary Korean Cinema: Identity, Culture, Politics. (Manchester University Press)
著者:이 향진/李 香鎮 /Hyangjin Lee [イ・ヒャンジン] アジア映画の研究。社会学
訳者:武田 珂代子[たけだ・かよこ] 翻訳通訳学。
NDC:778.221 演劇 >> 映画 >> 映画史、映画(韓国の)。


コリアン・シネマ | みすず書房


【目次】 
日本語版によせて(二〇一七年十月 イ・ヒャンジン) [i-x]
目次 [xi-xiv]
図版一覧 [xv-xvii]
凡例 [xviii]


  第 I 部 コリアン・シネマ 

まえがき 003

はじめに 004
  註 021


第1章 民族的アイデンティティの創造――コリアン・シネマの歴史 025
第1節 日本植民地期における朝鮮映画 026
  朝鮮における活動写真の始まり
  朝鮮映画の登場
  植民地時代の朝鮮映画の製作、配給、受容
  植民地時代の映画政策
  代表的な監督と作品
  民族主義映画とナ・ウンギュ
  「傾向派映画」とKAPE
第2節 北朝鮮映画の進展 044
  北朝鮮の映画政策と主体的映画芸術
  北朝鮮映画の社会的、政治的特徴
    「平和構築」の時代 1945.8-1950.6
    「偉大なる 民族解放」の時代 1950.6-1953.7
    「戦後復興と社会主義基盤の構築に向けた闘争」の時代 1953-1958
    「社会主義の全面的構築に向けた闘争」の時代 1959-1966
    「社会主義勝利の前進に向けた闘争」の時代 1967-現在
  北朝鮮映画の製作、配給、受容
  北朝鮮映画の主なジャンル
    階級闘争の革命的伝統に関する映画
    朝鮮戦争と統一に関する映画
    社会主義経済の発展に関する映画
第3節 韓国映画の進展 063
  韓国映画の社会的、政治的特徴
    民族分断への固執韓国映画 1945-1959
    韓国映画に対する政府の介入と反共政策 1960-1979
    民主化韓国映画 1980-2000
  韓国映画の製作、配給、受容
  韓国映画の主なジャンル
    メロドラマ
    社会批評映画
  註 086


第2章 ジェンダーと「春香伝」映画 093
第1節 「春香伝」の起源 096
第2節 朝鮮映画史における「春香伝」の意義 099
第3節 韓国映画における春香像 104
  従順で自己犠牲的な妻(シン・サンオク監督)
  若々しい十代の主人公(パク・テウォン監督)
  妖艶な芸妓(ハン・サンフン監督)
第4節 北朝鮮映画における春香像 116
  模範的労働者(ユ・ウォンジュン/ユン・リョンギュ監督)
  階級意識をもつ高潔な妻(シン・サンオク監督)
第5節 春香とコリアン社会の家父長主義的ジェンダー関係 125
第6節 「春香伝」における階級と伝統的家族観 130
  註 138


第3章 民族意識と映画における歴史の表象 141
第1節 北朝鮮映画における反帝国主義 146
  『崔鶴信の一家』
  『血の海』
  『月尾島』
第2節 韓国映画における反共主義 162
  『誤発弾』
  『旗なき旗手』
  『南部軍』
第3節 家族意識と民族意識 185
  註 194


第4章 現代コリアにおける階級と文化的アイデンティティ 197
第1節 北朝鮮映画にみる階級闘争 204
  『初めて行く道』
  『旅団長のかつての上官』
  『トラジの花』
第2節 韓国映画にみる階級のダイナミクス 225
  『風吹く良き日
  『九老アリラン
  『追われし者の挽歌』
第3節 階級の存在と文化的伝統 246
  註 251


結論 255
  註 261


  第 II 部 トランスナショナル・シネマ 

春香伝』――ニュー・コリアン・シネマで古い伝統を「売りこむ」 265
  1 世界の観客へ向けた新たな民族的アイデンティティの創造 270
  2 音声から映像へ――カンヌとソウルにおける『春香伝』 275
  3 新たな挑戦としての古い伝統 284
  註・参考文献 286


アジアン・ノワールにおける無法者の影――広島、香港、ソウル 289
  1 社会批評としてのギャング・ノワール 291
  2 無法者、ヒーロー、暴力団――暴力の三つの顔 294
   『仁義なき戦い』における孤独な無法者/『男たちの挽歌』におけるヒーロー/『オールド・ボーイ』における組暴
  3 社会の流人――ポストコロニアルの歴史と儒教的伝統 310
  註 313


一九六〇年代韓国ホラー映画における家族、死、そして怨魂(ウォンホン) 317
  1 詩的正義――『下女』と『魔の階段』 320
  2 吸血猫と貞淑な妓生――『殺人魔』と『月下の共同墓地』 325
  3 結論 334
  参考文献 335


『ナヌムの家』から『鬼郷』まで――映画を通した旧日本軍性奴隷制の記憶継承 337
  1 記憶の継承手段としての映画 337
  2 参加型ドキュメンタリーにおける記憶の継承 340
  3 記憶の継承における相互参照――共著者性と集団的主観性 345
  4 『鬼郷』におけるドラマ化と記憶の継承 350
  5 記憶継承に対する包括的概念の創生 354
  参考文献・インタビュー 354


グローバルシネマとしての韓国映画北朝鮮映画―― 二〇〇〇年から現在まで 357
  1 「ナショナル」から「トランスナショナル」へ 360
  2 現代韓国映画の大衆作家主義――ポン・ジュノパク・チャヌク 365
  3 現代北朝鮮映画の人民性 374
  4 国家主義映画の現在と未来 381
  註 386


訳者あとがき(二〇一七年十月 武田珂代子) [387-389]
フィルモグラフィ [10-38]
作品索引 [5-9]
人名索引 [1-4]

『心理学の名著30』(サトウタツヤ ちくま新書 2015)

著者:サトウ タツヤ[佐藤 達哉/さとう たつや] (1962-)  質的心理学、社会心理学、心理学史。


筑摩書房 心理学の名著30 / サトウタツヤ 著


【目次】
目次 [003-006]
はじめに [007-011]


第1章 認知・行動領域――「ヒト」としての心理学 013
01 ジェームズ『心理学について』――近代心理学の土台となる思想 014
William James, Talks to Teachers on Psychology: and to Students on Some of Life’s ideals, 1989
  哲学者西田幾多郎にも影響を与えた心理学者/意識は不断に流れている/心理学への様々な影響/『心理学原理』の余波/人間への飽くなき興味


02 ルリヤ『偉大な記憶力の物語』――記憶力が良ければ幸せか 023
А. Р. Лурия, Маленькая книжка о большой памяти (Ум мнемониста), 1968
  同窓会でその当時に戻れるのはなぜ?/記憶の分類/特殊な記憶の持ち主/忘れることも立派な能力


03 スキナー『自由と尊厳を超えて』――新たな行動主義 030
Burrhus Frederic Skinner, Beyond Freedom and Dignity, 1971
  行動を分類する/行動主義の誕生/罰に対して反対する/ジェームズからの影響/価値と文化の行動分析/死ぬという行動はオペラント行動


04 ノーマン『誰のためのデザイン?』――アフォーダンスの応用 039
Donald A. Norman, The Design of Everyday Things, 1988
  ギブソンアフォーダンス理論/デザインは記号の配置である/アフォーダンスをいかに応用するか/知覚の心理学を実社会で活かす/


05 セリグマン『オプテミスィトはなぜ成功するか』――無力感の研究から始まる楽観主義 046
Martin E. P. Seligman, Learned Optimism, 1990
  無力感を学習するとは?/ポジティブ心理学の誕生/社会からも必要とされるポジティブ心理学


06 カバットジン『マインドフルネスを始めたいあなたへ』――自分らしく生きるための思考 054
Jon Kabt-Zin, Wherever You Go, There You are: mind fullness Meditation in Everyday Life, 1994
  行動療法その第三世代の波/自分を深く知り世界と調和するために/いまここを重視する


07 ラマチャンドラン『脳のなかの幽霊、ふたたび』――脳のなかの意識ではないもの 060
Vilayanur S. Ramachandran, The Emerging Mind, 2003
  脳の中の混線と断線/数字に色がついて見える/ペンフィールドによる脳地図/言葉によって失った知覚


08 ダマシオ『デカルトの誤り』――身体と精神は別ではない 069
Antonio Damasio, Descarter’s Error/Emotion, Reason, and the Human Brain, 2005
  「我思う故に我有り」は本当か?/神経心理学における有名な参加者たち/感情が欠落すること/有機体としての人間


09 トマセロ『コミュニケーションの起源を探る』――人は協力するために他人を理解する 078
Michel Tomasello, Origins of Human Communication, 2008
  トルコと日本の協力関係/人は九カ月から社会の一員となる/子どもの心理学の歴史/「異なる視点」は人しかもたない


第2章 発達領域――「ひと」としての心理学 089
10 ビネ、シモン『知能の発達と評価:知能検査の誕生』――教育のための適切な検査 090
 (Alfred Binet, Théodore Simon, Development and of Evaluation of Intellignence: The Birth of Intelligence Test 邦訳:中野善達・大沢正子訳、福村出版、一九八二)
  知能検査と知能指数は違うもの/当時のフランスの状況/総合的判断を重視する知能検査/誤用される知能検査/検査することの権力性


11 フロイト精神分析入門』――心理学と精神分析のつながり 097
Sigmund Freud, Vorlesungen zur Einfu hrüng in die Psychoanalyse, 1917
  フロイトの前半期の総まとめ/独創的な発想/神経症の理解と治療/フロイト理論の魅力/新しい人間観としての精神分析


12 ユング『心理学的類型』――対立を乗り越えて 106
Carl Gustav Jung, Psychologische Typen, 1921
  ユングフロイトとの対立/フロイトアドラーの違いから理論を見出す/タイプ論/単純であるがゆえに複雑なものを引き出す


13 ヴィゴーツキー『教育心理学講義』――心理学が教育にできること 116
Lev Vigotskiy, Educational Psychology, 1926
  人間にのみある固有の機能/教育と心理学の関係/発達心理学ピアジェ/手助けを借りながら学ぶ


14 ロジャーズ『カウンセリングと心理療法』――カウンセリングの可能性を開く 125
Carl Ransom Rogers, Counseling and Psychotherapy: Newer Concepts in Practice, 1942
  誤解を受けやすいロジャーズ/児童相談所で多くの子どもと接する/あくまで援助するカウンセリング/グループワークを開発する


15 エリクソンアイデンティティとライフサイクル』――人間の発達の可能性 134
Erik H. Erikson, Identity and the Life, 1959
  エリクソンの不思議な生い立ち/児童分析が結実した『子ども期と社会』/「後漸成」という画期的な考え/「心理・社会的」発達の可能性


16 ギリガン『もうひとつの声』――他者への配慮の倫理 145
Carol Gilligan, In a Different Voice: Psychological Theory and Women's Development, 1982
  道徳性心理学と発達心理学/ハインツのジレンマにいかに答えるか/ギリガンによる発想の転換/道徳的問題に対するジェンダーの違い/脳に還元せずに考える


17 ブルーナー『意味の復権』――意味から物語へ 156
Jerome Bruner, Acts of Meaning, 1990
  認知革命の旗手/意味のない世界からの脱却/積極的に意味づけしていく存在としての「ひと」/ナラティブから文化へ/物語重視への転換(ナラティブ・ターン)の立役者


18 ハーマンス、ケンベン『対話的自己』――自己はたった一つではない 169
H. J. M Hermans. & H. J. G. Kempen, The Dialogical self: Meaning as Movement, 1993
  自己とは自分のことではない/自己は複数存在する/箱庭療法コンポジション・ワーク


第3章 社会領域――「人」としての心理学 177
19 フロム『自由からの逃走』――人間の本質とは何か 178
Erich Fromm, Escape From Freedom, 1941 (翻訳[新版]日高六郎訳、東京創元社、一九六六)
  悪についての洞察/近代における人間とは/社会的性格という新たな概念/権威主義的パーソナリティの本質/自由とは何か


20 フランクル『夜と霧』――人生の意味を問いなおす  188
Viktor Emil Frankl, Ein Psychologe erlebt das Konzentrationslager, in trotzdem Ja zum Leben sagen, 1977
  圧倒的な価値の源泉/人生の意味を見出す力/「私にしかできない何か」を問う/旧版と新版の違い


21 レヴィン『社会科学における場の理論』――ゲシタルト心理学の流れ 194
Kurt Lewin, Field Theory in Social Science, 1951
  ゲシタルトの概念を取り入れる/動きのゲシタルト:なぜ光が動いて見えるのか/ゲシタルト心理学の展開/子どもには場の構造をとらえるのが難しい


22 マズロー人間性の心理学』――動機づけを与えるために 204
A. H. Maslow, Motivation and Personality, 1954
  よりよい生活を送るためのヒント/ピラミッド型の欲求段階/自己実現/心理学における手段と目的の取り違え


23 フェスティンガー、リーケン、シャクター『予言がはずれるとき』――人は都合よく出来事を解釈する 210
Leon Festinger, Henry W. Recken and Stanley Schacher, When Prophecy fails, 1956
  終末予言と認知的不協和理論/社会心理学者の奇妙な人生


24 ミルグラム服従の心理』――誰もが悪になりうる 217
Stanley Milgram, Obedience to Authority An Experimental View, 1974
  アッシュの集団圧力の実験/人は致死量の電気ショックを与えるのか?/悪の凡庸さを実験によって証明する/倫理的問いを抱える


25 チャルディーニ『影響力の武器』――ダマされやすい心理学者による提案 225
Robert Cialdini, Influence; Science and Practice, 1988
  心理学は役に立つ?/勧誘のプロを研究する/心理学は悪用できるか?/どれだけ真剣に読めるか


26 ラザルス『ストレスと情動の心理学』――単純な因果関係を乗り越える 231
Richard S. Lazarus, Stress and Emotion: A New Synthesis, 1999
  生理学からはじまる/各方面から研究されるストレス/ストレスとトラウマ/物語(ナラティブ)アプローチによるストレス理解/


27 ミシェル『マシュマロ・テスト』――性格は個人の中には無い 240
Walter Mischel, The Marshmallow Test: Mastering Self-Control, 2014
  性格および性格を知るということ/性格理論が訴えることをひっくり返す/マシュマロ・テストとは何か/ホットシステムとクールシステム


第4章 心理学の展開 251
28 ロフタス『目撃者の証言』――記憶はどこまで信用できるか 252
Elizabeth F. Loftus, Eyewitness Testimony, 1979
  目撃者の証言はどれくらい使えるか/記憶はいつも不安定/心理学の応用は法の現場からはじまった/記憶による証言をどこまであてにするか


29 ヴァルシナー『新しい文化心理学の構築』――普遍と個別を架橋する概念としての文化 262
Jaan Valsiner, Culture in Minds and Societies, 2007
  文化と心理学の関係とは/「比較」文化心理学/「一般」文化心理学から見た文化/ディスコミュニケーションと自己の三層モデル/文化を扱うことの困難さ/複線経路等至性アプローチ


30 カーネマン『ファスト&スロー』――行動経済学の基本にある心理学的考え 272
Daniel Kahneman, Thinking, Fast and Slow, 2011
  経済学者か心理学者か/分かりやすさを重視した二項対立/速考としてのヒューリスティックの発見/プロスペクト理論/ファスト思考(速考)も合理的な判断/自己・人生・物語・幸福


あとがき [282-286]




【メモランダム】
・第2章第10節のビネ&シモン『知能の発達と評価――知能検査の誕生』は、元になる論文・書籍がどれか明示されていないので、(上記の目次でも)表記が異なったまま。
・日本心理学会のホームページで、サトウタツヤ執筆の記事(『心理学ワールド』第28号(2005年1月15日刊行)掲載)が公開されている。 知能検査100年 ビネ | 日本心理学会

『山岳信仰――日本文化の根底を探る』(鈴木正崇 中公新書 2015)

著者:鈴木 正崇[すずき・まさたか](1949-)
NDC:163.1 自然崇拝
NDC:188.59 各宗(修験道.山伏)


山岳信仰 -鈴木正崇 著|新書|中央公論新社


【漢字について補足】
・本書では扱う語句には、珍しい地名・難読・慣用読みが多いため、それらのよみを示すために積極的にルビがつけられている。この目次ではそのルビを亀甲括弧〔 〕に示した
・「第五章 立山」のなかに「姥堂」が登場する。この〈うば〉は本来、別の漢字(女偏に田を三つ)だが、ここでは出せない。ここでは便宜上、簡単な漢字で代用しておく。
 この漢字は、『方言漢字事典』(2023) でも立項(pp.20-22)、解説されている。なお木本秀樹(1997)が参考文献。


【目次】
まえがき [i-iv]
目次 [v-viii]
地図 [ix]
題辞 [002]


序章 山岳信仰とは何か 003
  山への畏敬と神聖化
  神仏習合の思想
  農耕民の山の神
  狩猟民の山の神
  基盤としての山中他界観
  山の仏教的意味づけと曼荼羅世界
  遥拝と禁足地
  祭祀から登拝へ
  最澄空海
  修験道の成立
  修験道の展開
  山岳登拝の民衆化
  女人禁制の行方
  修験と芸能
  文化遺産への道


第一章 出羽三山――死と再生のコスモロジー 034
  東北の仏教と修験
  三山の由来
  修験の根拠地・羽黒山〔はぐろさん〕
  月山〔がっさん〕
  湯殿山〔ゆどのさん〕
  三山詣
  即身仏
  開山伝承
  開山伝承の変化
  春峰〔はるのみね〕と夏峰〔なつのみね〕
  秋峰〔あきのみね〕――山伏の養成
  冬峰〔ふゆのみね〕――百日修行と松例祭〔しょうれいさい〕
  現代の動き


第二章 大峯山――修験道の揺籃の地 068
  吉野山山上ヶ岳〔さんじょうがだけ〕
  金峯山〔きんぶせん〕と役行者〔えんのぎょうじゃ〕
  修験道の本尊・蔵王権現〔ざおうごんげん〕
  経塚〔きょうづか〕
  増誉〔ぞうよ〕と熊野
  聖宝〔しょうぼう〕と吉野
  熊野
  修験教団(本山派・当山派)の成立へ
  明治以後の修験
  峰入りの思想
  峰入りの実践(1)――吉野から山上ヶ岳
  峰入りの実践(2)――山上ヶ岳から深仙ヘ
  峰入りの実践(3)――熊野本宮へ
  自然とともに生きる


第三章 英彦山――日本の山岳信仰の拠点 102
  天下に抜きん出た霊山
  開山伝承
  仏教伝来以前
  『彦山流記〔ひこさんるき〕』について
  洞窟中心の修行と熊野との関係
  中世における勢力の広がり
  謡曲花月〔かげつ〕』『大江山
  峰入り
  即伝による修行の体系化
  近世の彦山
  山と集落
  松会〔まつえ〕
  神仏分離以後


第四章 富士山――日本人の心のふるさと 132
  日本の最高峰
  古代の富士山
  噴火の歴史
  『富士山記』の世界
  山に登拝した末代〔まつだい〕上人
  『浅間大菩薩縁起〔せんげんだいぼさつえんぎ〕』
  かぐや姫
  村山修験
  富士講の開祖――角行〔かくぎょう〕の伝承
  富士講の始まり――村上光清食行身禄〔じきぎょうみろく〕
  富士講富士塚御師〔おし〕
  富士講の再編――小谷三志〔こたにさんし〕と女人禁制
  富士講から教派神道へ――丸山教扶桑教
  富士信仰の行方


第五章 立山――天空の浄土の盛衰 161
  古代の立山
  錫杖〔しゃくじょう〕の発見
  山の神と仏
  地獄の思想
  開山伝承
  山麓の寺院と集落
  立山曼荼羅の世界
  曼荼羅の下部
  曼荼羅の中部
  曼荼羅の上部
  登拝の行程
  芦峅寺〔あしくらじ〕の姥堂〔うばどう〕
  布橋灌頂〔ぬのはしかんじょう〕
  近代登山から観光地へ


第六章 恐山――死者の魂の行方 195
  独自の景観
  恐山の歴史と伝承
  江戸時代の死者供養
  参詣道と優婆〔うば〕
  婆講〔ばばこう〕
  登拝習俗
  円通寺と地蔵講
  賽の河原
  釜臥山とお山懸け
  地蔵会とイタコ
  現代への対応


第七章 木曽御岳山――神がかりによる救済 220
  噴火以前
  峰と池と滝
  中世の諸相
  重潔斎〔じゅうけっさい〕
  覚明〔かくめい〕の中興開山
  覚明没後
  普寛の登場
  木曽御嶽信仰の江戸での広がり
  御嶽講の展開(1)――泰賢と順明
  御嶽講の展開(2)―― 一心と一山
  神仏分離以後
  外国人と木曽御嶽山
  御嶽講の現在
  今後の展開


第八章 石鎚山――修行から講へ 250
  そびえたつ岩峰
  開山伝承
  山麓寺院の開基伝承
  石鎚山瓶ヶ森〔かめがもり〕
  空海と光定〔こうじょう〕
  役行者〔えんのぎょうじゃ〕とその周辺
  前神寺の隆盛
  石鎚神社の成立
  お山開きの歴史
  女人禁制と山中の修行
  現在のお山開き
  道者の精進と禁忌
  石鎚講
  里での展開


あとがき――体験知との出会い(二〇一五年一月一五日 著者) [287-293]
参考文献 [294-305]

『日本経営哲学史――特殊性と普遍性の統合』(林廣茂 ちくま新書 2019)

著者:林 廣茂[はやし・ひろしげ] 経営学


筑摩書房 日本経営哲学史 ─特殊性と普遍性の統合 / 林 廣茂 著


【目次】
目次 [003-006]


序章 経営哲学とは何か 007
  経営哲学の定義
  本書の構成
  グローバリゼーション・イノベーションダイバーシティ


第1章 経営哲学前史――日本人の思想の系譜をたどる 021
1 日本人の思想の基層に神・仏・儒の三教がある 021
  日本人「らしい・ならでは」の思想
  天皇尊崇の精神
2 日本人の宗教心も神・仏・儒のメタ統合思想である 026
  神道と仏教の神仏習合が始まった
  怨霊の祟りは恐ろしい
  穢れとその忌避が日本人の善悪観念の基本である
  穢れ忌避観念と浄土信仰の習合
3 中世宗教改革の影響 032
  浄土宗・浄土真宗
  禅宗――「戒律をもって先となす」
4 儒教から生まれた倫理道徳思想と統治思想 036
  四徳・四端・五輪
  儒教は序列と秩序の思想である
  儒教は変革と競争の思想である
  朱子学陽明学の違い
  神道儒教が一致した日本の儒学
5 経営哲学の形成と武士道・商人道 046
  武士道と商人道
  経営哲学の形式知


第2章 封建日本期の文明システムと経営哲学――江戸時代 051
1 中世の商業活動と商人倫理を振り返る 051
  中世の政治・経済システム
  武家領の拡大と金属貨幣の流通
  鎌倉仏教と商人
  商人の倫理道徳観
2 文明システムとその変化 059
  政治の仕組みと社会の変化
  経済の発展・消費の拡大
  財政破綻と商人の危機
  商人への儒学の深い浸透
  商業資本主義経済の発展――江戸・大阪・京の三大消費市場の発達
  農業が育んだ勤勉で創意工夫する国民性
  世界有数の経済強国へ
3 経営哲学の形成と深化 075
  角倉素庵〔すみのくら そあん〕の「船中規約」に込められた国際ビジネスの倫理
  『長者教』が説く成功者・金持ちへの道
  鈴木正三〔すずき しょうさん〕「いかなる職業にも仏性あり」
  井原西鶴『日本永代蔵』が描く三井高利
  三井高房『町人考見録』にみる商人没落の原因
  西川如見〔にしかわ じょけん〕の経済思想、競争と社会進化
  石田梅岩石門心学
  近江商人の商人道は神・仏・儒のあらわれ
4 封建日本期の経営哲学の普遍性 089
  プロテスタンティズムなき「神・仏・儒」の倫理
  儒教による変革と競争
  

第3章 帝国日本期の文明システムと経営哲学――明治・大正・昭和戦前・戦中期 093
1 文明システムとその変化 093
  天皇主権の近代国家を建設する
  日本の国柄を定めた国家神道
  帝国憲法教育勅語ナショナリズムの思想的背景
  産業革命と殖産興業
  明治期日本の経済力
2 帝国日本の戦争の反実仮想を考える 104
  日清・日露戦争の反実仮想
  アジア太平洋戦争の反実仮想
3 封建期日本との経路依存性・連続性 112
4 士魂商才の経営哲学――福澤諭吉渋澤栄一 114
  福澤諭吉渋澤栄一の説く「士魂商才」
  新渡戸稲造内村鑑三の思想――武士道精神の普遍性
  士魂商才の人材育成
  時代が求めた経営能力
  「忠君愛国」「産業報国」を実現する「士魂商才」
5 時代の鑑としての経営哲学の実践 125
  「儒教倫理を基本とする経営理念」を持った起業家
  「キリスト教倫理を基本とする経営理念」を持った起業家


第4章 民主日本期の文明システムと経営哲学―― 1945〜1990 131
1 文明システムとその変化 131
  民主主義による日本と日本人の作り変え
  民主主義教育が求めた日本人像
2 世界2位の経済大国化、その後四半世紀に及ぶ経済低迷 137
  日本企業の進化とイノベーション・プロセス
  「竹の子」生活から「昭和元禄の消費」生活へ
  石油危機が日本企業のイノベーションを起爆した
  バブル経済の崩壊
3 和魂商才の経営哲学 145
  戦前・戦中世代の士魂商才
  戦後教育を受けた人たちが経済大国を引き継いだが……
  グローバル日本期(1990〜現在)へ、和魂商才は継承されなかった
4 日本の、日本人の五つの課題 154


第5章 経済大国化を担った企業家の経営哲学 159
1 松下幸之助は、家電王国を創りあげた 160
  天然自然の理に従う
  不易流行の経営哲学の系譜
  起業家にして思想家
2 土光敏夫は、企業・財界・日本の改革者である 168
  生涯を改革者として
  生い立ちと思想形成
  経営思想の3つの本質
  「土光敏夫とメザシ」の精神運動
3 本田宗一郎は、日本発小型車を世界標準にした 174
  無類の創造人間
  世界のホンダへの飛躍
  二人で一つの経営哲学
  知識の創造
  本田宗一郎語録
  本田と藤沢がいなくなったホンダ
4 井深大〔いぶか まさる〕は、日本初・世界初の独創を貫いた 185
  SONYを日本発で最大のグローバル・ブランドにした
  思想形成をたどる
  ソニーは井深の思想を実践する「場」だった
  井深から学ぶ知識創造の哲学
  井深と盛田がいなくなったソニー
5 丸田芳郎〔まるた よしお〕は、日本人に「清潔・美しさ・健康」価値を届けた 195
  花王中興の祖
  思想形成のホップ・ステップ・ジャンプ
  経営理念の明示とその後の快進撃
6 中内功は、流通革命「良いものを安く大量に」の先導者である 206
  生い立ちと戦争体験――生死の際で蘇った「家族ですき焼き」の記憶
  流通革命家のスタートは「主婦の店ダイエー 一号店」
  日本一の小売商が、内部から崩壊した
  誰もダイエーを継承しなかった
  思想家・中内功


第6章 戦後日本人の思想変遷 221
1 日本人の意識(思想)の変遷―― 1953〜2013 222
  4度にわたる意識の大きな変化
  世代交代による変化
2 宗教観――「信仰」はないが「宗教心」を持つ日本人 226
  宗教を信じる・信仰している日本人は少数
  宗教に関する日本人の考え方の特徴
  「あの世」、「神や仏」を信じているかどうか
  「信仰の有無・宗教的な心」と生活・社会意識の関連
  寺院・地蔵・神社の社会・経済的帰結
3 基本的な価値観の推移 236
  自分個人の価値観・道徳観
  家族、仕事や職場、生活、社会への態度
  勤務先への意識・態度
  組織(企業)へのエンゲージメント
  自然と人間の関係
4 人間関係・生活の価値観 248
  隣近所・職場・親戚との人間関係の持ち方
  能率・情緒
  生活目標の価値観
5 政治意識・国と個人の関係・ナショナリズム 253
  総選挙の投票
  国と個人の関係・国の評価
  日本に対する愛着と自信
6 外国人への意識 262
  日本人は西洋人に比べて優れているか
  定住外国人への態度
  国際比較――定住外国人への態度
7 日本人の思想(意識)の変遷 266
  倫理観・道徳観の変化―― NHK世論調査から
  宗教観、価値観、道徳観・倫理観の変――本章の論点整理
  思想の劣化と経済の低迷


第7章 グローバル日本期の長期低迷と競争力の後れ―― 1991〜現在 275
1 日本経済は、1990年代初頭から四半世紀、足踏みを続けている 277
  GDPは2014年まで踊り場に留まっていた
  企業の売上高は、長期低迷している
2 日本経済のグローバル影響力は半減した 284
  名目GDPの規模は世界3位だが……
  購買力平価GDP比較
  一人当たりのGDPは世界25位に後退した
3 日本企業の海外展開は、低収益で低成長である 290
  低収益・低成長の原因
  高まる企業の海外市場依存度
4 経済・技術革新・人材、日本のグローバル競争力は低下している 296
  IMD世界競争力ランキングで25位に下降した
  世界イノベーション・ランキングで8位に後退した
5 日本企業の研究開発投資の効率と効果は欧米より低い 303
  企業の研究開発の投資収益率が低いのが難点だ
  日本には起業家の数が少ない
  技術革新の熱源がアメリカや中国より弱い
6 ダイバーシティでは世界最下位に近い 308
  日本は外国人が働きにくい国だ
  移民受け入れへの高く厚い心の壁がある
  男女の平等、経済と政治の分野で世界最下位と評価された
  DI企業の世界トップ100社の内日本企業は5社だけ
7 世界は日本に好意を持っている 314
  世界最高の国家ランキングで日本は5位
  世界にプラスの影響を与える国ランキングで日本は3位
  日本はASEAN諸国から最も強く信頼されている
8 企業の盛衰とその理由を考える 319
  利益創造の価値連鎖(VC)と供給網(SC)を考える
  変わる企業
  変わらない企業
  失敗の歴史を繰り返さないために
  ICTとコトの価値創造で成功した企業
9 経済と企業の課題 333


終章 「新和魂グローバル最適経営」の提案 337
1 現状認識 337
  問題を正しく同定する
  日本の現状が「長者三代の鑑」に重なる
2 「和魂商才」の継承を――トップ経営者のメッセージ 341
3 新和魂グローバル最適経営」の経営哲学 344
  日本人の霊性
  自己変革への「意欲」を駆動する経営哲学
  「和魂」を再定義した「新和魂」
4 新和魂グローバル最適経営」の経営哲学が必要である 351
  普遍の優劣競争と特殊の影響力競争が同時に進行している
  今日、アメリカ発の普遍が揺らいでいる
  日本文明の立ち位置
  グローバル人間は、文明競争と文化競争に同時に取り組む人である
  グローバル最適経営を実践する


補章 武士道と商人道は二項対立で捉えるべきか 363
1 「武士道と商人道は社会関係の二大原理」とする捉え方 364
  アプローチ①――武士道「身内集団原理」 vs. 商人道「開放個人主義原理」
  本当は相互補完関係にあった武士道と商人道
2 帝国日本期を「大義名分―逸脱手段」と捉えるアプローチ 370
  アプローチ②――武士道=大義名分 vs. 商人道=逸脱手段
  帝国日本は「大義名分と逸脱手段」の構図では捉えられない
3 現代は「開放個人主義原理(商人道)」の時代なのか 376
  アプローチ③――戦後社会の対立も武士道 vs. 商人道
  「身内集団原理」の良さを復活させるには


あとがき(平成31年4月1日 京都・山科上花山にて 林廣茂) [383-387]
初出一覧 [388]
参考文献 [389-398]



【抜き書き】

[pp. 7-9]用語。

 最初に、本書における経営哲学の定義をしておきたい。
 経営哲学は「企業経営の原理・根幹」である。経営哲学には、その時代の経営者の思想(宗教観、倫理道徳観、世界観、歴史観、文明観など)と価値観(信念・個性・伝統など)が強く反映される。長寿企業では、創業者とか創業家の経営哲学が遺訓や家訓として継承されていることが多い。経営哲学は、企業理念(企業の存在理由)や企業文化(企業の個性)などとして形式知化され、経営者と従業員に共有・共感されて企業が果たすべきCSR(社会に善と正義をなす企業の社会的責任)への態度と行動の規範となる。そして経営哲学は、暗黙知としても共有・共感される。


 今日の経営哲学は、企業の「持続可能な成長」を実現するために不可欠な、人的資本(有能な経営者や従業員)(×) 経済的資本(資金や設備)(×) 社会関係資本(哲学や価値観の共有・共感)の三大資本の内の、社会関係資本を構成する要因・社会情緒的資産(Socio-Emotional wealth)として捉えられている。
 経営哲学とほぼ同義である用語として、経営思想、経営理念、経営倫理などが用いられる。厳密にはそれぞれ意味が異なるようだが、本書で使う経営哲学の意味は、「人の思想・理念・倫理と価値観を含み、合理性と非合理性、知性と感性・情性の中間にあって、人間が働く意味と意欲を駆動させる人間哲学」であると考えておきたい。
 人は、自分個人の哲学(思想や価値観)と企業の経営哲学(理念や文化)が同期・共鳴したときに、最も強く企業の目標や目的に向かって自律的に努力する意欲をたぎらせると言われる。
 経営哲学は、時代の文明システム(政治・経済・社会文化・技術の仕組み)を構成する社会文化のサブシステムである思想の申し子である。文明システムは過去から現在へ、経路依存(現在に過去が反映)し、不易流行(変わるものと変わらないもの・伝統は革新の連続)し、時代の特徴を反映して変化する。思想とその申し子である経営哲学も、企業経営の歴史を通して、文明システムの進化と共に進化し、拡張する。そして時として、文明システムの退化と共に退化することもある。
 企業は時代を越え洋の東西を問わず、文明システムの変化を迅速に内部化する能力(アジリティ Agility)を持ち、変化に沿った競争戦略を立てる能力(ダイナミック・ケイパビリティ Dynamic Capabilities)を持たなければ持続的成長を実現できないとされる。それには経営哲学(企業理念や企業文化)という経営の原理・根幹にまで踏み込んで、絶えず企業そのものを包括的に自己変革する能力(トランスフォーメーション Transformation)を持たねばならない。
 経営哲学は、歴史を通して形成された日本人「らしい・ならでは」の「特殊」な思想から生まれてきた。と同時に、それが目指している「顧客、社会、国家、世界」の人々の心身の健康と豊かさ(ウェルネス Wellness)への貢献に向けて、「普遍」を志向している。文明システムがグローバル化した今日、経営哲学もまた、国内志向だけに留まることなく、日本をグローブ(地球)の一部と捉えて、「国内から国外へ」と「国外から国内へ」の双方向で、アップ・スパイラルに循環し、拡張・進化されなければならない。
 本書では、経営哲学が形式知として文章化され始めた江戸時代から現在まで400年の時間軸で、文明システムの変遷と経営哲学の進化・拡大・退化を検証する。そして最後に、現在から将来に向けて変化している21世紀の文明システムに適応した、新しい経営哲学のコンセプトを提案する。

『ふたつの日本――「移民国家」の建前と現実』(望月優大 講談社現代新書 2019)

著者:望月 優大[もちづき・ひろき] (1985-) ライター。編集者。経済産業省
NDC:334.41 移民[来住民]・難民問題.移民[来住民]・難民政策


『ふたつの日本 「移民国家」の建前と現実』(望月 優大):講談社現代新書|講談社BOOK倶楽部


【目次】
題辞 [002]
はじめに――「移民」を否認する国 [003-011]
目次 [012-013]


第1章 「ナショナル」と「グローバル」の狭間 015
  増加する在留外国人
  日本は世界第4位の移民大国?
  ある日系人夫婦のはなし 
  社会との「統合」
  交錯する「ナショナル」と「グローバル」
注 034


第2章 「遅れてきた移民国家」の実像 035
  国際人口移動転換
  出身国別の順位
  在留資格の種類
  「身分・地位」と「専門・技術」の在留資格
  五つのカテゴリーの関係性
  在留資格のカテゴリー別推移
  「永住者」急増の内訳
  在留外国人の6割が労働者
  在日フィリピン人の特徴
  外国人労働者の4カテゴリー
  どんな産業で働いているのか
  東京と東京以外での違い
  帰化者や子どもたち
  非正規滞在者たち
  日本に「移民」は何人いるのか
  日本の「移民」をどう捉えるか
注 082


第3章 「いわゆる単純労働者」たち 083
  建前と現実の乖離
  「いわゆる単純労働者は受け入れない」という建前
  建前の理由と欺瞞
  「いわゆる単純労働者」とは何か
  広がる非正規雇用の世界
  外国人労働者の主軸の変遷
  不可視化する外国人たち
  雇用の調整弁
  日本は選ばれ続けるのか
  停滞する「日系四世」の受け入れ
注 110


第4章 技能実習生はなぜ「失踪」するのか 111
  技能実習生の増加と多様化
  技能実習の建前と現実
  法令違反とその不可視化
  ブローカーの介在
  来日前の多額の借金
  転職の不自由と孤立
  「失踪」する実習生
  技能実習制度の前史
  技能実習制度の創設
  在留資格技能実習」の創設
  技能実習法の成立
  労働者としての留学生
  実習生と留学生の類似性
注 140


第5章 非正規滞在者と「外国人の権利」 141
  選別的な受け入れと排除
  非正規滞在者数の増減
  非正規滞在者の排除
  治安政策と管理体制の強化
  在留特別許可での正規化
  非正規滞在者等からの要求
  長期化する収容
  収容とは何か
  帰るに帰れない理由
  「帰るか死ぬか」という感覚の意味
  収用と退去強制のプロセス
  急増する「退令仮放免者」
  マクリーン事件
  国家の裁量と外国人の権利
注 175


第6章 「特定技能」と新たな矛盾 177
  新たな在留資格の創設
  2月の総理指示
  6月の「骨太の方針
  技能実習からの 連続性と断絶
  成立した法改正
  特定技能 1号と2号
  多くの分野は技能実習からの移行のみで開始
  技能実習の代替ではなく延長
  就労目的でも「就労資格」とは認めない
注 202


終章 ふたつの日本 203
  日本で暮らす移民たち
  いくつものレイヤー
  大いなる撤退
  「支え」なき人々
  「移民」を認める国へ
注 217


あとがき(2019年2月 望月優大) [218-219]
主要参考文献 [220-222]