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目次とメモを置いとく場

『「良い仕事」の思想――新しい仕事倫理のために』(杉村芳美 中公新書 1997)

著者:杉村 芳美[すぎむら・よしみ](1948-) 社会経済学。
NDC:153 職業倫理



【目次】
目次 [i-vi]


  第一部 ポスト勤勉社会と仕事意識 

第一章 労働倫理は衰退したか 002
1 価値の転倒 002
  日本人と勤勉
  「働き過ぎ」
  「会社人間」
  「終身雇用」
  勤勉倫理の衰退

2 労働状況の変化 012
  労働の変化
  精神労働化
  文化と労働
  新しい労働倫理?
  精神的な要求


第二章 高度産業社会と労働倫理
1 「勤勉」から「自己実現」へ 024
  産業社会と勤勉倫理
  勤勉と幸福主義
  高度産業化と労働
  自己実現と「新しい労働倫理」
  労働の快楽主義

2 「良い仕事」 036
  労働と倫理
  意味ある労働
  自己実現の限界
  「良い仕事」
  良い仕事の思索


  第二部 「良い仕事」の思想 

第三章 良い仕事と「善く生きること」 050
1 ヘシオドスと「労働の尊さ」 050
  『仕事と日』
  「労働は恥ではない」
  「労働の尊さ」
  労働は尊くないか

2 ソクラテスと「善く生きること」 060
  仕事観の告発
  アテネ市民の反発
  農民の仕事
  職人の仕事
  職人の名誉
  市民の仕事
  ソクラテスの仕事観
  善く生きること


第四章 良い仕事と「善い行い」 079
1 パウロと「善い行い」? 079
  「働きたくない者は、食べてはならない」
  善い行い
  聖書の労働観

2 アウグスティヌスと「修道士の労働」 088
  『修道士の労働について』
  パウロの教えと福音書の言葉
  信仰と労働

3 ベネディクトの「祈れ、かつ働け」 097
  「祈れ、かつ働け」
  平衡のとれた生活
  修道院の発展

4 トマス・アクィナスと「職分」 106
  肉体労働は義務にあらず
  職分としての仕事
  キリスト教と良い仕事


第五章 良い仕事と芸術 116
1 モリスの「良い仕事」 116
  良い仕事と悪い仕事
  仕事の芸術性
  希望ある労働と現代

2 ギルと「仕事の再神聖化」 126
  芸術と労働
  労働と責任の分離
  正常な仕事
  仕事の再神聖化
  ギルと現代


第六章 良い仕事の概念 140
1 ルイスの「良い仕事」 140
  「いい仕事と生き行ない」
  二種類の仕事
  仕事の区別は可能か
  判断の基準
  良い仕事を求める
  ルイスのメッセージ

2 シュマッハーの「グッドワーク」 154
  グッドワーク
  伝統の英知
  「三つの使命」と「三つの行動基準」
  良い仕事の「三つの目的・機能」
  生活の必要
  自己の完成
  他者とのつながり
  良い仕事への教育


  第三部 「新しい仕事倫理」の可能性

第七章 良い仕事と全体性 174
1 職人仕事の理想? 174
  職人気質と近代的労働
  職人仕事と自己実現の理想
  構想と実行の一致?
  職人仕事の全体性

2 全体を豊かにする仕事 185
  仕事と共同善
  「内的な善と外的な善」
  「心の習慣」
  「社会的エコロジー
  コーリングとしての仕事
  「良い仕事」の再発見


第八章 仕事におけるインテグリティ 202
1 良い仕事の条件 202
  良い仕事を考える伝統
  過去の抽象的思索?
  「良い仕事」の条件
  良い仕事と現実

2 仕事とインテグリティ 212
  仕事の二軸
  仕事の十字
  仕事とインテグリティ
  新しい仕事倫理
  仕事倫理―――地層をなすもの
  伝統としての仕事観


あとがき(一九九七年九月 杉村芳美) [228-230]
参考文献 [231-235]




【メモランダム】
・労働について現代的な問題意識が前面に出された論集。著者(杉村芳美)が「第一章 成熟社会で〈働く〉こと」を執筆している。
『〈働く〉は、これから――成熟社会の労働を考える』(猪木武徳[編] 岩波書店 2014) - contents memorandum はてな

・日本の職業倫理というテーマでは、作家の塩野米松による取材記録が参考になった。
失われた手仕事の思想|文庫|中央公論新社

『純粋機械化経済――頭脳資本主義と日本の没落』(井上智洋 日本経済新聞社 2019)

著者:井上 智洋[いのうえ・ともひろ] 経済学(マクロ動学理論、貨幣的成長理論、金融政策、人工知能が経済に与える影響)
ブックデザイン:新井 大輔[あらい・だいすけ](1982-) 装丁。
カバー写真:
 馬車 ©National Archives/Newsmakers/ゲッティ/共同通信イメージズ
 コンピュータ(計算手) ©Science Source/PPS通信社
 ドローン ©Hiroshi Watanabe/ゲッティイメージズ
NDC:007.13 人工知能


日経BOOKプラス


【目次】
はじめに [i-vi]
目次 [vii-xii]


第1章 AI時代に日本は逆転できるか 
1 ディープラーニングが知覚の扉を開いた 002
  なぜ日本は衰退するのか?
  人工知能とは何か?
  ディープラーニングとデータ
  人工知能は双子を識別できるか?
  デジタル・レーニン主義
  眼の誕生
  耳の誕生

2 第四次産業革命 020
  汎用目的技術
  情報空間のデジタル化
  第四次産業革命ではおむつがおつむ化する
  人間の脳もネットに接続される未来
  AI・ビッグデータ・IoT
  ドイツのインダストリー4.0

3 覇権を握るのはどの国か 038
  ヘゲモニー国家
  リオリエント
  世界の覇権は中国に回帰する

4 頭脳資本主義と日本の衰退 050
  自動車産業がAI産業になる日
  頭脳資本主義とは何か?
  日本が「後進国」に転落する日

5 AIがもたらすのはユートピアディストピアか 060
  技術の血塗られた歴史
  未来派の戦争賛美
  人類絶滅の危機は二度あった
  悪魔を使いこなせなくなった魔法使い
  ガンディーと情報社会

本章のまとめ 081


第2章 人工知能はどこまで人間に近づけるか 
1 ニューラルネットワークの隆盛を予見した哲学者たち 084
  セルフドライビングカー・セックス
  ノマドの哲学
  人は狼になれる
  リゾーム
  ニューラルネットワークの仕組み

2 今の人工知能に何ができて何ができないか 098
  20世紀の人工知能
  21世紀の人工知能
  ライプニッツの夢は打ち砕かれたか?
  感性と悟性の再現が難しい

3 人工知能に言葉の意味が理解できるか 107
  知識表現
  シンボルグラウンディング問題――猫の概念とは何か?
  チューリングテスト
  高次の概念を獲得できるか?
  理系の学者は先に職を失う!?

4 人工知能に常識的な判断はできるか 122
  フレーム問題
  DQN[deep Q-network]
  ブロック崩しの裏技もマスター
  神託AIと世界内AI
  フレーム問題を解くには人間らしい感性も必要だ
  AIが自律的に動いていないように見えるのはなぜか?
  欲望の多方向性

5 人工知能にとっての感情と意識 141
  クオリアとは何か?
  逆転クオリア哲学的ゾンビ
  クオリアにまつわる誤解
  感情の機能的な面と現象的な面

6 汎用人工知能は実現可能か 148
  特化型人工知能と汎用人工知能
  全脳アーキテクチャと全脳エミュレーション
  100年後、生身の人間は世界の片隅でひっそりと暮らす
  リゾームシステムのツリー的理解は可能か?
  生体模倣レベル
  
7 神が死んだように人間も死ぬのか 164
  自我は虚構のようにして存在する
  科学革命によって神は死んだ
  人間は波打ち際の砂の表情のように消滅する
  
本章のまとめ 174


第3章 人工知能は人々の仕事を奪うか 
1 技術的失業の実際 178
  最初の技術的失業
  自動車の普及によってなくなった仕事技術的失業と労働移転

2 アメリカにおける技術的失業 188
  アメリカでは事務労働が減っている
  トランプ大統領とその支持者たちの敵
  アメリカて雇用が減っているのはなぜか?

3 日本における技術的失業 199
  やはり事務労働は減少する
  銀行業は大失業時代を迎える
  肉体労働が減っていくのは2030年以降

4 人間並みの人工知能が出現したら仕事はなくなるか 208
  汎用人工知能は根こそぎ雇用を奪うか
  それでも残る仕事
  AI時代に感性は重要か?

5 未来の雇用と格差 217
  全人口の1割しか労働しない社会
  クリエイティブな世界は残酷だ

本章のまとめ 223


第4章 技術的失業と格差の経済理論 
1 経済学はなぜ技術的失業を軽視するのか 226
  経済学者は教条的!?
  古典派経済学における技術的失業
  マクロ経済学のセントラル・ドグマ
  長期・短期分離フレームワーク

2 現代経済学における技術的失業の扱い 238
  技術的失業が長期化する可能性
  ポストケインジアンとは何か?
  需要創造的な技術進歩が失業を減らす

3 雇用が生まれにくいAI時代に必要な経済政策とは 247
  ITは雇用を生まない
  労働市場の二極化との関係
  雇用が減少する経済で重要なのはマクロ経済政策

4 限界費用ゼロはなぜ格差を生むのか 255
  限界費用ゼロと自然独占
  限界費用ゼロは独占を生む
  限界費用ゼロは格差を生む

本章のまとめ 266


第5章 新石器時代の大分岐――人類史上最大の愚行はこうして始まった 
1 ガンディーと産業革命 270
  綿布の製造から始まった産業革命
  生産構造の変革

2 人類史上最大の過ちとは 274
  ネアンデルタール人との命運を分けたもの
  農耕の始まり
  人類史上最大の過ち
  マルサスの罠

3 自滅的な問題はなぜ引き起こされるのか 283
  不合理な振る舞いと合成の誤謬
  不合理な振る舞い
  合成の誤謬

4 人々が繁栄にとり憑かれて経済成長は始まった 290
  繁栄にとり憑かれる
  新石器時代の大分岐
  参照点
  繁栄は参照点との差によって満足度を高める
  新石器時代の成長パラノイア
  

本章のまとめ 304


第6章 工業化時代の大分岐――なぜ中国ではなくイギリスで産業革命が起きたのか 
1 大分岐論争 308
  ペストが蔓延すると豊かになる
  マルサスの罠からの脱却
  ポメランツの大分岐論
  大分岐は偶然の産物か

2 地理的条件が繁栄を決定づける 317
  なぜユーラシア大陸が繁栄したのか?
  肩車効果を発揮しやすかった中国とインド
  宋朝中国の華やぎと長いその後
  交易が生んだ中東と地中海の繁栄

3 近世以降ヨーロッパが勃興したのはなぜか 331
  モンゴル帝国がヨーロッパに繁栄をもたらした
  軍事革命と印刷革命
  ヨーロッパ世界経済から近代世界システム

4 中国が停滞したのはなぜか 345
  東アジアでは安定と秩序が好まれた
  中国における諸国併存体制の消失
  
本章のまとめ 350


第7章 AI時代の大分岐――爆発的な経済成長 
1 なぜ中国が最初にテイクオフを果たすのか――デジタル・レーニン主義の行方 354
  左側に改めろ
  中所得国の罠を抜けるには
  中国は中所得国の罠に陥るか
  毛沢東はマーガリン・エコノミスト
  易姓革命イノベーションの促進
  テイクオフとは何か

2 過去の三つの産業革命と経済成長率 376
  肩車効果と取り尽くし効果
  第二次産業革命の終わり
  第三次産業革命
  先進国の経済成長率が低いのはなぜか

3 AI時代に世界は再び分岐する 384
  純粋機械化経済とは何か?
  純粋機械化経済における成長率
  AI時代の大分岐
  テイクオフに遅れるとどのような災難に見舞われるか
  
4 テイクオフに必要な需要側の政策とは 395

本章のまとめ 402


第8章 AI時代の国家の役割――中枢を担うのは国家か、プラットフォーム企業か 
1 1968年革命 406
  敷石の下は砂浜だ
  恩寵の扉は閉じられた
  幻覚剤がもたらす心のアナーキズム
  美は乱調にあり

2 なぜ今アナーキズムの時代なのか 419
  マルチチュード vs. 帝国
  リバタリアニズム
  麦畑がバッハの曲を奏でる
  アナーキー・イン・カリフォルニア

3 未来の社会は「不用階級」と「不老階級」に二極分化するのか 433
  いちごを白書をもう一度
  シンギュラリティ
  ホモ・デウス

4 AI時代にソ連社会主義は可能か 444
  ソ連は怠け者の楽園ではない
  中枢によってコントロール
  社会主義経済計算論争
  人工知能社会主義

5 グーグルが通貨を発行してばらまく日 454
  アナーキズムでもなくソ連社会主義でもなく
  市場の失敗
  技術を高めるために政府がなすべきこと
  プラットフォームとしての貨幣
  人類史の三つのリンゴ
  脱労働社会へ
本章のまとめ 477


おわりに [478-479]
Notes [480-482]
参考文献 [483-488]

『現金の呪い――紙幣をいつ廃止するか?』(Kenneth S. Rogoff[著] 村井章子[訳] 日経BP 2017//2016)

原題:THE CURSE OF CASH (Princeton University Press)
著者:Kenneth S. Rogoff(1953-) マクロ経済学、金融論。チェス・プレイヤー(Grandmaster)。
訳者:村井 章子[むらい・あきこ](1954-) 英日翻訳(主に経済学)。
解説:齊藤 誠[さいとう・まこと] マクロ経済学、金融論、財政学。
装幀:水戸部 功[みとべ・いさお] 装幀。
NDC:337.1 経済 >> 貨幣.通貨 >> 貨幣理論・学説・思想


日経BOOKプラス


【目次】
献辞 [001]
日本語版への序文 レスキャッシュ社会に向けて、まず一万円の廃止を(二〇一七年一月 ケネス・ロゴフ) [003-007]
はじめに [009-012]
目次 [013-018]


第1章 本書のテーマと構成 019


  第1部 現金の闇の部分

第2章 貨幣の歴史 初期の貨幣鋳造 039
  中国における紙幣の誕生
  フランクリンと紙幣
  兌換紙幣から不換紙幣へ


第3章 増え続ける現金 065
  増え続ける通貨流通高
  現金の国外保有
  米ドルの国外保有率の推定
  ユーロの圏外保有率の推定


第4章 合法的な経済と現金 090
  企業と銀行はどのくらいの現金を保有しているのか?
  個人はどのくらいの現金を保有しているのか?
  合法的な国内経済で現金はどう使われるのか?
  小売業におけるPOSデータ


第5章 地下経済と現金 106
  現金と脱税 107
    アメリ
    ヨーロッパ
    カナダ
  犯罪行為 120
    マネーロンダリング、麻薬取引
    汚職
    人身売買
    密入国斡旋、移民労働者の搾取
    テロリズム
    偽造
  公衆衛生


第6章 通貨発行益(シニョリッジ) 142
  シニョリッジはどれほどあるのか? 145
  紙幣を廃止したら、シニョレッジはどの程度減るか? 15
  現金を有利子国債で置き換えるコスト 152
  シニョリッジの政治的・経済的重要性 158


第7章 紙幣の段階的廃止に向けての試案 160
    紙幣の段階的廃止に向けた長期プラン
  1 紙幣の段階的廃止 165
  2 金融サービスへのアクセス拡大 170
  3 プライバシーの保護 175
  4 リアルタイム決済と個人間取引 178
  その他の問題 180
    外国の通貨はどうするのか?
    金融政策は影響を受けるか?
    インフレ目標値の差異的水準への影響は?
    シニョレッジと中央銀行の独立性は?
  [コラム] 北欧諸国の先例 185
  非常事態とセキュリティ 189
    非常事態
    セキュリティ
  第1部の結論 196


  第2部 マイナス金利

第8章 ゼロ金利制約、量的緩和フォワード・ガイダンス 201
  過去に経験したゼロ金利下限 216
  ゼロ金利下限に関する先行研究 224
  量的緩和 228
    量的緩和の理論的説明
    量的緩和の実証データ
    量的緩和とゼロ下限の罠からの脱出
  フォワード・ガイダンス 243


第9章 ゼロ金利制約下でほかに打つ手はあるか? 247
  インフレ目標値を引き上げる 249
  名目GDPをターゲットにする 254
  硬直的なインフレ・ターゲティングを緩和する 256
  裁量的な財政政策やドローン・マネーを活用する 259
  消費税を活用する 263


第10章 紙幣廃止以外の方法でマイナス金利は可能か?265
  1 大幅な制度変更を伴わないマイナス金利の導入 266
  2 ゲゼルのスタンプ紙幣 274
  3 フビライ・ハン=アイスラー=ブイター=キンボール・モデル 281


第11章 マイナス金利政策は金融の安定を脅かすか? 293
  金融の安定性に影響はないか? 294
  技術的な問題は解決できるか? 300


第12章 信頼の裏切り、ルール・ベースの政策運営からの逸脱 304
  マイナス金利政策は信頼の裏切りか? 304
  マイナス金利政策はルール・ベースの金融政策からの逸脱か? 313
  オズの魔法使いと貨幣の政治学 320

  第2部の結論 326


  第3部 グローバルな視点、デジタル通貨

第13章 紙幣の廃止に国際協調は必要か? 331
  外国の紙幣は代役になるのか? 332
  アメリカもユーロ圏も国外の地下経済でシニョレッジを得ている 336
  新興国では現金を廃止すべきか? 339
  マイナス金利の導入に国際協調は必要か?341


第14章 デジタル通貨、金〔ゴールド〕 344
  暗号通貨とプライバシー 354
  金 355

  第3部の結論 358


終わりに 359


謝辞 [365-369]
付属資料 [370-380]
  1 ウォレスの仮説と物価水準の財政理論
  2 テイラー・ルール、信頼性、ゼロ金利制約
  3 中央銀行の独立性、インフレ・ターゲティング
解説 紙幣の哲学書を読んで(齊藤誠) [381-388]
  キャッシュの呪いとカインの永遠追放
  高額紙幣廃止と地下経済
  高額紙幣廃止と負の金利政策
  貨幣と自由
  
  
参考文献 [389-411]
原注 [412-440]
索引 [441-448]

『「原因と結果」の経済学―――データから真実を見抜く思考法』(中室牧子, 津川友介 ダイヤモンド社 2017)

著者:中室 牧子[なかむろ・まきこ]
著者:津川 友介[つがわ・ゆうすけ]
装丁デザイン:竹内 雄二[たけうち・ゆうじ](1966-) 装丁、本文頁設計。
DTP、本文・図版デザイン:岸 和泉[きし・いずみ]
NDC:331.19 経済数学、経済統計、計量経済学


「原因と結果」の経済学 | 書籍 | ダイヤモンド社



【目次】
はじめに [001-013]
  メタボ健診を受けていれば長生きできるのか
  テレビを見せると子どもの学力は下がるのか
  偏差値の高い大学へ行けば収入は上がるのか
  「因果推論」を理解すれば思い込みから自由になれる
目次 [014-023]


第1章 根拠のない通説にだまされないために――「因果推論」の根底にある考えかた 025
「因果関係」「相関関係」とは何か
因果関係を確認する3つのチェックポイント
1.「まったくの偶然」ではないか
2.「第3の変数」は存在していないか
3.「逆の因果関係」は存在していないか
因果関係を証明するのに必要な「反事実」
タイムマシンがないと反事実は作れない?
反事実を「もっともらしい値」で穴埋めする
「比較可能」なグループでないと穴埋めはできない
反事実を正しく想像できないと根拠のない通説にだまされる?

COLUMN 1 チョコレートの消費量が増えるとノーベル賞受賞者が増える? 051


第2章 メタボ健診を受けていれば長生きできるのか――因果推論の理想形「ランダム化比較試験」 055
「実験」を使えば因果関係を証明できる
なぜランダムに割り付けないとダメなのか
「メタボ健診」と「長生き」のあいだに因果関係はあるか
「統計的に有意」とは
健診を受けていても長生きにはつながらない
1200億円の税金が投じられたメタボ健診
「医療費の自己負担割合」と「健康」のあいだに因果関係はあるか
ランド医療保険実験の結果
自己負担割合を高くしても、貧困層以外の健康状態は変わらない

COLUMN 2 複数の研究をまとめる「メタアナリシス」 074


第3章 男性医師は女性医師より優れているのか――たまたま起きた実験のような状況を利用する「自然実験」 077
手元にあるデータを用いて、実験のような状況を再現する
「医師の性別」と「患者の死亡率」のあいだに因果関係はあるか
女性医師が担当すると患者の死亡率が低くなる
「出生時体重」と「健康」のあいだに因果関係はあるか
出生時体重が重い赤ちゃんは健康状態がよい

COLUMN 3 受動喫煙は心臓病のリスクを高めるのか 088


第4章 認可保育所を増やせば母親は就業するのか――「トレンド」を取り除く「差の差分析」 091
実験をまねる「擬似実験」
前後⽐較は意味がない
前後⽐較が使えない2つの理由
昨年の売上が「反事実」ならば前後⽐較は有効だが……
前後⽐較デザインを改良した「差の差分析」
差の差分析が成立するための2つの前提条件
認可保育所の数」と「母親の就業」のあいだに因果関係はあるか
認可保育所を増やしても母親の就業率は上がらない
最低賃金」と「雇用」のあいだに因果関係はあるか
最低賃⾦を上げても雇用は減らない

COLUMN 4 「早く寝ないとお化けが出るよ」は正しい教育法か 111


第5章 テレビを見せると子どもの学力は下がるのか――第3の変数を利用する「操作変数法」 113
新聞の広告料割引キャンペーンを利用する
操作変数法が成⽴するための2つの前提条件
「テレビの視聴」と「学力」のあいだに因果関係はあるか
テレビを見ると偏差値が上がる
「母親の学歴」と「子どもの健康」のあいだに因果関係はあるか
母親が大卒だと生まれてくる子どもの健康状態がよい

COLUMN 5 女性管理職を増やすと企業は成長するのか 125


第6章 勉強ができる友人と付き合うと学力は上がるのか――「ジャンプ」に注⽬する「回帰不連続デザイン」 131
「49人の店舗」と「50人の店舗」の違いを利用する
回帰不連続デザインが成⽴するための前提条件
「友人の学力」と「自分の学力」のあいだに因果関係はあるか
学力の高い友人に囲まれても自分の学力は上がらない
「高齢者の医療費の自己負担割合」と「死亡率」のあいだに因果関係はあるか
高齢者の医療費の自己負担割合が増えても死亡率は変わらない

COLUMN 6 「ホルモン補充療法」の罠 143


第7章 偏差値の高い大学に行けば収入は上がるのか――似た者同⼠の組み合わせを作る「マッチング法」 147
似かよった店舗を探しだす
複数の共変量をひとまとめにする「プロペンシティ・スコア・マッチング」
プロペンシティ・スコア・マッチングが成立するための前提条件
「大学の偏差値」と「収入」のあいだに因果関係はあるか
偏差値の高い大学に行っても収入は上がらない

COLUMN 7 ビジネス版ランダム化⽐較試験「A/Bテスト」 160


第8章 ありもののデータを分析しやすい「回帰分析」 163
因果関係の評価に適さないデータしかないときは……
データを表現する「最適な線」を引く
交絡因子の影響を取り除いてくれる「重回帰分析」

COLUMN 8 因果推論はどのように発展してきたか 170


補論① 分析の「妥当性」と「限界」を知る 176


補論② 因果推論の5ステップ 180


おわりに(2017年2月 中室牧子 津川友介) [183-189]
索引 [190-193]
参考文献 [194-200]
因果推論をもっと知りたい人のためのブックガイド [201-204]

『経営学者の読み方 あなたの会社が理不尽な理由』(清水勝彦 日経BP 2016)

著者:清水 勝彦[しみず・かつひこ] 経営学(経営戦略など)。
装幀:水戸部 功[みとべ・いさお] 装幀。
NDC:336 経営管理


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【目次】
まえがき(2016年4月 清水勝彦) [003-007]
目次 [008-014]


第1部 書籍篇 


第1章 なぜわが社は「何億円もの失敗」より「タクシー代」にうるさいのか? 017
――C.N.パーキンソン『パーキンソンの法則』 
  巨額の資金取引の意思決定(High Finance)
  人選の法則
  パーキンソンの法則:ピラミッドが大きくなる理由
  「好き」の反対は?


第2章 攻撃は最大の防御 033
―― Randall Stross『Yコンビネーター』
  大企業の経営層にも示唆に富むスタートアップの視点
  信頼を培う直接のコミュニケーション
  「働く」
  競争相手が多い市場ほどチャンスがある
  金鉱掘りにツルハシを売れ
  「バットを振り続ける」ことと「驚き」
  経営者として忘れてはならない「不安」と「自信」
  stay hungry, stay foolish


第3章 「満足度調査で5点満点中4・5点」ではイマイチな理由 053
――谷岡一郎『データはウソをつく』
  「事実」vs.「見たいもの」
  「事実」と「一部の事実」の大きな違い
  「定義」や「言葉」で「事実」は変わる
  陥りやすい因果関係の誤解


第4章 人材教育における「教」と「育」の本質的違い 069
――西堀榮三郎『ものづくり道』『石橋を叩けば渡れない』
  創造性と「切迫感」「知識」「執念」
  創造に取り組む勇気を育む
  組織の目的がなぜ共有されないか
  共通の目的が多様性を組織力につなげる
  三種類の議論と終わり方
  リーダーシップ1:自主性
  リーダーシップ2:陰ながら見守る
  リーダーシップ3:楽観と細心
  リーダーシップ4:幅役〔はばやく〕
  日本的なものへのこだわり


第5章 部下を「指導」してつぶしていないか? 097
――河合隼雄心理療法序説』『カウンセリングを語る』
  カウンセラーやコンサルタントの本当の役割とは?
  「教育」の2つの意味
  因果律のワナ


第6章 40年前に語られた日本のグローバル化の課題 121
――中根千枝『適応の条件』
  グローバル化日本食
  日本人の「自信観」
  「自信」とは何か
  コミュニケーションと信頼
  デジタルな日本人
  グローバル化ダイバーシティーの共通点
  「観念的自信」の限界
  ウチとソト:本社と現地
  外国語にどう向き合うか
  次の40年に向けて


第7章 リーダーシップは自分の中にしかない 147
――増田弥生/金井壽宏『リーダーは自然体』
  自分の価値とは何か?
  「英語という壁」の本質
  自分(のアイデンティティ)をよく知る
  行動と実践と振り返り


第8章 「自分で気づく」から自分を変えられる 165
――野村克也『負けかたの極意』『そなえ』
  「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」
  短所を長所を消してしまう
  人間の最大の悪、それは鈍感である
  ほめられているうちは半人前と自覚せよ
  正しい努力をせよ
  言葉を身につけよ
  再び、「攻撃は最大の防御」


第2部 論文篇 


第1章 あなたの会社が理不尽な理由――組織の不合理さを説明する「制度派理論」 191
・Meyer, J., & Rowan, B. 1977. Institutionalized organizations: Formal structure as myth and ceremony. American Journal of Sociology.
・DiMaggio, P.J. & Powell, W.W. 1983. The iron cage revisited: Institutional isomorphism and collective rationality in organizational fields. American Sociological Review
  「なぜ多くの組織は似通っているのだろう?」
  経済合理性を超えて
  同質化の3つのメカニズム
  正当性と経済効率的さの対立とdecoupling
  「自身と誠実の論理(the logic of confidence and good faith)」
  「理由のある理不尽」と「理由のない理不尽」
  難しいから差別化につながる
  合理性偏重を見直すビジネススクール
  経営学は「答え」を出す学問ではない
  「経営学」「理論」の本当の力


第2章 「正しい」からではなく「interesting」だから心に残る――大学教授必読の論文「That's Interesting!」 213
・Davis, M. S. 1971. That's Interesting! Philosophy of Social Science.
  経営学とデータ
  古い真理を否定する
  interestingな仮説・理論のパターン
  どのような前提を持っているかを理解すること
  「社長、それは無理です」と思ったらどうするか
  唯一の方法は「weakly held assumption」を考えること
  リーダーへの示唆


第3章 「戦略バカ」で日本に負けた欧米企業 ―― MBAの古典的論文「ストラテジック・インテント」 231
・Hamel, G., & Prahalad, C.K. 1989. Strategic Intent. Harvard Business Review.
  「5フォース分析」
  ストラテジック・インテントとは何か
  社員に浸透しなければ意味がない
  「社員を信じる」ことが前提
  会社の問題を自分の問題として考えられるか?
  社員の潜在能力には無限の可能性がある
  コミュニケーションの重要性
  「ユニーク」「オンリーワン」の勘違い
  日本企業の潜在力は目覚めるか


第4章 「ワクワクするビジョン」のパラドックス――経営とはジレンマへの挑戦 253
・Garud, R., Schildt, H.A., & Lant, T.K. 2014. Entrepreneurial storytelling, future expectations, and the paradox of legitimacy. Organization Science.
・Quinn, J.B. 1980. Strategies for Change: Logical Incrementalism.
  レジティマシー(regitimacy)とは
  コミットメントとは期待の裏返し
  パラドックス1:夢ばかり語ってお金(投資家)が集まらない
  パラドックス2:期待が高まるほど失敗のリスクが高まる
  パラドックス3:期待を高め社会的信用を獲得するための「関連付け」は「逆噴射」の可能性を高める
  パラドックスへの対処策1:アナロジーを使う
  パラドックスへの対処策2:下手な言い訳をしない
  パラドックスへの対処策3:期待を再定義する
  ビジョンと現実のジレンマにどう立ち向かうか
  明確な戦略こそが大切 vs. 実行こそが大切
  ビジョンと現実のバランスを求める「ロジカル・インクリメンタリズム」
  身近にあるゴールとプロセスのジレンマ
  さじ加減
  サイバーエージェントの人事制度
  「実行」があるから「さじ加減」ができる


第5章 意思決定のスピードを決める意外な要因――シリコンバレー企業の勝因と敗因 277
・Eisenhardt, K. M. 1989. Making fast strategic decisions in high-velocity environments Academy of Management Journal.
   That's Interesting!
  意思決定スピードと業績
  日本企業へ示唆


第6章 「分析」で人間組織は動かない――ポーター理論への痛烈なアンチテーゼ 299
・Mintzberg, H. 1994. The fall and rise of strategic planning, Harvard Business Review.
  戦略プランニング(strategic planning)と戦略思考(strategic thinking)
  分析の限界と日本企業
  プランニングの3つの誤解
  リーダーは戦略スタッフを使いきれているか?
  戦略プランニングの本当の役割
  組織と人間と言葉


第7章 「知識」がないから失敗するのではない――失敗から学ぶための質問は「Why」ではなく「How」 317
・McGrath, R. 2011. Failing by design. Harvard Business Review.
・Schoemaker P.J. H. & Gunther, R.E. 2006. The wisdom of deliberate mistakes. Harvard Business Review.
  「失敗」から学んでいるか?
  アトリビューション・バイアス
  役員会議事録は「宝の山」というアイロニー
  「失敗せずに成功はできない」という前提
  わざわざ失敗することが必要な4つの理由
  「失敗から学ぶ」ことの本質
  失敗するのは「知識」が足りないからではない


第8章 50年前のアメリカ企業の失敗の轍をより深く踏む日本企業――「グローバル・マインドセット」とは何か 349
・Perlmutter, H. 1969. The tortuous evolution of the multinational corporation. Columbia Journal of World Business.
  1969年に始まった「グローバルマインドセット」論
  ジオセントリックのプラスとマイナス
  「Window Dressing(見せかけ)」をする企業
  50年前に指摘された原点を見直す


第9章 いまどき5年計画をつくっているのは旧ソ連くらい?――不確実性に対する「リーン・スタートアップ」という考え方 361
・Blank, S. 2013. Why the lean start-up changes everything. Harvard Business Review.
・Eric Ries, 2011 The Lean Startup: How Constant Innovation Creates Radically Successful Businesses.
  新規事業参入という「振り子」
  上がる新規事業の難度
  専門家の予想は当たらない
  不確実性への挑戦
  新規事業に参入する「前提」とは何か?
  新規事業にとって計画や分析は必要十分条件ではない
  脅威をチャンスに変える方法論
  Minimum Viable Product(MVP)
  顧客からのフィードバック(実験)
  仮説検証と学習
  ビジネススクールと経営者(候補)への示唆


第10章 そもそも「取締役」ってなんだろう?――コーポレートガバナンスの本質を考える 387
・Withers, M.C., Hillman, A.J., & Cannella, A.A. 2012. A multidisciplinary review of the director selection literature. Journal of Management.
  コーポレートガバナンスとは
  取締役の役割
  見逃されている「リスクテイク」の重要性
  取締役はどのように選ばれるのか?
  アメリカでの取締役の選定は必ずしも「合理的」ではない
  「解決策」としての取締役論議
  「一般論ガバナンス」の限界
  日本のガバナンス議論の「問題」


第11章 なぜ愛は急に失われるのか?――本来ポジティブなのにネガティブにひかれる人間の性 417
・Cameron, K.S. 2008. Paradox in positive organizational change. The Journal of Applied Behavioral Science.
  ポジティブバイアス
  ポジティブバイアスの背景にあるネガティブへの恐れ
  ポジティブの潜在力
  Uncertainty and Managementとポジティブ
  「社内」が意識されないというもう一つのパラドックス


第12章 インドで考えた組織的コミュニケーション――国際化、IT化が迫る原点の再考 433
・Zhao, Z. J., & Anand, J. 2013. Beyond boundary spanners: The 'collective bridge as an efficient interunit structure for transferring collective knowledge. Strategic Management Journal .
  ITと組織的コミュニケーション
  中身がすごくても共有できなければ持ち腐れ
  ビジョンは「単純知識」ではない
  組織的コミュニケーション再考


まとめにかえて 449
この本を読んで「行進したい気持ち」になりましたか? 451
 ――藤沢周平『風の果て』
  「ふつう」だから飽きない
  家柄や育ちは侮れない
  お金の使い方、生かし方
  「現場主義」と本当に言えるか?
  もう一度「酔っぱらいのジレンマ」
  「いい気」になっていないか?


奥付 [471]