contents memorandum はてな

目次とメモを置いとく場

『言語は本能か――現代言語学の通説を検証する』(Vyvyan Evans[著] 辻幸夫ほか[訳] 開拓社 2021)

原題:The Language Myth: Why Language Is Not an Instinct (Cambridge University Press, 2014)
著者:Vyvyan Evans 言語学。コミュニケーション論。作家。
訳者:辻 幸夫[つじ・ゆきお] 
訳者:黒滝 真理子[くろたき・まりこ] 
訳者:菅井 三実[すがい・かずみ] 
訳者:村尾 治彦[むらお・はるひこ] 
訳者:野村 益寛[のむら・ますひろ] 
訳者:八木橋 宏勇[やぎはら・ひろとし] 
Cover Design:杉原 瑞枝[すぎはら・みずえ] ブックデザイン。
NDC:801 言語学


言語は本能か 株式会社開拓社


【目次】
献辞 [iv]
題辞 [iv]
訳者はしがき(令和2(2020)年10月 辻 幸夫・菅井三実) [v-x]
目次 [xi-xiv]
謝辞 [xv-xvi]


第1章 言語と心の再考 001
言語の詳細を検討
神話(通説)と現実
  人間の言語は動物のコミュニケーション体系とは関係がないのか
  言語に普遍性は存在するか
  言語は生得的か
  言語は独立した心的モジュールか
  普遍的なメンタリーズは存在するか
  思考は言語から独立しているか
藁人形論法なのか
進化からの教訓


第2章 人間の言語は動物のコミュニケーション体系と関連がないのか 029
多忙なミツバチから驚異的なホシムクドリ
生物界のコミュニケーション
発話する動物
人間の言語の特徴すなわち「設計特徴
しかし、なにゆえに「設計特徴」なのか
見る人の心にあるすべて
チンパンジー人間について


第3章 言語の普遍性は存在するか 073
言語の多様性:各地の個別言語を巡って
普遍文法と(言語の)現実との接点
  音体系
  品詞
  形態論
  統語論
言語類型論からの教訓
では,どのように,なぜ言語は変化するのか
世界祖語という神話
さらば,普遍文法


第4章 言語は生得的か 107
言語の本能?
言語本能を支持する議論
神経生物学からの教訓
言語学習からの教訓
  言語学習は部分的に進む
  言語学習は子どもが耳にする内容に依存する
  子どもは私たちが思っているようには聞いていない
それでは子どもはどのようにして言語を学習するのか
言語学習理論を目指して
表現されないことから表現を学ぶ
しかし言語が突然現れてくることはあり得ないのだろうか
言語使用がすべてだ!


第5章 言語は独立した心的モジュールか
文法遺伝子とおしゃべりな人
おしゃべり症候群という誤認
鳴呼、哀れなるダーウィン
では、モジュール仮説の代案は
いったいこの騒ぎはなにごとか?


第6章 普遍的なメンタリーズは存在するか 177
メンタリーズと計算論的な心
なぜ意味なのか?
フォーダーの逆襲
知的な身体,身体化された心
メタファに満ちた日常世
脳における身体化効果
では,私たちはどこへ向かうのか?


第7章 思考は言語から独立しているか 211
悪役ウォーフを恐れるのは誰か
サピア - ウォーフ仮説の誕生
生まれてから世界に色を付けるのか?
新ウォーフ主義者による批判
ロッセル島からの教訓
子どもの目を通して見た色
ピンカーによる批判
ギリシャ語の2つの青
性に関するすべて
時間と空間
言語相対説とは何だったのか


第8章 言語と取り戻された心 251
文化的知性とラチェット効果
相互行為エンジン
言語の台頭
私たちの心的文法とはどのようなものか
経験の共通性
なぜこれほど多くの言語が存在しているのか?
結びに代えて


索引 [307-316]
原著者・訳者紹介 [317-318]

『暗号解読事典』(Fred B. Wrixon[著] 松田和也[訳] 創元社 2013//1998)

原題:Codes, Ciphers, Secrets and Cryptic Communication: Making and Breaking Sercet Messages from Hieroglyphocs to the Internet
著者:Fred B. Wrixon 軍事史、スパイ史。
訳者:松田 和也[まつだ・かずや](1963-) 翻訳家。
装丁・組版:寺村 隆史[てらむら・たかし]
NDC:809.7 暗号


商品詳細 - 暗号解読事典 - 創元社


【目次】
目次 [i-xii]
日本語凡例 [xii]


0章 暗号学――ヒエログリフからインターネットまで 001
  古代の暗号使用 002
  聖書に見られる暗号の原型 003
暗号学の始まり 005
  古代ギリシアの暗号 005
ルネサンス 006
  キリスト教と暗号 007
  薔薇十字団の暗号 008
  フリーメーソンの暗号 009
  ルネサンス期のイタリアの暗号解読 010
修道院と革命 011
  16世紀イングランドにおける諜報活動 011
  バビントン謀殺事件の概要 012
  バビントン謀殺事件における暗号 013
  清教徒革命での暗号 014
  17世紀フランスにおける暗号解読 016
  17世紀のイギリスとフランスの暗号解読合戦 017
  17~18世紀における暗号局の創設 018
  アメリカ独立戦争における暗号 019
  アメリカ独立戦争での英国派の暗号 020
  アメリカ独立戦争での独立派の暗号 021
  アメリカ独立戦争でのクリントンの失策 022
  アメリカ独立戦争で独立派を制した暗号 023
  マリ・アントワネットと暗号 023
  フランス革命後の仏米関係 026
  XYZ事件の暗号 026
  トマス・ジェファソンの暗号 027
  アーロン・バーのスキャンダル 027
  ナポレオンの暗号 029
  ナポレオンの敗因 030
機械化の時代 032
  クリミア戦争における電信の使用 032
  アメリ南北戦争における電信の使用 034
  ウィグワグの発明 035
  ウィグワグの本格的な使用 037
  南北戦争で活躍した女性間諜 038
  南北戦争での南軍の敗因 040
  1876年の大統領選における暗号 041
  19世紀アメリカの西部開拓と電信 043
第一次世界大戦 044
  第一次世界大戦での暗号 044
  イギリス海軍における「40号室」の設置 045
  ユトランドの戦いと「40号室」 046
  「ツィンマーマン覚書」と「40号室」 047
  オーストリア=ハンガリー帝国の諜報活動 048
  マタ・ハリの諜報活動 049
  アメリカの参戦と暗号編纂局 049
  フランス暗号局「ビュロ・デュ・シフル」の活躍 050
  1920年代と1930年代 051
  アメリカにおけるM18の創設 051
  M18における日本の暗号解読 052
  米陸軍通信隊が暴いた石油利権スキャンダル 053
  聴音哨と「屋上団」の通信傍受 054
  スティムソンによる「ブラック・チェンバー」の縮小 054
  日本における「特務班」の設置 055
第二次世界大戦 057
  イギリスとドイツの暗号戦 057
  「エニグマ」解読の歴史 057
  イギリスによる「エニグマ」解読 058
  アメリカと日本の暗号戦 059
  アメリカによる「パープル」の解読 060
  真珠湾攻撃までの暗号解読 061
  アメリカ暗号局の復活 063
海戦 063
  ドイツの暗号解読部隊による戦果 063
  連合国による反撃 064
  「マル・コード」の解読 064
  JN25の解読 065
  珊瑚海海戦においける暗号 066
  ミッドウェー海戦における暗号 067
諜報と防諜 069
  「ローテ・カペレ」による暗号解読 069
  ゾルゲによる諜報活動 070
  ルーシー機関による諜報活動 071
  ドイツによるエジプトでの諜報活動 072
  イタリアの諜報活動 073
  フェラーズの失策 074
  様々な暗号解読機の開発 074
戦争終結 075
  Dデイにおける暗号 075
  フォーティテュード作戦の捏造 076
  バルジの戦いでの失敗 077
  山本五十六の撃墜と暗号解読 078
  原子爆弾第二次世界大戦終結 079
戦後の時代:スパイとセキュリティ 080
  冷戦の始まり 080
  ソヴィエトのスパイ活動 081
  FBIによるスパイ捜査 082
  防諜機関によるスパイ対策 083
  ハイハネンによるスパイ活動 085
  イギリスにおけるスパイたち 086
テクノロジー競争 087
  産業スパイの暗躍 087
  ジョン・ウォーカーによる機密漏洩事件 088
  米国内のソヴィエトへの内通者たち 089
  パワー・カーヴによる逮捕者たち 090
  合衆国の裏切者たち 092
新たな暗号――公的・私的安全性の諸問題 094
  新たな暗号学の必要性 094
  DESによる暗号化 094
  個人によるセキュリティ強化の時代へ 095


第1章 サイファ 099
▶転置式サイファ 103
逆転置 104
  逆転置のヴァリエーション 105

幾何学サイファ 105
  ルート転置法 106
    柵型 108
    柵型のヴァリエーション 109
    水平ルート 110
    牛耕式水平ルート 111
    垂直ルート 112
    牛耕式垂直ルート 113
    斜線ルート 114
    牛耕式斜線ルート 116
    時計回りルート 118
    反時計回りルート 119

縦列型転置法 120
  空白セルのある縦列型 121
  斜線式縦列型 123
  二重縦列型 125

4端転置法 127
三角形および台形転置法 128
単語転置法 132


▶換字式サイファ 136
単一字換字法 136
  シフト・サイファ 137
   キーワード付シフト・サイファ 138
  キーフレーズ付サイファ 138
  ランダム換字式サイファ 140
    シャルルマーニュサイファ 140
    黄道サイファ 141
    スコットランド女王メアリのサイファ 142
    シュヴァリエ・ド・ロアンのサイファ 142
    ローズ・グリーンハウのサイファ 143
    エドガー・アラン・ポオの『黄金虫』のサイファ 143
    シャーロック・ホームズの『踊る人形』のサイファ 145
    〈ザ・シャドウ〉のサイファ 146
  幾何学サイファ 147
    薔薇十字団のサイフア 149
    フリーメイソンサイファ 150
  文字数字式サイファ 151
    フランクリン-デュマスのサイファ 152
    『スコットランド・ヤードの男』のサイファ 153
  複字式 156
    ポリュビオスのチェッカー盤 156
    エリザベス・ヴァン・ルーのサイファ 157
  ノック式サイファ 158
  複字式のヴァリエーション 159
    複数対応式 160
    ヴァリアント 161
    キーワード付複字式サイファ 163
    複字表 163
    ロシア無政府主義者サイファ 164
  不規則型チェッカー盤 166

多表換字法 167
  円盤 167
    アルベルティの円盤 168
    ポルタの円盤 169
  表〔タブロー〕 170
    トリテミウスのタブラ・レクタ 170
    ヴィジュネル表 172
  鍵連鎖 174
    マリ・アントワネットのサイファ 177
  ヴィジュネル表のヴァリエーション 178
    グロンスフェルト・サイファ 178
    ビューフォート・サイファ 179
  多文字式サイファ 180
    ポルタの2連字サイファ 180
    プレイフェア・サイファ 181
    2方陣サイファ 183
    4方陣サイファ 184
    3連字サイファ 185
  代数サイファ 185
  分割式サイファ 189
    非周期的分割式サイファ 190
    規則的サイファ化 192
    三数組式分割式サイファ 193
    二分サイファ 195
    ADFGX 196
    ADFGVX 198

サイファ装置と機械 201
サイファ装置 201
  トマス・ジェファソンの車輪サイファ 201
  ウォッズワースの装置 202
  ホイートストンのクリプトグラフ 203
  サン=シールのスライド 204
  円筒式クリプトグラフ 205
  プレッツ装置 206
  M-138とM-138A 207
  M-94 208
サイファ機械の進歩 209
  M-209 209
電気式有線ロータ 212
  エドワード・ヘバーンの電気暗号機 213
  電気式サイファ機械(ECM)とECMマークII 215
  SIGABA 217
  エニグマ 218
  タイペックス 220
  コロッサス 222
  レッド 223
  九七式欧文印字機とパープル模造機 223
解読不能サイファ 225
  ボドー・コード/ヴァーナム・サイファ 225
  モーボーンのワンタイム・システム 228
  ワンタイム・パッド 229
  VICサイファ 234
コンピュータ暗号 235
  データ暗号化規格(DES) 235
  2鍵暗号 237
  RSAアルゴリズム 238
  認証 239
  鍵生成 243
  量子暗号 245
    量子コンピュータの基礎 246
    量子暗号 248

▶暗号解析 250
暗号解析技術 250
多表換字法解読のヒント 254


第2章 コード 261
ノーメンクレイタ 266
  ノーメンクレイタの作り方 267
    ベンジャミン・タルメッジのノーメンクレイタ 268
    XYZノーメンクレイタ 269
    ジェームズ・マディソンのノーメンクレイタ 270

書物コード 272
  書物コードの作り方 273
    ベネディクト・アーノルドの書物コード 274
    ニコラス・トリストの書物コード 274
    1876年の大統領選挙 275

コードブック 276
  単式コードの作り方 279
  複式コードの作り方 279
  初期国務省のコード 280
    1867年の国務省のコード 280
    一等通信士コード(1871年頃) 283
    国務省サイファ(1876年版) 285
    国務省サイファ(1899年版) 288
    グリーン・サイファ 289
  第一次世界大戦におけるコード 291
    ツィンマーマン覚書 291
    アメリカン・トレンチコード 292
    河川名シリーズ:ポトマック 296
    河川名シリーズ:モホーク 297
    電話コード 298
    湖沼名シリーズ:シャンプレーン 299
    湖沼名シリーズ:ヒューロン 299
    アメリカ無線サービス・コードNo. 1 301
    チョクトー族「コードトーカーズ」 302

商用コード 302
    スレイター・コード 303
    アクメ・コード 305
    マリ・テレプリンター 306
    Q符号 307
  第二次世界大戦前のコード 308
    グレイ・コード 308
    国務省コードA-1 309
    ブラウン・コード 310
  第二次世界大戦のコード 310
    ブラック・コード 310
    商船コード 311
    Jシリーズ 312
  JN25 313
    アメリカ先住民の「コードトーカーズ」 313
    方形コード 314
  日常生活のコード 315
    統一商品コード(UPC) 315
    ジップ・コード 316
    ASCII 317
    銀行セキュリティコード 318
    遺伝コード 319
  コード解読 320
    高度暗号化コードの解読 322


第3章 信号 325
手と腕による信号 328
船舶旗リュウ信号 330
手持式シグナル用具-旗、円盤、松明 337
光信号 349
  常置灯信号 349
  火工品とクロノセミック・システム 359
  反射光と閃光 365
機械的信号システム 371
携帯式腕木信号 382
技術の発達 384
電子の戦場――信号の安全性と信号諜報戦 392


第4章 ステガノグラフィ 397
隠匿の技術 400
  不可視インク 401
    不可視インクの製法 404
  クリプトフォトグラフィ 405
    マイクロドット 406

言語的隠匿 408
  セマグラム 408
    筆記におけるセマグラム 409
  グリル 414
  冗字サイフファ 417
  隠語コード 422

現代の通信セキュリティ 426
  レーザーと赤外線技術 428
  パルス符号変調 429
  バースト/スパート転送 429
  スペクトル拡散 430


第5章 文字と言語 433
原始筆記 434
  絶滅した文字 440
  絶滅した文字の解読 441
  楔形文字 443
    解読 446
  エジプトのヒエログリフ 450
    解読 451
  ヒッタイト楔形文字ヒエログリフ 454
    解読 455
  線文字B 455
    解読 457
  マヤの絵文字 462
    解読 463

未解読文字 465
  原始エラム文書 465
  インダスの印章 466 
  線文字A 467
  ファイストスの円盤 468
  エトルリア語 470
  ロンゴロンゴ 472
  ヴォイニッチ写本 473

暗号的文字 475
  ルーン文字 475
  オガム文字 477

現代の絵文字 479
  日本語 481

特殊集団の文字と記号 483
  速記 485
  視覚障害者用の文字 488
    ブライユ点字法 488
    ムーン・タイプ 490 
  手話 491

人工言語と国際語 492
  ソルレソル 496
  ヴォラピュク 497
  エスペラント 497


第6章 人名辞典 501


第7章 問題と解答 535


第8章 付論 579


第9章 用語集 583


参考文献 [593-604]
索引 [605-613]
訳者あとがき(2013年秋 翻訳者識) [614-616]

『こうして知財は炎上する――ビジネスに役立つ13の基礎知識』(稲穂健市 NHK出版新書 2018)

著者:稲穂 健市[いなほ・けんいち] 著作権法弁理士。(米国)公認会計士
校閲:猪熊 良子
図表作成:手塚 貴子
シリーズ:NHK出版新書;558
NDLC:DH221 経済・産業 >> 企業・経営 >> 経営管理 >> 研究開発
NDC:507.2 技術、工学 >> 研究法、指導法、技術教育


NHK出版新書 558 こうして知財は炎上する ビジネスに役立つ13の基礎知識 | NHK出版


【目次】
はじめに(平成30年6月吉日 稲穂 健市 ) [003-008]
目次 [009-013]


本書を読む前に――知的財産権って何? 014


第1章 こうして知財は炎上する 019
1 その過剰な自粛要求は認められるか? 020
  羽生結弦はなぜプーさんを連れていなかったか
  五輪が「便乗商法」に神経質な理由
  「アンブッシュマーケティング」は違法か
  厳しすぎる東京2020組織委員会の基準
  話題となったナイキ社のキャンペーン
  大会エンブレムを使用した「平成32年」の偽メダル

2 その権利のゴリ押しは認められるか? 036
  著作権の「集中管理」は必要か
  JASRACだけがなぜ批判されるのか
  ネガティブイメージと炎上の背景
  暴利をむさぼっているのではないか
  議論を呼んだ宇多田ヒカルさんのツイート

3 そのアイデアの独占は認められるか? 050
  アマゾン社は「ビジネスモデル特許」の先駆け
  「発明」とはどういうものを言うか
  「ワンクリック特許」は成立まで14年かかった
  訴訟になりやすい「単純なアイデア」の特許
  いまは「単純なアイデア」の特許が取りやすい時代か
  QRコードの特許戦略とは


第2章 模倣・流用をめぐる仁義なき戦い 067
1 その名前の「パクリ」はずるいのか? 068
  アメリカ村からパロディTシャツが消えた
  「黒い恋人」「青い恋人」「赤い恋人」「黄色い恋人」
  東京ばな奈 大阪プチバナナ
  幻となった「大阪ばな奈」
  防衛的な商標登録とは
  他人の名前を商標登録できる場合、できない場合
  リカちゃん人形と「香山リカ
  東池袋大勝軒の主張はなぜ認められなかったか
  同姓同名をめぐる特許庁の限界

2 その流行語の「パクリ」はずるいのか? 091
  平昌五輪における「そだねー」争奪戦
  流行語がなぜ商標登録できるのか
  商標権は「言葉・記号・図形などを独占できる権利」ではない
  上田氏は大量出願をやめていなかった
  「分割出願」という奥の手
  商標ゴロとの戦いは終わらない

3 そのコンセプトの「パクリ」はずるいのか? 110
  「マサキ珈琲」と「コメダ珈琲店
  食べ物のカタチも立体商標になる
  ハードルが高い「色のみ」の商標登録
  提供する飲食物のパクリは防げるか
  「ノウハウ」として保護するという考え方
  「いきなり!ステーキ」の提供システムは発明か
  知的財産制度の変化をつかむ

4 その技術の「パクリ」はずるいのか? 128
  フィンテックベンチャー同士の特許裁判
  熱狂的なファンの存在と炎上リスク
  ティッシュペーパーは特許の塊
  「非認証品」=「違法」ではない
  中国のパクリ製品は合法か
  中国の高速鉄道は「新幹線」のパクリか
  「模倣されること」だけに注意を向けていいのか


第3章 それでも知財で揉める理由 147
1 そのコンテンツ・商品の誕生経緯がなぜ問題になるか? 148
  「SMAP大研究事件」が問いかけること
  「全聾の天才作曲家」のケースは
  じつは多い著作者人格権をめぐるトラブル
  ひこにゃん騒動
  職務著作と職務発明
  「ジョン万次郎銅像事件」とは
  ビートたけし所ジョージの発明品
  「著作権判例百選事件」
  「宇宙戦艦ヤマト」をめぐる裁判
  果たして著作者はどちらなのか

2 そのブランドの使用がなぜ問題になるか? 172
  乱立する地域ブランド
  誰もが知っていても登録できないことも
  特許庁農林水産省のライバル争いか
  「八丁味噌」をめぐる大トラブル
  海外に流出する日本の品種

3 その権利切れのはずの知財がなぜ問題になるか? 187
  「権利切れ」ならば安全・安心なのか
  消耗品ビジネス消耗品リサイクルビジネス
  保護期間を延ばす方法
  24時00分と0時00分は別の日か
  複雑極まりない保護期間の仕組み
  なぜ権利切れの知財にお金が払われるのか
  「知財もどき」とどう付き合うか


第4章 知的財産制度の「抜け道」を考える 207
1 その越境の「抜け道」は許されるか? 208
  北朝鮮は「ならずもの国家」ではなかった
  むしろ不公平な日本の対応
  北朝鮮との文化交流の行方は
  「漫画村」は抜け道ではなかった
  「知の共有」と知的財産制度

2 その税制の「抜け道」は許されるか? 222
  「タカシマヤ・シンガポール」の教訓
  移転価格税制とは
  知的財産を利用した節税スキーム
  知財で「節税」しているのはIT企業だけではない

3 その保護対象の「抜け道」は許されるか? 234
  将棋の棋譜は著作物か
  「加戸説」と「渋谷説」
  「単なるデータ」なら勝手に使ってもよいか
  「ヨミウリ・オンライン事件」
  「価値あるデータ」と知的財産制度


おわりに [248-250]
おことわり [251]
主要参考文献 [252-254]





【抜き書き】

・Youtuberと朝日杯将棋オープン戦がらみで、「将棋と著作権」が話題になった。
 当時の騒動についての取材は、例えば「「棋譜」に著作権はある? 「無断中継」なぜNG? 朝日新聞に聞いた」(2017年06月22日 ITmedia)があるので、ご存じない方はこの記事を読んでほしい(この記事では伊藤雅浩弁護士の見解を掲載している)。
 本書の第4章第3節「その保護対象の「抜け道」は許されるか?」では、棋譜が扱われている(pp.234-241)。
 下記の「警告」は、Twitter上でそこそこの数の将棋ファンからかなり反発を呼んでいた。

将棋の棋譜は著作物か
 対局における指し手順の記録を「棋譜」という。開幕日の対戦における「棋譜」をYouTuberが再現して中継していたところ(中継動画を無断配信したわけではない)、朝日新聞将棋取材班がTwitter において次のようなリプライを行った。

 朝日新聞将棋取材班です。朝日杯の棋譜中継は権利の侵害に当たります。即時、中止してください。


 この日の対局では、ちょうど「朝日杯将棋オープン戦中継サイト」と「日本将棋連盟モバイル」が棋譜中継を行っていた。
 そのため、それとは無関係のYouTuberが同様の中継をしているのを知った将棋取材班が警告を発したのである。


 

・著著作物性について2つの意見を並べている。個人的には、前者が主流派だと思いたい。
 ところで本書の著書・稲穂健市氏と故・渋谷達紀氏(1940-2011)は「詰め将棋」という表記で書いているが、私は問題無いと思う。
 一応、将棋業界(または将棋愛好家の界隈)では「詰将棋」と書く方が圧倒的に多い。(ただし「詰将棋」表記派が、将棋を知らない人から「つみ将棋/つむ将棋/きつ将棋/なじる将棋」と読まれるリスクを自覚しているのかは知らない)。


 前述したように、著作物とは、「文芸、学術、美術、音楽などの分野で、人間の思想・感情を創作的に表現したもの」であり、著作権法では、「言語」、「音楽」、「舞踊、無言劇」、「美術」、「建築」、「地図、図形」、「映画」、「写真」、「プログラム」といった著作物が例示されている(著作権情報センターホームページ「著作物の種類」参照)〔……〕。
 ここで、『著作権法逐条講義(六訂新版)』(加戸守行、著作権情報センター、2013年)の記載を見てみよう〔……〕。

 本条は、著作物の範囲を決めてしまったものではなくて、著作物とは概括的にいってどんなものであるかという例示にしかすぎません。ですから、この例示が全てをカバーしているわけではなく、例示では読めないようなものでも、著作物たり得るものがございます。一つの例としては、例えば碁や将棋の棋譜というものがあります。棋譜も私の理解では対局者の共同著作物と解されますけれども、本条第1項各号のどのジャンルにも属しておりません。

 碁や将棋の棋譜が著作物であると明言している。だが、これについては異論もある。〔……〕知的財産法の研究者として有名な渋谷達紀氏は、その著書『知的財産法講義 II 第2版――著作権法・意匠法』(渋谷達紀、有斐閣、2007年)の中で、次のようなことを言っている。

 棋譜は、勝負の一局面を決まった表現方法で記録したものであるから、創作性の要件を欠き、著作物ではない。それは事実の記録であり、新聞などに掲載されているもはのは、事実の伝達にすぎない雑報……と見るべきものである。

 かなり強い口調で棋譜の著作物性を否定している。同様に「詰め将棋」についても、「表現の仕方は決まっており、表現に思想感情が盛り込まれることはないから、詰め将棋の棋譜も、やはり著作物ではない。それは数式で書かれた計算問題……が著作物でないのと同様である」としてその棋譜の著作物性を否定している。
 このように、「加戸説」と「渋谷説」の双方が存在するということも、法学者や実務家が棋譜に著作物性があるかどうかを断言しにくくしている要因であるようだ。


・かりに著作物でないとしても……。

「単なるデータ」なら勝手に使ってもよいか
 これについては誰かが実際に裁判を起こさなければ白黒がつかないところもあるのだが、もし仮に、「棋譜には著作物性がない」という判断が裁判で確定したら、碁・将棋の棋譜は「単なるデータ」(事実の記録)に過ぎないから、それを勝手に使っても良いということになるのだろうか?
 ここで、冒頭で紹介した朝日新聞将棋取材班のリプライに話を戻そう。
 筆者が「棋譜の権利」について朝日新聞社に問い合わせたところ、同社からは次のような回答が得られた。

 弊社と日本将棋連盟は、両者主催の棋戦の対局における棋譜について、その著作物性の解釈のいかんにかかわらず、主催者として独占的に掲載・放送・配信、その他の方法で利用できる権限を有しており、弊社はそうした主催者としての権限を、法律上保護されるべき利益に係る権利というべきものと考えております。

 となると、朝日新聞社日本将棋連盟に無断で棋譜を利用すると、両者の「法律上保護されるべき利益に係る権利」を侵害し、「不法行為」に該当する可能性があるかもしれない。
 著作権の保護期間が満了した錦絵の利用については、「著作権法が明確に保護範囲外としている」などの理由から不法行為が認められなかったが、棋譜については、仮にそれが著作物ではないとしても、「著作権法が明確に保護範囲外としている」わけでもないから、議論の余地があるだろう。

 




・対価は不明(pp.242-243)

 先ほどの棋譜の話に戻ると、朝日新聞社日本将棋連盟も、朝日杯の開催にあたって、相当の費用と手間をかけて、「独占的に掲載・放送・配信、その他の方法で利用できる権限」を有しているのは確かであろう。それを考えると、無断で棋譜を利用する行為は不法行為にあたる可能性があるかもしれない。特に、棋譜中継は極めて「情報の鮮度」が高い段階の行為と言えるからだ。
 もし不法行為にあたるとすれば、許諾を取って棋譜を利用するのが無難ということになる。だが、その場合の対価はどの程度となるのか?
 気になって調べたところ、『週刊ポスト』(小学館)が朝日新聞社に対して問い合わせたことがわかった。同誌が「棋譜を誌面上で使用するためにはどうすれば良いのか」と質問したところ、同社は「1か月以内に行なわれた棋譜を誌面に掲載される場合には、対局者にかかわらず一律10万円を頂戴しています」と回答してきたという(「藤井聡太フィーバーで判明した「棋譜使用料」は10万円!」『週刊ポスト』 2018年3月2日号)。
 同社に棋譜を「独占的に掲載・放送・配信、その他の方法で利用できる権限」があることを認め、無断で棋譜を利用すると不法行為にあたる可能性があることも否定しないとしよう。だが、それを前提に考えても、ちょっと高過ぎはしないだろうか? と言うのも、先ほど紹介した「ヨミウリ・オンライン事件」にしても、認められた損害額は、侵害期間において1ヶ月あたり1万円という微々たるものであったからである(〔……〕計3万7741円の損害賠償額となった。)。
 筆者は、『週刊ポスト』に対する回答の根拠についても同社に尋ねたのだが、「その他のご質問については、弊社の営業活動についてのご質問ですので、詳細について回答を差し控え えさせていただきます」とのことで、わからずじまいだった。報道機関としてきちんと回答してもらいたかったところである。

『デスマーチはなぜなくならないのか―― IT化時代の社会問題として考える』(宮地弘子 光文社新書 2016)

著者:宮地 弘子[みやじ・ひろこ] 元・ソフトウェアエンジニア。現象学的社会学エスノメソドロジー(主にIT業界をフィールドとした働くことをめぐる諸問題の社会学)。
NDC:007.35 情報産業、情報サービス
NDC:549.805 


デスマーチはなぜなくならないのか 宮地弘子 | 光文社新書 | 光文社


【目次】
目次 [003-006]


はじめに 007
デスマーチ」(死の行進)という言葉
二〇〇〇年代以降の関心の高まり
デスマーチ」をめぐるこれまでの理解
現場の人々の声
みずからの経験から
本書の目的


第一章 究極の迷宮 ――どのようなものづくりとも異なるソフトウェア開発の特質 025
外からも内からも見えにくいソフトウェア開発のプロセス
ソフトウェア開発作業の核――コンピュータへの命令書の記述
ソフトウェア開発という協働作業
ソフトウェア開発産業の「黒歴史
究極の迷宮としてのソフトウェア開発――「銀の弾はない」という名言
ソフトウェア開発作業に特有の性質
「見えていて、やっているが、気づかない」ソフトウェアづくりの方法
調査の対象――なぜX社なのか?
調査の方法――なぜインタビューなのか?


第二章 「デスマーチ」の語り ――ソフトウェア開発者たちに聞く経験 055
ある中堅エンジニアとのインタビューから

当事者によって語られた燃え尽きの経験 058
  フォトリンクプロジェクト
  ソフトウェア開発作業に独特の性質に起因する困難
  できないといわない――ソフトウェア開発者としての美徳
  「アドインモデル」という頼みの綱
  迷宮へと迷い込むプロジェクト
  俺がやるからいい

「名誉の戦死」としての燃え尽き
ある若手エンジニアとのインタビューから

新人時代のカルチャーショックの経験 080
  配属当初の戸惑い
  先輩エンジニアの燃え尽き

さらなる教育的指導の洗礼
「正しい」ソフトウェアづくりの方法としての抱え込み
説明・説得の実践としてのインタビュー
ソフトウェア開発者の社会に独特の常識


第三章 当事者にとっての「デスマーチ」の経験とは 097
語りの諸側面

語り手の生活史との邂逅 102
  大学受験の失敗からフリーのゲームプログラマ
  結婚を契機とした転身
  「ステータス」が決め手となった転職
  「格上」の開発部門への異動

燃え尽きの主観的経験 124
  プロジェクトの先行きへの不安を黙認した意味――「吊しあげ」の回避
  「悪いスパイラル」の風景――迫り来る「吊しあげ」の危機
  燃え尽きにいたるまで仕事を抱え込んだ意味――現実となった「吊しあげ」の阻止

「地獄」と「悦楽」とが表裏一体となった「デスマーチ」の経験
ソフトウェア開発者たちの内罰性


第四章 「人々の社会学」という考え方――逸脱の問題から常識の問題へ 143
社会学というツール
ガーフィンケルと違背実験――エスノメソドロジーという視角
違背実験があぶり出したこと
ソフトウェア開発者たちの「人々の社会学
「カラートラブル」――ガーフィンケルの根本的関心
デスマーチ」をめぐる眼差しの転換


第五章 「あたりまえ」の起源を探る 163
あるベテランエンジニアとのインタビューから 「規律」など一切なかった現場

「革命」の足音とニッチな居場所の確立 174
  思いがけないエンジニアへの転身
  ソフトウェア開発をめぐる「革命」の端緒
  強い「自信」の源泉
  「キャリアの絶頂期」と変化の兆し

二〇〇〇年の分水嶺――業界、X社、そして自分自身
リーマン・ショックと現場の「工場化」
「激動」の物語が示唆すること


第六章 今、「デスマーチ」が問題化していることの意味 211
かつては問題なかった「過酷な労働」
ソフトウェア開発者のライフステージの変化
「仕事」としてのソフトウェア開発
ソフトウェアの大規模化と依存関係の複雑化
企業による管理体制の「逆行」
ものづくりの「亡霊」
死の行進としての問題化


第七章 IT化時代の社会問題としての「デスマーチ」 229
ソフトウェア開発者たちの葛藤の歴史
「あたりまえ」の問い直し
若者たちの声の重要性
ソフトウェア開発者に必要な「能力」とは何か
「人が大切」ということの意味
「エンジニアリング」としてのソフトウェア開発の限界
ソフトウェア開発者はいかにして死の行進へと巻き込まれていくのか


あとがき(二〇一六年 秋 宮地弘子) [247-249]
参考文献 [250-253]





【関連記事】

システム開発に関連する本。
『ユーザを成功に導くシステム開発契約――クラウドを見据えて〔第2版〕』(西本強 商事法務 2016) - contents memorandum はてな
『システムを作らせる技術――エンジニアではないあなたへ』(白川克, 濵本佳史 日本経済新聞出版 2021) - contents memorandum はてな

『ワスプ(WASP)――アメリカン・エリートはどうつくられるか』(越智道雄 中公新書 1998)

著者:越智 道雄[おち みちお](1936-2021) 英語圏政治/文化研究。翻訳。
NDC:361.8 社会的成層:階級,階層,身分


ワスプ(WASP)|電子書籍|中央公論新社


【目次】
はじめに [i-v]
目次 [vi-x]


第一章 ワスプとは何者か? 003
  多数派民族集団が自らにも用いる蔑称
  ワスプの呼称と彼らの〈誇り〉
  〈赤狩り〉のマッカーシーがワスプ概念の生みの親
  誰と誰がワスプなのか?


第二章 ワスプ最後の隆盛期一九二〇年代  013
  ワスプと『華麗なるギャッツビー』
   トム・ビュキャナンのモデル
  自由の女神到着で不自由となったアメリ
  「ユダヤ系と犬はお断わり」
  ワスプとアイヴィ・リーグ
  カントリークラブを巡る攻防
  上流ワスプ模倣者たち
  一九二〇年代と一九六〇年代のリンク
  ワスプ体制崩壊としての一九二九年の大暴落
  ウォール・ストリートからワシントンヘ
  〈ローズヴェルト・ヘイターズ〉らの暗躍


第三章 女王である母が君臨するワスプ家庭 040
  ホームランをほめてもらえなかったブッシュ少年
  才能よりマナー重視
  ワスプは万事控えめ
  『普通の人々』のワスブ・マザー像
  母親に同一化する息子
  〈メイトリアーカル・マザー〉の原型は英国女王
  メイトリアーカル・マザーの卵、サザン・ベル
  〈台座に祭り上げられた淑女たち〉
  サザン・ベルの崩壊インサイダーだった文化の中でアウトサイダー
  ウーマンリブはメイトリアーカル・マザーの否定
  理想像に近いバーバラ・ブッシュ
  バーバラとウーマンリブ


第四章 後継者養成のカリキュラム 071
  プレップ・スクール創立ブームの背景
  都心ワスプ校への非ワスプ生徒流入
  上流ワスプ青年が悩む非現実感
  「男らしいキリスト教徒としての成長」
  活発に発言する生徒が教室外でも人気
  アンドーヴァの寮生活
  サーヴィス・ラーニングと公共精神の育成
  プレップ・スクールは〈代用家族〉
  上流ワスプはなぜ弱虫と見られるか?
  少年時代の躾に苦しんだブッシュ
  プレップ・スクールのホワイト・エスニックの受け入れ
  「グロトンは〈家族〉であり、黒人を入れる余地はない」
  グロトンの校長に生涯私淑したローズヴェル
  プレップ・スクールとアイヴィ・リーグ


第五章 ワスプ男性の支配力の源泉、クラブ 108
  ヴァージニアの名門カントリークラブにて
  上流階級の演出者、バトラー(執事)
  学生クラブはおとなのクラブの予行演習
  ハーヴァードの学生クラブと会員たち
  「クラブ以外の人間を知るのは無駄」
  エール大学のクラブとOBたち
  理想の成人クラブはビジネス界から遠い
  一九のクラブに入っていたJ・P・モーガン
  実際はビジネスに利用されたクラブ
  全米最初のカントリークラブ
  大暴落時点で全米に四五〇〇のカントリークラブ
  最初のユダヤ系排除抗議、セリグマン事件
  同族が創立したクラブからも排除されたユダヤ
  フォードの重役居住区の差別的調査
  カントリークラブで起きたスカーズデイル事件
  第三世界諸国の登場とメトロポリタン・クラブ事件
  上流ワスプの加盟クラブ数、六〇年代に激減
  クラブ・スポーツの開放とタイガー・ウッズ


第六章 ブッシュは監督派の大統領の十一代目 147
  プロテスタントへの宗旨替えで準ワスプ
  「ぼくが所属している階層は全員が監督派です」
  アメリカとアメリカン・アングリカンの対英独立
  ヒューリタンが造反したアングリカニズムに戻る
  アメリカ財界の監督派化
  ウォール・ストリートに建つ神の砦
  アメリカでは教義が希釈化
  キリスト教社会主義
  ワスプ・サバイバル衝動の楯の両面
  ソーシャル・ダーウィニズムの系譜


第七章 病めるワスプ 170
  差別したユダヤ系の分析医に救われるワスプ
  ワスプは早いもの勝ち嫌い
  理想的なワスプ男性たちの内面の空虚
  常に適応してみえる〈会社人間ワスプ〉
  理想的なワスプ
  女性の惨めな自己像
  ワスプ ・プリンセスとユダヤ系男性
  ワスプ・プリンスを襲う中年の危機
  ワスプ志向の犠牲者たち
  ワスプ娘を撫で切りにしたイタリア系医学生
  ハリウッドのユダヤ系がワスプを演じた病理
  ワスプとジョージ王朝 = コロニアル風
  社会適応専一のアメリ精神分析


第八章 改革されたワスプ文化、その現状と未来 199
  白人のローザ・パークス
  プレップ・スクールを改革した校長たち
  マッカーシー赤狩りとワスプ旧体制
  JFK政権の財務長官の背景
  JFKが身につけたオールド・マネーの魅力
  ワスプ主人公がユダヤ系に扮する映画
  氏名をワスプ化した俳優たち
  テレビが非ワスプを主流化
  ホワイト・エスニック俳優のカムアウト
  黒人評論家に依存するワスプ知識層
  ワスプ模倣を商品化したラルフ・ローレンーン
  ワスプはアメリカの〈バトラー〉となるか?


あとがき(一九九八年八月 越智道雄) [232-234]
主要参考文献 [235-244]