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目次とメモを置いとく場

『コーダの世界――手話の文化と声の文化』(澁谷智子 医学書院 2009)

著者:澁谷 智子(1974-) 
NDC:369
シリーズ:ケアをひらく 
メモ:コーダ = CODA = “Children Of Deaf Adults”


コーダの世界 | 書籍詳細 | 書籍 | 医学書院


【目次】
はじめに 


プロローグ 
  「ろう文化」って何?
  ろう者の表現の魅力
  「コーダ」という言葉について


1 コーダが戸惑うカルチャーショック 
  どこ行くの?
  「見る」と「見つめる」
  見えるもの、気になるもの
  動画の思考
  会話の方法


2 コーダがしていること 
  小学生のコーダがいるお母さんの話
  コーダが通訳するということ
  電話通訳
  通訳ときょうだい関係
  まわりの人からのまなざし
  ろう者と貧困
  祖父母世代、親世代、コーダ世代、そして時代
  文章の説明
  ある帰国子女から見たコーダ


3 「ろうの声」とコーダ 
  聴者にとっての「ろうの声」
  コーダにとっての「ろうの声」
  Kさんの場合


4 思春期のコーダはなぜイライラするのか 
  聞こえない親の不安
  親をバカにされたくない
  外食が嫌い
  言ってもわからないだろう
  「物語」が変わるとき


5 コーダが語る親 
  「CODAとしての私の生い立ち」北田美千代さん
  「親父が残してくれたもの」阿部卓也さん


6 コーダのつながり 
  「コーダの会」
  親を通じたつきあいからの離脱
  アメリカのコーダの語りと日本のコーダの語り
  セルフヘルプ・グループとしての「コーダの会」
  コーダがコーダであることを意識する時期
  Thank You Deaf Day


おわりに 
謝辞 





【メモランダム】
分類に迷う。言語コミュニケーション、手話、社会福祉……。

『音楽化社会の現在――統計データで読むポピュラー音楽』(南田勝也ほか[編] 新曜社 2019)

編著者:南田 勝也[みなみだ・かつや] 音楽社会学
編著者:木島 由晶[きじま・よしまさ] 文化社会学、メディア文化論。
編著者:永井 純一[ながい・じゅんいち] 文化社会学
編著者:小川 博司[おがわ・ひろし] メディア文化研究、音楽社会学
著者:溝尻 真也[よこじり・しんや] メディア研究。
著者:小川 豊武[おがわ・とむ] 社会学。メディア研究。
装幀:虎尾 隆[とらお・たかし](1952-) グラフィックデザインなど。
件名:ポピュラー音楽--日本
NDLC:KD286
NDC:761.13 音楽 >> 音楽の一般理論.音楽学 >> 音楽哲学.音楽美学 >> 音楽社会学
NDC:764.7 音楽 >> 器楽合奏 >> 軽音楽.ダンス音楽.ジャズ.ロック音楽


音楽化社会の現在:統計データで読むポピュラー音楽 - 新曜社


【目次】
はじめに[小川博司] [003-007]
  「音を楽しむ」ものとしての音楽
  音楽による情動のマネジメント
  音楽のリズム・ノリに惹かれる若者
目次 [009-011]


◆第1部 基礎編◆

第1章 Culture:現代文化のなかの音楽[木島由晶] 
1 現代社会と音楽 014
  音楽化する社会のなかで
  若者集団の多様性と一般性
  全体集約型趣味としての音楽
2 若者研究と音楽 018
  若者と音楽との結びつき
  オーディエンス研究の細分化
  好みの社会学的研究へ
3 社会調査と音楽 022
  音楽を分析する困難
  青少年研調査について
  本書のねらいと構成


第2章 Life:現代人の音楽への接し方[永井純一]
1 何が衰退したのか 029
  産業・文化・ファン
  若者の音楽離れ
2 音楽離れの真相 032
  音楽に関する行為率
  経年比較
  2002年から2012年への変化
  コーホート比較
  小括
3 2012年に音楽を聴くということ 040
  ライブ志向は進んでいるのか
  ゼロ円音楽生活
  お金か時間か
4 フリーミアム流動性 046


第3章 Taste:現代人の音楽の好み[南田勝也]
1 ジャンルをどう捉えるか 048
2 音楽の側面から見るジャンルの選好 051
  音楽ジャンルと音楽的要素
  音楽ジャンルの諸傾向(1)
  Jポップというジャンル
  音楽ジャンルの諸傾向(2)
3 フェイス項目とジャンルの選好 058
4 「好きな音楽家」から見る傾向 061


◆第2部 応用編◆

第4章 Gender:アーティストとファンの男女差[南田勝也・木島由晶・永井純一]
1 音楽とジェンダーの関係 070
2 ジェンダー化された「うた」の世界 071
  恋心か共感か
  好まれるジャンルの違い
  人物の魅力に惹かれる女性
3 アーティストの性別とファンの性別 076
  歌い手と同じ性別からの支持
  アイドルは異性が支持するものか
  女性が歌う「ボク」への共感
4 音楽への接し方の男女差 083
  女性の方が音楽に積極的?
  ふだんの接し方は変わらない
  非日常的な接し方の違い
5 オルタナティヴなファンとしての女性 087


第5章 Communication:音楽を介した友人関係[永井純一]
1 みんなで聴くかひとりで聴くか 089
  フェスにおけるリア充とぼっち
  コミュニケーション志向の高まり
  繋がらないための音楽
2 増えすぎた友人たち 092
  友人関係の希薄化、選択化、同質化
  友人マネジメントの困難
3 出会いとしての音楽 096
  経験と意識
  好きな音楽と共有する音楽
  生活場面と音楽
4 音楽を介したコミュニケーション 104
  リア充の祭典としてのフェス
  音楽は不安を煽る?


第6章 Identity:世代とアイデンティティ[南田勝也]
1 世代の支持する音楽ジャンル 109
2 音楽をもっとも好きだった年代 112
3 若き日の音楽へのプライド 116
4 音楽の優越意識を規定するもの 119


第7章 Media:音質へのこだわりとその行方[溝尻真也]
1 音質へのこだわりが消費された時代 126
  日本におけるオーディオ機器の歴史
  デジタル化される音楽
2 縮小するオーディオ市場と音楽再生環境の変化 130
  オーディオ市場の推移
  2012年の音楽再生環境
3 音質へのこだわりをめぐる分析 134
  ユース層におけるオーディオ機器使用とその頻度
  音質優先層の分析
  音質優先層が好む音楽ジャンル
4 音質優先層のこれから 142


第8章 Consumption:音楽聴取の雑食性[木島由晶]
1 雑食性の時代 145
  大衆から分人へ
  文化的な寛容性
  高級文化/大衆文化の失効
2 雑食性のタイプ 148
  好きな音楽ジャンルの数
  音楽ジャンルのまとまり
  音楽の好み方のパターン
3 雑食性の違い 154
  ライブ文化とディスク文化
  活字文化と映像文化
  他者とのツールと自己へのツール
  消費志向とマイナー志向
  雑食性を判定する
4 雑食性のゆくえ 161
  雑食と偏食の二極化
  雑食性の伝統と革新
  今後の課題


第9章 Locality:若者の音楽聴取スタイルの地域差[小川豊武]
1 地方の若者の「音楽好き」 165
2 若者の音楽文化の地域差に着目した研究 167
3 本章の分析データの概要 167
4 分析――都市度と音楽聴取スタイル 170
  好きなジャンルとアーティスト
  都市度と音楽聴取スタイルの関連
  「音楽ダウンロードへの対価支払い規範」の規定要因分析
5 音楽聴取スタイルの地域性と時代性 181


参考文献 [184-190]
あとがき(2019年4月 南田勝也) [191-192]
人名索引 [193-194]
事項索引 [195-190]
編著者紹介 [200]





【関連記事】
『Jポップとは何か――巨大化する音楽産業』(烏賀陽弘道 岩波新書 2005)
https://contents-memo.hatenablog.com/entry/20070609/1475008800

『Jポップの日本語研究――創作型人工知能のために』(伊藤雅光 朝倉書店 2017)

著者:伊藤 雅光[いとう・まさみつ](1955-) 計量言語学、日本語学、テクスト言語学自然言語処理
カバーデザイン:(株)オセロ グラフィックデザイン
件名:日本語--語彙
件名:流行歌--日本
件名:計量言語学
NDLC:KF91 芸術・言語・文学 >> 日本語 >> 語彙
NDC:814 日本語 >> 語彙


Jポップの日本語研究 |朝倉書店


【目次】
まえがき(2017年4月 伊藤雅光) [i-ii]
目次 [iii-ix]


◎第1部 Jポップの言語学


第1章 和風化するJポップ 001
1.1 松任谷由実中島みゆきの歌詞テクストにみられる日本語回帰現象 001
  1.1.1 松任谷由実中島みゆきの歌詞テクストの語種
  1.1.2 構成比率
  1.1.3 松任谷由実の歌詞にみられる日本語回帰現象
  1.1.4 中島みゆきの歌詞にみられる日本語回帰現象

1.2 ヒットランキング100の歌詞タイトルにおける外来語と外国語の増減過程 005
  1.2.1 歌詞タイトルの言語単位
  1.2.2 タイトル語種とは何か
  1.2.3 タイトル語種構成比率の変遷

1.3 ヒットランキング100の歌詞テクストにおける外来語と外国語の増減過程  008

1.4 戦後ポップス史における和風化段階モデル 010

1.5 洋楽カバーポップスの時代 011
  1.5.1 1920年代〜1930年代:第一次ジャズブーム期,1940年代後半〜1950年代:第二次ジャズブーム期
  1.5.2 1950年代後半〜1960年代:ムード歌謡期・第三次ジャズブーム期
  1.5.3 1950年代前半〜1960年代前半:ラテン音楽ブーム期
  1.5.4 1950年代後半:ロカビリーブーム期
  1.5.5 1950年代後半〜1960年代前半:洋楽カバーポップス時代
  1.5.6 1960年代:和製ポップス時代
  1.5.7 1960年代後半:グループ・サウンズ時代
  1.5.8 1960年代後半〜1970年代:フォーク時代
  1.5.9 1970年代〜2010年代現在:和製ロックンロール時代

1.6 Jポップの時代 016
  1.6.1 1970年代〜1980年代:ニューミュージック時代
  1.6.2 1990年代〜2010年代現在:Jポップの時代


第2章 Jポップはなぜ和風化するか
2.1 「洋楽離れ」と「邦楽志向」 018
  2.1.1 若者の「洋楽離れ」か、日本人全体の「洋楽 離れ」か
  2.1.2 音楽ヒットランキング 100における洋楽のランクイン率の変遷
  2.1.3 1981〜2015年のレコード・CD洋艦の販売率の変遷
  2.1.4 ミリオンセラーの時代:1990年代〜2000年代前半
  2.1.5 1953〜1960年の洋盤の盤種別生産枚数比率の変遷
  2.1.6 音楽メディアの売り上げからみた「邦楽志向」
  2.1.7 「洋楽離れ」と「日本語回帰」はなぜ起こったか

[コラム] 日本におけるハリウッド映画の興行収入シェアの推移 27

2.2 日本語回帰説の土台となる日本文化論 028
  2.2.1 三島由紀夫の「無の坩堝モデル」
  2.2.2 河合隼雄の「中空構造モデル」
  2.2.3 大瀧詠一の「分母分子論」と「ポップス“普動説”」


◎第2部 中島みゆきユーミン言語学


第3章 中島みゆき松任谷由実の歌詞はどちらが豊かか 
3.1 中島みゆき松任谷由実の創作力発揮モデル 032
  3.1.1 オリジナルアルバム数の比較
  3.1.2 歌詞数の比較

3.2 中島とユーミンの語彙はどちらが豊かか 034
  3.2.1 語彙の豊かさの指標
  3.2.2 TTRの有効性の検証
  3.2.3 中島とユーミンTTR比較
  3.2.4 なぜユーミンの方が語彙が豊かなのか(1)――リフレインとの関係
  3.2.5 なぜユーミンの方が語彙が豊かなのか(2)――語種との関係


第4章 中島とユーミンの「語り」の文体をさぐる
4.1 歌詞の「語り」の文体の体系 043
  4.1.1 対話体
  4.1.2 独白体
  4.1.3 歌詞の「語り」の文体の体系と構造

4.2 人称代名詞から中島とユーミンの「語り」の文体的特徴をさぐる 046
  4.2.1 人称代名詞の使用状況と解釈
  4.2.2 一人称代名詞の使用状況
  4.2.3 男性の「語り」
  4.2.4 男性の「発言」
  4.2.5 二人称代名詞の使用状況
  4.2.6 三人称代名詞の使用状況
  4.2.7 不定人称代名詞の使用状況


第5章 ナラティブモデルによる中島とユーミンの創作の秘密の解明 
5.1 「ドミナントストーリー(支配的な物語)」と「オルタナティブストーリー(代替的な物語)」とは何か 054
  5.1.1 ナラティブモデルとは何か
  5.1.2 「語り」における主体の二重性と生成
  5.1.3 歌詞の「語り」における主体の生成
  5.1.4 日本語の歌詞の「語り」における主体の多重性
  5.1.5 ナラティブセラピーにおける「ドミナントストーリー」と「オルタナティブストーリー」

5.2 中島とユーミンの創作の秘密 057
  5.2.1 中島とユーミンにおける「ドミナントストーリー」と「オルタナティブストーリー」
  5.2.2 中島における一人称単数の変遷
  5.2.3 ユーミンにおける一人称単数の変遷


◎第3部 男歌と女歌のテーマ分析 


第6章 ユーミンは何を歌ってきたか
6.1 ユーミンの「恋」の類型論 062
  6.1.1 ユーミン作品の全体的テーマ
  6.1.2 「恋」の類型的特徴(1)「過去・現在・未来」
  6.1.3 「恋」の類型的特徴(2)「相思相愛」と「片思い」
  6.1.4 「恋」の類型的特徴(3) 「未練」と「非未練」
  6.1.5 「恋」の類型的特徴(4)「破局への不安」と「現在の冷却」
  6.1.6 ユーミン作品における「恋」のタイプ体系とその構造

6.2 「恋」のタイプとユーミンソング 067
  6.2.1 ユーミン好みの「恋」のタイプ
  6.2.2 恋愛過程における「恋」のタイプとユーミンソング


第7章 男性作詞家(シンガーソングライター)は何を歌ってきたか 
7.1 流行歌ランキング・ベストワンのソングライターは何をテーマにしてきたか 071
  7.1.1 分析対象とテーマ
  7.1.2 流行歌ランキング・ベストワンで好まれる「恋」のタイプ

7.2 男性ソングライターは何を歌ってきたか 073
  7.2.1 小椋佳は何を歌ってきたか
  7.2.2 「Mr.Children」は何を歌ってきたか
  7.2.3 「ゆず」は何を歌ってきたか
  7.2.4 「コブクロ」は何を歌ってきたか
  7.2.5 「いきものがかり」は何を歌ってきたか


第8章 女性作詞家とアイドルは何を歌ってきたか
8.1 女性ソングライターは何を歌ってきたか 086
  8.1.1 竹内まりやは何を歌ってきたか
  8.1.2 「DREAMS COME TRUE」の吉田美和は何を歌ってきたか
  8.1.3 aikoは何を歌ってきたか
  8.1.4 miwaは何を歌ってきたか

8.2 アイドル歌手・松田聖子中森明菜は何を歌ってきたか 093
  8.2.1 松田聖子中森明菜のプロフィール
  8.2.2 松田聖子のアイドルイメージを形成したソングライター達
  8.2.3 中森明菜のアイドルイメージを形成したソングライター達
  8.2.4 松田と中森の全体的なテーマ分析
  8.2.5 松田の「恋」のイメージタイプ
  8.2.6 中森の「恋」のイメージタイプ
  8.2.7 松田と中森の「恋」のイメージタイプ比較


第9章 男女の作詞家のテーマを比較する 
9.1 テーマ全体の比較 101
  
9.2 恋愛のテーマタイプの比較 102
  9.2.1 男性ソングライターの恋愛のタイプ比較
  9.2.2 女性ソングライターの恋愛のタイプ比較
  9.2.3 男性ソングライターと女性ソングライターの「恋愛」のタイプ体系と構造の比較


◎第4部 男歌と女歌の語彙分析


第10章 男歌と女歌のことばを計算す
10.1 男歌と女歌のタイニーコーパスを作成する 106
  10.1.1 作業過程の概要
  10.1.2 ブレイン・テクストの作成
  10.1.3 タイニー・コーパスまでの作業

10.2 男女別の度数順語彙表の作成 117

10.3 Jポップソング分析のための品詞論 117
  10.3.1 擬音詞と擬態詞
  10.3.2 日英共通品詞論

10.4 品詞構成比率からみた歌詞テクストの表現性 122
  10.4.1 ミクロ分類とマクロ分類の品詞構成比率
  10.4.2 男歌と女歌の表現性を計算する―― MVR という文章指標 123


第11章 男歌と女歌のことばを分類する 
11.1 対照語彙表の作成 125
  11.1.1 簡略版対象語彙表の作成
  11.1.2 詳細版対象語彙表の作成

11.2 構造語彙表の作成 130
  11.2.1 構造語彙表と構造度数分布表の共通枠組みシートの作成
  11.2.2 構造語彙表の作成
  11.2.3 構構造度数分布表の作成


第12章 男歌と女歌のことばを分析する
12.1 構造語彙表の第一次分析 135
  12.1.1 構造語彙表の見出し語の多い区画とない区画の分析
  12.1.2 基本語彙と特徴語彙の条件
  12.1.3 構造語彙表の各区画の性格
  12.1.4 語彙分布の分析

12.2 構造語彙表の第二次分析 138
  12.2.1 Jポップソングにおける語彙の三分類
  12.2.2 書き言葉基本語彙の構造語彙表の作成と第二次分析
  12.2.3 話し言葉語彙の構造語彙表の作成と第二次分析
  12.2.4 テーマ語の構造語彙表の作成と第二次分析

12.3 構造語彙表の第三次分析 143
  12.3.1 失恋語の意味分野別構造語彙表の作成
  12.3.2 失恋語文の意味分野別分析
  12.3.3 男歌と女歌の主要な意味分野
  12.3.4 構造語較表分析法のまとめ


◎第5部 創作型人工知能とは何か


第13章 機械はラブソングを作れるか
13.1 創作型人工知能のしくみ 149
  13.1.1 創作型人工知能とは何か
  13.1.2 機械が作ったラブソング
  13.1.3 テクスト自動生成の原理

13.2 テクスト自動生成の研究史 153
  13.2.1 欧米におけるテクスト自動生成の研究史
  13.2.2 日本におけるテクスト自動生成の研究史

13.3 疑似ユーミンソングを生成する創作型人工知能システム 156
  13.3.1 対象とした歌曲
  13.3.2 三つの歌詞自動生成システム

13.4 創作型人工知能が生成する「テクストらしさ」 157
  13.4.1 結束性とテクスト構造とテーマ性の生成
  13.4.2 首尾一貫性の生成
  13.4.3 テーマ生成語彙編

13.5 創作型人工知能システムの改良 161
  13.5.1 トリグラムによる全自動式システム
  13.5.2 「初音ミク」が歌い、「キャラミん」が踊るシステム

13.6 Jポップソングのテクスト構造と曲構造 163
  13.6.1 Jポップ一般の曲構造
  13.6.2 ユーミンソングの既成曲の構造とテクスト構造
  13.6.3 疑似ユーミンソングの曲構造とテクスト構造

[コラム]清水ミチコユーミン風の曲を作って疑似ユーミンソングを歌う 165


第14章 機械的にラブソングを作る――失恋ソング生成語彙表の使い方 
14.1 失恋ソング生成語彙表とは何か 167
  14.1.1 生成語彙表の元となった歌詞
  14.1.2 生成語葉表の構成
  14.1.3 日本語の見出し語の代表形
  14.1.4 日本語の語形の「ゆれ」と融合形の統一
  14.1.5 その他の記号の意味


終章 歌詞創作型AI研究の意義
15.1 科学的研究方法から創作型 172
  15.1.1 これまでの科学的研究方法――要素還元主義
  15.1.2 これからの科学的研究方法――ホーリズム全体論

15.2 人文科学からみた歌詞創作型AI 173
  15.2.1 人間と機械のテクスト生成過程の関係
  15.2.2 歌詞の創作過程とテーマの発生

15.3 文学研究からみた歌詞創作型AI
  15.3.1 パリの実験文学グループ「ウリポ」の実践活動のために
  15.3.2 現代文学理論の研究のために

15.4 感性工学からみた歌詞創作型AI 176
  15.4.1 人工知能における感情
  15.4.2 歌詞創作型AIにおける感情

15.5 複雑系からみた歌詞創作型AI 178
  15.5.1 複雑系とは何か
  15.5.2 人工生命からみた歌詞創作型AI
  15.5.3 創発システムとしての歌詞創作型AI
  15.5.4 自己組織化システムとしての歌詞創作型AI
  15.5.5 カオス理論からみた歌詞創作型AI

15.6 言語学からみた歌詞創作型AI 183
  15.6.1 伝統的言語学複雑系言語学
  15.6.2 複雑系言語学の方法論
  15.6.3 科学史のなかにおける複雑系言語学の位置
  15.6.4 諸科学における知のパラダイム転換の進度

15.7 「クローン人工知能」としての歌詞創作型AI 186

[コラム]高次脳機能障害と歌詞創作型AI 187


付録 「失恋ソング生成語彙表」 [189-191]
参考文献・楽曲 [192-198]
索引 [199-202]

『「比喩」とは何か』(Barbara Dancygier, Eve Sweetser[著] 野村益寛ほか[訳] 開拓社 2022//2014)

原題:Figurative Language (England: Cambridge University Press).
著者:Barbara Dancygier
著者:Eve Eliot Sweetser
訳者:野村 益寛[のむら・ますひろ] 英語学,認知言語学
訳者:眞田 敬介[さなだ・けいすけ] 英語学,英語文法論,認知言語学
訳者:山添 秀剛[やまぞえ・しゅうごう] 英語学(意味論,語用論),認知言語学
訳者:封馬 康博[つしま・やすひろ] 英語学,認知言語学(認知文法・構文文法).
訳者:水野 優子 [みずの・ゆうこ] 英語学,語用論.
Cover Design:Shihoko Nakamura


「比喩」とは何か 株式会社開拓社

 1980年代から始まった認知言語学による比喩研究は、当初はメタファーを中心としたものの、その後メトニミー、アイロニー、シミリー、ブレンディング、文法構文、ディスコースへと研究対象を拡大するとともに、理論的枠組みを洗練しながら、コーパスや実験的手法など新しい研究方法を取り入れつつある。本書はそうした潮流を概観し、「「比喩的」とはどういうことか?」に答えることを試みた最新かつ最も包括的な概説書である。


【目次】
献辞 [iv]
謝辞 [v-vi]
訳者まえがき(2021年6月 野村益寛) [vii-xv]
  弁論術から修辞学へ
  修辞学の復権
  認知言語学におけるメタファー研究
目次 [xvi-xix]
図表一覧 [xx]


第1章 序論 
1.1 比喩を再評価する 001
1.2 メタファー:「比喩的」とは何を意味するのだろうか? 004
1.3 メトニミー 006
1.4 「比喩的」 についての理解を広げる:ブレンディングと比喩文法 008
1.5 比喩 ・ 認知・文化 010
1.6 比喩の使用 012
1.7 基本的道具立て:カテゴリー,フレーム,メンタルスペース 014
1.8 今後の予定 016


第2章 メタファーの基本
2.1 写像の概念 017
2.2 フレームと領域 023
2.3 写像はどのように経験に根ざすか 029
  2.3.1 イメージ・スキーマと経験における相関関係
  2.3.2 原初的メタファー,融合,《身体としての心》写像
  2.3.3 「双方向的」 メタファー
  2.3.4 メタファーに基づく意味変化
2.4 慣習的それとも創造的? 047
2.5 認知メタファー理論を支持する実験的証拠 049
2.6 起点領域と目標領域の間で何が転移されるのか? 054
2.7 結論 057
2.8 要約 058


第3章 メタファーの構造:レベルと関係
3.1 メタファー間の継承関係と合成関係 060
3.2 様々なレベルの複合性 068
3.3 複合的写像の経験的基盤 074
3.4 イメージ・メタファー 082
3.5 起点フレーム――目標フレームの関係に課される制約:具体と抽象に関するものだろうか? 086
  3.5.1 擬物化と擬人化
  3.5.2 抽象的なものを具体的にする
  3.5.3 メタファー群
3.6 結論:具体的/抽象的,包括的/特定的 097
3.7 要約 099


第4章 メンタルスペースとブレンディング
4.1 なぜ2領域よりも多くの構造が必要なのか:ブレンディングとしてのメタファー 102
4.2 メンタルスペースとフレームの関係 105
4.3 スペースとフレーム:種類と関係 108
4.4 プレンディングの過程と融合スペースの種類 113
  4.4.1 融合スペースの構築方法
  4.4.2 融合スペースの種類
  4.4.3 複雑な多スコープの例
4.5 結論 135
4.6 要約 136


第5章 メトニミー
5.1 部分全体のフレーム・メトニミー,フレーム化,物扱い化 140
5.2 メトニミーとメタファー 142
5.3 メトニミーによる多義と意味変化 146
5.4 言語形式のメトニミー 150
5.5 言語と認知におけるフレーム・メトニミーと非対称性 154
5.6 カテゴリー・メトニミーの認知基盤 157
5.7 メンタルスペース構築とブレンディングへのメトニミーの貢献 159
5.8 視覚のブレンディングにおけるメトニミー 166
5.9 結論 167
5.10 要約 170


第6章 文法構文と比喩的意味
6.1 導入 171
6.2 文法と意味 174
6.3 構文のメタファー用法 178
6.4 文法的な非対称性と起点――目標領域の非対称性 181
6.5 写像としてのシミリーと構文 186
  6.5.1 シミリーの特徴づけ
  6.5.2 狭域シミリー
  6.5.3 広域シミリー
6.6 代替スペース,シミリー,メタファー 203
6.7 名詞修飾構文とフレーム・メトニミー 206
  6.7.1 XYZ構文
  6.7.2 名詞修飾
  6.7.3 固有名詞:フレーム化と指示
  6.7.4 属格表現と経験的視点
  6.7.5 構文の合成性
6.8 構文と比喩的意味の性質 218
6.9 要約 220


第7章 メタファーの通言語的研究
7.1 序論:言語と認知パタンの通文化的比較 222
7.2 言語におけるバリエーションと普遍的特性の考察 223
7.3 メタファーの通言語的対比,そして通言語的普遍性? 227
7.4 時間を表す空間メタファー:《時間は相対運動である》というメタファー群 231
7.5 《時間は相対運動である》というメタファーを超えて 239
7.6 ジェスチャーと時間メタファー 244
7.7 視覚ジェスチャー言語と比喩の使用 246
7.8 結論 248
7.9 要約 249


第8章 談話における比喩
8.1 メタファーと視点:病気と中毒の談話 252
  8.1.1 境界スキーマ:病気の2とおりの捉え方
  8.1.2 メタファーとアイロニー
  8.1.3 特定の視点を帯びた経験とメタファー:中毒についての語り

8.2 論証と言語の選択肢 258
  8.2.1 「〈起点領域〉 of 〈目標領域〉」 メタファー
  8.2.2 論証の戦略としての圧縮
  8.2.3 政治演説におけるフレームと文法

8.3 拡張されたメトニミーと視点 267

8.4 文学と比喩的意味 270
  8.4.1 詩学におけるミニマリズムとマキシマリズム
  8.4.2 語りとブレンディング

8.5 科学の談話 280
  8.5.1 原子のモデル化と科学的創造性
  8.5.2 科学のメタファーの地位
    8.5.2.1 理論構成的なメタファー
    8.5.2.2 科学における起点領域

8.6 宗教のメタファー 289

8.7 結論 293
8.8 要約 294


第9章 結語
9.1 理論的根本原理 295
  9.1.1 概略性の諸レベルと解釈の諸レベル
  9.1.2 視点と経験
  9.1.3 談話を分析する
  9.1.4 実験的研究の役割
9.2. 言語学上の諸問題 303


読書案内 [307-308]
参考文献 [309-322]
索引 [323-331]
著者・訳者紹介 [333-334]

『認知言語学の大冒険』(鍋島弘治朗[編] 開拓社 2020)

著者:鍋島 弘治朗[なべしま・こうじろう](1961-) a.k.a. spiralcricket  認知言語学
装丁:Shihoko Nakamura
イラスト:石関 束沙[いしぜき・たばさ] 
イラスト:田村 颯登[たむら・はやと] 
イラスト:佐藤 彩美[さとう・あみ]
NDC:801.04 言語心理学


認知言語学の大冒険 株式会社開拓社


【目次】
まえがき [002-003]
目次 [004-007]


第1章  プロローグ ゴキブリを美女に変身させる
1.1 「害虫コスモポリタン」の擬人化美少女たち 009
  シマ蚊
  アシダカグモ
  ハナアブ
  カゲロウ
  スズメガ
1.2 擬人化とその効果 012
  1.2.1 かわいくて興味が持てる
  1.2.2 表情がわかりやすい
  1.2.3 感情移入しやすい
  1.2.4 言葉が話せる
1.3 擬人化とは 014
1.4 擬人化の種類 015
1.5 擬人化からメタファーへ,メタファーから認知言語学へ 016


第2章 従来の意味観と認知言語学 018
2.1 認知言語学とは 019
2.2 従来の意味観――素性意味論―― 020
  記号接地問題
2.3 新しい意味観――シミュレーション理論(百科事典的意味観)―― 026
  2.3.1 脳の構造と機能
  2.3.2 シミュレーション理論
2.4 イメージの言語学 029
2.5 文脈の言語学 031
2.6 捉え方の言語学 033
2.7 まとめ 034


第3章 従来の統語観と認知言語学 036
3.1 従来の統語観 037
  3.1.1 句と樹形図
  3.1.2 統語範疇(品詞)
  3.1.3 句構造
3.2 従来の統語観と認知言語学 041
  3.2.1 従来の統語観と認知文法
  3.2.2 従来の統語観と構文文法
3.3 まとめ 043


第4章 認知言語学の歴史 (1) ジョージ・レイコフとマーク・ジョンソン 044
4.1 生成文法家レイコフと生成意味論 045

4.2 哲学者ジョンソンとレイコフの出会い 048

4.3 メタファー論 049
  4.3.1 時は金なり(Time Is Money)
  4.3.2 人生のメタファー
    〈人生は旅〉
    〈人生は一日〉
    〈人生は一年〉
    〈人生は芝居〉
    〈人生は容器〉
    〈人生はギャンブル〉
  4.3.3 恋愛のメタファー
    〈恋愛は旅〉
    〈恋愛は物理的な力〉
    〈恋愛は病人〉
    〈恋愛は狂気〉
    〈恋愛は魔法〉
    〈恋愛は戦争〉
    〈恋愛は温かさ〉
  4.3.4 議論のメタファー
    〈議論は戦争〉
    〈理論(議論)は建物〉
  4.3.5 心のメタファー
    〈心は機械〉
    〈心は壊れやすい物体〉
    〈感情的影響は物理的接触
  4.3.6 理解のメタファー
    〈考えは食べ物〉
    〈考えはナイフ〉
    〈理解は見ること〉
  4.3.7 上下のメタファー
    〈幸せは上・悲しみは下〉
    〈意識は上・無意識は下〉
    〈健康と生は上・病と死は下〉
    〈支配は上・被支配は下〉
    〈多は上・少は下〉
    〈近い未来は上〉
    〈上流は上・下流は下〉
    〈良は上・悪は下〉
    〈美徳は上・悪徳は下〉
    〈理性は上・感情は下〉
  4.3.8 コミュニケーションのメタファー
    〈言葉は液体〉
  4.3.9 擬人のメタファー
  4.3.10 メタファー写像
  4.3.11 レイコフとジョンソンのメタファー論まとめ

4.4 ジョンソンらのイメージ・スキーマ論 075
  4.4.1 イメージとは
  4.4.2 スキーマとは
  4.4.3 イメージ・スキーマ
  4.4.4 〈容器〉のスキーマ
  4.4.5 〈経路〉のスキーマ
  4.4.6 〈物質〉のスキーマと〈物体〉のスキーマ
  4.4.7 そのほかのスキーマ
  4.4.8 イメージ・スキーマのまとめ

4.5 レイコフのカテゴリー論 082
  4.5.1 古典的カテゴリー観
  4.5.2 ウィトゲンシュタインの家族的類似性
  4.5.3 ロッシュ[Eleanor Rosch]のプロトタイプ理論
  4.5.4 基本レベルカテゴリー
  4.5.5 カテゴリー論のまとめ

4.6 レイコフのoverの多義論 087
  4.6.1 〈上を移動〉の意義
  4.6.2 〈接して移動〉の意義
  4.6.3 語義間のリンク図
  4.6.4 語義間のスキーマ
  4.6.5 〈覆う〉の意義
  4.6.6 複数体による〈覆う〉の意義
  4.6.7 経路による〈覆う〉の意義
  4.6.8 虚構移動
  4.6.9 メタファー的拡張

4.7 抽象化説の批判 096

4.8 メトニミー論 097
  4.8.1 部分で全体
  4.8.2 製造者で製造物
  4.8.3 道具で使用者
  4.8.4 リーダーで部下
  4.8.5 組織で責任者
  4.8.6 場所で組織
  4.8.7 場所で出来事
  4.8.8 メトニミー論のまとめ

4.9 まとめ――レイコフとジョンソンの創造性―― 102

付録 Go! Go! メトロン君!! 103
Go! Go! メトロン君!! 第1話 テレビを切る 104


第5章 認知言語学の歴史(2) チャールズ・フィルモア 106
5.1 格文法[Case grammer] 107
  5.1.1 行為の格役割
  5.1.2 移動の格役割
  5.1.3 知覚経験の格役割 (1)
  5.1.4 知覚経験の格役割 (2)
  5.1.5 まとめ――格文法と格役割――

5.2 フレーム意味論 112
  5.2.1 認知科学での隆盛
    ミンスキーのフレーム
    ゴッフマンのフレーム
  5.2.2 格文法からの発展
    非典型的な他動詞文
  5.2.3 素性意味論への疑問
    意味としての視点
    意味としての評価性
  5.2.4 売買フレーム
  5.2.5 リスク・フレーム
    〈大切なもの〉
    〈危害〉
    〈行為〉
    目的語以外のフレーム要素
  5.2.6 まとめ――文脈としてのフレーム意味論

5.3 構文文法 129
  5.3.1 the more構文
  5.3.2 「すればするほど」構文
  5.3.3 「することはするが」構文
  5.3.4 イディオムと構文の連続性―― day in day outThanks a lot. ――
  5.3.5 let alone構文
  5.3.6 WXDY構文
  5.3.7 ひとつ構文
    「を」が入れない
    程度軸という意味論的制約
    行為も「ひとつ」
    語用論的制約
  5.3.8 構文文法まとめ

5.4 まとめ――認知言語学のフィールドをおぜん立てしたフィルモア―― 144

Go! Go! メトロン君!! 第2話 荷物を車に乗せる 146
Go! Go! メトロン君!! 第3話 洗濯機を回す 148
Go! Go! メトロン君!! 第4話 黒板を消す 150


第6章 認知言語学の歴史(3) レン・タルミー 152
6.1 ゲシュタルト心理学 153
  6.1.1 合成性の原理
  6.1.2 フィギュアとグラウンド
  6.1.3 隣接性の法則
  6.1.4 類似性の法則
  6.1.5 良い曲線の法則
  6.1.6 閉鎖の法則
  6.1.7 脳神経科学から見たゲシュタルト心理学
  6.1.8 ゲシュタルト心理学のまとめ

6.2 虚構移動 159
  6.2.1 範囲占有経路(Coextension path)
  6.2.2 フレーム相対移動(Frame-relative motion)
  6.2.3 到達経路(Access path)
  6.2.4 方向性経路(Orientation path)
  6.2.5 光の経路と影の経路(Radiation path and Shadow path)
  6.2.6 知覚の経路(Sensary path)
  6.2.7 虚構移動のまとめ

6.3 フォース・ダイナミクス 165
  6.3.1 フォース・ダイナミクスの基本的枠組み
  6.3.2 フォース・ダイナミクスの基本4パターン
  6.3.3 フォース・ダイナミクスの基本的言語例
  6.3.4 フォース・ダイナミクスが個人の行動に拡張する例
  6.3.5 フォース・ダイナミクスが義務や許可へ拡張する例
  6.3.6 フォース・ダイナミクス のまとめ

6.4 移動の類型論 172
  6.4.1 フィギュアとグラウンド
  6.4.2 経路と様態
  6.4.3 経路と様態の類型論
  6.4.4 移動の類型論のまとめ

6.5 タルミーのまとめ 177

Go! Go! メトロン君!! 第5話 お風呂を入れる 178
Go! Go! メトロン君!! 第6話 テーブルを片づける 180
Go! Go! メトロン君!! 第7話 カレー見てて 182


第7章 認知言語学の歴史 (4) ロン・ラネカー 184
7.1 ソシュール記号論とラネカーの記号論的文法 185

7.2 プロファイルとベース 186

7.3 捉え方 188
  7.3.1 選択(Selection)
  7.3.2 視点(Perspective)
  7.3.3 トラジェクターとランドマーク
  7.3.4 抽象化(Abstraction)
  7.3.5 ビリヤードボール・モデルと行為連鎖(Action chain)
  7.3.6 捉え方のまとめ

7.4 認知文法の骨子 194
  7.4.1 部分構造と合成構造
    合成性の原理
    a red penの例
    cat out of bagの例
  7.4.2 活性領域(Active zone)とP-AZのズレ
  7.4.3 認知文法のまとめ

7.5 プロトタイプとスキーマ 203

7.6 まとめ――認知言語学の文法を担ったラネカー ―― 205

Go! Go! メトロン君!! 第8話 やかん消して 206
Go! Go! メトロン君!! 第9話 お鍋を食べる, お鍋をつつく 208
Go! Go! メトロン君!! 第10話 CDを聞かせる 210


第8章 認知言語学の歴史 (5) ジル・フォコニエ[Gilles Fauconnier] 213
8.1 メンタルスペース 213
  8.1.1 メンタルスペースとモダリティ
  8.1.2 信念スペースと基本概念
  8.1.3 写真スペース
  8.1.4 絵画スペース
  8.1.5 映画スペース
  8.1.6 時間スペース
  8.1.7 場所スペース
  8.1.8 仮定スペース
  8.1.9 埋め込みスペース
  8.1.10 メンタルスペースのまとめ

8.2 融合理論 221
  8.2.1 ウォーターゲート事件と融合理論の基本図
    自由度
    創発
    採用
  8.2.2 「子供医者」の融合
  8.2.3 恐竜鳥の融合
  8.2.4 そのほかの用例
  8.2.5 形式融合
  8.2.6 行為融合
  8.2.7 メタファー融合
  8.2.8 融合理論による害虫女子の再分析
  8.2.9 融合理論のまとめ

8.3 フォコニエのまとめ 233

Go! Go! メトロン君!! 第11話 家に上げる 234
Go! Go! メトロン君!! 第12話 手を貸して 236
Go! Go! メトロン君!! 第13話 目を離さない 238


第9章 認知言語学の歴史 (6) アデル・ゴールドバーグ 240
9.1 way構文 241

9.2 結果構文 244
  9.2.1 形容詞句を取る結果構文
  9.2.2 前置詞句を取る結果構文
  9.2.3 結果構文の記述
  9.2.4 自動詞の結果構文

9.3 使役移動構文 248

9.4 二重目的語構文 253

9.5 構文とは 257
  9.5.1 構文の典型的状況
  9.5.2 プロトタイプと拡張
  9.5.3 他動詞構文の可能性

9.6 ゴールドバーグのまとめ 260

Go! Go! メトロン君!! 第14話 時計を動かす 262
Go! Go! メトロン君!! 第15話 塩を振る 264
Go! Go! メトロン君!! 第16話 席を取る 266


第10章 認知言語学の理論間のリンク 268
10.1 フレーム(フィルモア)とベース(ラネカー)は似てるよね 269
10.2 領域(レイコフら)とフレーム(フィルモア)はどういう関係になるの 271
10.3 メトニミー(レイコフら)と活性領域(ラネカー)はどう関連するの 272
10.4 フィギュアとグラウンド(タルミー),トラジェクターとランドマーク(ラネカー),プロファイルとベースをラネカー)はよく似ているように思うけど 274
10.5 フレーム(フィルモア)カテゴリー論 (レイコフ)は関連があるの 276
10.6 フォース・ダイナミクス(タルミー)は、移動の類型論(タルミー)とどう関連するの 276
10.7 フォース・ダイナミクス(タルミー)とビリヤードボール・モデル(ラネカー)はどう違うの 278
10.8 フレーム(フィルモア)とスペース (フォコニエ)は似てる? 279
10.9 フォース・ダイナミクス(タルミー)と使役移動構文(ゴールドバーグ)は関係ある? 280
10.10 合成(ラネカー)と融合(フォコニエら)は同じ? 281
10.11 メタファー(レイコフら)とフォース・ダイナミクス(タルミー)はどういう関係かな 283
10.12 フレーム(フィルモア)と移動の類型論(タルミー)は似てる? 283
10.13 虚構移動(タルミー)はメタファー(レイコフら)と同じ? 284
10.14 プロトタイプとスキーマ(ラネカー),抽象化説批判(レイコフら),イメージ・スキーマ(ジョンソンら),抽象化(ラネカー)のあたりの抽象性について教えて 285
  10.14.1 ラネカーのプロトタイプとスキーマ
  10.14.2 ラネカーの抽象化
  10.14.3 レイコフらの抽象化批判
  10.14.4 ジョンソンらのイメージ・スキーマ
  10.14.5 抽象化に関する認知言語学まとめ
10.15 構文文法(ゴールドバーグ)カテゴリー論(レイコフ)に少しでも関連性はある? 290
10.16 構文文法(フィルモア)と構文文法 (ゴールドバーグ)は似てる? 違ってる? 291
10.17 構文文法 (フィルモア,ゴールドバーグ) と認知文法(ラネカー)は大幅に違うように見えるんだけど 292
10.18 概念の関係のまとめ 294

Go! Go! メトロン君!! 第17話 パソコンを打つ 296
Go! Go! メトロン君!! 第18話 ゴミを出す 298


第11章 認知言語学の理論間のスキーマ 300
11.1 イメージの言語学としての認知言語学 301
  11.1.1 認知文法
  11.1.2 視点
  11.1.3 活性領域
  11.1.4 合成
  11.1.5 メタファー
  11.1.6 多義論
  11.1.7 カテゴリー論
  11.1.8 イメージ・スキーマ
  11.1.9 フレーム意味論
  11.1.10 フォース・ダイナミクス
  11.1.11 融合理論
  11.1.12 認知言語学における意味のイメージ性まとめ

11.2 文脈の言語学としての認知言語学 309
  11.2.1 フレーム意味論
  11.2.2 プロファイルとベース
  11.2.3 移動の類型論
  11.2.4 フォース・ダイナミクス
  11.2.5 文脈の言語学のまとめ

11.3 捉え方の言語学としての認知言語学 313

Go! Go! メトロン君!! 第19話 関大に入る 320
Go! Go! メトロン君!! 第20話 ケーキを焼く 322


第12章 エピローグ 新しい冒険者のために関西大学 六甲山荘にて spiralcricket(鍋島弘治朗)) 324
認知言語学に興味を持った人のために 327


参考文献 [329-332]
問題解答 [333-335]
索引 [336-339]




【メモランダム】
・著者のブログ(2011年まで)
プロフィール : All about Cricket's Life

・擬人化の例として、小谷真倫『害虫女子コスモポリタン』という漫画が挙げられている。
害虫女子コスモポリタン - Wikipedia
 ちなみに、本書の見出し・本文ではその書名をさすときに、正式名称の『害虫女子コスモポリタン』と、〈女子〉を省いた『害虫コスモポリタン』のふたつが混在している。後者はインターネット上でも用例がほとんどない。





【抜き書き】


・本書の付録の説明。謎の四コマ漫画の設定と最初の例について(pp. 103-105)。

 本章では,メトニミーを扱った「Go! Go! メトロン君!!」 というネタをご紹介します。 これは,関西大学の授業でクリケットが長くやっているもので,論文(鍋島 2006)もあります。今回は,タバサちゃんとハヤト君という描き手を迎えて,漫画とともに紹介します!
 まず,トロン君とは何者なのか,その設定からご紹介しましょう。
 メトロン君はメトロン星人が地球侵略のためにつくったサイボロイド超最終兵器である。メトロン君に課せられた使命は,2年間で完璧に地球語を習得すること。そのために,メトロン星の叡智を駆使した最新AI が搭載されている〔……〕。
 メトロンの頭脳は高性能だが欠点がひとつだけある。文章を字義通りにしか理解できないことである。主にメトニミーが理解できない。しかし,これは実社会で経験を積み、会話データベースを増やしていくことで克服できる。そのためにメトロン君は山田家にひそかに潜入。地球語を学ぶために日夜研鑽し〔……〕。

 それでは、本章から第11章まで、1〜3話ずつ,メトロン君の漫画を紹介していきましょう。
〔……〕 
 さて、「切る」は, 「かける」 「つける」 「とる」 「いれる」 「する」などと同じ機能動詞と呼ばれる幅広く使用される動詞です。 ここで 「切る」は,〈機能を止める〉意味で使用されています。 メトロン君は,これをリテラルな(字義通りの)意味で理解してしまいました。人間は言葉を聞けば,その意味を柔軟に解釈して理解しますが、メトロン君の脳みそ (AI) は,アルゴリズム(ルール)で理解しているのでなかなか人間と同じようにはいきません。

 さて,リテラルに「テレビを切る」を理解すると、「テレビ」(という語で示される物体)を「切る」(切断する,通常,周辺ではない部分を鋭利な刃物やハサミ・ノコギリなどで、 2つ以上の塊に分ける)という理解になりそうです。 これに従って行動したメトロン君を描いたのがこの作品です。
 これは、私たちが知っている 「テレビを切る」 の意味と大きく違いますね。 私たちが知っている「テレビを切る」という行為は,リモコンの電源ボタンなどを押すことで,テレビを不稼働状態にすることです。 不稼働状態というのは通常の言葉でいうと,「テレビが動いていない」 状態ですが,これをメトロン君にいうと,「テレビが動いてる????」 となると思います。テレビは物理的には移動していませんから。〔……〕正確に話すことは難しいですね。というより,人間はとても上手に柔軟に言葉を理解している,ということでしょう。



・「まえがき」から(p. 2)。

 本書は認知言語学の概説書です。認知言語学とは何でしょうか。認知言語学は1970年代から徐々に構成され,その名の通り, 認知と言語を組み合わせた学問です。認知言語学の首謀者の一人,レイコフは,1990年のCognitive Linguisticsという雑誌の創刊号で,人によって違うだろうが,と前おきをしたうえで,認知言語学の自分の定義を以下の2つの目標にまとめています (Lakoff 1990:40-43)

(i) 認知的目標:認知科学の知見と整合性があること
(ii) 一般化目標:言語現象の一般化を見出すこと

そして,2つの目標が相反するときには、認知的目標を優先し,一般化目標を捨てると言っています。つまり,言語の一般化ができても,それが認知科学で知られる知見に矛盾する場合にはその研究を進めないということです。
 私は認知言語学を 「意味の言語学」であり,主観的な 「捉え方」 の言語学だと思います。 先ほどのはレイコフの考えですが,「認知科学の知見」というのも意味に関することが主です。
 従来,〔……〕生成文法の系譜では,統語(語と語の組み上げルール)に集中し, 意味は辞書(レキシコン)だけで取り扱っていました。「辞書だけで取り扱う」 といえばまだ聞こえがいいですが,意味の問題はほとんど無視されてきたわけです。
 これに対して,認知言語学では,意味をしっかりと取り扱い,統語においても, 〈形式〉と〈意味〉を平行して取り扱います。
 これから以下の7人6組の人を紹介しますが,それぞれ,意味に深い関心を示しています。

メタファー論のレイコフとジョンソン
フレーム意味論,構文文法のフィルモア
虚構移動,フォース・ダイナミクス,移動の類型論のタルミー
認知文法のラネカー
メンタルスペース,融合理論のフォコニエ
構文文法のゴールドバーグ

 本書では,第2章と第3章で従来の意味観,統語観と,認知言語学を比較します。6組の紹介が終わった後で,それぞれの理論の関係 (リンク) と,全体をつなぐ共通点 (スキーマ) を論じることになります。第4章から第11章の各章の終わりには,メトニミーが理解できないという想定のAIロボット,メトロン君を描いた漫画を付けました。