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『知財の正義』(Robert P. Merges[著] 山根崇邦,前田健,泉卓也[訳] 勁草書房 2017//2011)

原題:JUSTIFYING INTELLECTUAL PROPERTY (2011)
著者:Robert P. Merges
訳者:山根崇邦|前田 健|泉 卓也
装丁:宮川和夫

知財の正義

知財の正義

【目次】
献辞 [/]
日本語版への序文(カリフォルニア大学バークレー校教授 ロバート・P・マージェス) [i-iv]
訳者はしがき(2017年3月 訳者を代表して 山根崇邦) [v-viii]
はじめに [ix-xv]
目次 [xvii-xix]
凡例 [xx]

第1章 序論――本書のテーマ 001
前置き――知的財産は「本当に」財産なのか 004
知的財産法における中層的原理の1つとしての効率性 007
基盤の多元主義,つまり「下層における空間的な余裕」について 011

  I 基盤
第2章 ロック 038
ロックと知的財産権の「相性のよさ」 039
ロックの専有理論 041
  自然状態と原始的共有 041
  ロックの共有概念とパブリックドメイン 044
  パブリックドメインから取り去る行為 049
  労働の中心性 052
    「混合」という比喩/労働と財産権の自然な境界/労働の目的を忘れないこと
  まとめ――「付加」と比例性 060
ロックの但し書き 061
  依存と十分性の但し書き 066
  知的財産法における腐敗の但し書きの重要性 072
    不当な専有行為と過大な権利主張/複雑な問題――囲いとしての有用性と選択肢の提供価値について
  慈愛の但し書き 079
    ロックにとって「慈愛」とは何を意味するのか/慈愛の但し書きをどのように実現すべきか/慈愛の但し書きの知的財産権への適用
  但し書き――結論 
本章のまとめ――ロックと知的財産権 086

第3章 カント 089
序論 089
  オリエンテーション――ロックからヒュームへ,所有の機能的アプローチ 089
  人,物,そして衝突をめぐるヒュームとカントの比較 091
占有から自律へ 093
  カントの占有概念 095
  個人の意志――そして,それが重要な理由 097
    所有の起源/共有の意志の投影/知的財産分野における意志と対象/カントにおける広範な自律概念/現代の自律の価値に忠実であれ
放棄の重要性 109
  なぜ今,放棄が重要なのか 110
  自発的な情報コモンズ 112
カントと個人創作者からなるコミュニティ 114
  所有――義務の網から権利まで 114
  権利の普遍的原理 116
  天才的な創造性がもつ社会的な側面 119
  卵が先か鶏が先か,所有が先か国家が先か 121
  国家,権利,そして功利主義的な知的財産法 122
事例研究――パブリシティ権 126
  パブリシティ権の歴史 128
結語 132

第4章 分配的正義と知的財産権 134
  分配的正義の体系と知的財産制度 135
  ロールズの正義の二原理 136
  「基本財」とそれ以外の財――分配されるべきものという概念の拡張 138
    財産権と功績/私たちが受けるに値するもの
  「原初状態」における知的財産権 143
    功績(デザート)などいかがでしょうか/知的財産権,思いがけない幸運,功績
  知的財産権と最も恵まれない人びと――知的財産権がもたらす不平等を擁護する 155
    知的財産権はどのように最も貧しい人びとを助けるのか/まとめ――知的財産権と格差原理
知的財産法は分配の問題をどのように個々の知的財産権のなかに取り込んでいるのか 159
  個人の功績と社会の義務 159
    知的財産権と時間をかけて与えるものとしての功績/中核と周辺部に関するさらなる考察【創作物の作成/中核の構造/周辺部――財産権の請求が行われる場合の再分配の正当化
  知的財産法の細部にまで組み込まれた分配のメカニズム 170
    公正性と最初の権利付与/活用段階――権利付与後の環境における公正性/知的財産権で保護された創作物への課税
ロールズからローリングへ――分配的正義と知的財産権に関するケーススタディ 176
結語 179


  II 原理
第5章 知的財産法の中層的原理 182
「中層的原理」とは何か 182
  中層的原理はどこから来るのか ケーススタディとしての非専有性原理/パブリックドメイン 185
    一般化により実務から原理を探索/共通の根拠
  原理は実用的である 191
知的財産法の中層的原理 195
  比例性 195
  効率性 197
    なぜ効率性は基盤的ではないのか/効率性が果たす適切な役割/知的財産法における事例
  尊厳性原理 203
結語 205

第6章 比例性原理 207
序論 207
比例性とは何か 208
  橋のたとえ話 211
    特許法における具体例―― eBay事件/小さな権利と大きな影響力
  たとえ話のバリエーション 217
    レントシーキングとは何か/比例性の適用――レントシーキングの割合/歴史上のいくつかの例/レントシーキングの制御――最も効果的な微調整
  第3のたとえ話――集団の力の勝利 227
    財産権,ネットワーク効果,集団的な労働/具体例――ユーザによる価値の向上
比例性の回復と維持 233
  eBay事件を超えて――権利付与後の比例性 235
    比例性の理論――事前と事後の比較/比例性の理論――市場取引規制/余剰分価値の議論――そしてそれを避けること――について 
  重要だが控えめな原理 243
結語 245


  III 諸問題
第7章 職業的創作者,企業所有,取引費用 248
職業的創作者 249
  なぜ職業的創作者に特別な配慮が必要なのか 249
    知的財産と労働の財産化/歴史的転換の簡単な説明――パトロネージとそれに不満をもつ人びと【知的財産権と聴衆の大衆化/検証不可能なお話にすぎないのか?
  職業的創作者の全体的状況 259
    エンターテイメント/特許と小さな創作チーム/デザインおよびブランド構築の職業的創作者
知的財産の増加と強化に伴う,取引の「間接経費」への対応 270
  統合による解決――クリエイティブ産業における大企業 273
    大きなメディア企業/新たな生産モデル(オープンモデル/集合モデル)について一言/技術製品を製造する大企業
  再び取引費用 284
  知的財産権の放棄と「排除しない権利」 285
    権利放棄の正しい方法(と誤った方法)/権利放棄の簡略化
  権利処理の費用の低減――多数の企業によるコンソーシアム 288
    ケーススタディ――音楽のデジタル著作権管理システム/プラットフォームとコンソーシアムの構築
結語 294

第8章 デジタル時代の財産権 297
序論 297
財産権は今なお妥当か? 現在の知的財産の論点の見取図 299
  デジタル資源の流動的な世界 303
  共同性はデジタル時代の創作の本質か 303
職業的創作者と法的基盤 305
  ある形態の創作的表現に対する特権 306
    《ある種の特権としてのインセンティブ/エリート創作者?》
  デジタル技術の知的財産権はアマチュアを「差別」しているのか? 310
  リミキサーのためのフェアユース? 312
    取引費用と変容的利用(transformative use)【市場の失敗/変容的利用(transformative use)/リミキサーの場合における市場の失敗と変容的利用】/ロックとカントのリミックス/著作権とリミックスの量――どこに問題があるのか?【権利の不行使と「権利の緩衝空間」
  創作者の権利への配慮――デジタル技術の設計 325
    創作者に対する損害――権利としての知的財産の尊重/損害の保護手段としての知的財産権
  契約の遍在の時代における財産権 328
財産権の――廃止ではなく――現代化 330
「大衆のためのロック」――集団的権利の探究 334
結語 336

第9章 開発途上諸国の特許と医薬品 338
背景事実 339
アクセスする権利とその限界 340
  ロックの慈愛の但し書き 341
    差し迫った欠乏/困窮者のための権原/カントの普遍的原理
  分配的正義と医薬品特許 346
  医薬品特許と中層的原理 347
  制限 349
    医薬品が命を救うのはいつか/世代間について考慮すべき事項【医薬品と特許保護/影響の評価――医薬品の研究開発基盤/裁定取引のリスク/世代を超えた影響と規範理論
公正の実践――特許医薬品アクセスのための方策 357

第10章 結論――財産権の未来 359
労働の財産化 362
  なぜ知的財産「権」なのか 364
個人資産に対する個人によるコントロール――財産権の過去および将来における本質 365
    排他性の柔軟性/実際に機能している柔軟性の2つの例/なぜ「対世効のある」権利なのか
  ダイナミクスの評価と環境保護アナロジーの否定 374
バランスのとれた権利――付与前と付与後についての考察 375
  バランスのとれた権利の付与 376
  付与後のバランス 377
私のお気に入りの規範理論,そしてそれがなぜ重要か 379
  機能する自律 381
  知的財産権は公正な制度である 382
知的財産権の取引上の負担――解決策はある 384
  取引――知的財産の世界を横切る流と動き 385
  取引上の負担の軽減 385
最後に 386

原注 [389-472]
解説[島並良] [473-478]
  はじめに
  概要と特徴
  背景と展望
  おわりに
索引 [479-484]