著者:阿部 謹也[あべ・きんや](1935-2006) 歴史学(ドイツ中世史)。随筆。”世間”論。
表紙デザイン:中島 英樹[なかじま・ひでき](1961-2022) グラフィックデザイン。
章扉:赤崎 正一(1951-) エディトリアルデザイン。
NDC:210.04 日本史 >> 評論集・講演集
NDC:910.2 日本文学史
備考:日本文学に見る「世間」観を考察する。
『「世間」とは何か』(阿部 謹也):講談社現代新書|講談社BOOK倶楽部
【目次】
はじめに [003-005]
「世間」という言葉
理屈を越えたもの
世間の掟
なぜらいてうは除名されたのか
世間を騒がせたことを謝罪する
世間がなくなってしまったら
借金と宝くじ
非言語系の知
知識人の責任
目次 [007-009]
序章 「世間」とは何か 011
「世間」という言葉
理屈を越えたもの
世間の掟
なぜらいてうは除名されたのか
世間を騒がせたことを謝罪する
世間がなくなってしまったら
借金と宝くじ
非言語系の知
知識人の責任
第一章 「世間」はどのように捉えられてきたのか 031
1.1 歌に詠まれた「世間」 032
「うつせみ」と「世間」――「万葉集」
むなしき世間
歌人達の生き方
世間と闘う
憶良の「世間」
「無常」を歌うということ――「古今和歌集」
千世に八千世に
宮廷という世の中――「源氏物語」
1.2 仏教は「世間」をどう捉えたか 049
仏教の「世間」
説話の伝える思想――「今昔物語」
「世の人」の口を借りる――「大鏡」
第二章 隠者兼好の「世間」 057
2.1 「顕」と「冥」がつくりなす世の中 058
山林に居をかまえる――「方丈記」
慈円の思想――「愚管抄」
「冥」の世界
怨霊の出現
2.2 神判と起請文 066
神判の意味
盟神探湯
自然界とは
神判のゆくえ
2.3 近代人兼好 075
現世と後世
醒めた個人の意識
かたくななる人
聖法師と俗世
よき人とよからぬ人
「顕」と「冥」に対する姿勢
吉凶の占い
隠者という立場
兼好と漱石
第三章 真宗教団における「世間」――親鸞とその弟子達 099
3.1 親鸞の「世間」を見る目 100
「非僧非俗」の立場
末法思想
徹底的な否定の思想
3.2 初期真宗教団の革新性 106
真宗と民俗
親鸞と民衆信仰
講という組織
門徒の集団
「徒然草」再説
「かりにも無常を観ずる事なかれ」
第四章 「色」と「金」の世の中――西鶴への視座 119
4.1 西鶴の時代 120
貨幣経済の発展
古典の解放
4.2 恋に生きる女達 124
恋の手管
恋に死ぬ女
おまんの情熱
人妻の恋
おさんと茂右衛門
「性」のもつ大きな意味
「無常」ということ
4.3 「金」と世の中 138
いかにして金をためるか
二間間口の借家に住んで千貫の金を持つ
金の恐ろしさ
疎外された人々への眼
4.4 「色」と「金」で世をみる 146
「憂き世」から「浮き世」へ
「好色」の意味
社会体制への反逆
肌を求めて煩悩をはらす
「好色」と「神」と「個人」
男色の場合
若衆の壮絶な最期
小姓の仇討
衆道の純粋さ?
神と呪術
「大晦日世はさだめなき世のさだめかな」
4.5 「艶隠者」西鶴 165
「隠れて住む」ということ
隠居の最期
身分と仕事と仏教
第五章 なぜ漱石は読み継がれてきたのか――明治以降の「世間」と「個人」 173
5.1 「社会」の誕生 174
「社会」という概念
個人の尊厳
5.2 「世間」の内と外――藤村の「破戒」 177
差別的な世間
二つの言葉の区別
5.3 「世間」の対象化――「猫」と「坊ちゃん」 180
漱石と「世間」
博士号へのこだわり
「世間知らず」の意味
義捐金を取られる
西鶴から漱石へ
単純素朴な青年
坊ちゃんに身をよせて「世間」をやっつける
5.4 「世間」と付き合うということ――「それから」と「門」 193
他人の細君
世の中に中る
愛のめざめ
二人の微妙なズレ
「世間」に背を向ける視点
第六章 荷風と光晴のヨーロッパ 205
6.1 荷風の個人主義 206
フランスへの旅
荷風のフランス
巴里の寂寥
わがままな暮らし
「気質としての厭世」
時代への洞察力
「ぼく東綺譚」
6.2 光晴の歌った「寂しさ」 222
西欧的なものへの憧れ
ベルギーの田園で
「こがね虫」
再びヨーロッパへ
パリでの生活
フォンテンブローの冬の森で
「洗面器のなかの音のさびしさを」
「鮫」と「おっとせい」
文学者の絶望
光晴と荷風
寂しさはどこから来るのか
主要引用・参考文献 [248-254]
おわりに(一九九五年二月二七日) [255-259]