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『「日本」とはなにか――文明の時間と文化の時間』(米山俊直 人文書館 2007)

著者:米山 俊直[よねやま・としなお](1930-2006) 文化人類学、文明論。
編者:松田 素二[まつだ・もとじ](1955-) 文化人類学
編者:末原 達郎[すえはら・たつろう](1951-) 農学。
寄稿:道川 文夫[みちかわ・ふみお] 編集者。有限会社人文書館代表。
編集:道川 龍太郎[みちかわ・りゅうたろう] 編集者。人文書館副代表。
ブックデザイン:鈴木 一誌[すずき・ひとし](1950-2023) グラフィックデザイナー、映画批評家
ブックデザイン:仁川 範子[にかわ・のりこ] ブックデザイナー。
カバー写真:五重塔〔ごじゅうのとう〕と御室桜〔おむろざくら〕(at仁和寺
 撮影:水野 克比古[みずの・かつひこ](1968-) 写真家。
イラストレーション:安芸 早穂子[あき・さほこ](1958-) イラストレーター。
件名:日本--風俗・習慣
件名:日本--文化
NDLC:GB641
NDC:382.1 : 風俗史.民俗誌.民族誌
メモ:遺稿集(1999年~2001年の草稿が元)。「最終講義」は2006年2月5日。
メモ:巻頭言だけで判断すると、松田氏(または、+末原氏)が実質的に編者であるようだ。


人文書館 | 「日本」とはなにか 文明の時間と文化の時間


【目次】
「はしがき」に代えて――新しい知の枠組みをもとめて(松田素二) [ii-vi]
目次 [vii-xi]


序章 都市列島日本――未来に向かって
始まっていた二一世紀
水不足・食糧不足の世紀か?
“農村”の消滅、都市市民の登場
女性農業者の課題
百姓への回帰
新しい市民像を


第一章 稲のはなしから
バリ島にて――水利社会の構造
棚田と村落
日本の棚田
日本の水利組織――愛媛県大西町宮脇の場合
乳と蜜の流れる里
ニューヨークにて


第二章 海から見た日本列島
エビス神との出会い
謎の多いエビス神
「エビスたちの列島」
栗駒町の話
縄文土器と国譲り
コトシロヌシ
ブローデル『地中海』シンポジウム
近代世界システム
一五七一年の意味:『地中海』について
生態史観と海洋史観
起承転結
海洋史視
生態史観と海洋史観の対話


第三章 文明の補助線――縄文時代を考える
文明の補助線
イモと日本人
狩猟採集・漁撈と日本人
縄文商人論
アフルエント・フォレジャーズの発見
縄文都市論
ブランビカのこと
メソポタミアとならぶ


第四章 京都文化――文明中心のひとつとして
京都の重層性
地形と自然
楕円の二焦点のひとつとして
先住民としての渡来人
都市計画としての平安京
礼を軸とした文化
京ものの成立
『京都文化の座標』
革新勢力の帰趨
魔界と霊性
ロッコの古都フェスとの比較


第五章 複雑系としての祇園祭
山鉾の謎
風流のルーツ
歴史にみる謎
システムとしての祇園祭
祇園祭の課題


第六章 日本文明の基礎にある江戸・東京文化 165
私の江戸・東京
『歴史のなかの江戸時代』
江戸文化と東京文化
東京の文化移植機能
中央地方


第七章 「小盆地宇宙」再考 193
小盆地宇宙論――旧著について
モデルは遠野盆地
盆地の定義と分類
なぜ小盆地か
海岸線の小盆地宇宙
社会文化論
小京都について――『城と城下町』
近世の築城ラッシュ
城下町の構造
小京都


終章 日本文化と日本文明 217
文明の時間と文化の時間
発展段階説の呪縛をはずす
日本文明の基底にある日本文化
[おわりに]――本書のなりたち(二〇〇一年秋 米山俊直


解題 米山俊直の「知」の遺産――二一世紀日本社会と都市列島日本論(末原達郎) 233
  都市と農村を結ぶ基線
  東日本と西日本を結ぶ基線
  自然環境と社会・文化環境を結ぶ基線
  日本文化における多様性と小盆地宇宙論
  参考文献


付論 最終講義――「小盆地宇宙論その後――なら学との関連で」 249
AS[Area Studies]とRS[Regional Studies]
総合的研究
仰角か俯角か・外部の目
旧著の翻訳から
「なら学」についての視点いくつか
『小盆地宇宙論』について


米山俊直のこと(二〇〇七年二月 道川文夫) [265-280]
あとがき(二〇〇七年二月八日 末原達郎松田素二) [281-282]



【抜き書き】
・「はしがき」から。

 本書は、古希を迎えた米山さんが、こうした困難を意識しながら書き下ろした草稿なのである〔……〕。こうして残された遺作ともいうべきこの草稿について、公刊すべきかどうか、ご遺族とも長い間話し合った。しかし、米山さんのあとに続く私たちとしては、ぜひその格闘の経過を米山さんの知的遺産として継承し、発展させていくべきだという結論に達したのである〔……〕。なお草稿時のタイトルは、『都市列島日本』であったが、それ以外の遺稿を含めて編集したため、編集者と相談して現在のタイトルに変更した。


・「あとがき」から。

 本書は、故米山俊直先生が、大手前大学学長をなさっていた一九九九年頃から起筆され、二〇〇〇年三月頃に、ついで二〇〇一年の秋頃に若干補筆のある、第一次稿(未成稿)として纏められたものです。大学の最高責任者として、多忙を極めていたころに執筆されたので、推敲が思うにまかせず、いつの日か、完全稿にしたいと願っておられたものでもあります。
 古希を迎えた米山先生の「日本文化と日本文明」研究の枠組みを示すたいへん貴重な原稿であり、亡くなる一カ月前の「最終講義」となった「なら学」ノートとをあわせて、遺稿集として上梓させていただく次第です。
 文化人類学と文明学を架橋しようとする米山先生の最後の知的格闘を編集・出版するにあたり、一九六〇年代から米山先生の同伴者であり、『過疎社会』や『同時代の人類学』など数多くの成果を送り出してきた人文書館の道川文夫さん(元NHK出版編集局長)にたいへんお世話になりました。


【関連記事】
 言及される文献が多いので、ごく一部だけ。

『日本文化の形成』(宮本常一 講談社 2005//1981)

『文明の海洋史観』(川勝平太 中央公論社 1997)