著者:井上 史雄[いのうえ・ふみお](1942-) 言語学(方言学、言語の市場価値の研究)。
件名:日本語
件名:言語社会学
NDC:810.4 言語 >> 日本語
NDLC:KF21
日本語は生き残れるか | 井上史雄著 | 書籍 | PHP研究所
【目次】
まえがき [003-004]
目次 [005-013]
序章 言語の国際化と難易度――経済言語学の視点
1 言語の国際化とは何か 016
ことばのしくみと地位
言語には格差がある
荘重なラテン語でする落とし物の話
庶民の国際語――英語の難易度の低さ
2 ことばの難易度とは何か 022
ことばの難易度も計算できる
絶対的難易度の判定基準――何歳で服を着られるか
絶対的難易度の補助基準――着こなしが楽か
相対的難易度――外国語学習の容易さ
3 言語の難易度と市場価値 029
難易度の経済性
経済言語学とは何か
第一章 日本語の価値変動
1 情報化・国際化と英語進出 034
電子メールの英語使用
日本人どうしで使う英語
インターネットの英語
2 日本国内への外国語侵入 041
映画タイトルへの英語進出
歌曲名・歌詞の英語増加
バイリンガル表示の増加
自治体の多言語サービス
座薬は座って飲む薬?
必要な場面での多言語表示の不足
多言語表示のパターン
日本人の英会話コンプレックス
3 日本語の海外普及 060
移民の日本語――ハワイ日系人
バイリンガルになる方法
「キモノ、ゲイシャ」――世界の外行語
日本語考現学(海外路上観察)
国際センサスによる日本語の人気度
日本語学習は広がるか
第二章 言語の日英戦争
1 世界の多言語すみ分け 078
日本語三位一体説の崩壊
英語勢力の弱かった郵便用語
英語勢力の強い科学分野
国家言語に格下げされる日本語
日本語の使用場面限定――大学教育
日本語だけではやっていけない状況
2 英語帝国主義の未来 092
英語の同心円
経済的・政治的影響力による拡大
英語支配は止められない
二言語教育のパラドックス
「英語オンリー」でいいのか
東アジアでの日本語のがんばり
第三章 第二公用語論は日本語をどう変えるか
1 日本人のバイリンガル恐怖症 104
日本のバイリンガリズム
小笠原の英語絶滅の危機
話し手のいない公用語
第二公用語による日本語の地位低下
2 第二公用語論をめぐる世論 108
世界中で支持される英語
「第二」でも実際は上位
第四章 日本語の難しさ
1 日本語の相対的難易度 116
アメリカ人にとって難しい日本語
アルファベット以外は苦手な英語国民
英語テストの難易度
韓国人にはやさしい日本語
日本語は「悪魔の言語」か
難易度と国際化を測る手がかり
日本語の難易度は下がるか
2 外来語――日本語語彙の国際化 129
語彙の豊かさと難易度の高さ
日本語の語彙はなぜ覚えにくいか
外来語による難易度の変化
漢語から外来語へ
外来語への抵抗感
外来語を避ける中国語
「国際通用語」の便利さ
3 外来語発音の国際化 145
日本語の発音はやさしい
発音変化の経済化
外来語発音による代償
第五章 文法と敬語の障壁
1 文法の難易度と人工的単純化 152
日本語文法の難易度は中位
イージージャパニーズ
文法の欧米化は国際化の現れ
日本人自身による文法の単純化
外国人が話すと言語はどう変わるか
英語破格表現へのおおらかさ
「おぞましき日本語」を許せない日本人
2 国際化する敬語 166
日本人にも難しい敬語
敬語の民主化・平等化・単純化
タメ口による難易度の低下
3 言語行動の欧米化 170
コミュニケーション能力も身に付けにくい?
欧米化による難易度の低下
第六章 日本語表記の国際化
1 漢字使用の複雑さ 176
世界一難しい日本の文字
漢字使用の減少
2 ローマ字表記の普及 181
初期投資効率のいいアルファベット
進む横文字化
3 ローマ字は読みにくく書きにくい? 186
「シ・チ・チュ」の表記
長音「オー」の表記
促音「ッ」・撥音「ン」の表記
助詞の表記
分かち書きと慣れ
第七章 日本語の未来 195
日本語悲観論――バブル崩壊もあるか
くずれたカステラとしての日本語
日本人の「言語忠誠度」
「言語他殺」と「言語自殺」
経済原理に替えられない母語
あとがき(二〇〇一年(平成十三)七月 井上史雄) [204-207]
参考文献 [208]