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『レトリックと人生』(George P. Lakoff, Mark Johnson[著] 楠瀬淳三,渡部昇一,下谷和幸[訳] 大修館書店 1986//1980)

原題:Metaphors We Live By (University of Chicago Press)
著者:George P. Lakoff (1941-)
著者:Mark Johnson (1949-)
訳者:渡部 昇一[わたなべ・しょういち](1930-2017)
訳者:楠瀬 淳三[くすのせ・じゅんぞう](1940-2009) 英語教育学。
訳者:下谷 和幸[しもたに・かずゆき](1947-)
件名:比喩
件名:修辞法
NDC:801.6 文章論.文体論.修辞学


レトリックと人生 - 株式会社大修館書店

 レトリックは単なる言葉の綾ではない。それは未知の世界を、人間の理解の領域にたぐりよせる強力な武器となる。「時は金なり」「恋愛は旅である」といったメタファーは、多言を費やした説明より鮮やかに事柄の本質を照らし、人生に指針をもたらす。日々の生活はこうしたレトリックの網の目によって支えられているからこそ、“レトリック感覚”を働かせることによって切り拓かれる人生の可能性には目をみはるものがある。斬新な視点からレトリックの生態に言語的・哲学的分析を加えるとともに、背後にひそむ人間の思考や行動の構造をダイナミックに抉った知的冒険の書


【目次】
まえがき [iii-iv]
謝辞 [v-viii]
目次 [ix-x]
凡例 [xi]


1. 生活の中のメタファー 003


2. メタファーと概念の体系性 008


3. メタファーの含意:ある面を際立たせ、ある面を隠す 012


4. 方向付けのメタファー 018
  結論
    〈メタファーの基盤となっている経験〉


5. メタファーと文化の一貫性 032


6. 存在のメタファー 037
  存在物と内容物のメタファー
  容器のメタファー
    〈土地領域〉
    〈視界〉
    〈出来事,行為,活動,状態〉


7. 擬人化とメタファー 050


8. 換喩とメタファー 053


9. メタファー相互の間の一貫性 062
  一見矛盾するメタファー
  一貫性と一致性


10. さらなる例 070


11. メタファーと概念構造 088


12. メタファーと概念体系の基盤 094


13. 構造のメタファーの基盤 100


14. 因果関係の概念の基盤 111
  直接手で行う操作:因果関係の原型
  原型的因果関係の拡張
  要約


15. 経験に一貫した構造を与える 122
  経験のゲシュタルトと経験の相
  概念が経験に符合するという意味
  構造を与えることと下位範疇化


16. メタファーによる一貫性 133
  概念の特殊化された側面
  単一のメタファーにおける一貫性
  単一概念における二つの側面の一貫性


17. メタファー間の複雑な一貫性 147


18. 他の概念構造理論が導く結論 161
  抽象化説では説明しきれない点
  同音意義説では説明しきれない点
    〈強・同音意義説〉
    〈弱・同音意義説〉


19. メタファーによる定義と理解 173
  定義づけの対象:自然な種類の経験
  相互作用的な属性
  カテゴリー化
  要約


20. メタファーと形態の意味 187
  形態が増せば内容も増す
  近接は影響力の強さ
  自己中心の方向づけ
  メタファーによる文法上の一貫性
    〈道具は友達である〉
    〈Withが二つの意味をあらわす理由〉
    〈言語の「論理〔ロジック〕」〉
  結論
    〈意味の微妙な差異〉
    〈言語形態の規則性〉


21. メタファーが創る新しい意味 203


22. メタファーが創る新たな類似性 215


23. メタファー,真実,行動 226


24. メタファーと真実 230
  真実論に対する関心
  日常生活における真実の重要性
  真実における投影の役割
  真実におけるカテゴリー分類の役割
  単純な文を真実として理解する
  常套的メタファーを真実として理解する
  新しいメタファーと新しい真実
  状況の理解――要約
    〈直接即時の理解〉
    〈間接的理解〉
    〈真実は理解に基づいている〉
  経験主義者による真実論の本質
  「客観的真実」論と理解


25. 客観主義神話と主観主義神話 263
  文化による選択
  客観主義という名の神話
  主観主義という名の神話
  メタファーに対する憂慮
  第三の選択:経験主義論者による総合


26. 西洋哲学と言語学における客観主義神話 276
  客観主義神話に対する筆者たちの挑戦
  スタンダードな意味の理論の客観主義
    〈意味は客観的である〉
    〈意味は人間から独立して存在する〉
    〈人間や人間による理解をぬきにして言葉を世界にあてはめる〉
    〈意味に関する理論は真実に関する理論に基づく〉
    〈意味は用法と無関係である〉
    〈意味は構築的〔コンポジショナル〕なものである――構築ブロック理論〉
    〈客観主義は人間による理解を抜きにした存在論的相対性を認める〉
    〈言語表現は客体である:客観主義言語学の前提〉
    〈文法は意味や理解とは無関係である〉
    〈客観主義者のコミュニケーション論:一種のメタファー〉
    〈客観主義者は理解をどのように説明するか〉


27. メタファーと客観主義神話の限界 295
  客観主義者による常套的メタファーの説明
  客観主義者の説明の間違い
    〈類似性に基づく観方〉
    〈客観主義者の怠慢:「それはわれわれの研究対象ではない」〉
    〈客観主義哲学は人間の関心のあり方を説明するには不適切〉
    〈客観主義哲学以外の客観主義的モデル〉
  要約


28. 主観主義神話の不適切さ 311


29. 経験主義者の見解:古い神話に新しい意味を付与 314
  経験主義が保持する客観主義の関心事
  経験主義が保持する主観主義の関心事


30. メタファーと理解 318
  コミュニケーションと相互理解
  自己に対する理解
  儀式
  審美的経験
  政治


あとがき [329-330]
参考文献 [331-332]
訳者あとがき(昭和60年12月1日 渡部昇一) [333-335]