著者:安本 美典[やすもと・びてん](1934-) 文章心理学、計量比較言語学、日本古代史。
著者:本多 正久[ほんだ・まさひさ](1941-) コンピュータ・サイエンス。
装幀:山崎 登
初出:『数理科学』(1972年2月〜1972年9月)ダイヤモンド社。
『言語』(1977年1月?〜1977年12月?)大修館書店。
NDC:810.29 国語史(国語系統論)
【目次】
はじめに(1978年8月20日 安本美典 本多正久) [iii-xviii]
目次 [xix-xxiii]
図表目次 [xxiv-xxx]
◆第一部 新しい方法の登場
I 印欧比較言語学と数理言語学 005
1 印欧比較言語学の発展と限界 006
探求者を呑みこむ落とし穴
音韻対応の法則は偶然を排除する
グリム【Jacob Grimm】の法則とベルネル【Karl Verner】の法則
印欧比較言語学の誕生
サンスクリット語とヨーロッパ語
問題の所在
音韻対応の法則の限界
再検討の必要
音韻対応の法則の発見は唯一の方法であるのか
2 数理言語学の登場 024
日本語列島のイメージ
最近の言語学の傾向
数理言語学の発展
統計学、確率論の発展と普及
インチキ問答
「有意」ということば
水かけ論の原因
II 探究の基礎 037
1 カイ自乗検定法 038
統計学、確率論の役割
記号の恣意性
「語彙統計学」と「言語年代学」
日本語、朝鮮語、アイヌ語の基礎語彙
日本語のtと朝鮮語のtとの一致
s音とt音とをまとめれば
有意の一致を示す音の数はすくない
日本語とアイヌ語との一致
朝鮮語とアイヌ語との一致
上古日本語と首里方言との一致
カイ自乗検定法の長所と短所
2 シフト検定法 057
ケルビン卿のことば
「シフト検定法」の特徴
「シフト検定法」の手続き
「上古日本語」と「中期朝鮮語」
日本語と朝鮮語との分裂の時期
「上古日本語」と「アイヌ語幌別方言」
「中期朝鮮語」と「アイヌ語幌別方言」
「上古日本語」と「首里方言」
基礎語彙による比較
ここまでのまとめ
3 因子分析法と多次元尺度構成法 074
相関の概念
因子分析法の発展
バリマックス法と主因子法
バリマックス法による分析
主因子(PFA)法による分析
とりあげる事例
ヨーロッパ語を因子分析する――バリマックス法による分析
ヨーロッパ語を因子分析する――主因子法による分析
バリマックス法と主因子法どの関係
「一致」と判断する基準
多次元尺度構成法
◆第二部 諸言語を比較する
I 演繹と帰納――第二部のはじめに 101
演繹型と帰納型
なぜ機能的方法をとるか
帰納のための数学
音をまとめる基準
II 南の島々の言語と日本語 109
1 アウストロネシア諸言語 110
アウストロネシア諸言語の分布
とりあげた諸言語
インドネシア語と日本語との類似点と相違点
時代による変化のすくない言語
ポリネシアの諸言語
2 シフト検定法による比較 121
一致が偶然によってえられる確率
「偶然以上の一致」とみなす基準
日本語などとの関連
III 声調諸言語およびモン・クメール諸言語と日本語 129
1 声調諸言語とモン・クメール諸言語 130
声調言語(tone language)
諸言語の声調
とりあげた諸言語
中国語と日本語
アウストロアジア語と日本語
チベット・ビルマ語と日本語
2 シフト検定法による比較 139
一致が、偶然によって得られる確率
日本語などとの関連
シフト検定法の度数分布
IV 環声調諸言語と日本語 149
1 環声調諸言語 150
とりあげた諸言語
とりあげた諸言語の特徴
『ユーラシア語族の可能性』
2 シフト検定法による比較 154
一致が偶然によってえられる確率
諸言語間の関係
◆第三部 日本語はいかに形成されたか
I 流れこむ諸言語 163
1 「終着駅」と「通過駅」 164
文化の「終着駅」
イギリスの場合
日本の場合
2 三つのルート 167
琉球ルート
朝鮮ルート
江南ルート
II 日本語の起源についての仮説 171
1 日本語と偶然以上の一致のみられる諸言語 172
とりあげた諸言語
上古日本語について
東京方言について
首里方言について
「波動説」の妥当性
2 日本語の起源・四つの層 186
中国語をとりまく言語
日本語の起源、第一層
日本語の起源、第二の層
日本語の起源、第三の層
ビルマ系諸言語と日本語との関係
3 「系統論」は成り立つか 202
箱の中の砂
中国語の砂
「系統論」はなりたつか
◆第4部 さまざまな検討
I 偶然以上の一致を示す言語対 213
1 基礎二百語についての検討 214
私たちにとって有用な情報は……
言語対をとりだす
グラフに書けば……
2 基礎百語についての検討 233
言語対をとりだす
グラフに書けば……
II 古極東アジア諸言語のまとまり 245
1 多次元尺度構成法による分析: 246
多次元尺度構成法について
分析の結果
2 六千年以上まえの「古極東アジア諸言語」 253
日本語、朝鮮語、アイヌ語をさかのぼる
日本語、朝鮮語、アイヌ語の共通性をまとめると……
第4部のむすび
おわりに [261-266]
付録・基礎語彙表 [268-368]
基礎語彙表作成の手続き 367
I 日本語,朝鮮語,アイヌ語の基礎語彙表 358
II アウストロネシア諸言語の基礎語彙表 351
1 インドネシア諸言語
2 ポリネシア諸言語
III 声調諸言語およびモンクメール諸言語の基礎語彙表 323
1 中国語諸方言とタイ・ラオ語
2 モンクメール諸言語とチベット・ビルマ諸言語
IV 環声調諸言語の基礎語彙表 295
1 ウラル・アルタイ諸言語とギリヤーク語
2 インド・イラニアン諸言語とタミール語
【メモランダム】
初出について。
本書の「はじめに」によれば、『数理科学』(ダイヤモンド社)での連載ののちに、『言語』(大修館書店)で連載も行ったらしい。
国会図書館のデータベースで私が調べたところ、1972〜1978年の期間に(=『数理科学』の連載から本書刊行までの期間)、安本氏が『言語』に継続して連載した形跡が見当たらない。このあたりをきちんと掘るためには、図書館で実際に雑誌を調べる必要があるかもしれない。