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『〈民主〉と〈愛国〉――戦後日本のナショナリズムと公共性』(小熊英二 新曜社 2002)

著者:小熊 英二[おぐま・えいじ] 
装丁:難波 園子[なんば・そのこ] 
NDC:121.6 日本思想(近代)
NDC:210.76 日本史(太平洋戦争後 1945-)
NDC:311.3 国粋主義ナショナリズム民族主義


〈民主〉と〈愛国〉:戦後日本のナショナリズムと公共性 - 新曜社


【メモランダム】
・内容紹介。

◆2003年度日本社会学会賞 受賞◆
 小熊英二氏の〈日本人〉論 第3弾の詳細をお知らせいたします。
 今回は、太平洋戦争に敗れた日本人が、戦後いかに振舞い思想したかを、占領期から70年代の「ベ平連」までたどったものです。戦争体験・戦死者の記憶の生ま生ましい時代から、日本人が「民主主義」「平和」「民族」「国家」などの概念をめぐってどのように思想し行動してきたか、そのねじれと変動の過程があざやかに描かれます。
 登場するのは、丸山真男大塚久雄から吉本隆明竹内好三島由紀夫大江健三郎江藤淳、さらに鶴見俊輔小田実まで膨大な数にのぼります。現在、憲法改正自衛隊の海外派兵、歴史教科書などの議論がさかんですが、まず本書を読んでからにしていただきたいものです。読後、ダワー『敗北を抱きしめて』をしのぐ感銘を覚えられこと間違いありません。

【目次】
目次 [003-009]
凡例 [010]


序章 011
  二つの「戦後」  「戦後民主主義」の「言葉」  「言説」と「心情」について


  第一部 

第1章 モラルの焦土――戦争と社会状況 029
  セクショナリズムと無責任  軍需工場の実態  組織生活と統制経済  知識人たち  学徒兵の経験  「戦後」の始まり


第2章 総力戦と民主主義――丸山眞男大塚久雄 067
  「愛国」としての「民主主義」  総動員の思想  「国民主義」の思想  「超国家主義」と「国民主義」  「近代的人間類型」の創出  「大衆」への嫌悪  屈辱の記憶


第3章 忠誠と反逆――敗戦直後の天皇論 104
  「戦争責任」の追及  ある少年兵の天皇観  天皇退位論の台頭  共産党の「愛国」  「主体性」と天皇制  「武士道」と「天皇の解放」  天皇退位と憲法  退位論の終息


第4章 憲法愛国主義――第九条とナショナリズム 153
  ナショナリズムとしての「平和」  歓迎された第9条  順応としての平和主義  共産党の反対論  「国際貢献」の問題


第5章 左翼の「民族」、保守の「個人」――共産党保守系知識人 175
  「悔恨」と共産党  共産党の愛国論  戦争と「リベラリスト」  オールド・リベラリストたち  「個人」を掲げる保守  「世代」の相違


第6章 「民族」と「市民」――「政治と文学」論争 209
  「個人主義」の主張  戦争体験と「エゴイズム」  「近代」の再評価  共産党の「近代主義」批判  小林秀雄福田恒存「市民」と「難民」


  第二部 

第7章 貧しさと「単一民族」―― 一九五〇年代のナショナリズム 255
  経済格差とナショナリズム  「アジア」の再評価  反米ナショナリズム  共産党民族主義  一九五五年の転換  「私」の変容  「愛する祖国」の意味


第8章 国民的歴史運動――石母田正井上靖網野善彦ほか 307
  孤立からの脱出  戦後歴史学の出発  啓蒙から「民族」へ  民族主義の高潮  国民的歴史学運動  運動の終焉


第9章 戦後教育と「民族」――教育学者・日教組 354
  戦後教育の出発  戦後左派の「新教育」批判  アジアへの視点  共通語普及と民族主義  「愛国心」の連続  停滞の訪れ


第10章 「血ぬられた民族主義」の記憶――竹内 好 394
  「政治と文学」の関係  抵抗としての「十二月八日」  戦場の悪夢  二つの「近代」  「国民文学」の運命


第11章 「自主独立」と「非武装中立」――講和問題から55年体制まで 447
  一九五〇年の転換  アメリカの圧力  ナショナリズムとしての非武装中立  アジアへの注目  国連加盟と賠償問題  「五五年体制」の確立


第12章 六〇年安保闘争――「戦後」の分岐点 499
  桎梏としての「サンフランシスコ体制」  五月十九日の強行採決  戦争の記憶と  「愛国」  新しい社会運動  「市民」の登場  「無私」の運動  闘争の終焉


  第三部 

第13章 大衆社会ナショナリズム――一九六〇年代と全共闘 551  高度経済成長と「大衆ナショナリズム」  戦争体験の風化  「平和と民主主義」への批判  新左翼の「民族主義」批判  全共闘運動の台頭  ベトナム反戦と加害


第14章 「公」の解体――吉本隆明 598
  「戦中派」の心情  超越者と「家族」  「神」への憎悪  戦争責任の追及  「捩じれの構造」と「大衆」  安保闘争と戦死者  国家に抗する「家族」  「戦死」からの離脱


第15章 「屍臭」への憧憬――江藤淳 656
  「死」の世代  没落中産階級の少年  「死」と「生活者」  「屍臭」を放つ六〇年安保  アメリカでの「明治」発見  幻想の死者たち


第16章 死者の越境――鶴見俊輔小田実 717
  慰安所員としての戦争体験  「根底」への志向  「あたらしい組織論」の発見  「難死」の思想  不定形の運動  「国家」と「脱走」


結論 793
  戦争体験と戦後思想  戦後思想の限界点  戦争体験の多様性  「第三の戦後」  「護憲」について  言説の変遷と「名前のないもの」


注 [830-950]
あとがき(二〇〇二年八月 小熊英二) [951-958]
人名索引 [959-966]