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『国勢調査の文化人類学――人種・民族分類の比較研究』(青柳真智子[編] 古今書院 2004)

編者:青柳 真智子[あおやなぎ・まちこ](1930-) 文化人類学オセアニア研究。





【目次】
目次 [i-vii]


序章 国勢調査文化人類学[青柳真智子] 001
1. なぜ国勢調査か? 001
2. 国勢調査の歴史 003
3. レイス・エスニック集団に対する関心の差異 004
4. 植民地宗主国によるレイスの創出 006
5. レイスおよびエスニック集団分類からみた国勢調査 007
  (1) レイスやエスニック集団についての言及がまったくない国々
  (2) レイスおよびエスニック集団に強い関心を有する国々
  (3) 先住民の言語集団の分類に関心を持つ国々
  (4) 政府認定の民族コードがあり,そのいずれかに自らを当てはめる国々
  (5) カーストと民族に連続性がみられる国々
  (6) その他
6. おわりに 011
参考文献 012


  I ヨーロッパ 013

第1章 イギリス ――植民地の大宗主国として[青柳真智子] 015
1. イギリスにおける国勢調査の概要 015
2. 出身地,国籍,言語に関する情報 017
3. 移民の増加 018
4. エスニック集団・レイスについての質問導入検討 020
  (1) 1975年のサンプル・テスト
  (2) 1978-79年のテスト
5. 第2回(1985-1986年)のサンプル・テスト 026
6. 第3回(1989年)のサンプル・テスト 027
7. 1991年の国勢調査 029
8. 2001年の国勢調査 030
9. おわりに 031
参考文献 033


第2章 ドイツ ――未完成の国民国家[石川真作] 035
1. はじめに 035
2. ドイツにおける国勢調査 036
  (1) 国勢調査の歴史
  (2) 人種・民族にかかわる項目に関して
3. 第二次世界大戦後における国勢調査と国籍の問題 040
  (1) 身分としてのドイツ人
  (2) 国籍法のあり方と「外国人問題」
4. まとめ――未完に終わる?「国民国家」 043
参考文献 046


第3章 フランス ――国民国家の地域主義と移民問題 [宮治美江子] 049
1. フランスの国勢調査 049
  (1) 国勢調査の歴史
  (2) 最新の国勢調査―― 1999年3月実施
  (3) 1999年国勢調査の結果
  (4) 1999年の国勢調査の結果からみた移民の特徴
2. 現代フランスの地域・民族と移民問題 054
  (1) フランスの国家と地域の歴史的背景
  (2) フランスの地域主義
  (3) フランスの人種主義
  (4) 移民をめぐるさまざまな問題――マグレブ北アフリカ)出自の移民と国籍法問題
参考文献 060


第4章 スペイン――地域と移民への配慮[黒田悦子] 061
1. 地域・民族状況 061
2. 国勢調査の歴史と特徴 063
3. 2001年の質問票からわかること 064
4. まとめ 064
参考文献 065


第5章 フィンランド ――サーミ統計にみる〈母語〉の把握と〈民族〉の把握[葛野浩昭] 067
1. はじめに 067
2. 国民統計と〈母語〉・〈民族〉 068
  (1) 国民統計:教会文書・住民登録・国勢調査・国民アイデンティティ番号制度
  (2) 〈母語〉と〈民族〉
3. 『統計年報』にみる〈母語〉別人口 070
  (1) 1879年,第1回『統計年報』
  (2) 1881年『統計年報』
  (3) 1882年から1902年までの『統計年報』
  (4) 1903年から1950年までの『統計年報』
  (5) 1951年から1973年までの『統計年報』
  (6) 1974年以降の『統計年報』
4. 調査票にみる「国勢調査」の調査項目 073
5. サーミ人の〈民族〉定義 074
  (1) 『(第1次)サーミ人(問題)審議委員会報告書』(1952年)
  (2) 『(第2次)サーミ人(問題)審議委員会報告書』(1973年)
  (3) 『サーミ言語法立法趣意書』
  (4) 『サーミ言語法』(1992年)
  (5) 『サーミ人人口調査報告書』(1970年)
6. おわりに 078
参考文献 079


第6章 トルコ ――同胞として[石川真作] 081
1. はじめに 081
2. オスマン朝末期の転回と国勢調査 082
  (1) オスマン朝における人口調査
  (2) オスマン朝の衰退と近代的国勢調査の開始
  (3) 1881/82年の国勢調査とその後の展開
3. トルコ共和国における国勢調査 087
  (1) トルコ共和国の成立と国民形成
  (2) トルコ共和国における国勢調査
    (1) 調査の方法
    (2) 調査の項目
    (3) 人種・民族にかかわる項目に関して
4. まとめ――「同胞として」 095
参考文献 097


  II アジア 099

第7章 日本 ――民籍の復活は可能か[青柳真智子] 101
1. 国勢調査前史 101
2. 国勢調査の開始 102
3. 国籍と民籍 103
4. 台 湾 107
5. 朝 鮮 109
6. 樺 太 111
7. 南洋群島 112
8. 敗戦後および現今の国勢調査 113
9. 民籍の復活は可能か 115
注 116
参考文献 117


第8章 ロシア ――アムール・サハリン地方の民族分類の変遷と民族意識の形成[佐々木史郎] 119
1. はじめに 119
2. アムール・サハリン地方の民族学的な概要とロシア征服前史 121
3. アムール・サハリン地方における行政的民族分類の変遷 124
  (1) 帝政時代の国勢調査と民族統計
  (2) ソ連時代の国勢調査と民族統計
  (3) ソ連崩壊後の国勢調査
4. アムール・サハリン地方における住民の民族的アイデンティティと行政的民族との関係-結論に代えて 136
  (1) 帝政ロシア時代
  (2) ソ連時代
  (3) ソ連崩壊後
参考文献 140


第9章 中国 ――現代中国における「民族」の分類とその動態[瀬川昌久] 143
1. 現代中国における民族の呼称 143
2. 多民族国家としての中国 144
3. 「民族」の分類と分布 145
4. 民族認識の歴史的変遷と「民族識別工作」 146
5. 民族成分と戸籍制度 151
6. 国勢調査における「民族」の調査 153
7. 創出される民族文化・民族意識 155
注 157
参考文献 157


第10章 ベトナム ――小中華の国家統合[樫永真佐夫] 159
1. はじめに 159
2. 国勢調査における「民族」概念 160
  (1) 「民族」という法的概念の生成
  (2) 民族概念の定義と民族分類
3. 国勢調査と「民族」のかかわり 164
  (1) 調査実施と民族
  (2) 報告書中での住民分類と民族概念
4. 住民の登録と国勢調査 168
5. まとめ 171
謝辞 174
注 174
参考文献 174


第11章 フィリピン ――人種・民族概念の生成と変容[合田濤]177
1. はじめに 177
2. スペイン期の戸籍確認 179
3. アメリカ統治下の人口統計 181
4. コロニアル・ナレッジとしての「部族」概念 183
5. 独立直後の人口統計 185
6. 1970年代統計の特徴 186
7. 1980年代以降の展開 187
8. 2000年統計に向けて 188
9. おわりに 197
参考文献 199


第12章 インド ――カーストの周辺概念としてのトライブ・レイス[三瀬利之] 203
1. はじめに 203
2. インド亜大陸における人口調査の歴史 204
3. 植民地期インドの国勢調査の特徴 207
  (1) 対象と方法
  (2) 調査方針の決定主体
4. 国勢調査における「出自」の分類 212
  (1) 集計表におけるカースト・トライブ・レイス
  (2) 統計表におけるカースト・トライブの分類法
5. 結論 223
注 225
参考文献 228


第13章 ネパール ――「カースト」と「民族」の連続[石井溥] 231
1. はじめに 231
2. ネパールの国勢調査の歴史 231
3. 国勢調査票(国勢調査表) 232
4. 国勢調査と国民の分類 235
  (1) カースト/民族
  (2) 言語
  (3) 宗教
  (4) 国籍
5. むすび 250
注 251
参考文献 251


  III アメリカ大陸 253

第14章 カナダ ――「人種」のゆらぎと隠蔽[スチュアート ヘンリ] 255
1. はじめに 255
2. カナダ国勢調査の略史 257
  (1) ニューフランスの人口調査:1666〜1739年
  (2) イギリス領カナダの人口調査:1765〜1861年
  (3) カナダの国勢調査:1871〜1941年
  (4) カナダの国勢調査:1946〜2001年
3. 考察 264
4. まとめ 268
謝辞 270
注 270
参考文献 270


第15章 アメリカ合衆国 ――揺らぐ境界・揺らがぬ境界[竹沢泰子] 273
1. はじめに 273
2. 国勢調査制度化の歴史的背景 274
3. 調査年ごとにみる特徴 275
4. 人種・エスニシティ関連項目の歴史的変化 278
5. 2000年の国勢調査の人種・エスニシティ分類をめぐって 284
6. むすび 289
注 292
参考文献 293


第16章 メキシコ ――先住民統治への国家の意志[黒田悦子] 295
1. 先住民人口把握への腐心 295
2. 国勢調査の歴史 296
3. 近年の国勢調査からみえてくること 298
4. まとめ 299
謝辞 300
参考文献 300


第17章 中央アンデス(ペルー・ボリビア)――2種類の先住民と先住民運動[木村秀雄] 301
1. はじめに 301
2. 国勢調査の変遷 302
  (1) ボリビア
  (2) ペルー
3. ボリビア2001年国勢調査の分析 308
  (1) 調査結果
  (2) 調査項目の相互関係
4. 低地先住民人口調査 312
  (1) ボリビア
  (2) ペルー
5. ボリビアとペルーにおける国勢調査・先住民調査の社会政治的背景 317
  (1) 高地と低地
  (2) 先住民運動
参考文献 321


  IV アフリカ 323

第18章 スーダン ――部族・種族・言語集団をめぐって[大塚和夫] 325
1. はじめに 325
2. 資料の紹介 326
3. 2つの国勢調査における質問項目の比較 331
  (1) 質問項目とその説明
    (i) 1955/56国勢調査
    (ii) 1973国勢調査(短い形式)
    (iii) 1973国勢調査(長い形式)
  (2) 2つの質問票における質問項目の比較検討
4. 「民族」的な国民の下位分類をめぐって 337
  (1) 部族について
  (2) 家庭内で使用されている言語
  (3) 考察
5. むすびにかえて 340
注 341
参考文献 342


第19章 ケニア ――国勢調査と超民族化現象[松田素二] 345
1. 現代ケニア社会と国勢調査 345
  (1) 政治的行為としての国勢調査
  (2) ケニアにおける国勢調査
2. 政治化する国勢調査 348
  (1) 国勢調査の波紋
  (2) 人口増加率の不思議
  (3) カレンジン民族の人口増加
3. 超民族化現象とカレンジン民族 352
  (1) 超民族としてのカレンジン
  (2) カレンジンとは誰か
4. カレンジン民族の生成と国勢調査 356
  (1) カレンジン民族の誕生
  (2) カレンジン民族の定着
5. まとめ――カレンジン現象と国勢調査 359
注 361
参考文献 362


  V オセアニア 365

第20章 オーストラリア ――国民の創出[上橋菜穂子] 367
1. はじめに 367
2. 特定の人々の排除 368
  (1) 憲法における「アボリジナル・ネイティブ(aboriginal native)」の排除
  (2) 法における「アボリジナル・ネイティブ」の排除
  (3) 「アボリジナル・ネイティブ」のカテゴリー
3. 国勢調査の設問の変化にみる「人種・民族」意識の変遷 373
  (1) 「人種出自(racial origin)」に関わる設問の変化
  (2) 国籍と市民権を問う設問
4. おわりに 379
注 380
参考文献 381


第21章 ニュージーランド ――「人種」からエスニック集団へ[内藤暁子] 383
1. はじめに 383
2. 国勢調査の歴史 384
3. 国勢調査にみられる「人種(race)」からみたマオリ 386
4. エスニシティの導入 389
5. 「ニュージーランドのヨーロッパ人」とは誰か 392
6. マオリと「イウィ」 394
7. おわりに 395
注 396
参考文献 397


第22章 パプアニューギニア ――モザイク状の民族分布[栗田博之] 399
1. はじめに 399
2. 植民地化以前のニューギニア社会 400
3. 植民地化の歴史 402
4. 植民地時代の人口調査 405
5. 国勢調査 406
参考文献 412


あとがき(2004年1月10日 青柳真智子) [413]
索引 [414-419]
著者略歴 [420-423]