編者:中野 秀一郎[なかの・ひでいちろう] (1936-) 社会学。
編者:今津 孝次郎[いまづ・こうじろう](1946-) 教育社会学。
著者:谷 富夫[たに・とみお](1951-) 社会学。
著者:青木 秀男[あおきひでお](1943-) 社会学。
著者:馬越 徹[うまこし・とおる](1942-) 比較教育学。
著者:山中 速人[やまなか・はやと](1953-) 社会学。
著者:田中 宏[たなか・ひろし](1937-) 日本アジア関係史。
著者:原尻 英樹[はらじり・ひでき](1958-) 教育学、文化人類学。
著者:John C. Maher[ジョン・C・マーハ](1951-) 応用言語学。
著者:清野 正義[せいの・まさよし](1937-) 社会学。
著者:宮島 喬[みやじま・たかし](1940-) 社会学。
著者:前田 成文[まえだ・なりふみ](1940-) 文化人類学。
シリーズ:Sekaishiso seminar
NDC:316.81 民族・人種問題.民族運動.民族政策
【目次】
はしがき(一九九二年 十二月中野秀一郎, 今津孝次郎) [i-iii]
目次 [v-xii]
I エスニシティ問題の現在
第1章 都市国際化と「民族関係」[谷富夫] 002
1 外国人労働者導入の論理 002
二つの提言 「国際化」の戦前と現在 インテリのエゴイズム
2 エスニック・コミュニティ 009
その生態学的特徴 日本人の「ムラ」 アイデンティティのありか 共同化の可能性
3 民族関係のゆくえ 019
民族文化の世代継承性 国際化の「再来」 出稼ぎから定住へ
第2章 外国人労働者と都市下層[青木秀男] 026
1 外国人労働者の規定 026
2 外国人労働者の送出と受入の過程 027
フィリピンの移民 寄せ場と外国人労働者 外国人労働者の移動の一般過程
3 外国人労働者と労働市場 037
就労形態と労働市場 事業所の階層構造
4 都市下層としての外国人労働者 043
都市の階層構造 最下層地域の比較
第3章 留学生[馬越 徹] 048
1 留学生を取り巻く問題状況 048
エスニシティ問題との接点 「留学生受け入れ一〇万人計画」の意味 就学生と日本語学校
2 国際的通用性に欠ける日本の大学 054
「異文化」としての大学 「入り口」の障壁 学部教育の貧困・大学院の閉鎖性 博士学位問題
3 試される日本社会 061
「留学インフラ」の整備 問われる日本人の「こころ」
第4章 インドシナ難民――姫路定住促進センターの経験を通して考える[中野秀一郎] 066
1 日本社会と難民 066
ボートピープルの〈襲来〉 難民受け入れの背景
2 インドシナ難民の受け入れ 071
貧しい日本の実績 難民受け入れの開始
3 定住とその問題点 077
適応訓練と就職 定住促進センターの経験が語るもの
II 日本社会とエスニシティへの視角
第5章 近代日本のエスニシティ観――新聞の朝鮮(人)報道を手掛かりに[山中速人] 086
1 エスニック・イメージの形成とメディア 086
メディアがつくるエスニック・イメージ メディア史からみた朝鮮人報道――「日韓併合」「三・一独立運動」から三〇年代へ
2 戦前期の新聞にみられる朝鮮人像 091
「日韓併合」報道の朝鮮人像 初期の在日朝鮮人像――留学生 三・一独立運動の「暴徒」報道――分裂した論調 三〇年代の『大阪朝日』にみる朝鮮人像
3 同化主義の日本的特徴 102
二つの「同化主義」 受容と排除のダブル・バインド
第6章 日本における外国人労働者論議の“死角”[田中 宏] 108
1 外国人労働者の登場 108
増えつづけるニュー・カマー 入管法改正と日系人の急増 とまらない「不法就労」
2 「越境」の今と昔 116
映し出される日本社会の変貌 「ジャパゆき」と「からゆき」 日本の移民史 外国人労働力の移入
3 「国籍」そして「民族」 122
旧植民地出身者の国籍処理 「黒船」のもたらした衝撃 共生社会へのカギ
第7章 在日朝鮮人研究における〈実践倫理〉の要請[原尻英樹] 130
1 社会科学者による在日朝鮮人研究 130
戦前の在日朝鮮人「研究」 戦後の在日朝鮮人研究 佐藤勝巳氏の『在日韓国・朝鮮人に問う』 坂中論文
2 「在日韓国・朝鮮人」という呼称のもつ意味 139
『在日朝鮮人の生活世界』からの問い
3 〈実践倫理〉の必要性 141
宮沢賢治からの問い
第8章 多言語性と多文化性[Jhon C. Mahar] 146
1 日本の現実と問題点 146
マイノリティとコミュニティ 日本単一民族説? カナダの事例――トルドー政策
2 多面性の構造 150
アイデンティティの多面性 国家という神話 教育の役割
3 これからの課題 154
言語の働き 多文化・多言語の可能性 言語同化政策との決別
第9章 異人・非人・外人・人間――日本人のウチとソト[今津孝次郎] 160
1 日本人の自己認識 160
自己認識のステレオタイプ 日本社会とエスニシティ
2 日本の複合文化性 165
異人としての山人 常民と被差別民 畏怖と蔑視と二つの宇宙
3 日本人のウチとソト 173
「閉鎖的」文化 ウチへの同化とソトへの排除 「閉鎖的」文化の変動
第10章 人権と市民権の新しい問題領域[清野正義] 186
1 はじめに 186
2 国民国家と単一民族国家観 188
西ヨーロッパと日本 多民族国家としての日本
3 日本の北方問題と南方問題 191
北方先住民 日本の南方問題
4 近代市民権とその内容拡大 196
市民権の理論 人権理論の展開 人権概念の拡大と地球市民の生成
5 国際化する日本社会の人権問題 201
日本社会の多重的構成 単一民族国家観の克服のために
第11章 定住マイノリティのアイデンティティと権利――ヨーロッパの視点から[宮島 喬] 207
1 定住化と意識変容 207
旧植民地宗主国 定住化と統合政策 意識の変容
2 個別性と普遍性 214
アイデンティティの複合性 社会経済的・政治的平等
3 共存の条件 218
独自であることの権利 「同化(政策)」を超えて
第12章 国家・言語・宗教・慣習――東南アジアからの視点[前田成文] 223
1 はじめに 223
なぜ東南アジアか、なぜマレーシアか なぜエスニシティか 国家がエスニシティを定義する
2 エトノスとしてのマレー人 229
地理的エスニシティ 政治的統合によるエスニシティ アイデンティティの多重性・エスニシティの重層性
3 先住者の主権と来住者の公民権 232
逆差別としてのブミプトラ政策 同化できない華人系 選択できるインドネシア移民 移民と故郷 国民統合と人権
4 エスニシティ論の有効性 237
差別状況の説明原理となりうるか 虚のエスニシティ 権利の主体、差別の対象
第13章 エスニシティの社会学に向けて[中野秀一郎] 243
1 エスニシティ現象と日本 243
悲劇の多様性 〈人種関係〉アプローチ 日本的特殊性
2 日本における人種関係 249
人種関係の類型 国籍と市民権
3 人種葛藤の構造 253
エスノ・ナショナリズム 人種と階級 被征服体験
4 新しい視角 257
エスニシティ・アプローチの登場 「同化」よりも「共存」 新しい国家の役割 残された問題
執筆者紹介 [265-266]