著者:佐藤 哲彦[さとう・あきひこ](1966-) 社会学。
カバーデザイン:高木 達樹[たかぎ・たつき] デザイナー。しまうまデザイン。
NDC:368.85 社会病理 >> 薬物依存 >> 覚醒剤
備考:博士論文を成書化。
【目次】
題辞 [/]
はしがき(著者) [i]
目次 [iii-xi]
タイトル [001]
編集部注 [002]
序章 覚醒剤の社会史――ある奇妙な「何か」から考えはじめること 003
1 はじめに 003
2 社会学的に考える、ということ 004
3 犯罪と統治技術 006
4 ドラッグについて 008
5 技術について 009
6 覚醒剤という現象 012
7 本書の構成 015
注 019
第一部 ドラッグ政策研究と方法論の検討 021
第一章 ドラッグ問題とドラッグ政策研究――リンドスミスのドラッグ研究 023
Ⅰ ドラッグ政策の歴史的背景 023
1 流通統制 24
2 使用統制 25
Ⅱ 依存理論とドラッグ政策研究 028
1 依存理論 28
2 政策研究 32
Ⅲ ドラッグ政策を左右する要因 034
1 連邦麻薬局と最高裁判決 34
2 犯罪化政策の原因 36
Ⅳ 初期ドラッグ政策研究の図式 038
1 政策研究の図式 38
2 利害関心・行為・結果 39
3 言語活動と状況への包摂 41
4 受容という結果 43
注 045
第二章 政策と道徳―機能分析という方法 049
Ⅰ 政策に対する機能の分析 049
1 機能分析 49
2 検討 51
3 機能分析にともなう問題(1)――機能の記述 53
4 機能分析にともなう問題(2)――客観主義の問題 56
Ⅱ 被害者なき犯罪 060
1 被害者なき犯罪の機能 60
2 道徳的な語り方 61
Ⅲ モラル・パニック論 063
Ⅳ 法と道徳 066
1 法が先か道徳が先か 66
2 サンクションの調査研究 70
3 当事者の発話 72
注 075
第三章 ディスコースの分析――方法論的ディスコース主義 079
Ⅰ 言語的活動について 079
1 言語行為について 80
2 提案と承認 83
3 ディスコース分析 85
4 発話とテキスト 87
5 テキスト分析の事例(その一) 89
6 テキスト分析の事例(その二) 94
Ⅱ 文脈的状況と客体化機能 098
1 状況づけられた道徳 99
2 ディスコースの客体化機能 102
3 カテゴリーの提案と承認 108
4 経験の組織化 112
Ⅲ 社会問題構築論と逸脱の医療化論 115
1 社会問題構築論とその問題点 115
2 逸脱の医療化論 119
3 もうひとつの説明方法へ 120
注 122
第二部 覚醒剤現象の研究
第四章 初期医学的諸研究――薬理作用の探究 133
Ⅰ 覚せい剤取締法案の合理的根拠 134
Ⅱ 初期の諸研究 137
1 堀見太郎ほか「精神状態二及ボス”Hospitan"(Phenylmethy-aminopropan)作用二就テ」 138
2 三浦謹之助「麻黄より製出せる除倦覚醒剤に就て」 148
3 有山登「新興奮剤β-phenylisopropylamin」 156
4 その他のテキストについて 163
Ⅲ 初期医学的諸研究のディスコース編成 169
注 171
第五章 覚醒剤中毒のディスコース編成――探究から鑑定へ 175
Ⅰ 新たな文脈的状況の提案 175
1 急性中毒現象の説明 175
2 新たな文脈的状況の提案再び 181
3 混在する文脈的状況 185
Ⅱ 覚醒剤中毒のディスコース編成 186
1 新たな説明編成 187
2 総説とその実践 194
3 各論の新たな編成 199
4 特定カテゴリーと問題の結びつき 203
5 中毒性精神病への連続性 209
6 「中毒者」の機能 215
Ⅲ 探究と鑑定 223
1 中毒ディスコースの成立 223
2 探究から鑑定へ 225
3 領域編成の変化 227
4 病理と価値 229
注 233
第六章 法案審議にいたるまでの過程――前提的に構築される他者性 238
Ⅰ 特定カテゴリーと覚醒剤の結びつき 240
1 特定の使用者とその使用 242
2 軍部への言及 249
3 浮浪児と青少年 252
Ⅱ 法案審議にいたるまでの諸局面 255
1 問題の所在 256
2 覚醒剤言及の限定性 261
3 混在する意味とひとつの予兆 267
Ⅲ 青少年問題 269
1 二つの原因説 270
2 青少年問題協議における精神衛生 276
3 青少年問題協議における覚醒剤 281
Ⅳ 薬理作用の強さ 288
注 291
第七章 法案成立、そしてその後――新たな他者性の構築 299
Ⅰ ある「回顧」の意味するもの 299
Ⅱ 国会審議 302
1 審議の再開 303
2 新たな水準設定と立法可能性 307
3 法案作成上の技術的処理 310
Ⅲ 覚せい剤取締法の成立とその後 328
1 法案可決 328
2 所持と密売 332
3 取締法成立 334
4 外国人表象における加害者の合流 337
5 精神異常犯罪 348
Ⅳ 覚醒剤の意味の変化 354
注 356
第八章 覚醒剤使用者の告白――語りの同心円構造 367
Ⅰ 使用者の語りと他者の語り 367
1 安吾的経験 367
2 尾崎的記述 370
Ⅱ 他者の語りの制度化 375
Ⅲ 覚醒剤中毒告白の同心円構造 380
1 親という他者の語り 380
2 自己にかんする自己の語り 385
3 覚醒剤中毒告白のディスコース編成 390
4 「白い粉の恐怖」における語り 392
注 398
終章 覚醒剤ディスコースと統治技術――何が思考されなかったのか 403
Ⅰ 薬理効果とドラッグ 404
1 ドラッグとは何か 405
2 他者性の象徴 407
Ⅱ 社会を召喚すること 408
1 前提的に構築されるもの 409
2 統治技術としての精神科学 411
Ⅲ 方法論と「考える」こと 415
1 記述と説明 415
2 既存の研究の意味 418
Ⅳ 物語の反復 420
1 嗜癖と回復 420
2 別の可能性 425
Ⅴ 表現すること、思考すること 428
1 文章構造と現実の構築 428
2 何が思考されなかったのか 431
注 435
あとがき(二〇〇六年三月 佐藤哲彦) [437-440]
参考文献・引用資料 [iii-xvi]
索引 [i-ii]
【メモランダム】
・書評 by 松永寛明(佛教大学)@『犯罪社会学研究』2007年 32巻 pp. 162-165 。
著者からの返答もある。
『覚醒剤の社会史-ドラッグ・ディスコース・統治技術』, 佐藤哲彦著, A5判, 467頁, 5,880円, 東信堂, 2006年