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『主語を抹殺した男――評伝三上章』(金谷武洋 講談社 2006)

著者:金谷 武洋[かなや ・たけひろ] (1951-)  言語学
NDC:289.1 個人伝記
備考:注意がひとつ。本書には、日本語学界隈へ著者が抱いている偏見が埋め込まれている。その部分を除けば取材に基づいた評伝として読める。


『主語を抹殺した男 評伝三上章』(金谷 武洋)|講談社BOOK倶楽部



【目次】
目次 [002-004]


序章 三上章を追いかけて 005
  未曾有の日本語ブーム/「三上章フェスタ」/取材旅行/本書の構成


第一章 三上文法と出会う 015
  二七歳の秋、ケベックの青空/多忙な毎日/予期せぬ日本語教師の話/ドイツ語風日本語教授法/最初の氷山は「ジュ・テーム」/「日本語がわかります」が説明できない/ある日の授業風景/「代用教員」の終わり/署名運動に感激する/『序説』と『象』を読む/雲散霧消した氷山/主語が単文を越える/「が」も主語を表さない/三上文法で日本語を教える/動詞活用がない/盆栽とクリスマス・ツリー/主題をしめす助詞の「は」/虫の視点と神の視点/視点の異なる『雪国』/チョムスキーもまた/西洋古典語と日本語――修士論文/人間、三上章を知りたい/生涯に迫る


第二章 幼年〜学生時代 067
  帰農した武家/甲立村/三上家に相次ぐ婿養子/少年時代/中学校に入る/反骨精神/人間的魅力にあふれる問題児/山口高等学校へ/あっさりと退学/呈高の友人たち/親友桑原武夫の言葉/所属は理科、心は文科/今西進化論のルーツ/ピアノを習う/三上のピアノと宣長の鈴/東京大学建築科受験/大学生活/夏休みの帰省/ようやく決まった就職


第三章 知的逍遙時代 107
  転地に継ぐ転地/処女論文と「早川鮎之助」/三上文法の芽生え/台湾から朝鮮へ/スポーツに熱中/満州事変勃発/職場の去就は「不整然」/帰国後の浪人生活/『批評』から連載依頼/芸術批評から日本語文法へ/ヴァレリーと三上/もう一つの「真珠」


第四章 街の語学者 133
  三上章の一九四一年/母と妹との三人生活/筆名の暗号を解く/一気に解けた謎/契沖になりたかった/円珠庵を訪れる/時間を越え、空間を越えて/「国語」と「日本語」/文法学の師l佐久間鼎/佐久間学校の愉しさ/「日本語」が始まった/「松坂の一夜」と「大阪の一夜」/けっして不幸ではない/日本語をめぐる大論争/打ち合わせのハンカチ/目からウロコの「語法研究への一提試」/戦争は形勢不利に/堰を切る創作力/陥ったスランプ/金田一春彦との出会い/忘れられないエピソード/千野栄一の遺稿/抹殺と黙殺/国際的な叔父と甥/共通する「土着主義」/反論に出会えない口惜しさ/学士院からの突然の解雇/三上義夫、不遇の晩年/最後の対面/山田文法と三上文法/学歴社会日本の差別構造/「真の学者」とは/ハーバート・ノーマンの手紙/母フサの急死/「新たな生涯、静かな余生」/三上兄妹とチェーホフ兄妹/就職用の博士号/大嫌いな「博士呼ばわり」/ボクは日曜文法家/親友にして恩人――岡野篤信/ローマ字運動/『象は鼻が長い』誕生/目指すのは「忘却の光栄」/一九六三年の豊穣/豊穣の陰で


第五章 晩年 227
  舞い込んできた朗報/大谷女子大学教授に就任/「いささか変わった先生」/時間へのこだわり/悪化する体調/「兄アキラとともに」/ハーヴァードからの招聰/アメリカへ/黒雲のごとく募る不安/「さびしくていけない」/敗北宣言/寂しい帰国/「まだ書きたい」/病室から見た花火/待ちくたびれ、力尽きる/天へ飛び立った鶴


終章 時空を越えて 263
  赤毛のアン/雪の日


三上章 年譜 [270-276]
参考文献 [277-280]
謝辞(二〇〇六年一〇月二六日 一時帰国中、池袋のホテルにて 金谷武洋) [281-285]