著者:垂水 雄二[たるみ・ゆうじ] 科学ジャーナリスト。翻訳家。
【目次】
はじめに [003-004]
目次 [005-008]
1章 生命倫理とは何か 009
1 生命倫理とは 010
2 生命倫理の源流 012
3 生命倫理を生みだした六つの流れ 014
(1) 非倫理的行為の曝露
(2) 遺伝子技術の発達
(3) 臓器移植にともなう脳死問題
(4) 環境問題
(5) 人工中絶問題と生殖医療の発達
(6) 医療の進歩と老人問題
4 生命倫理の定義 020
5 生命倫理学の役割 021
6 生命倫理に必要な視点
(1) 歴史的・文化的な視点
(2) グローバルな視点
(3) 科学技術的な視点
(4) 複眼的・相対的な視点
(5) リスク評価的な視点
2章 文明の光と影 029
1 文明崩壊の条件 031
(1) 環境破壊
(2) 気候変動
(3) 敵対的集団による攻撃
(4) 友好的集団からの援助の停止
(5) 問題に対する社会の対応
2 人類前史 034
3 人類社会の発展――生産力の向上と災い 036
(1) 農業
(2) エネルギー
(3) 情報
(4) 交通
4 近代化に潜む危機と希望 045
5 科学技術と社会 047
3章 生命観の歴史 049
1 映画のなかの生命観 050
2 生命とは 052
3 ガレノスの生命観 054
4 病気観の変遷 055
5 生気論の系譜 056
(1) 精神の座はどこにあるのか
(2) 死んだら魂はどこへいくのか
6 生命の本態を求めて 059
(1) 前成説と後成説
(2) 自然発生説論争
7 機械論の発展 063
8 生命観の未来 065
4章 脳死と臓器移植 069
1 死の判定 070
2 脳死判定基準 072
3 臓器移植前史 074
(1) 人工人間
(2) 人工臓器
4 臓器移植の歴史 076
(1) 心臓以外の移植
(2) 心臓移植の歴史
5 臓器移植が抱える困難 079
(1) 拒絶反応の抑制
(2) 臓器の確保
6 臓器移植法の改正 082
7 臓器移植をめぐる生命倫理的問題 084
(1) 正当な医療なのかという問題
(2) 決定権の問題
(3) 臓器不足にまつわる問題
(4) 経済的問題
5章 優生思想の歴史 087
1 優生学とは何か 088
2 アメリカにおける展開 090
(1) 優生学と人種差別の結びつき
(2) ノーベル賞受賞者の精子バンク
3 ドイツにおける展開 095
4 日本での展開 097
5 優生学がはらむ倫理的問題 098
(1) 生きるに値しない命なのか
(2) 人種という誤り
(3) 知能検査は何を測っているのか
6章 生殖をめぐる倫理 子供が欲しい人と欲しくない人 105
1 性の生物学的意味 106
2 出産と社会 108
3 避妊と中絶の歴史 110
(1) 避妊の歴史
(2) 妊娠中絶
(3) 胎児の人権
4 間引きと捨て子 115
5 不妊治療 117
6 代理母出産 118
7 クローン出産 120
8 デザイナーベビー 123
7章 遺伝子とヒトゲノム 125
1 メンデルの発見 126
2 遺伝子の解明 128
(1) 染色体説の確立
(2) 遺伝子の実体を求めて
(3) 二重らせんモデル
3 生命工学の発展 132
(1) 遺伝子組み換え技術への道
(2) ヒトゲノム計画
4 遺伝子とゲノム 135
(1) ゲノムとは何か
(2) 誰のゲノムか
(3) 遺伝子概念の多様性
(4) 行動の遺伝子
8章 遺伝子病と遺伝子診断 141
1 遺伝病と遺伝子疾患 143
(1) 遺伝子病の解析
(2) 癌の遺伝子
(3) アイスランドの実験
2 遺伝子診断(スクリーニング) 148
(1) 新生児の遺伝子スクリーニング
(2) 遺伝病の人種差
(3) 成人の遺伝子診断
(4) 出生前診断
(5) 遺伝子診断と生命保険
3 遺伝子治療 155
4 テーラーメード医療とゲノム創薬 158
9章 遺伝子組み換え食品 159
1 品種改良の歴史 160
(1) 伝統的な方法
(2) 突然変異育種から遺伝子組み換えへ
2 遺伝子組み換え作物 162
(1) 作り方
(2) 組み換え作物の開発
3 組み換え食品への批判 165
(1) 不安の源泉
(2) 路線変更
4 遺伝子組み換え作物の社会的問題 168
(1) 種子戦争
(2) 国際的対立
5 遺伝子組み換え作物の倫理的問題 171
(1) ヒト遺伝子特許
(2) 農作物特許
10章 流行病(感染症)と公衆衛生 175
1 風土病と流行病 176
(1) 風土病(endemic)
(2) 法律に規定された感染症
2 流行病(感染症)の歴史 178
(1) ペスト
(2) 天然痘
(3) コレラ
(4) チフス
(5) マラリア
(6) インフルエンザ
(7) エマージェント感染症
3 病気の原因と治療法 185
4 公衆衛生学の発達 186
5 感染症対策 187
(1) 病気の発生するような衛生条件をなくする
(2) 感染の予防
(3) 感染の拡大を防止する
6 感染症対策における倫理的問題 189
(1) リスク評価
(2) 感染者差別
11章 公害病と企業倫理 191
1 公害病の歴史 192
(1) 鉱山病
(2) 大気汚染による呼吸器疾患
(3) 鉱害病
2 現代の公害病 195
(1) 産業からの汚染物質
(2) 大気汚染
(3) 薬害
サリドマイド事件/キノホルム/薬害エイズ/薬害肝炎
(4) 食品中毒
森永砒素ミルク事件/カネミ油症事件/メラミン汚染牛乳事件
3 狂牛病 204
(1) 狂牛病の発見
(2) 狂牛病の衝撃
(3) 後手に回った政府の対策
(4) 日本上陸
(5) アメリカの狂牛病
(6) 安全性とリスク評価
4 まとめ 211
12章 安楽死と尊厳死 213
1 安楽死とは何か 214
2 安楽死の分類 215
(1) 積極的安楽死と消極的安楽死
(2) 患者の意思による区別
3 尊厳死 217
4 自殺をどう見るか 218
5 安楽死を巡る歴史 220
(1) 英国
(2) 米国
カレン・クインラン事件/サイケヴィッチ事件/ベビー・ジョン・ドゥー事件/ナンシー・クルーザン事件/キヴォーキアン事件
(3) オランダ
(4) 日本
6 リビング・ウィル 229
7 ターミナル・ケアとホスピス 230
(1) トータルペイン
(2) ホスピス
13章 環境倫理と動物の権利 233
1 自然という概念 234
2 自然観の変遷 236
(1) 西洋的自然観
(2) ロマン主義的な自然観
(3) 生態学的な自然観の発展
(4) 自然をめぐる幻想
3 自然保護の倫理的基盤 241
(1) 資源としての自然
(2) 住む環境としての自然
(3) 癒しや喜びの対象としての自然
4 環境汚染と保全生態学 243
(1) 『沈黙の春』の衝撃
(2) 地球サミット
(3) 保全生物学
5 地球温暖化 248
6 動物の権利 250
14章 生命倫理の規範 253
1 倫理の根拠 254
(1) 生物学的な根拠
(2) 社会的な根拠
2 何が倫理の基準なのか 256
(1) 義務論(deontology)
(2) 帰結主義(consequsentalism)
3 功利主義 258
(1) 功利主義で押し通すことができない
(2) 社会的規範としての功利主義の問題点
4 ロールズの批判 262
5 生命倫理におけるキーワード 264
(1) 自由意思(自己決定権)
(2) 情報の開示
6 利己主義からどうして利他主義が生まれるか 269
(1) 囚人のジレンマ・ゲーム
(2) ジレンマからの脱出
(3) 利他主義に向かう生得的傾向
15章 生命倫理とグローバリズム 275
1 経済格差がもたらす生命倫理問題 276
(1) 臓器移植
(2) 代理出産
(3) 人身売買
2 システムの混乱――未開社会に突然訪れた文明 279
(1) 伝統的価値観の崩壊
(2) 都市問題
3 価値観の衝突 281
(1) 生命操作
(2) 捕鯨問題
(3) 婚姻制度
(4) 科学と宗教
4 生態系としての地球 285
(1) ガイアの思想
(2) エネルギー資源の枯渇
(3) 金属資源の枯渇
(4) 水産資源の枯渇
(5) 水資源の枯渇
あとがき(二〇一〇年五月 垂水雄二) [293-295]
参考文献 [296-299]
事項索引 [300-303]
著者紹介 [304]