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『近代日本語の思想――翻訳文体成立事情』(柳父章 法政大学出版局 2004)

著者:柳父 章[やなぶ・あきら] (1928-2018) 比較文化論、翻訳語の研究。
NDC:816 日本語 >> 文章.文体.作文


近代日本語の思想 | 法政大学出版局


 2017年に新装版が刊行。
近代日本語の思想〈新装版〉 | 法政大学出版局



【目次】
目次 [iii-ix]


第一章 「主語」は翻訳でつくられた  001
序 憲法の問題 001
1 悪文、大日本帝国憲法 002
2 それは、翻訳のせいだった 006
3 明治憲法以前の主語の翻訳 013
4 教育の場での翻訳 018
5 「〜ハ」構文の文法――三上章説を中心に 020
6 「〜は」と「〜が」 024


第二章 「主語」はこうしてつくられた 029
1 論文における「主語」 029
2 「主語」の文法 03
3 近代日本における「主語」の論理 035
4 漱石の「〜は」への風刺 040


第三章 小説における主語 043
1 小説における人称の「主語」 043
2 西洋市民社会の主人公 046
3 「彼」の文法、その論理 049
4 特別な人物を指す「三人称代名詞」 052
5 「彼は」、「彼女は」への批判 055
6 「彼」「彼女」への抵抗 057
7 やはり、「彼は」、「彼女は」は使われている 060


第四章 「文」は近代につくられた 065
1 日本文には、切れ目はなかった 065
2 句点「。」を打つ苦心 069
3 結局、「文」がよく分からなかった 074
4 「文」概念は入っていたが…… 076


第五章 文末語もつくられた 081
1 「文」がつくられた 081
2 「た。」は過去形か 083
3 過去形「た。」の出現 087
4 近代以前の「口語文」 089
5 少数の作家だけが歓迎した「た。」 093
6 現在形もつくられた 095
7 「ル形」は、まともな文型ではなかった 097
8 「デアル。」文がつくられた 102


第六章 日本語はつくられていく 107
1 志賀直哉の翻訳調文体 108
2 「彼」の到達した個人主義 112
3 「彼は……た。」の論理 116
4 漱石の「現在形」 119


第七章 「〜は……である。」文の新しい意味 125
1 歴史における翻訳 125
2 「〜は」の役割が変わった 127
3 書き言葉における「である。」 132
4 「〜は……である。」文の論理 136
5 日本国憲法前文の「〜は」 141


第八章 日本語の論理 147
1 西田哲学の「主語」論理批判 147
2 「述語論理」の説――中村雄二郎木村敏 149
3 翻訳論の立場から 154
4 西田哲学と時枝文法論 156
5 さらに翻訳論の立場から 160


第九章 A+B→C の文化論 165
1 「未知」なままでの理解方法 165
2 現代の流行現象から 168
3 異文化「フランス」 170
4 キリシタンキリスト教徒だったのか? 173
5 キリシタンの「転び」 177
6 「転び」と両立する信仰 179


第十章 漢字の造語力と、意味の空しさ 183
1 「〜は」構文と漢字 183
2 訓読みの時代 185
3 音訓併用の時代 188
4 日本独自の勉強法「素読」 192
5 文字が時代をつくる 195
6 日本近代をつくった漢字 197
7 漢字の特有の機能について 202
8 漢字の「形」の造語力 205
9 漢字の「意味」の造語力 208
10 漢字造語力への思い込み 211
11 「外来語」の造語力 215


第十一章 言葉の限界 221
1 言葉に閉じこめられて 221
2 言葉の裂け目――パラドックス 224
3 堅固な言葉、文字 226
4 差別も文字がつくり出した 228
5 文字以前の言葉の世界 230


各章おもな参考文献 [235-237]
あとがき(二〇〇四年四月 柳父章) [239-242]