著者:稲葉 振一郎[いなば・しんいちろう](1963-)
著者:立岩 真也[たていわ・しんや](1960-2023)
章扉絵:宮川 一郎
著者撮影:鈴木 理策
協力:須川 善行、奥山 國夫
件名:国家
件名:所有権
件名:市場論
件名:資本主義
NDLC:A12
NDC:311 政治学.政治思想
NDC:311.04
NHKブックス No.1064 所有と国家のゆくえ | NHK出版
【目次】
目次 [003-006]
まえがき(二〇〇六年七月 白金の研究室にて) [007-011]
第一章 所有の自明性のワナから抜け出す 013
1 社会の基礎に所有がある 014
福祉国家の概念を壊す
所有という根本問題
いまある仕紐みを批判する
他者から始まる所有論
政治・経済の基本要素
私有に対する別の私有
「みんな」を起点にした議論の限界
批判・否定のしかた
分けてしまえばよいもの/分けられないもの
2 どこまでが自分のものか 037
人とものとの区別
所有される対象とは何か
身体の捉え方
切離できないものが分配されない
もっと繊細な決まりがある
左翼はどれぐらいかっこ悪いか
立岩――「分配する最小国家」について 052
◆1 強制力が要求される理由
◆2 国家がなすべきこと①加害の抑止
◆3 国家がなすべきこと②分配
◆4 分配の範囲は国家に限らない
◆5 三つの次元でなされる分配
◆6 国家がしなくてもよいこと
◆7 供給の機構を変える
◆8 人の違いに応じた分配の必要とその方法
◆9 大きい/小さいの対立は虚しい
◆10 成長を目指さない
◆11 まず立ち位置を決めようとする
◆12 意思は尊重するが合意を必要としない
◆13 漸進主義・改良主義
◆14 まずできること
補記
「分配する最小国家」ということば
分配に応ずる「動機」と生産に向かう「動機」について
道具は道具の場所に置く
常に別の欲望がある
第二章 市場万能論のウソを見抜く 065
1 市場のロジックを検証する 066
人が必ずもつべきもの
人的資産の二重性
「売る」と「貸す」の区別
譲渡できるもの/できないもの
区別をどのようにつけるか
平等主義・保守主義市場のダイナミズム
経済学が想定する初期条件
取引の自由は選べない
現状は現状維持なのか
ニつのタイプの社会モデル
市場から所有へのフイードバック
市場社会の不幸な事故
2 分配の根拠を示す 098
結果の平等はなぜ評判が悪いのか
歴史原理と状態原理
嫉妬感情の正当性
再分配という発想市場
原理主義の舌矛盾
社会のダイナミズムと安定性
「物価」は安定していた方がいい
市場に対する制限
国家がやるべき三つのこと
第三章 なぜ不平等はいけないのか 125
1 平等をどのように規定するか 126
分配のために、まず国家は要る
分配的正義と搾取論
ローマーの「機会の平等」論
機会の平等と結果の平等
効用の個人間比較
フェアネスとは何か
ゲームのルールにみるフェアネス
労働を分割する
能力の差をどう組み込むか
アソシエーショニズムとは何か
「国家が」でも、「自分たちで」でも、うまくいかない
国境を超えた分配
2 マルクス主義からの教訓 161
マルクス主義の二枚舌構造
分析的マルクス主義者の青写真主義
何をするか、しないかを考える
乱暴に考えないこと
実行可能性について
合意は大切だが合意でしかない
体制変革論の気分的な根拠
搾取理論の間題点
不平等こそ問題である
人間改造思想への危倶
マルキシズムおよびマルクス
変革のもとについて
世界主義
3 権利は合意を超越する 187
ノージックの権利論
規約主義と規範主義
思いを超えてあってほしという思い
ノージック、ロールズ、立岩理論の違い
経済学の世代間取引モデル
次世代の問題をきちんと取り込む
第四章 国家論の禁じ手を破る 207
1 批判理論はなぜ行き詰まったのか 208
国家論の歴史
「国家道具説」から「相対的自律性」へ
批判理論への閉塞感
フーコー権力論の衝撃
悪者探しの無効化
フーコーの隘路から抜け出す
国家は単一の実体ではない
仮想から始める国家論
2 国家の存在理由 228
なぜ国家があるのか
ルーマンの憲法学的な構想
権利の基底性
実定法の外側にはみ出すもの
不平等批判の正しいかたち
肉体レべルに根ざす不平等感
ドゥウオーキンの補償理論
本当に国家に責任はないのか
責任を問うことの不毛さ
法的に呼び出される国家
国際秩序について
稲葉――経済成長の必要性について 259
なぜ景気はよい方がいいのか
実体のない「国際競争力」
環境問題の解決に不可欠な経済成長
今後のシナリオ
市場経済を補完する社会主義
立岩――分配>成長? ――稲葉「経済成長の必要性について」の後に 269
◆1 反対がない方を、は採れない
◆2 絶対値と相対値
◆3 生産・成長について
◆4 効果について
◆5 分ける前に増やさねばという主張について
◆6 インセンティブとしての格差という論に対して
◆7 にもかかわらずなぜか、の確認
注釈 [279-294]
参考文献 [295-297]
あとがき(二〇〇六年七月 長かった梅雨が明けたように思われる日に 立岩真也) [299-301]