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『反貧困――「すべり台社会」からの脱出』(湯浅誠 岩波新書 2008)

著者:湯浅 誠[ゆあさ・まこと](1969-) 社会活動家。政治学
NDC:368.2 社会病理 >> 貧困


反貧困 - 岩波書店


【目次】
はじめに [i-vi]
目次 [vii-x]


第I部 貧困問題の現場から 001

第1章 ある夫婦の暮らし 003
  ゲストハウスの新田夫妻/貧困の中で/工場派遣で働く/ネットカフェ暮らし/生活相談に〈もやい〉へ/貧困は自己責任なのか


第2章 すべり台社会・日本 019
1 三層のセーフティネット 019
  雇用のセーフティネット社会保険セーフティネット/公的扶助のセーフティネット/すべり台社会/日本社会に広がる貧困
2 皺寄せを受ける人々 038
  食うための犯罪/「愛する母をあやめた」理由/実家に住みながら飢える/児童虐待の原因/親と引き離される子・子と引き離される親/貧困の世代間連鎖


第3章 貧困は自己責任なのか 059
1 五重の排除 059
  五重の排除とは/自分自身からの排除と自殺/「福祉が人を殺すとき」
2 自己責任論批判 069
  奥谷豊子発言/自己責任論の前提/センの貧困論/“溜め”とは何か/貧困は自己責任ではない
3 見えない“溜め”を見る 084
  見えない貧困/「今のままでいいんスよ」/見えない“溜め”を見る/“溜め”を見ようとしない人たち
4 貧困問題のスタートラインに 096
  日本に絶対的貧困はあるか/貧困を認めたがらない政府/貧困問題をスタートラインに


第II部 「反貧困」の現場から 105

第4章 「すべり台社会」に歯止めを 107
1 「市民活動」「社会領域」の復権を目指す 107
  セーフティネットの「修繕屋」になる/最初の「ネットカフェ難民」相談/対策が打たれるまで/ホームレスはホームレスではない?/生活保護制度の下方修正?/「反貧困」の活動分類
2 起点としての〈もやい〉 125
  「パンドラの箱」を開ける/人間関係の貧困/自己責任の内面化/申請同行と「水際作戦」/居場所作り/居場所と「反貧困」


第5章 つながり始めた「反貧困」 143
1 「貧困ビジネス」に抗して――エム・クルーユニオン 143
  日雇い派遣で働く/低賃金・偽装請負・違法天引き/貧困から脱却させない「貧困ビジネス」/労働運動と「反貧困」/日雇い派遣の構造
2 互助のしくみを作る――反貧困たすけあいネットワーク 158
  労働と貧困/自助努力の過剰/社会保険セーフティネットに対応する試み
3 動き出した法律家たち 167
  北九州市への告発状/大阪・浜松・貝塚/法律家と「反貧困」/日弁連人権擁護大会/個別対応と社会的問題提起
4 ナショナル・ミニマムはどこに?――最低生活費と最低賃金 181
  「生活扶助基準に関する検討会」/最低賃金と最低生活費/最低生活費としての生活保護基準/知らない・知らされない最低生活費/検討会と「もう一つの検討会」/「一年先送り」と今後の課題


終章 強い社会を目指して 203
  新田さんの願い/炭鉱のカナリア/強い社会を/人々と社会の免疫力/反貧困のネットワークを/貧困問題をスタートラインに


あとがき(二〇〇八年三月末日 自宅にて 湯浅誠) [221-224]
本書に登場した団体連絡先一覧 [1-2]



【図表一覧】
図1 セーフティネットの三層構造(東京新聞「生活図鑑」,2007年3月25日付) 020
図2 正規労働者・非正規労働者の増減[出所:総務省労働力調査特別調査」(1990-2001年),「労働力調査詳細結果」(2002-2007年)] 022
図3 派遣労働者・短時間労働者の年収[出典:厚生労働省「今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会」第1回資料] 023
図4 雇用保険受給率の推移[出典:後藤道夫「ワーキングプア増大の前史と背景」『世界』2008年1月号] 025
図5 被保護世帯数,被保護人員,保護率の推移[出所:厚生労働省「平成18年度社会福祉行政業務報告」] 029
図6 税と社会保障移転による相対的貧困率削減効果[出典:後藤道夫「ワーキングプア増大の前史と背景」,出所:OECD『1990年代後半のOECD諸国における収入格差と貧困――OECD社会・雇用・移民ワーキングペーパー 22』29頁] 032
図7 所得金額階級別世帯数の相対度数分布[出典:厚生労働省平成18年度国民生活基礎調査の概況」] 034
図8 労働分配率の推移(1980-2006年)[出所:財務省「法人企業統計季報」] 035
図9 全人口の相対的貧困率[出所:OECD対日経済審査報告」(2006年7月)] 037
図10 生産年齢人口の相対的貧困率[出所:同上] 037
表1 神奈川県における児童養護施設の扶養義務者の所得階層状況および新規入所児童のうちの被虐待を主訴とする児童の割合[出典:上野加代子編著『児童虐待のポリティクス明石書店,2006年] 49-50
図11 年収階級別にみた世帯の在学費用と世帯の年収に対する在学費用の割合[出典:日本高等学校教職員組合パンフレット「就学と進路を保障し高校生・青年の未来をひらく(2006年11月)」] 057
図12 「ネットカフェ難民」の就業状況[出典:厚生労働者「住居喪失不安定就労者の実態に関する調査」] 115
表2 「反貧困」活動の分類 124
図13 「反貧困」活動を支える両輪 140
図14 労働組合組織率と非正規労働者比率(1990-2007年) 153
表3 生活保護基準と連動する制度,同基準を減免基準にしている制度[出典:吉永純「生活保護基準切り下げは国民生活に獣医な影響」『法と民主主義』424号] 190-191
表4 低所得層への現物給付・貸付に生活保護を用いている制度 192-193
図15 ヒンキー(シンボルキャラクター) 219