著者:青木 薫[あおき・かおる](1956-) 理論物理学。翻訳。
NDC:443.9 天文学.宇宙科学 >> 恒星.恒星天文学 >> 宇宙論.宇宙進化論
『宇宙はなぜこのような宇宙なのか――人間原理と宇宙論』(青木 薫):講談社現代新書|講談社BOOK倶楽部
【目次】
まえがき [003-007]
目次 [008-010]
第1章 天の動きを人間はどう見てきたか 011
1 権威ある学問としての占星術 012
天の動きと暮らしのリズム
カルデアの知恵
占星術の起源
プトレマイオスが集大成
化石のように保存された「古代の知恵」
2 惑星の運動メカニズムを知りたい! 025
惑星の動きをどう説明するか
同心天球説はデータに合わない
アポロニオスの画期的な一歩
プトレマイオスの執念
知ることの断念
3 誤解されたコペルニクス 036
よみがえる『もっとも偉大な書』
コペルニクスの当惑
宇宙の全体像まで明らかに
ルネサンスの時代精神
あくまで人間は特別と考えていた
宇宙の中心はそもそも良い場所ではなかった
「人間はうんこのまんなかに住んでいる」
「コペルニクスの原理」の誕生
科学と哲学の分離
第2章 天の全体像を人間はどう考えてきたか 057
1 三つの宇宙像 058
宇宙の全体像を求めて
無限宇宙説
有限な「コスモス」
ストア派の宇宙像
宇宙の果てはどうなっているのか?
2 ニュートンの宇宙が抱える深刻な問題 070
恐るべき「悪徳の書」
ニュートンの宇宙イメージ
アインシュタインの挑戦
リーマン幾何学
アインシュタインの解答
物質は宇宙空間に均一に分布している?
便利な仮定――宇宙原理
3 変化しない宇宙像 vs. 変化する宇宙像 088
ビッグバン・モデルの登場と猛反発
宇宙が膨張している証拠
なぜ水素ばかりあるのか?
初期宇宙で何が起きたか
忘れられた予測
膨張しつつも変化しない宇宙
定常宇宙モデルの信憑性
宇宙原理と完全宇宙原理
第3章 宇宙はなぜこのような宇宙なのか 109
1 コインシデンス(偶然の一致) 110
アインシュタインの究極のテーマ
もし物理定数が今の値でなかったら?
ミクロのスケールと宇宙スケールをつなぐ
繰り返し現れる巨大数
エディントン[Arthur Eddington]の考え
物理定数はじつは変化する!?
人間原理の登場前夜
2 人間原理の登場 130
行きすぎた「コペルニクスの原理」に対抗
変化する宇宙か、変化しない宇宙か
宇宙背景放射の検出
ビッグバン・モデルが最有力候補に
人間原理の導入
普通の物理学で説明できるコインシデンス
宇宙の年齢には一定の縛りがある
3 弱い人間原理 145
「弱い人間原理」の気がかりな表現
人間原理が嫌われた最大の理由――目的論
観測選択効果
強い人間原理
第4章 宇宙はわれわれの宇宙だけではない 157
1 強い人間原理と「多宇宙」 158
無数の宇宙を考えてみる
カーター[Brandon Carter]の世界アンサンブル
エヴェレット[Hugh Everett III]の多世界解釈
ファイン・チューニング騒動
2 指数関数的膨張 168
ビッグバン・モデルの難題――のっぺらぼう問題
ウロボロスの夢
指数関数的膨張
ビッグバンの正体
3 宇宙は何度も誕生している 178
宇宙背景放射のゆらぎが見つかった
宇宙は何度も誕生している?
「宇宙論の標準モデル」が描き出す多宇宙
第5章 人間原理のひもランドスケープ 189
1 素粒子物理学の難題 190
原子は本当に実在するのか?
原子核の発見
謎の新粒子たち
粒子物理学の標準モデル
物理学者の不満
2 真空のエネルギーをめぐって 203
古典的な真空観
量子的な真空とは何か
シュタインのλ(ラムダ)
λを導入した本当の理由
空間そのものが記述の対象に
人間原理の考え方で予想が的中
3 ひも理論が導いた無数の可能性 222
ひも理論の魅力
宇宙には無数の可能性がある?
宇宙はシンプルでもエレガントでもない
終章 グレーの階調の中の科学 231
三たび拡大する宇宙館
多宇宙ビジョンは科学ではない?
人間原理は敗北主義か?
人間原理は具体的な予測をしない?
グレーの階調の中の科学
あとがき(二〇一三年六月 青木薫) [250-253]