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『日本型排外主義――在特会・外国人参政権・東アジア地政学』(樋口直人 名古屋大学出版会 2014)

著者:樋口 直人[ひぐち・なおと](1969-) 
件名:人種差別--日本
件名:朝鮮人 (日本在留)
件名:排外主義--日本
NDC:316.81 国家と個人・宗教・民族


日本型排外主義 « 名古屋大学出版会


【目次】
目次 [i-v]


プロローグ 001


序章 日本型排外主義をめぐる問い 009
1 排外主義運動の勃興 009
  (1)  右翼から排外主義へ 
  (2)  排外主義の三つの源流、そしてその背景をめぐる問い 
2 誰が排外主義運動に馳せ参じるのか 013
  (1) 寄る辺なき底辺の反乱?――『ネットと愛国』の前提を俎上に乗せる 
  (2) 「非モテ系」の反乱 
3 なぜ排外主義運動に馳せ参じるのか 019
  (1) 「承認欲求」「鬱憤晴らし」は運動参加の説明要因なのか 
  (2) イデオロギー的に無色の存在? 
4 在日コリアンと「在日特権」をめぐる問い 024
5 「正常な病理」から「病理的な正常」へ――事態の解明に向けて 027


第一章 誰がなぜ極右を支持するのか――支持者像と支持の論理 029
1 西欧における極右研究の蓄積 029
2 なぜ極右は発生するのか――先行研究の整理 030
  (1) 「近代化の敗者」論 
  (2) 競合論 
  (3) 抗議政党論 
  (4) 合理的選択論 
3 誰がなぜ極右を支持するのか――経験的研究による検証 037
  (1) 属性との関係
    ジェンダー
    年齢
    学歴・職業
    属性による説明力――「近代化の敗者」論と競合論の検証
  (2) 競合論の検証 
  (3) 抗議政党論の検証 
  (4) 合理的選択論の検証 
4 極右政党研究の「ノーマル化」とその先へ 046


第二章 不満・不安で排外主義運動を説明できるのか 049
1 社会運動研究における不満・不安の位置づけ 049
2 大衆社会論と排外主義運動 051
3 競合論と排外主義運動 056
4 代替的な説明図式 061
  (1) 「外国人問題」を事後的に構築する保守運動 
  (2) 資源動員の基盤――インターネットと運動文化 
5 排外主義運動のリアルな把握に向けて 067


第三章 活動家の政治的社会化とイデオロギー形成 069
1 活動家の多様性とミクロ動員過程 069
2 イデオロギーと政治的社会化――緩やかな説明変数と被説明変数 071
3 政治的社会化の過程 073
  (1) 覚醒――ノンポリから活動家へ 
  (2) 翻身――転向者の改宗体験 
  (3) 接合――排外主義者の生育環境 
  (4) 拡張――草の根保守の多様なパターン
    都市と農村の草の根保守
    家族の影響
    歴史修正主義
    重大事件
  (5) 増幅――右翼としての自己形成 
4 排外主義を受容する土壌 094


第四章 排外主義運動への誘引――なぜ「在日特権」フレームに共鳴するのか 097
1 構築される不満――問題の所在 097
2 運動と個人のフレーム調整 099
3 活動家の語りにみるフレーム調整過程 102
  (1) フレーム架橋 
  (2) フレーム増幅 
  (3) フレーム邂逅 
4 「在日特権」 フレームの共鳴板 113
5 排外主義運動との運命の出会い 115


第五章 インターネットと資源動員――なぜ在特会は動員に成功したのか 117
1 インターネットと排外主義運動 117
2 インターネットと動員構造の変容 119
  (1) ミクロ動員の文脈と運動参加 
  (2) インターネットとミクロ動員過程の変化 
3 排外主義運動へのミクロ動員過程 126
  (1) 自発的検索――動員・フレーミング過程ともインターネットが促進 
  (2) ネット経由の「問題」発見――ネットで実現したフレーミング過程 
  (3) 偶発的閲覧――ネットサーフィンがもたらす排外主義との邂逅 
  (4) リンクを通じたフレーミング――ネットで実現した動員・フレーミング過程 
4 資源動員をめぐる後発効果 138


第六章 排外主義運動と政治――右派論壇の変容と排外主義運動との連続性をめぐって 141
1 ミクロ動員から政治的機会構造へ 141
2 言説の機会構造――分析視点 143
  (1) 政治的機会構造と排外主義運動 
  (2) 言説の機会構造論 
  (3) 言説の機会構造におけるヒエラルキー 
3 言説の機会構造と排外主義運動の関連 150
  (1) 二つの変化の波と東アジアへの関心 
  (2) 言説の機会構造の変化と排外主義運動 
  (3) 右派論壇に回収されない排外主義運動  
4 ネットカルチャーと排外主義運動 158
5 右派論壇の鬼子としての排外主義運動 161


第七章 国を滅ぼす参政権?――外国人参政権問題の安全保障化 163
1 外国人参政権問題をめぐる日本的特殊性――問題の所在 163
2 デニズンの権利と安全保障化をめぐる日本的特質 165
  (1) 参政権の日本的特質
    西洋にけおけるデニズンの権利
    日本における外国人参政権の促進要因 
  (2) 移民と安全保障化をめぐる日本的特質
    移民問題の安全保障化
    日本における移民問題の安全保障化
3 外国人参政権問題の日本的展開 171
  (1) 外国人参政権問題の端緒―― 一九九五年の最高裁判決まで 
  (2) 第一の安全保障化―― 一九九〇年代末から二〇〇〇年まで 
  (3) 全面的な安全保障化――民主党政権下での外国人参政権問題 
4 外国人参政権をめぐる脱安全保障化 180


第八章 東アジア地政学と日本型排外主義――なぜ在日コリアンが標的となるのか 183
1 東アジア地政学在日コリアン――問題の所在 183
2 分析枠組み――民族化国家としての戦後日本 184
  (1) ブルーベイカーの三者関係モデル 
  (2) 三者関係モデルでみた在日コリアン 
    SCAPと日本政府による対在日コリアン政策
    一九五二年入管体制から特別永住へ
    三者関係への固執が生み出す制度的病理 
  (3) 三者関係モデル 
3 二者関係によって何が進むのか――在日コリアンの変遷と地方市民権 194
  (1) 在日コリアンの変遷 
  (2) 二者関係の根拠としての地域
    二者関係と自治体の外国人政策
    二者関係にもとづく外国人参政権
4 本質主義と外国人排斥の正当化 200
5 日本型排外主義を生み出すもの 204


エピローグ 207


補遺 調査とデータについて 213
  一 活動家に対する聞き取りデータ 
  二 外国人参政権にかんする聞き取り調査 
  三 沖縄・八重山地区調査 
  四 右派論壇誌データ 
  五 在特会等による抗議イベントデータ 


注 [221-252]
あとがき(二〇一三年一二月 樋口直人) [253-256]
参考文献 [6-42]
事項索引 [1-5]




【メモランダム】
・本書とは異なるアプローチをとっ取材記。なお、2015年に加筆・改題し文庫化された。文庫版の解説は鴻上尚史が執筆。
『ネットと愛国――在特会の「闇」を追いかけて』(安田浩一 講談社 2012)


・『ソシオロジ』(59巻 , 3号)にて、本書(『日本型排外主義』)に対する書評と応答が公開されている。
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