著者:井上 寿一[いのうえ としかず](1956-) 日本政治外交史、歴史政策論。
NDC:319.1022 外交.国際問題[日本とアジアの]
2016年に文庫化。
筑摩書房 増補 アジア主義を問いなおす / 井上 寿一 著
【目次】
目次 [003-006]
はじめに [007-011]
第1章 今なぜアジア主義を問いなおすのか 013
1 さまざまな「アジア主義」 014
大衆文化状況
「ナヌムの家」
隣国理解の現在
韓国独立記念館
隣国理解の反作用
経済
経済レベルのアジア志向
「政冷経熱」
『新東亜論』
「東亜共同体論」
「世界史の哲学」
東アジア秩序
安全保障
「東アジア共同評議会」
東アジア安全保障共同体
「中国の東アジア化」・「日本の東アジア化」
「亜細亜主義」
「亜細亜主義」宣言
「亜細亜主義」への疑問
アメリカ批判の高まり
異質な国アメリカ
「共通文化圏」
2 「東アジア共同体」と「アジア主義」 033
「東アジア共同体」構想
外務省の真のねらい
二〇〇五年春の反日デモ
反日デモ批判
「反日デモ」と「アジア主義」
ダメージコントロール外交
アジア主義の持つ両面性
一九三〇年代の現在性
第2章 「アジア主義」外交はどのように形成されたのか 045
1 アメリカかアジアか 047
この章の課題
戦前の対米協調と戦後の対米協調を比較する
なぜ戦前の外交は対米協調を選択したのか?
なぜ国民は民政党内閣を支持したのか?
民政党内閣の外交と小泉内閣の外交
どちらの外交を評価するのか?
2 「アジア主義」的体外路線の台頭 055
だれが危機感を抱いたのか?
現地軍にとって中国とは何だったのか?
対抗原理としての「アジア主義」
満州事変はなぜ起きたのか?
3 満州国を作りたくなかった石原莞爾 062
なぜ石原莞爾は満蒙領有論を放棄したのか?
石原の真意はどこにあったのか?
石原のもう一つの真意
4 満州国の真の独立をめざして 068
満州国の国際連盟加入構想
なぜ日本は満州国を承認したのか?
満州国を承認しても日中関係は改善できたのか?
5 「アジア主義」の軍事的拠点としての満州国 072
満州国とはどんな国だったのか?
なぜ石原はラストエンペラーの擁立に反対だったのか?
「自由国」としての満州国
アジア主義の背理
6 アメリカなしにはやっていけない満州国 079
アジア主義的経済共同体としての満州国
国際経済のきびしい現実
アメリカ資本の参入を求めて
満州国の「門戸」を「解放」する
第3章 「東亜モンロー主義」外交とは何だったのか 087
1 ブロック経済か自由貿易か? 089
この章の課題
「東亜モンロー主義」宣言
なぜ松岡は国民に謝罪したのか?
なぜ日本外交は対米関係の修復が必要だったのか?
広田外交はアジア主義外交か?
2 どうすれば日中関係は改善できたのか? 100
困難な状況のなかで考えるほうが役に立つ
直接のきっかけ――停戦協定の成立
もう一つのきっかけ――中国の対日妥協路線
一九三〇年代のODA(政府開発援助)
欧米協調とアジア主義の間
3 誤解されたアジア主義外交 107
日中提携の可能性
天羽声明とは何か?
各国の新聞はどう報じたか?
各国政府の対応
真意はどこにあったのか?
天羽声明の責任
米英との外交関係はどうなったか?
4 「東亜モンロー主義」の後退 116
信頼醸成措置
日中英三国経済協調の可能性――バーンビー・ミッション
日中英三国経済協調の可能性――リース=ロス・ミッション
5 アジア主義外交の復権 121
日中英三国協調への挑戦
政策を修正する試み
破局への予兆
第4章 侵略しながら連帯する 131
1 なぜ早期解決が可能と考えたのか? 133
この章の課題
尾崎秀実の分析
石橋湛山の分析
道義をめぐる戦争
2 目的のない戦争 142
文学者たちのみた日中戦争
「戦争はもうかる」
政党も戦争を歓迎した
「東亜ブロック」
3 沸き起こる中国ブーム 150
中国語学習熱
文化的アジア主義
知の地殻変動
もう一つのエピソード
4 文化をめぐる戦争 157
矢部貞治のフィールドワーク
日本主義への批判
石原との出会い
もう一つの現地調査
日本側の反省
5 戦場のなかのアジア主義 165
「文化戦士」
「アジアの開放」
軍政批判
アジア主義の政策化
第5章 なぜ「東亜新秩序」は実現しなかったのか 173
1 日中戦争下の知識人たち 175
この章の課題
昭和研究会
戦争の早期解決をめざして
2 日中戦争の再定義 180
三木清の活躍
昭和研究会への三木の参加
昭和研究会と尾崎秀実
3 近衛内閣のマニフェスト 185
蝋山政道の再登場
「東亜共同体」の論理
「東亜新秩序」の課題
蝋山の議論から何を学ぶことができるか
4 「東亜新秩序」外交の形成と展開 192
開放的地球主義
軍部も賛成だった
和平を求めて
汪兆銘工作
反帝国主義
反英の「東亜新秩序」
「親米」の「東亜新秩序」
5 「東亜新秩序」外交のジレンマ 203
なぜ石橋湛山は支持したのか?
ジレンマからの脱却を求めて
アメリカへの期待
アジア主義の末路
孤立無援の汪兆銘政権
「反帝国主義」=アジア主義からの転換
「東亜新秩序」外交の挫折
第6章 歴史の教訓 215
1 アジア主義のその後 217
「大東亜共栄圏」への跳躍
京都学派は「大東亜共栄圏」を正当化できたか?
「大東亜共栄圏」の崩壊
「大東亜共同宣言」はアジア主義宣言ではなかった
なぜ継承されなかったのか?
戦後のアジア主義外交構想
政策化の試み
なぜ戦後日本外交はアジアを見失ったのか?
2 これからのアジア主義 228
対抗原理としてのアジア主義の限界
石田衣良氏の自衛隊イラク派遣賛成論
中韓はどう出るか?
〈開放的地球主義〉
自然経済圏
異質な他者としての近隣諸国との共存
小泉首相は説明責任を果たしたのか?
脱パワーゲーム
ゼロサムゲームからプラスサムゲームへ
あとがき(二〇〇六年六月 井上寿一) [243-245]
参考文献 [247-251]