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『社会運動の戸惑い――フェミニズムの「失われた時代」と草の根保守運動』(山口智美,斉藤正美,荻上チキ 勁草書房 2012)

著者:山口 智美[やまぐち・ともみ] (1967-) 文化人類学フェミニズム、社会運動論。
著者:斉藤 正美[さいとう・まさみ] (?-) メディア研究、フェミニズム、社会運動論。
著者:荻上 チキ[おぎうえ・ちき] (1981-) メディア論。評論。


社会運動の戸惑い - 株式会社 勁草書房


【目次】
まえがき [i-vii]
目次 [ix-xiii]
本書に登場する地域名 [xiv]


第一章 「ジェンダーフリー」をめぐる対立 〔山口智美・荻上チキ〕 001
1 「ジェンダーフリー」と「男女共同参画」の誕生 002
  「ジェンダーフリー」の登場
  女性学・ジェンダー学者の関わり
  ジェンダーフリーの広がりと意識啓発事業の拡大
  バーバラ・ヒューストン誤読事件とその後の混乱
  「男女共同参画」の誕生
  クリスティーヌ・デルフィの「ジェンダー」をめぐる混乱
2 反フェミニズム運動とジェンダーフリー批判 019
  「バックラッシュ」の展開とジェンダーフリー
  メディアと政界の動き
  「ジェンダーフリー」批判の高まりと反「男女共同参画」言説の展開
  中央政界とネットメディアの動き
  反フェミニズム書籍の出版
  「行き過ぎたジェンダーフリー」と「過激なフェミニズム
3 「バックラッシュ」の退潮とフェミニズム 034
  ジェンダーフリーの没落と「バックラッシュ」の退潮
  フェミニストの言論と実証研究の欠落


第二章 地方からのフェミニズム批判――宇部市男女共同参画推進条例と『日本時事評論』 〔山口智美〕 049
1 日本時事評論との出会い 050

2 基本法から「モデル条例」へ 054

3 『日本時事評論』とは? 057
  『日本時事評論』という新聞
  新生佛教教団とは?
  日本時事評論と「良識取返し国民運動」

4 ひっくり返された宇部市男女共同参画条例案と保守の動き 062
  山口県大泉副知事の就任と男女共同参画推進条例制定
  宇部の条例制定と「住民参加」の限界
  条例案への「バックラッシュ」の展開
  同日に開催された
  二つの集会
  条例の制定へ

5 「モデル条例」への反発と地方議員の役割 074
  「条例のつくり方」と「モデル条例」への批判
  広重市郎市議の果たした役割

6 日本時事評論の役割 078
  山口県での観光、バーベキューと対話の積み重ね
  『日本時事評論』のメッセージをと戦術

7 宇部条例は「歯止め」の役割を果たしているのか 086
  日本時事評論がみる宇部条例の成果
  条例と基本計画の使い方

8 宇部条例への注目と「モデル条例」のアイロニー 090
  条例をめぐる複雑な状況
  保守勢力の「モデル」になった宇部市条例

9 フェミニズムをどうみているのか 093
  反フェミニストたちの暮らし、信仰と思い
  山口編集長のフェミニズムへの視点

10 男女共同参画の一〇年間は何だったのか? 099


第三章 千葉県に男女共同参画条例がない理由――条例制定運動の失敗と保守の分裂 〔山口智美〕 107
1 唯一条例がない県・千葉 108

2 男女共同参画条例案をめぐる顛末 110
  堂本県知事就任と男女共同参画条例づくり
  堂本知事と担当課長の条例づくりへの思い
  条例案上程と「バックラッシュ
  自民党案上程と廃案

3 「良識的な条例づくり」を目指した日本会議系保守運動 118
  審議会方式の条例づくりへの批判
  「過激なフェミニズム」のシンボルとしての千葉県
  日本時事評論と運動への関わり

4 保守の分裂 125
  もう一つの保守の動き
  千葉展正と日本会議 / 日本時事評論の対立
  自民党DV条例案への危機感
  自民党条例案への反対運動

5 フェミニストの動きと千葉県条例 135

6 条例廃案後の千葉県と、運動の衰退 140
  森田県政以降の男女共同参画フェミニズム運動
  条例運動後の保守と男女共同参画

7 千葉県条例をめぐる運動が提示した課題 143


第四章 「性的指向」をめぐって――宮崎県都城市の条例づくりと『世界日報』 〔斉藤正美・山口智美〕 147
1 フェミニズムへの「バックラッシュ」と世界日報 148
  『世界日報』との接触
  きっかけとしての、都城男女共同参画条例

2 都城市男女共同参画社会づくり条例 153
  宮崎県都城市
  市民、市職員、議員の人的ネットワーク
  男女共同参画推進懇話会の設置
  性的少数者を「見える化」したい
  岩橋辰也市長とたもつゆかりアドバイザー

3 条例への反対の動き 166
  世界日報の世界観と同性愛・両性愛批判
  地元の情報提供者と「ブリーフィング」の開催
  保守系内村仁子議員の反対理由
  保守系 有満忠信議員が反対に回ったわけ
  異なる「市民の声」の存在の指摘

4 旧条例の制定から新市長による条例再制定まで 179
  条例再制定に至る議論
  市町村合併、新市長誕生、そして新たな条例の制定へ
  尾辻大阪府議来訪と地元での受け止め

5 世界日報によるインターネット戦略 192

6 条例をめぐる係争から見える課題と「市民参加」の内実 193

7 都城のこれから 195


第五章 男女共同参画とは何か――ユー・アイふくいの図書問題をめぐって 〔斉藤正美〕 201
1 男女共同参画センターの運用 202
  ユー・アイふくいの図書問題とは
  男女共同参画センターの情報資料室/図書批判の動き

2 推進員活動をしていた「バックラッシュ派」 208
  世界日報記者が男女共同参画推進員?
  図書への異議申し立てをした推進員

3 男女共同参画推進員という制度 215
  筆者も推進員に応募してみた
  男女共同参画推進員制度と地域における運用
  福井県男女共同参画推進員の活動と思い

4 図書問題 223
  推進員から出た男女共同参画への疑問
  男女共同参画にふさわしい図書とは何か

5 インターネットの活用 234
  フェミニズムによるネット発信とその課題
  インターネットと世界日報

6 現在の福井の男女共同参画政策 239

7 「男女共同参画」の意味を問い直す機会の損失 242


第六章 箱モノ設置主義と男女共同参画政策――国立女性教育会館(ヌエック) 〔斉藤正美〕 247
1 ヌエックや男女共同参画センター事業とのかかわり 248
2 ヌエック問題とは 249
  事業仕分け
  「箱モノ」批判の展開

3 ヌエックと男女共同参画センター設立の背景 254
  女性教育施設設立の沿革/ヌエック設立の背景

4 婦人教育・女性教育 257
  戦前・戦後の「婦人教育」の流れ
  「女性教育」とは何か
  ヌエックの女性教育の対象
  官僚の語りと当時の女性運動

5 運営体制 266
  官僚が果たしてきた役割
  女性学・ジェンダー学者などのヌエックへの関わり
  「女性運動」の要請という新たな語り

6 ヌエックと全国女性会館協議会 272
7 箱モノ設置主義と意識啓発事業の限界 276


第七章 フェミニズムとメディア、インターネット 〔山口智美・斉藤正美〕 283
1 フェミニストのメディア活用の現在 284

2 女性学の書籍刊行と女性運動―― 一九八〇年代 285
  女性学の台頭
  女性運動のメディア批判
  「女性とメディア研究」と台頭

3 「ジェンダーとメディア研究」と行政―― 一九九〇年代 290
  「ジェンダー」の登場と研究者の行政施策への進出
  行政との連携による「ジェンダーチェック」「ジェンダーフリー」と規制の流れ
  条例策定運動における表現規制問題

4 フェミニズムによる情報ネットワークの構築―― 一九九〇年代 298
  北京女性会議とインターネット熱
  JJネット―― FAX通信網

5 「バックラッシュ対抗」をうたいはじめてから―― 二〇〇〇年代 303
  アジア女性医療センターと「バックラッシュ」対抗としての情報発信
  ファイトバックの会のテレビ番組利用と「バックラッシャー」イメージの構築
  対抗手段としてのメーリングリスト
  ブログ、まとめサイトミクシィなどでの「バックラッシュ」への対抗
  「バックラッシュ」への対抗として始まったポータルサイトWAN

6 フェミニスト・メディアの今後にむけて 319


結びにかえて〔荻上チキ〕 [325-335]
あとがき [337-345]
調査記録 [xxxv-xxxviii]
参考文献 [xi-xxxiv]
事項索引 [iv-x]
人名索引 [i-iii]