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『日本銀行』(翁邦雄 ちくま新書 2013)

著者:翁 邦雄[おきな・くにお] (1951-) 銀行家。経済学者。金融政策、マクロ経済学、国際金融論。

日本銀行 (ちくま新書)

日本銀行 (ちくま新書)

【目次】
目次 [003-010]


プロローグ 011
中央銀行への期待と現実/無制限介入への幻想/危機時における中央銀行の力/「リフレ派」登場の背景


第1章 中央銀行の登場 019
1 中央銀行の登場 019
もっとも古い中央銀行はどこか/中央銀行像を作り上げたイングランド銀行
2 イングランド銀行の進化過程 021
英国の財政危機/イングランド銀行の登場/銀行券の独占的発行/銀行の銀行・最後の貸し手・金融政策


第2章 主要中央銀行のトラウマ 031
1 連邦準備制度 032
金融システム安定化のための創設/大恐慌の発生/市民生活の崩壊/大恐慌が米国民に残したトラウマ/連邦準備制度にとってのトラウマ――グリーンスパン議長の場合/グレート・インフレーションというもう一つのトラウマ
2 欧州中央銀行 044
物価安定に特化した先進国最新の中央銀行財政赤字によるハイパー・インフレーションという過酷な経験/ハイパー・インフレーション下の市民生活/二一世紀のハイパー・インフレーション――ジンバブエの事例/ハイパー・インフレーションの終焉と「ドル化」/ゴノ総裁へのイグ・ノーベル賞授与/先進国でハイパー・インフレーションは起き得るか/欧州中央銀行のトラウマと欧州危機/トラウマの違いによる行動様式の違い


第3章 日本銀行の登場 063
1 設立の背景 063
レオン・セーの助言/日本銀行創立ノ議
2 日本銀行の創設 068
開業時の日本銀行日本銀行条例の延長と第二次世界大戦時の日本銀行法制定/現在の日本銀行法への改正の経緯/中央銀行の独立性が高いとインフレ率は下がるのか?
3 現在の日本銀行 077
改正の内容/日本における独立性の社会的基盤の弱さ


第4章 日本銀行の組織と業務 085
1 日本銀行の組織 085
支店・職員数/法的性格・ガバナンス・業務
2 銀行券の発行流通 089
銀行券はなぜ負債なのか/銀行券の支払いと回収/銀行券流通の地域的特色――沖縄の場合/銀行券偽造を巡って/偽造防止のためのさまざまな協力
3 決済システムの運営 102
決済と決済システム/資金決済と中央銀行当座預金の関係/東日本大震災
4 金融システムの安定確保 109
システミック・リスクの回避/昭和恐慌の事例
5 金融政策の運営 117
金融政策と公開市場操作/金融政策の波及経路/緩和の障害としてのゼロ金利制約/非伝統的金融政策
6 日本銀行の収益構造 124
銀行券の発行がそのまま利益になるわけではない/収益源は利ざや


第5章 バブル期までの金融政策 127
1 戦後復興期 127
終戦直後の状況/戦後復興の完了――「もはや戦後ではない」
2 高度成長期 132
外貨準備をシグナルとした金融政策/ニクソン・ショック――政策目標間の矛盾の表面化
3 大インフレーションの時代――過剰流動性・第一次石油危機・狂乱物価 138
列島改造計画と過剰流通性/狂乱物価と国民の苛立ち/物価安定重視の金融政策


第6章 バブル期以降の金融政策 149
1 資産価格バブル期 149
プラザ合意と政策協調/ブラック・マンデー/「平成の鬼平」?/バブル潰しの元凶?
2 バブル崩壊後の金融政策 161
ゼロ金利政策/ゼロ金利解除/量的緩和/日本の経験の国際的影響――グリーンスパンの金融政策
3 失われた一〇年 173
バブル崩壊後の日本経済/質的・量的緩和


第7章 デフレ脱却の理論 179
1 ゼロ金利制約と貨幣数量説 179
バランスシート規模はインフレ期待にまったく影響を与えないというバーナンキ議長の見解/数量方程式/フリードマンの提言/国債中央銀行通貨を交換する意味/「処女懐胎的」インフレ理論としての数量説/IS-LM分析/静学的分析を超えて
2 「ベビーシッター協同組合危機と金融理論」 193
クルーグマンが絶賛する議論/オリジナルな分析/「ベビーシッター不況」/「輪転機を回す金融政策」による不況脱出


第8章 クルーグマンと「日本型デフレ」 201
1 金利がある世界へのモデルの拡張 201
日本型デフレには「輪転機を回す金融政策」自体は効果がない/モデルの拡張――クーポンが貸し借りできる世界/クーポンの借り賃という「金利」のコントロール
2 ゼロ金利下の日本型不況 204
大寒波に襲われたキャピトル・ヒル」のような日本経済/「アイスクリームのように溶けるクーポン」という処方箋/インフレーションでクーポンを溶かす?
3 インフレ期待の景気刺激効果は大きいか 210
キング・イングランド銀行総裁の術懐/インフレ期待の景気刺激効果は高められるか/クルーグマンはなぜインフレ政策を推奨しているか/クーポンを溶かし「厳冬でもイベントに出かけさせる」だけで十分か


第9章 中央銀行と財政政策 223
1 欧州のソブリン危機 223
欧州中央銀行のジレンマ/欧州中央銀行の苦渋の選択
2 マネタリストのある不快な算術 229
政府の通時的予算制約と個人のライフサイクル/財政状況が物価を決める世界
3 日本の財政状況と財政の持続可能性 234
空振りに終わってきた財政破綻の警告/なぜ日本は債務危機が起きなかったのか/金利低下ボーナスは消失した/中・長期的物価安定のカギを握っているのは財政の持続可能性

第10章 「異次元の金融緩和」とアベノミクス 243
1 異次元の金融緩和 243
量的・質的金融緩和の導入/「複数均衡」のもとでの心理操作/出口の点検を封印する「片道出撃」のリスク/金融政策に必要なコストとリスクのチェック
2 米国の資産購入プログラムとインフレ期待 254
連邦準備制度の金融緩和の枠組み/中央銀行の赤字予想はインフレ期待につながる
3 異次元の金融緩和からの帰還 261
ゼロ金利解除の代替的オプション/財務省の見解/財政コストの規模/巨額の財政コスト処理の代替的オプション
4 アベノミクスとデフレ脱却 272
アベノミクスと円安・株高/日本国民の「トラウマ」の変化?/アベノミクスに必要なトータル・コーディネーション/第四の矢


参考文献 [281-283]
あとがき(翁 邦雄) [284-286]




【抜き書き】

□p. 82

労働者一人当たりの成長率などで見ると、日本経済は人口減少・高齢化という条件の中では相当健闘している。しかし、高度成長期の日本経済の躍進や(徒花だったとは言え)バブル期の栄華を知っている世代にとっては凋落としか感じられず、日本が基礎体力比そこそこ健闘してきた、という事実は国民の閉塞感・企業の苛立ちの中で実感に乏しく影響力を持っていない。