中華人民共和國史十五講
原題:Fifteen Talks on the History of People's Republic of China (Linking Publishing Company, 2012.)
著者:王 丹〔Wáng Dān〕(1969-) 歴史学。人権活動家。
訳者:加藤 敬事(1940-) みすず書房社長。
NDC:222.077 中国 ― 歴史 ― 1949年以後
中国文化大革命(1965-75)
筑摩書房 中華人民共和国史十五講 / 王 丹 著, 加藤 敬事 著
【目次】
目次 [003-014]
序文 [017-022]
第一講 中華人民共和国の成立 023
一 三大戦役、中共政権の基礎を築く 023
二 中共が国民党を打ち負かせたのはなぜなか? 026
三 開国の大典 033
四 新政権の強化 039
五 商工ブルジョア階級に対処する――毛沢東と劉少奇 042
六 高崗事件 048
第二講 軍事/朝鮮戦争 056
一 当局の見解と新たな研究 056
二 朝鮮戦争はいかに開始されたか? 058
三 朝鮮戦争の勃発 061
四 朝鮮戦争の進展 065
五 毛沢東とスターリン、それぞれの算盤 068
六 最新の補充資料 076
第三講 都市/「三反」・「五反」運動 078
一 劉青山・張子善事件――「三反」運動の開始 078
二 「虎退治」――「三反」運動の展開 082
三 「ブルジョア階級の弱点をつかむ」――「三反」から「五反」へ 088
四 さらなる一群の「虎」――「五反」運動の展開 093
五 商工ブルジョア階級の末路――「三反」・「五反」運動の結末 107
第四講 農村/「土地改革」から人民公社へ 112
一 土地改革運動 112
1 「土地改革」運動のさらなる展開
2 土地改革の暴力的性格
3 土地改革運動は農村の社会構造を変えた
二 集団化への道と人民公社制度 123
1 統一購入・統一販売政策による農村の収奪
2 農村集団化政策の出発
3 転換点としての一九五三年
三 大躍進から大飢饉へ 131
1 大躍進の発動と銭学森の裏書き
2 大飢饅はいかにして生じたのか?
3 大飢饅の代償
4 大躍進政策の社会的結果
四 七千人大会 149
1 「三分の天災、七分の人災」――劉少奇は毛沢東に罪を着せられた
2 「退却をもって前進となす」――毛沢東は劉少奇の失脚を決意した
3 林彪がチャンスをつかんだ
4 毛沢東、機会をうかがう
5 餓死者が数千万人に及んでも、なお安定を維持できたのはなぜか?
第五講 知識分子/思想改造から胡風事件、「反右派」運動へ 159
一 知識分子の思想改造を進める 159
1 毛沢東は始めから知識分子を問題にしていなかった
2 映画『武訓伝』批判
3 『紅楼夢』も政治闘争の手段になった
二 胡風集団事件 176
1 胡風その人
2 いわゆる文芸思想とセクト活動の問題
3 事の性質はしだいに変化を生じる
4 反革命集団事件はいかに入念にでっち上げられたのか?
三 反右派運動 193
1 「蛇を洞窟から誘い出す」
2 「五七世代」人
3 中国知識分子のエリートが一網打尽に
4 訒小平は責任を免れない
四 風雲に翻弄される――中国の知識分子の運命 218
第六講 党内/盧山会議 226
一 盧山会議――彰徳懐、粛清される 226
1 本来の名は「神仙会」
2 彰徳懐の上書
3 始めて俑を作れる者は、其れ後無からんか
二 「文革」の下準備 240
1 農村の社会主義教育運動――毛劉の相違の拡大
2 やはり文芸から手をつける
第七講 外交/中ソ関係の破綻と中米合作 250
一 中ソ関係の破綻 250
1 「一辺倒」政策と中ソ友好同盟
2 中ソの不和のいくつかの原因
3 中ソの不和の始まり
4 両共産党の意見の相違が公然化する
5 中ソ論争継続の効果
二 中米関係の雪解け 270
1 毛沢東の「アメリカ・コンプレックス」
2 毛沢東、目をアメリカに転ず
3 ポーロ・アクション
4 ニクソンの雪解けの旅
第八講 「文化大革命」の発動と展開 283
一 「文化大革命」の下準備 283
1 階級闘争の理論は毛沢東思想の核心である
2 文芸分野での準備
3 『海瑞の免官』
4 「二月提綱」から「五・一六通知」へ
二 「文化大革命」の発動 296
1 「中央文革小組」、大権を掌握
2 最初の火は北京大学で点けられた
3 毛沢東の態度
4 紅衛兵、世に出る
5 赤色テロ
三 「一月革命」から「二月逆流」へ 316
1 全国に及ぶ奪権の波
2 老元帥たちは見過ごせなかった
3 文革の細部
4 模範劇について
5 上山下郷
第九講 文化大革命の終焉――林彪事件から四・五天安門事件へ 333
一 毛・林同盟の解体 333
1 毛沢東、林彪と反目する
2 林彪の死と「五七一工程紀要」
3 毛沢東はなぜ林彪と反目したのか?
二 老幹部派の再登場 350
1 訒小平、職権を回復する
2 「文革」、エピローグを迎える
三 「四人組」の逮捕と「文革」の終焉 358
1 毛沢東ら中共の元老、あいついで世を去る
2 「四人組」を逮捕する
3 「文革」を再考するための五つの疑問
第十講 訒小平時代の開幕 371
一 訒小平の四通の手紙 361
二 「二つのすべて」と背後の権力闘争 376
1 「二つのすべて」の提起
2 訒小平の反撃
3 陳雲、訒小平を引き立てる
三 「真理基準問題」の議論 382
1 一篇の文章が政治的決闘を引き起こす
2 保守派が表面に立って抑圧する
3 高級幹部、それぞれの選択
4 陳雲の発言
四 「一一期三中全会」――老幹部派の完勝 394
五 中米の国交樹立 399
六 西単の民主の壁運動 402
1 八〇年代の最初の民主化運動
2 理論検討派
3 民主の壁運動に対する訒小平の「臼を引き終わったロバを殺す」
4 青年世代、選挙運動のなかで頭角を現す
第十一講 八〇年代の改革開放――胡耀邦から趙紫陽へ 427
一 小崗事件と農村改革の始動 427
1 「文革」がもたらした民生の疲弊
2 「飯が食いたきゃ、紫陽を探せ。米が欲しけりや、万里を探せ」
3 小崗村の農民が土地を私的に分配する
4 改革は下から上へと広まった
二 都市の改革は開放から始まる 437
1 中国は世界へと歩み始める
2 外資導入は中国経済発展の燃料である
3 広東の特殊な地位
三 改革をめぐる論争 447
1 「中共一二大」、胡・趙体制を確立する
2 陳雲、保守派の旗印になる
3 訒小平、改革を進める胡耀邦を支持する
四 八〇年代の政治的開放 455
1 中共内部の民、王派
2 啓蒙運動と社会思想が活発化する
3 許良英――中国科学界における民主運動の推進者
第十二講 六・四天安門事件 491
一 一九八九年の民主化運動はなぜ起こったのか? 491
二 八九民運の発展経過 496
1 胡耀邦の逝去と学生運動の勃発
2 「四・二六社説」、学生の感情を激化させる
3 ハンガーストライキ
4 戒厳に反対し、北京市民が街頭に出て軍の車両を止める
5 中共当局、民主化運動を凄惨に鎮圧する
6 「六・四」後の全国的な白色テロ
三 八九民運の意義 558
四 明確にすべき「八九民運」と「六・四鎮圧」のいくつかの疑問 561
付録一 忘れ難い一夜 571
付録二 「国家の囚人」が漏らした秘密――趙紫陽回想録の読後感 574
第十三講 経済と文化 578
一 越劇 578
1 中共、越劇が気に入る
2 越劇で対外宣伝
二 春節夜会 582
1 かつては時代の象徴であった
2 いまでは政府の代弁者になり下がった
3 すばらしい記憶がここにある
三 中国経済発展の鍵となるいくつかの事件 590
1 訒小平の「南巡講話」
2 「市場経済」体制の確立
3 WTOへの加入
4 国有企業改革は何を捨て、何をとるのか?
5 「三農」問題
第十四講 公民社会の成長 604
一 独立映画制作運動 604
1 終始、体制外に身を置く
2 中国の独立映画制作運動
3 代表的な人物と作品
二 メディア空間開拓の努力 616
1 体制内メディアの空間はどこにあるのか?
2 インターネットは中国を変えるか?
付録 主要神獣大全リスト
三 権利擁護運動 627
1 模様を一新した形式
2 権利擁護運動の二つの主要グループ――弁護士と公共知識分子
第十五講 六〇年の回顧 636
一 改革開放三〇周年の回顧と展望 636
1 「改革」か「開放」か?
2 中国の改革開放のいくつかの特徴
二 嵐のごとき激動の中華人民共和国 649
1 激動の共和国の歴史
2 政治運動の意義
3 中国の正義の転換問題
4 進歩もあるが、退歩もある
5 革命――貫いている赤い線
6 政権樹立六〇年、中国共産党は人民に謝罪すべきである
三 中国はどこへ行くのか 677
訳者解説(二〇一三年一一月一日 加藤敬事) [683-694]
中華人民共和国史略年表 [i-ii]