著者:小倉紀蔵[おぐら・きぞう] (1959-) 東アジア哲学、比較文明論。
著者:大西 裕[おおにし・ゆたか] (1965-) 政治学、行政学。韓国の政治。アジアの政治経済。
著者:樋口直人[ひぐち・なおと] (1969-) 社会学。
NDC:302.21 政治・経済・社会・文化事情
NDC:319.1021 日韓関係
【目次】
目次 [i-iv]
はじめに――小倉紀蔵 [003-008]
I 韓国文化・思想、日韓問題――小倉紀蔵 009
第1章 韓国文化の特徴とその変容 011
1 変化する韓国 011
変化の速い国
日欧米の変化を圧縮して達成
2 日本人の韓国認識の変化 013
韓国に対する意識の増加
「嫌韓」の登場
嫌韓の問題は何か
「嫌韓」が出てくる仕組み
反・嫌韓派の危うさ
3 日本との比較、その変容 021
問1 同じ儒教文明圏に属するか?
問2 同じ漢字文明圏に属するか?
問3 家族制度は同じか?
問4 学歴社会の歴史と実態は?
問5 中央集権体制――朝鮮王朝時代と江戸時代の違いは?
問6 格差社会・少子高齢化、その実態は?
第2章 変化と不変化の韓国社会――エリート支配、市民の権力、道徳性 037
1 変革とその主体 037
軍人、民衆、市民
知識人エリートの役割
エリートの様相
士大夫型メンタリティ
2 「北学の軸」と「東学の軸」 043
抗日運動家への「敬意」と「負い目」
朝鮮王朝の評価と歴史観
「東学の軸」
理は封建的、気は近代的
「北学の軸」
急進的な認識で配流
プレモダン化するポストモダン
近代に抑圧された道徳の復活
「サムスンこそ実学」
韓国の二重性
第3章 日韓相互の眺め合いに対する解釈 059
1 韓国人は「反日的」なのか 059
暴力的な問いに対する、暴力的な答え
インプットの問題
おおむね正常な思考回路
対日感情の構成要素
韓国新聞のウェブ日本語版
2 嫌韓論調 068
ベストセラーになった嫌韓本
日本保守の認識の劣化
戦前に回帰する論調
「政治が悪いから夫が浮気した!」
3 「日韓モデル」の構築を 074
発想の転換
東西時代に起こる「対抗近代」
韓国若者の「地獄朝鮮」
ヨーロッパの「歴史和解」
中韓がもっとも隠蔽したいこと
日韓がなすべきこと
戦略的思考が欠如する日本
官僚主導、利益誘導型
日韓共同で積み上げてきた努力
「知の共同」のための三提言
第4章 政党政治の変容――地域主義からイデオロギーへ 097
1 イデオロギー対立の時代? 097
なぜ党派対立が生じるのか
2 政治とのインターフェースとしての政党 099
政党というラベル
有権者に政策を「売る」
3 政党組織の変化 104
憲法的存在としての政党
政党ボスの存在しない組織
4 政党支持構造の変化 108
投票行動を規定する「地域主義」
血縁・地縁・学縁の切れ目
日本同様、高齢者ほど保守的
三八六世代の登場
5 対立の果実 120
FTA締結に反対した進歩派
第5章 大統領の強力なリーダーシップという幻想 123
1 韓国の大統領は強い権力の持ち主なのか 123
リーダーシップのあり方
選出のされ方
肝心なのは説得力
2 どんな制度的権力を持っているのか 128
大統領と議会の力関係
家族に徴兵逃れがいないか
3 どんな党派的権力を持っているのか 133
選挙制度のポイント
議会との「ねじれ」
4 超党派的権力とは何か 137
「我々」ではなく「彼ら」の大統領
ファンクラブの支持から誕生
実態とイメージのギャップ
第6章 変貌を遂げる市民社会――エリート主義から多元主義へ 143
1 韓国社会は過激なのか 143
よりセンセーショナルな動きを伝える
2 エリート主義、包括性、アドヴォカシー 146
国家と市民の間
政治的な志向性
3 政治的な市民社会の登場 151
一枚岩ではなかった民主化運動
4 「市民なき市民社会」からの脱却 158
市民社会内部の構造
5 市民社会と政治 166
インサイド戦術とアウトサイド戦術
「普通の」多元社会
III ヘイトスピーチ、在日コリアン、参政権・国籍――樋口直人 177
第7章 排外主義とヘイトスピーチ 179
1 なぜ在日コリアンが排斥されるのか 179
在特会の衝撃
在特会の拡大と停滞
2 誰がなぜ在特会に馳せ参じるのか 182
在特会幹部のプロフィール
保守支持層から排外主義者へ
外国人を知らない排外主義者
近隣諸国に対する憎悪
3 近隣諸国への憎悪 189
右派論壇の関心をみる
冷戦後の「アジアシフト」
韓国への固執
「反日勢力」への敵意
4 汚辱の歴史を抹殺する排外主義 198
在日コリアンの否定
第8章 在日コリアンの仕事の変遷 201
1 在日コリアンを見る眼 201
歴史のなかの在日コリアン
就職差別と成功した事業家の間
2 エスニック・ビジネスの今昔 204
在日三大産業の変化
自営業離れという現実
エスニック・ビジネスのアップグレード
3 自営業からホワイトカラーへ 210
移民の立身出世物語
ホワイトカラーは増えたけど
4 「割を食う」のは誰か 213
戦前・戦後世代の職業
5 格差解消の光と影 216
三世代かかった格差解消
第9章 在日コリアンの参政権と国籍 219
1 十八歳選挙権の影――カヤの外の外国籍生徒 219
法律ではなく政治判断
2 外国人参政権の日本的本質 222
たなざらしにされた七十年―― 一時滞在者から住民へ
宙づりの移民たち
失われた参政権と国籍
国際基準からの逸脱
3 日韓問題としての外国人参政権 228
「過去の国民」の権利としての参政権
外国人参政権をめぐる三つのピーク
4 「将来の国民」の権利としての外国人参政権 232
「将来の国民」は参政権を欲するのか
離島が乗っ取られる?
5 国籍原理の見直しという選択肢 236
タブー視をこえて
「コリアン系日本人」の認知
複数国籍の導入
6 外国人参政権の過去と未来 241
逆風の中で将来を構想する
世間の良識を引っ張る構想を
参考文献 [247-253]