contents memorandum はてな

目次とメモを置いとく場

『地方消滅の罠――「増田レポート」と人口減少社会の正体』(山下祐介 ちくま新書 2014)

著者:山下 祐介[やました・ゆうすけ] (1969-) 都市社会学、農村社会学環境社会学
件名:地域開発--日本
件名:日本--人口
NDLC:DC721
NDC:334.31 : 人口.土地.資源


筑摩書房 地方消滅の罠 ─「増田レポート」と人口減少社会の正体 / 山下 祐介 著


【目次】
目次 [003-010]


序章 地方消滅ショック 011
  「増田レポート」の波紋
  地方消滅は避けられない?――悪意あるイメージの氾濫
  「選択と集中」が象徴するもの
  問題はどこにあるのか
  誰が流れを止めるのか
  道は一つではない
  本書の構成


第1章 人口減少はなぜ起きるのか 025
1.1 人口のつくられ方 026
  自然増減と社会増減
  雇用と育児対策で問題は解決するか
  過少産多兆社会から過少産少死社会、そして消滅へ?
1.2 暮らしの側から出生数低下の原因を探る 036
  少子化はなぜ起きるのか
  雇用の確保は出生率の上昇に寄与するか
  経済力と暮らしのバランス、そして心理的問題
  家族の変化と子育て負担
  地域が支える子育て環境
  全国総都市化がもたらしたもの
  暮らしや地域のバランス再調整はいかに可能か
1.3 不安の悪循環が始まっている 052
  不安がもたらす少子化への道
  二〇〇〇年代改革がもたらしたさらなる悪循環


第2章 地方消滅へと導くのは誰か 057
2.1 象徴としての学校統廃合問題 058
  自ら消滅を選択した集落
  悪循環がもたらす学校統廃合
  地域が学校存続を諦めるに至った経緯
  諦めと依存の心理効果
  棄民と逃散のスパイラル
2.2 新たな地域開発の素顔 071
  「ILCで復興」の不可思議さ
  中立公正なはずの科学が地域を破壊する?
  日本創成会議の提案でもあったILC
  巨大事業が村を壊す可能性――リニア新幹線の現場から
  地域抑生と自治と科学
  原発事故を引き起こしたものに似た榊造
2.3 インフラの撤退が地域崩壊を導く 089
  過疎地域のインフラはストックか、負債か
  「集落機能の低下が、地域維持を困難にする」は間違いである
  少数派の排除し」しての行政サービス外し
  「小さいものは効率が悪いから大きな集団に移りなさい」
  二面性を見きわめる
2.4 この路線は変えられないのか 099
  「選択と集中」がますます深みに私たちを引きずり込む
  選択で守ろうしているもの、壊れるもの


第3章 「選択と集中」論の危うさ 107
3.1 増田レポートが目指すもの 108
  その議論と、現状分析に見られる矛盾
  提言は何を狙っているのか
  増田レポートと一線を画す政府の論理
3.2 選択がもたらす排除の論理 113
  「防衛・反転線」としての地方拠点都市
  「すべての町は救えない」が示すもの
  進化論の選択説
  選ぶもの、選ばれるもの、選ばれないもの
  排除の「人口ダム」論
  「選択と集中」の対抗軸の形成へ
3.3 本来、選択すべきものは何か 126
  膨張したものは何か、スリム化すべきはどこか
  スリム化政策が採用されにくい理由
3.4 グローバル化の中で 133
  誰が何を守るのか――国家と政府と国民
  サービスの受け手としての国民像――依存する人間
  自立した自治は可能か


第4章 多様なものの共生へ 143
4.1 何と何の対立なのか 144
  家族をめぐるもう一つの選択
  地域の画一性と多様性
  選択の選択――なぜ選択なのか
4.2 現状認識と方向性――依存と自立、排除と包摂 151
  自立と依存について考える
  社会は経済と雇用だけで成り立っているのではない
  排除から包摂、そして多様なものの共生へ
4.3 つくるべき多様な問題解決回路――上意下達と共同・協働 157
  小さなものへの再編成は可能か
  強権的な国家主義的手法
  上からの選択と集中か、上と下とで協働するのか
  経済的な誘導から、心理的・社会制度的な誘導へ
4.4 社会実験モデル事業による問題解決への試行錯誤 166
  公募による社会実験モデル事業の提案
  問題解決型モデル事業の展開プロセス
  問題解決は問題の全体像を知ることから
4.5 自治を通じて問題に真摯に向き合う 174
  成長を目指すのか、問題解決を目指すのか
  人口減少・地方消滅問題に本当に向き合うこと
  路線の変更を導くために


第5章 「ふるさと回帰」は再生の切り札になるか 181
5.1 人口減少への自治体対応を振り返る 182
  「選択と集中」か、「ふるさと回帰」か
  地域淘汰論が持つ首都圏の人々にとっての意味
  自治体間人口獲得ゲームが導くもの
  人口減少適応戦略と「すべて残す」
5.2 様々なふるさと回帰 192
  ふるさと回帰への注目――若者Iターンに見るもの
  回帰は検証される必要がある
  団塊世代のふるさと回帰
  各地で見かける団塊Uターン層
  平成世代の地元志向
  東京青森ゼミナールの風景から
  回帰の複数の経路
5.3 UJIターン論をめぐって 210
  Uターン・Jターンと第二次ベビーブーム
  Iターンに垣間見えるもう一つのナショナリズム
  三つのIターンと世代
  Uターンをめぐる難しさ
  政策化しやすいIターン
  回帰をめぐる世代間の役割
  持続可能な循環をつくりだす
5.4 複数地域所属という新しい姿 227
  多地域居住という実態から
  数の論理が地域を破壊する
  「あなたたちにコストをかけたくない」
  ゲームのルールを変えられるか


第6章 持続する制度を生み出す 241
6.1 多様性を認め合う新しいゲームの創生へ 242
  未来の適切な組み込み
  人口減少を生かす持続可能な社会づくり
  ダブルにあるもの――多様な住民を認める
  住民票の二重登録化という提案
6.2 住民とは誰か――成長・発展から循環・持続の住民政策へ 248
  福島第一原発事故をめぐる避難問題から
  バーチャル自治体――日常化する複数地域との関わり
  二ヵ所居住・多地域所属―― 二つ以上の顔を持つ人々
  一票の格差論をめぐって
  住民と自治体の関係を、権利・協働・所属からとらえなおす
6.3 「第二の住民」でできること 265
  第二の住民から始まる新しいゲーム
  特定のつながりを重視する――高速交通網の特定地域・特定住民の無料化など
  里帰りを積極的に支える
  ふるさと納税は地域とのつながりをつくるか?
  回帰の目標を見定める
  ダブルであって無理のない制度へ――持続と循環の仕組みをつくる
6.4 「財が財を呼ぶ」から、「生きているもの」の論理へ 280
  経済の原理から共生の原理へ
  財は人を生まない
  生きているものの論理から


終章 新しい社会を選べるか 287
  地方創生はどの道筋で?
  つくられた限界集落問題
  明治以来の大転換――どちらに舵を切るのか
  コンパクトシティの正しい理解
  転換期の本当の選択


謝辞(平成二六年一〇月一三日〈体育の日〉脱稿) [299]
引用文献 [300-301]




【関連記事】
『地方消滅――東京一極集中が招く人口急減』(増田寛也[編] 中公新書 2014)
https://contents-memo.hatenablog.com/entry/20141105/1415113200