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『日本人は論理的に考えることが本当に苦手なのか』(山祐嗣 新曜社 2015)

著者:山 祐嗣[やま・ひろし] (1959-) 心理学。
NDC:141.5 心理各論 >> 思考.想像.創造性


日本人は論理的に考えることが本当に苦手なのか - 新曜社

◆あなたは論理的に考えていると思いますか?
 著者は心理学者で、人間の思考がどれほど論理的なのか(そうでないのか)を研究してきました。そんな著者が長らく抱いていた疑問は、「日本人の思考は非論理的」という通説です。たしかに日本人は、ディベートが下手で、情緒的で、使用している言語も非論理的だと言われています。だとしたら、なぜ日本人は、非論理的であるにもかかわらず、明治以降急速に発展して産業国、先進国になりえたのでしょうか。実は本書が明らかにしているように、「日本人が非論理的」というのは大いなる錯覚なのです。いまだに流通している日本人論の誤謬を比較文化から明らかにした、目から鱗の一冊です。

  http://www.shin-yo-sha.co.jp/mokuroku/books/978-4-7885-1452-2.htm



【目次】
はじめに [i-iv]
謝辞 [v-vii]
目次 [viii-x]


1章 世紀の亡霊 001
1-1 日本人は劣等民族? 001
1-2 本書の概観 011


2章 人間は論理的なのか 019
2-1 人間は論理的であると考える理論 019
2-2 人間が非論理的であるとする証拠 027
2-3 内容による影響と進化心理学的理論 029
2-4 2種類のシステム 036
2-5 人間は論理的なのか 042


3章 「論理的」とはどういう意味か? 045
3-1 論理学は「論理的」を保証するか? 045
3-2 論理学は「合理性」を保証するか? 051
3-3 論理学は「直観的正しさ」を保証するか? 058
3-4 この章の結論――論理的とはどういう意味か 061


4章 東洋人の弁証法 067
4-1 西洋的な教育を受けていない人々の思考についての研究 067
4-2 西洋人の規則基盤的思考と東洋人の弁証法的思考 071
4-3 東洋人は、本当に弁証法的なのか 079


5章 もし東洋人の弁証法的思考傾向が高いとすれば 085
5-1 西洋人の分析的認知と東洋人の全体的認知 085
5-2 論理的思考と知能指数 090
5-3 柔軟な思考としての弁証法 095


6章 思考の文化差をどのように説明するか 103
6-1 認知や思考の民族差は遺伝子による差異か? 103
6-2 西洋の個人主義文化と東洋の集団主義文化 110
6-3 文化的伝統としての素朴弁証法と陰陽思想 117
6-4 言語とコミュニケーション 123


7章 文化的適応の理論に向けて 133
7-1 文化のビッグ・バン 133
7-2 地勢的・気候的・生態的要因による文化多様性の説明 138
7-3 比較文化の心理学における社会生態学的アプローチ 146


8章 終わりに 155
8-1 文化差の過大視 155
8-2 日本人論として 161


引用文献 [3-10]
索引 [1-2]




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『思考・進化・文化――日本人の思考力』(山祐嗣 ナカニシヤ出版 2003) - contents memorandum はてな

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