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『奨学金が日本を滅ぼす』(大内裕和 朝日新書 2017)

著者:大内 裕和[おおうち・ひろかず] (1967-) 教育社会学
NDC:373.4 教育政策.教育制度.教育行財政 >> 教育財政.教育費.私学助成.奨学制度.育英会


朝日新聞出版 最新刊行物:新書:奨学金が日本を滅ぼす


【目次】
はじめに [003-005]
目次 [007-014]


第1章 この30年で大きく変わった大学生活
奨学金問題の「発見」 016
大学で奨学金の講義を行う 019
新学期の奨学金説明会に長蛇の列 020
片道3時間以上かけて通学する学生 022
事例1 通学に6時間以上かかる学生に「大学、楽しいだろ!」と話しかける高校教員 026
ゼミ合宿の日程調整ができない 030
仕送り額急減――大学生の貧困化によるブラックバイト 031
車をめぐる世代間断層――格安バスツアーの悲劇 036


第2章 なぜ奨学金を借りなければならないか 
事例2 卒業後の返済が600万円を超える不安 043
大学授業料の値上がり――国立だからといって安くない 044
国立でも自宅外通学なら、自宅通学の私立と変わらない 047
無理せずに高卒で働けばいい? 051
奨学金利用――全大学生の50%を超える 057
なぜ奨学金に頼るのか?――急速に下がる親の所得 058
自己責任ではすまされない 062
奨学金返済を心配し、希望の進路をあきらめる学生たち 063
事例3 奨学金返済が無理だから大学院進学を断念 063
事例4 借金1千万円でも弁護士になる夢を追いかけるべきか 063


第3章 奨学金を返せないとブラックリスト 
事例5 延滞金が発生し、返しても返しても元金が減らない 074
事例6 心の病になり奨学金返済は無理……親子で自己破産 076
極めて厳しくなった奨学金の回収 078
奨学金返済は将来借りる学生のため?――延滞金というシステム 083
「返せない」人に返済を強制する奨学金制度 087
  (1) 十分には知られていない返還猶予制度 087
  (2) 返還猶予制度の不備 090
「使いにくい」救済制度――猶予・減額・免除規定 093
奨学金の回収強化 096
事例7 返済のためにブラックな職場で頑張った末に過労自殺 099


第4章 奨学金返済で「結婚」「出産」「子育て」できない
奨学金を「返す」ことによって生み出される問題 104
事例8 結婚相手に多額の返済義務があることが分かり、両親が難色 106
事例9 2人の返済額合計が1200万円。出産・子育ては無理? 108
奨学金返済のため「結婚・出産できない」 110
奨学金返済がのしかかる――若年層雇用の激変 111
結婚や出産・子育ての困難と親子関係の現在 114
重くのしかかる子育て費用・教育費負担 119
アンケートでも明白「結婚できない」「出産できない」「子育てできない」 123


第5章 学費と奨学金制度の過去から現在 
国立大学の授業料はなぜ安かったのか 132
授業料値上げへの動き 134
なぜ学費の上昇が問題とならなかったのか? 137
大学の学費上昇と日本型雇用 140
80年代に有利子奨学金の導入 142
有利子奨学金の拡大 144
有利子貸与型奨学金はなぜ受け入れられたのか? 147
  (1) 高卒と大卒の就職格差 149
  (2) 1990年代から続いた親の所得減少 151
  (3) 自己責任論の台頭と日本型雇用の「幻想」 152


第6章 奨学金をめぐる改善の動き 
ゼミでの学生との出会い 160
「愛知県学費と奨学金を考える会」の活動と反響 162
奨学金問題対策全国会議」結成 163
2014年、早くも行われた奨学金制度改善 165
奨学金制度改善の運動から見えてきた課題 169
  (1) 高校教員や大学教員の認識不足 169
  (2) ブラックバイトの発見 171
  (3) 奨学金利用者が当事者意識を持つことの困難 174
2015年以降の奨学金制度改善運動――中央労福協との出合い 184
所得連動返還型奨学金制度の問題点 186
2016年秋からの奨学金制度改善 190


第7章 奨学金制度――当面の改善策 
当面の対策 194
  (1) 奨学金をめぐる現状を正しく認識する 194
  (2) 高校・大学関係者に求められること 196
  (3) 日本学生支援機構に求められること 198
  (4) 親や保護者に求められること 201
  (5) 奨学金返済に困った場合 203
貸与型奨学金の改善へ向け 205
  (1) 延滞金を廃止する 206
  (2) 返還猶予期限の撤廃 207
  (3) 日本学生支援機構による運用面での改革 208
  (4) 真の所得連動返還型奨学金制度の導入 209
  (5) 人的保証の廃止と機関保証料の引き下げ 210
  (6) 無利子貸与型奨学金の抜本的拡充 211


第8章 奨学金制度の抜本的改革が必要 
奨学金と教育費負担をOECD諸国と比較する 216
私費負担=親負担主義の限界 221
貸与から給付へ――給付型奨学金の意義 229
給付型奨学金だけでよいのか――授業料引き下げとセットで 230
給付型奨学金と授業料引き下げの財源はどこに求めるべきか 233
財源をどこに求めるか――富裕層と大企業 238
給付型奨学金と授業料無料のために約4兆円 242
入への投資の重要性――大学教育への公的支出増額による経済戦略 244
「自分の子どもさえ良ければ」を乗り越えられるか 247
「生まれながらの差別」に鈍感な日本社会を変えたい 249


おわりに(2017年1月 著者) [253-256]
奨学金返済に困った時の相談先 [258-259]
参考文献 [260-261]




【メモランダム】
三宅勝久が大内裕和を著作権侵害で訴訟を提起した件の続報。三宅側の敗訴(地裁)に際して、三宅の記事。
https://miyakekatuhisa.com/archives/1300

・「2022年2月24日、東京地裁(田中孝一裁判長)は原告側の訴えを棄却した。(令和3年ワ第10987号)」。
大内裕和 - Wikipedia