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『経済学者 日本の最貧困地域に挑む――あいりん改革 3年8カ月の全記録』(鈴木亘 東洋経済新報社 2016)

著者:鈴木 亘[すずき・わたる] (1970-) 経済学。社会保障論、医療経済学、福祉経済学。

経済学者 日本の最貧困地域に挑む

経済学者 日本の最貧困地域に挑む

  • 作者:亘, 鈴木
  • 発売日: 2016/10/07
  • メディア: 単行本

【目次】
はじめに [iii-ix]
  ミッション・インポッシブル
  生まれ変わったあいりん地域
  それは飛び交う罵声のなかから生まれた
  改革を実行することを学ぶ
  社会の正しい縮み方を探る
  衰退のトップランナーの経験を生かす
目次 [x-xiii]


第1章 面倒だから、やる 001
  怒号に包まれる検討会議
  あいりん地域のありさ
  老朽化するシンボル
  臭いものに蓋をしてきた先送りの象徴
  行政手法の大転換
  面倒だから、やる(編集委員 原昌平)


第2章 区長をやってください! 012
  大阪維新の会の知恵袋
  大阪維新の会の政策ブレーンに
  漠然としたアイデア
  浅田氏の無茶な依頼
  石もて追われる未来
  火中の栗を拾う
  戦々恐々の地元
  冷静な再生フォーラム
  びっくり仰天の告白


第3章 労働者のまち、釜ヶ崎 024
  あいりん地域は一等地
  戦後復興を支えた日雇労働市場
  独特の相対〔あいたい〕方式
  朝の早い寄せ場の情景
  それでもアブレる
  現在では60件ほどに減った簡易宿泊所
  労働者の「わが家」
  日雇は究極の非正社員雇用
  原始資本主義の世界
  釜ヶ崎暴動がきっかけとなった
  暴動のターゲットであり続けた西成警察署
  西成労働福祉センター
  大阪社会医療センター付属病院
  じゃりん子チエがいたころ
  急速に進んだ単身化
  まちの中心、あいりん総合センター
  合意形成努力の欠如
  職業紹介をしない職安
  労働運動の1970年代
  公園をめぐる対立
  行政による強硬策
  クリスチャンたちの地道な支援活動
  注


第4章 福祉のまち、あいりん 052
  バブル崩壊を告げた暴動
  反失業運動の1990年代
  公的就労の提供を勝ちとる
  労働運動家のリアリズム
  ホームレス支援事業を担うNPO 釜ヶ崎支援機構
  高い実務遂行能力
  拡大するホームレス支援策
  民間団体のホームレス支援
  自治体の抱えるジレンマ
  国を動かして成立したホームレス自立支援法
  生活保護行政の問題点
  生活保護行政の大転換がブレイクスルーとなる
  魚心あれば水心
  サポーティブハウスの挑戦
  急減したホームレス数
  福祉がまちの経済を支える時代
  変わらない共依存関係
  注


第5章 アイディアと人材の宝庫 074
  釜ヶ崎のまち再生フォーラム
  ゆるやかなつながりの重要性
  200回を越えた定例まちづくりひろば
  おたがいの再発見
  釜ヶ崎の生き字引・漫画家のありむら潜さん
  (仮称)萩之茶屋まちづくり拡大会議
  ぶつかり合いから大人の関係へ
  まちづくりのプロ・近畿大学の寺川政司さん
  あいりん地域を案内してくれた日銀の上司
  ホームレスの多さに圧倒される
  ホームレス研究の第一人者・水内俊雄さん
  再生フォーラムとの出会い
  やり手のソーシャルワーカー・織田隆之さん
  人的ネットワーク構築の重要性
  地域の交友関係が財産
  注


第6章 いきなりの逆境スタート 092
  お呼びでない特別顧問
  アイデア
  これまでの延長線上にすぎない縦割り施策
  まずは市長の反応をうかがう様子見作戦
  孤軍奮闘、矢継ぎ早に手を打つ市長
  やっかいな大阪市版「事業仕分け
  あいりん地域の実情を知らない仕分け人
  地域の実情にぴったりとあった「子どもの家事業」
  西成特区構想のネガティブ・キャンペーンにつながる
  くすぶる3小学校統合問題
  審議会設置で主導権を奪い返す作戦
  事務局機能を渡してはいけない
  役所のコントロールに翻弄される学識経験者たち
  霞が関での豊富な経験を生かす
  官僚を見方につける
  内部事情に通じた官僚のアドバイス
  外部から送り込まれた特別顧問への警戒心
  フラットな区役所の表情豊かな職員たち
  所轄の悲哀
  注


第7章 「七人の侍」の闘い 115
  審議会設置をめぐる役人との攻防
  いと御しやすし特別顧問
  西成特区構想「七人の侍
  第3の潮流、国際ゲストハウス
  病院の貧困ビジネス
  結束力で改革案に取り組む
  有識者座談会のミッション
  賛成でなくても反対されない関係
  担当領域以外にも視野を広げてもらう
  4カ月間の怒濤の舞台回し
  ハーハー、ゼーゼーの夏
  徹底的な情報公開こそ生命線
  事務局が担ったもう1つの大役
  細心の注意が必要なマスコミ対策
  集団架空住民登録事件のトラウマ
  すべて取材をチャンスとして生かす
  気づきを促す釜ヶ崎スタディー・ツアー
  早すぎるローテーション
  注


第8章 ドブ板行脚の日々 139
  まちの代表組織、反失連と協友会から回る
  じょっ、冗談でしょう
  反失連の吊るし上げ
  特掃を守り抜く覚悟を示す
  10億円もってこいというハッタリ
  価値に見合うリスクを背負う
  クリスチャンで武闘派もいる協友会
  情報過疎が誤解や不信を招いていた
  根深い協友会の無関心と橋下策略説
  反対意見の持ち主にこそ会いにいく
  ハブになって独自の立場を得る
  レジェンドからの詳細なアドバイス
  工程表をつくることの意義
  有識者座談会と拡大会議をリンクさせる
  リンクした3つの会議が特区構想を支える
  徐々に変わり始めた役人たち
  手堅い若手キャリアの対内調整と区長の配慮
  大盛会の区民シンポジウム
  西成特区構想とは「あいりん特区」である
  パンドラの箱を開けた大騒ぎ
  一体感を生み出した総力戦
  注


第9章 橋下市長の知られざる実像 163
  口出しできない市政改革プラン
  トイレのなかでの出会い
  機能に特化した信頼関係
  世間のイメージとのギャップ
  直観的な閃きと高い実務遂行能力
  細やかな目配りで巧みに人を動かす
  最後の責任を引きうけたうえでのぶれない姿勢
  合理的な思考の持ち主
  経済学の合理主義から発想するということ
  批判にさらされた市長の合理主義
  バラマキと偽弱者は許さない
  一般競争入札が噂される特掃をめぐる攻防
  福祉局の落としどころ、プロポーザル型公募入札
  合理主義者に通じる論理で説得する
  特掃は生活保護への防波堤
  機会費用という考え方をもとに説明する
  注


第10章 子どもの家戦争 185
  子どもの里
  エネルギーの塊
  市政改革プランの考え
  2年の猶予を生かし、担当局の落としどころを探る
  前例のあるバウチャー方式を導入する
  あいりん地域の事情を汲んで代理受領方式を提案
  広がる反対キャンペーン
  けんもほろろの官僚的対応
  信頼関係を築くための子どもの里行脚
  2万7000通の署名を添えた陳情書
  市長・文楽戦争の二の舞を危惧
  市長を激怒させたマスコミの偏向報道
  双方で高まる緊張感
  社医センを診療所に縮小するプラン
  「民営化」という秘策の実現をめざす
  済生会病院と社医センの親和性
  不本意ながら
  社医センの改革案は棚上げ
  注


第11章 特区構想3本の矢 209
  あいりん改革の基本戦略
  マクロ的対策の重要性
  一石二鳥の人材活用策
  アウトソーシング
  生活保護受給者への北風政策
  太陽政策への転換
  病院の貧困ビジネス対策
  住宅の貧困ビジネス「囲い屋」対策
  制度を憎んで人を憎まず
  ワンストップの結核対策
  通院型生活支援策
  ワンストップ型の貧困支援、子ども支援
  究極の消滅可能性都市
  いまそこにある危機
  国際観光エリアのゾーニング
  大規模な観光客向け屋体村構想
  産業政策としての教育振興
  学生街がもたらすもの
  相乗効果が期待できる大規模留学生会館の設置
  消費以外での留学生への期待
  エリアマネジメント協議会の設置
  行政不信を生むメカニズム
  行政手法の大転換
  注


第12章 毒を食らわば皿まで 236
  やるもやらぬもプロジェクトチーム次第
  「意見書」の棚上げを防ぐ既成事実化
  各局幹部との市長室の椅子とりゲーム
  驚いた市長からの無茶振り
  政治の季節
  花道に1つか2つの事業を
  ふたたび火中の栗を拾う
  猛抵抗の理由は各局の予算にあった
  特別予算枠はなし
  損得に反応させる経済学流の交渉術
  役人の損得勘定を考えてみる
  いくつかの費用の下げ方
  役人にとって便益が上がるとはどういうことか
  権限ゼロの特別顧問の武器
  ギリギリの間合いを保つ役人たちとの距離
  よいロビイングの必要性
  きれいごとだけでは世の中は動かない
  注


第13章 そんな予算はありません! 259
  福祉局で実現したシャカイテキつながり事業
  部局単位で変わる福祉局の対応
  交渉カードが何もなかった契約管財局
  歯が立たなかったゆとりとみどり振興局との折衝
  全面拒否から始まったこども青少年局との交渉
  「保育バウチャー」案件を使って交渉カードを仕込む
  ストレートでケタはずれ。都市整備局の断り方
  結局は西成区の予算から
  西成区役所で「夜スペ」予算を計上する
  手弁当で始めたモデルケース会議の定期開催
  生き残ることに意義がある
  注


第14章 官民協働の小さな成功体験 276
  シェルターの利用実態
  行政の説明漏れが発覚したシェルターの建て替え問題
  怠慢行政の連鎖
  大阪市役所の深い闇
  合意のプロセス、小さな成功体験の蓄積が大切
  4つの専門部会を立ち上げたエリアマネジメント協議会
  次年度予算獲得をめざすこども・子育て専門部会
  プレーパークは困難家庭の情報をキャッチする場
  中長期的な視野に立って議論を詰める観光振興、地域資源活用
  官民協働の小さな成功体験「ひと花事業」
  90人以上の候補者から公募で選ばれた臣永〔とみなが〕区長
  公募人事は激しいアレルギー反応を惹き起こす
  ゾウのフンを調達し、故郷からヤギを連れてくる
  役人の人事ローテーション
  ゲリラ部隊からようやく正規軍へ
  注


第15章 まちづくり合同会社 299
  言うは易し、行うは難し
  住民と団体との大きな温度差
  総論賛成
  各論反対
  環境改善を急がせる3校統合のプレッシャー
  副市長タスクフォース「地域環境改善特別チーム」結成
  行政代執行を打ち出した建設局の強硬方針
  部分最適全体最適を押しやる
  役人は、いわば、異なるスポーツに興じている
  行政代執行を撤回させた副市長への直談判
  背水の陣で受け皿づくりに集中する
  地域の人々がオーナーとなるまちづくり合同会社
  清掃業者探し
  橋下市長を激怒させた「新報道2001
  「すわ桶狭間」とばかりに矢継ぎ早に提案する
  往生際の悪い環境局
  まちづくり合同会社の代表は、キーパーソン西口宗広さん
  天の配剤、松繁さんという適任者
  ホームレスの込み入った、複雑な事情
  いまみや小中一貫校は人気校
  注


第16章 西成警察署の変身 326
  まち中にもっと光を!(Mehr Licht! )作戦
  覚せい剤撲滅キャンペーン
  警察の鈍い動き
  あいりん地域に売人を封じ込めている
  鋼鉄製の地獄の門のなかで警察署長と会う
  無事退職することが大切な1年交代の西成署長
  まったく見つからない西側警察署を動かすツボ
  知事の一声で府警本部長を動かせ
  大阪都構想をめぐる政局の追い風
  熱血漢知事の怒り
  トップからの電撃作戦
  西成は犯罪の巣窟じゃない
  会談の翌日から即座に動き出した西成警察署
  他区・他市の応援も得て24時間体制の人海戦術を実施
  ズレはあったものの大前進した環境整備の取り組み
  警察は動き出したら止まらない
  地域の声を聞き始め大変身した西成警察署
  注


第17章 府市合わせの現場 347
  機運が熟さぬ第2の矢
  ジェントリフィケーションの誘発を唱える活動家たち
  荒唐無稽なレッテル
  地域への「権限移譲」でジェントリフィケーションを防ぐ
  大論争をエネルギーに
  アゴラの必要性
  ボウリングのセンターピン
  待ったなしの建て替え問題。締め切り効果が期待できる
  民間投資を呼び込むカウベル効果への期待
  この地域のほぼ全員がステークホルダー
  難攻不落のセンターピン
  補強工事で問題を先送りする密室案
  三者会議の暴露から始めた有識者座談会報告書
  三者会議の運営を任される
  はるかに効率的な自律分散的情報処理
  困難は分割して準備体操から始める
  ユーロトンネル方式
  そもそも論で紛糾する聞きしに勝る府市合わせ
  会議は踊る、されど進まず
  袋競りにも似た個別ヒアリングが突破口
  ミドルマンとしての特別顧問の有効性
  リスクと責任を引き受ける
  情報の集中は権限の集中
  個別にもっていた全体最適の解
  アゴラに向けた準備完了
  注


第18章 アゴラのススメ 377
  町内会全員に参加を要請する
  すべての労働団体に参加を促す
  反対の立場の人とも折り合う着地点を探す
  不手際もあり、残念ながら医療連は不参加
  鎌ヶ谷の軌跡と驚かれた35人の委員たち
  萩之茶屋小学校の体育館開催にこだわる
  1人でも多くの人がかかわれるように徹底的に情報公開
  想定される妨害活動とその対策
  議論が市政に反映されることを担保する区議会議の市長5原則
  不参加を通告してきた国と府。市はどうなるのか
  謝罪から始まった準備会合
  準備会合でみえてきた反省点
  ワークショップ方式で活発なやりとりを促す
  匿名性を確保し自由に発言しやすく
  ワークショップ中、傍聴席ではミニレクチャー
  『毎日新聞』の大誤報
  用意周到な内部リーク
  テロのねらいは闇の中
  被害を最小限に食い止める
  活動家の間近でレクチャーするという陽動作戦
  騒ぎ続けた見知らぬ労働者風の若者
  騒動から生まれた委員たちの一体感
  修羅場で問われる真価


第19章 綱渡りのまちづくり会議 406
  基本方針を確認した「第2会議」の反省会
  素晴らしいアイデア、傍聴者ワークショップ
  帰ってきたシャケたち
  最大限の努力で対応した第2回会議
  「もうこんでエエ」と疎まれた飛び込み作戦
  古いやり方から抜け出せない住民たち
  行政に一方的に要求するのではない当事者意識の芽生え
  静かで集中できる環境を奇策で実現した第3回会議
  議論の材料としての4案の提示
  材料をもとに自分たちでプロセスをたどりながら議論
  第2の奇策、個別ワークショップ
  奇策の効果てきめん、現実化する議論
  いよいよ週末開催のクライマックス、第4回会議
  手続き論で攻撃し始める初見の活動家たち
  空振りに終わった活動家たち
  打つ手なしで「橋下出てこーい!」と騒ぐ活動家
  テーマ別ワークショップで具体論を詰める
  活動家たちが分散し妨害行動が弱まる
  第1住宅の移転合意がセンターピン
  罵声やヤジのない静かな第5回会議
  市長、知事辞任? 政局絡みの災難が振りかかる
  正直は最善の戦略。すべてを話して決定を委ねる
  粛々と進んだ第6回会議
  注


第20章 直接民主主義の勝利 439
  市長と知事の約束
  示された行政の方針
  新たに加わった実施体制
  下からの積み上げ作業
  時間のかかる調整過程
  あいりん型・直接民主主義
  地方が抱える共通の病理
  ボトムアップの強さ
  スーパーマンは現れない
  改革の舞台監督
  ハブになることの重要性
  わらしべ長者への道
  人々の信用を得るために
  バランス感覚の重要性
  役所組織の動かし方
  リーダーの資質
  ピンチはチャンス
  注


おわりに(2016年9月 鈴木亘) [461-470]
  届かぬ研究成果
  動かぬ政治、行政への怒り
  役に立つ経済学
  大阪都構想の否決
  政局のジェットコースター
  その後のまちづくり会議
  レジリエントなネットワーク


[コラム1]ホームレス対策と外部性(上) 010
[コラム2]ホームレス対策と外部性(下) 023
[コラム3]簡宿街と集積の利益(上) 048
[コラム4]簡宿街と集積の利益(下) 071
[コラム5]簡宿街の外部不経済とその内部化 090
[コラム6]共有地の悲劇と社会問題の集中 112
[コラム7]統計的西成差別 136
[コラム8]修羅場での行動とシグナリング 161
[コラム9]まちづくりとコースの定理 183
[コラム10]人々の信頼と規模の経済 206
[コラム11]改革を阻む囚人のジレンマ(上) 233
[コラム12]改革を阻む囚人のジレンマ(下) 257
[コラム13]縦割り行政と取引費用 273
[コラム14]縦割り行政と公共財、マルチタスク 296
[コラム15]まちづくり合同会社の可能性 324
[コラム16]先達への尊敬とサンクコスト 345
[コラム17]有識者が機能する経済学的理由 374
[コラム18]エージェンシー問題アゴラ 405
[コラム19]アゴラが機能する経済学的理由 436
[コラム20]しがらみを断つ大阪都構想 459