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『排除と差別の社会学 新版』(好井裕明[編] 有斐閣選書 2016//2009)

編者:好井裕明 日本大学教授
執筆者:
  三浦 耕吉郎 関西学院大学教授
  川端 浩平 福島大学准教授
  杉浦 浩美 埼玉学園大学専任講師
  石川 良子 松山大学准教授
  古賀 正義 中央大学教授
  小倉 康嗣 立教大学准教授
  杉浦 郁子 和光大学准教授
  土浦 葉 愛知大学准教授
  矢吹 康夫 立教大学助教
  佐々木 てる 青森公立大学准教授
  稲津 秀樹 日本学術振興会
  八木 良広 愛媛大学
  坂田 勝彦 東日本国際大学准教授


排除と差別の社会学新版 | 有斐閣


【目次】
はしがき(2016年8月 好井裕明) [i-iii]
執筆者紹介 [iv-vi]
目次 [vii-xiv]


第I部 排除や差別という現象から世の中を考える

第1章 排除と差別の社会学を考える2つの基本〔好井裕明〕 003
1 差別をめぐる常識的な見方 004
  差別とは何だろうか?
  「対岸の火事」としての差別
2 差別のない社会という理想(幻想?) 008
3 差別や排除を見抜こうとする社会学的まなざし 011
  他者とつながる〈わたし〉
  〈あなた〉に向かおうする〈わたし〉の意志
4 差別的日常というテーマ――“普通であること”を見直す 014
  差別する可能性に気づく
  差別的な日常へ――“普通であること”を見直す
5 “生きる手がかり”として差別や排除を活用すること 017
6 差別を考え,差別に“耐性”をもつ文化を創造する 019
参考文献/ブックガイド 021


第2章 部落差別の今は……?――「部落」・「部落民」の表象のゆくえ〔三浦耕吉郎〕 025
1 A地区のフィールドワークから 026
2 結婚差別の体験を聞く 030
3 「部落差別」とは何か? 034
4 〈ポスト同対法体制〉の隘路 037
参考文献/ブックガイド 041


第3章 「当事者」は差別や排除を語るのか?――〈ジモト〉の在日コリアンとともに感じたこと〔川端浩平〕 045
1 誰が差別を語るのか 046
  「差別されたことはない」
  在日コリアンたちはどこへ行ったのか
2 「当事者」と差別・排除をめぐるリアリティの変化 049
  差別へ対抗する日常的実践
  差別から排除へ
3 語られないことを感受する 053
  センスを磨く
  対象者が引き出す調査者の感覚
4 身近な世界との再会 057
  ジモトという視座から見えてくる交錯するルーツ
  「他者」との出会いから自分に出会う
5 「当事者」は差別や排除を語るのか 060
  互酬性と倫理
  差別・排除から見えてくる私たちが生きる時代
参考文献/ブックガイド 063


第II部 個別の問題を手がかりとして

第4章 「身体」をあたりまえに生きるために――「マタニティ・ハラスメント」という問題〔杉浦浩美〕 071
1 「マタニティ・ハラスメント」の社会問題化 072
2 何が「問題」とされているのか? 074
  「社会問題化」へのプロセス
  メディア報道の限定性を超えて
3 「一人前に働けない」という批判をめぐって 079
  「家族の事情」を抱えながら働く権利
  「身体の事情」を抱えながら働く権利
4 「身体」をあたりまえに生きる 086
参考文献/ブックガイド 088


第5章 「ひきこもり」からの問題提起〔石川良子〕 093
1 はじめに 094
2 社会問題としての「ひきこもり」 095
  1990年代
  2000年代
  2010年代
3 「ひきこもり」は何から排除されているのか 099
  “ひきこもらされている”という視点
  自分自身からの排除/セーフティネットからの排除
4 当事者たちからの発信 102
  ひきこもった経験の価値転換
  誰も排除しない社会をめざして
5 「ひきこもり」からの問題提起 108
注 110
参考文献/ブックガイド 111


第6章 学校空間における排除と差別〔古賀正義〕 117
1 学校空間から排除される中退者の事例 118
  液状化するライフコース
  環境管理型権力による「排除」
2 学校空間の内包と排除 122
  学校化した日常生活世界
  コンサマトリー化する学校空間
3 分断化する小グループとその力学 126
  島宇宙化と共振的コミュニケーション
  教室でのキャラ化の広がり
  スクールカーストと政治空間化
4 抵抗の文化の喪失と「生きづらさ」 131
  反学校文化と学校・社会への抵抗
  社会的排除と「生きづらさ」
参考文献/ブックガイド 135


第7章 解放の政治から生成の政治へ――「ゲイ」というカテゴリーの意味転回〔小倉康嗣〕 141
1 あるカミングアウトから 142
2 ゲイシーンにおけるエイジングの発見 147
3 「ゲイ」というカテゴリーの意味転回 153
4 解放の政治から生成の政治へ 157
注 161
参考文献/ブックガイド 163


第8章 女性カップルの子育て願望への反発に見る排除のかたち――「子どもがかわいそう」をめぐるポリティクス〔杉浦郁子〕 167
1 同性カップルの承認と子育て願望への戸惑い 168
  同性婚をめぐる各国の動き
  国内の動き―― 2015年
  同性婚に対する世間の反応
  子づくり・子育て願望への戸惑い
2 レズビアンが手にした新たな選択 171
  レズビアンマザーの同性婚ニーズ
  レズビアンのドナー授精
  子育て願望の喚起
3 戸惑いや反発への応答を読む 175
  欲望問題という視点
  「子ども」と「親」の欲望の調整
  「マイノリティの親」への想像力
4 寛容のなかの不寛容 180
  セクシュアル・マイノリティに対する排除のかたち
  「人権」言説に埋め込まれる排除
  分断を生まないために
注 184
参考文献/ブックガイド 186


第9章 モザイクとしての「障害者問題」〔土浦 葉〕 191
1 障害者差別解消法をめぐって 192
  「『障がい』という言葉を使ったほうがよいのではないでしょうか」
  「障害者の権利に関する条約」の採択から差別解消法の制定まで
  「禁止」ではなく「解消」の背景にあるもの
  社会モデルとは
2 モザイク状の「障害者問題」 197
  差別「する」ことへの非難と恐れ
  固定的な見方
  「分けること」の肯定
  「いじめられるから分けたほうがいい」
  カミングアウト
3 簡単に解決されない問いとして向き合うこと 204
  「社会は障害者に対して,そんなにひどいことはしていない」
  「障害者も同じ人間」?
  「壁」を超えて
参考文献/ブックガイド 208


第10章 「ユニークフェイス」から「見た目問題」へ〔矢吹康夫〕 213
1 はじめに――「戦い」は終焉を迎えたのか? 214
2 ユニークフェイス問題/見た目問題とは 215
  当事者の多様性
  具体的な問題経験
3 ユニークフェイスの戦い 219
  「比較の文脈」への警戒
  社会の加害性の告発
  「強い」当事者の落とし穴
4 マイフェイス・マイスタイルは戦わない 224
  見た目問題ネットワークの構築
  非当事者の反応への理解
  「ふつうの」当事者が語る
5 おわりに――マイノリティから「ふつう」へ 228
参考文献/ブックガイド 230


第11章 「民族」との向きあい方――在日コリアンの歴史と日本社会の対応〔佐々木てる〕 235
1 はじめに 236
2 民族と差別の始まり――なぜ民族差別はあったのか? 237
  植民地主義のスタートと日本への移動
  日本での生活
  関東大震災で明らかになる民族差別の本質
3 創られた外国人としての在日コリアン――社会的・制度的差別との闘い 242
  帝国臣民から「外国人」へ
  「外国人」としての在日コリアン
  社会的差別
4 差別から共生へ 247
  残された権利としての政治的権利
  日本国籍取得と共生社会
  新人種主義の台頭とヘイトスピーチ
5 まとめ――マルチ・エスニック社会に向けて 250
参考文献/ブックガイド 252


第12章 「復興災害」の空間と多文化的現実──21年目の被災地を歩きなおす/見つめなおす〔稲津秀樹〕 257
1 忘却され/否定される多文化的現実 258
2 「復興災害」論が隠すもの――「震度7」をめぐる偶然と必然 260
3 多文化的現実を構成する死者――あの日の空と,写真家のレンズ 264
4 まとめにかえて 268
  「復興災害」の空間を歩きなおす――鉄人28号像の両義性
  多文化的現実から見つめなおす――「多文化」論と死者
参考文献/ブックガイド 272


第13章 原爆問題について自由に思考を巡らすことの困難〔八木良広〕 279
1 はじめに 280
2 被爆者たちにとっての核兵器廃絶 283
  「原爆被害者の基本要求」作成の歴史的過程
  被爆者と私たちの「基本要求」の含意
3 一人の被爆者にとっての核兵器廃絶 288
  証言活動のきっかけ
  ざんげとしての証言活動
  ざんげと核廃絶のつながり
4 おわりに 298
参考文献/ブックガイド 299


第14章 原発事故による避難について考えるために──生活の再建をめぐるジレンマ〔坂田勝彦〕 303
1 はじめに――原発事故と避難者の現在 304
  原発事故とはいかなる出来事だったのか?
  原発事故による避難の入り組んだ状況について
2 避難という経験をめぐって――生活を再建していくための試行錯誤から 307
3 働く場所として,居場所として――日常をつくりあげていこうとする営み 309
  「何もない」ところからの出発
  「やること」をつくりだす
4 交錯する日常と非日常――吐露される生きづらさ 313
  「一体感」という言葉が示唆する不安感
  「宙ぶらりん」の現在と未来
5 おわりに――「帰還」か「定住」かという選択肢の落とし穴 318
参考文献/ブックガイド 319

事項索引 [325-329]
人名索引 [330]



くまさんの映画コラム 

(1) 亀井文夫が描きとろうとした現実 023
(2) 今一度『橋のない川』をじっくりとみてみよう 043
(3) 在日コリアンへの差別と在日の〈いま〉を考える 066
(4) 『ハッシュ!』で家族を考える 090
(5) 『まひるのほし』がみえますか 114
(6) スクールカースト,いじめ,自殺を考える 138
(7) ゲイ・ムーヴメントの“熱”を感じよう 165
(8) 自分の生に誠実に,そして軽やかに生きることとは 189
(9) もう一人の「他者」として障害あるひとを考える 210
(10) ピカッときたら! さっと隠れろ! 233
(11) 『月はどっちに出ている』をみよう 255
(12) 私たちはどう老いていけばいいのだろうか 276
(13) 『ひろしま』が描こうとするヒロシマ 301
(14) 原発の問題性を考えよう 322