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目次とメモを置いとく場

『誰がアパレルを殺すのか』(杉原淳一,染原睦美 日経BP社 2017)

著者:杉原 淳一[すぎはら・じゅんいち](1981-) 記者。
著者:染原 睦美[そめはら・むつみ](1981-) 記者。
インタビュイー:好本 達也[よしもと・たつや] 大丸松坂屋百貨店社長。
インタビュイー:木本 茂[きもと・しげる] 高島屋社長。
インタビュイー:尾原 蓉子[おはら・ようこ] ウィメンズ・エンパワメント・イン・ファッション会長。
インタビュイー:柳井 正[やない・ただし] ファーストリテイリング会長兼社長。
装丁:永井 亜矢子[ながい・あやこ] 陽々舎。
NDC:589.2 その他の雑工業 >> 被服.身廻品


誰がアパレルを殺すのか | 日経BOOKプラス

 「特別編」?


・2020年に文庫化
誰がアパレルを殺すのか | 日経BOOKプラス



【目次】
口絵 [i-viii]
はじめに(2017年4月 杉原淳一 染原睦美) [001-008]
  なぜ「今」なのか
  アパレル産業は、死んでいない
目次 [010-012]


第1章 崩れ去る“内輪の論理” 013
PART 1 アパレルの墓場に見た業界の病巣 014
  「バッタ屋」が繁盛するワケ
  我々は「必要悪」なんだ
  麻薬のような大量生産モデル
  ワールドが象徴した一時代の終焉
  「栄光の旗艦店」「業界名物男」もサヨウナラ
  動き出す投資ファンド
  SPA、ファストファッションにも及ぶ影響
  「アパレル業界は集団自殺している」

PART 2 中国依存で失ったモノ作りのカ 032
  日本のアパレル97%が海外製
  中国への一極集中が招いた値上げ
  コスト削減目的の海外生産は岐路に
  OEMがもたらした同質化
  「作る」はずが売れ筋を「追う」ように
  「日本で買えるものは全部、中国にある」
  「モンクレール」が起用する福井の中小企業

PART 3 「売り場の罪」を背負うSCと百貨店 047
  10年間で2割増えたSC
  顧客の「食い合い」も見て見ぬふり
  「消化仕入れ」が示す、百貨店のノーリスク経営
  アパレル不振が火を付けた百貨店の「再々編時代」
  「洋服の落ち込みは極めて大きい」

PART 4 「洋服好き」だけでは、やっていけない 057
  「手取り18万円、実家暮らし」がスタンダード
  「販売員を続けても、展望がない」
  マネキンクラブから続く”使い捨て”の意識
  重い腰を上げ始めた大手
  競争相手はITベンチャーや大手金融機関

PART 5 そして、勝ち組はいなくなった 068
  漠然とした成長戦略
  「経営戦略もトレンドに流されやすい」
  「楽な道」を歩んできたアパレル業界
  ユニクロを突き動かす危機感


[INTERVIEW]好本達也 「我々はゆでガエルだった」 075
  もう、元には戻らない
  志のあるブランドと組む

[INTERVIEW]木本 茂 「顧客の要求に応えられていなかった」 083
  技術革新で可能性は広がる
  婦人服の下振れは食い止めたい
  「赤字=即閉店」とは考えない
  「消化仕入れ」にはメリットもある


第2章 捨て去れぬ栄光、迫る崩壊 093
[INTERVIEW]尾原蓉子 「変わらなければアパレル業界は滅ぶ」 108
  ブランディングの意味を間違えた
  顧客一人一人を見てきたか

[INTERVIEW]柳井 正 「もう、『散弾銃商法』は通用しない」 115
  「いいブランドなら売れる時代」は、終わった
  帽子も靴も、服飾関係は全部やる
  国内生産はできません


第3章 消費者はもう騙されない 125
PART 1 既存勢力が恐れる米国発の破壊者 126
  全米2店舗で30億円以上の売り上げ
  オンラインSPAという破壊者
  生産過程をすべて開示するエバーレーン
  利益の使い道を明示してファンを増やす
  「一等地に店を持つ必要はない」
  「セールは、価格設定が誤っていることの証左」
  「安さ」ではなく「価格の妥当性」が重要

PART 2 「買う」から「手放す」までネットで完結 146
  地道な説得でアパレル企業を開拓
  ゾゾタウンとともに成長したナノ・ユニバース
  予約機能で売れ行きを予測
  アマゾンもゾゾもSPAへ
  「新品」だけじゃない
  「在庫は顧客のクローゼットにある」
  フリマアプリの王者、メルカリの正体
  中古で売ることを前提に新品を買う
  「買う」から「借りる」へ
  老舗百貨店が"服を売らない"企業を誘致

PART 3 大量生産の逆をいく「カスタマイズ」 178
  「要介護の母が結婚式に着る服を作ってほしい」
  注文服の新たなプラットフォーム
  膨張するハンドメード市場
  ユニクロも進めるカスタマイズ


第4章 僕らは未来を諦めてはいない 189
PART 1 国内ブランドだけで世界に挑む――古いビジネスモデルの破壊者、TOKYO BASE 190
  老舗百貨店の倒産が原風景
  借金1億5000万円からのスタート
  業界水準より高い原価率
  定価販売が6割以下のブランドは切る
  売り上げの10%をそのまま給料に
  「販売」ではなく、「営業」しろ
  「アジアのLVMH」へ、第一歩は香港

PART 2 オープン戦略で世界市場を切り拓く――産地を変える岡山生まれの「桃太郎ジーンズ」 203
  商社や代理店を使わなかったワケ
  旧式の力織機にこだわる
  レプリカブームで躍進、そして海外へ
  アナログな世界に、泥臭く飛び込む
  後発組は「一緒に市場を作る仲間」

PART 3 服を売ることだけが商売ではない――多角化に挑むストライプインターナショナル 214
  「食い合う」どころか新規利用者が取れた
  貸した商品を中古品として販売
  インフラは既にあるものを利用
  東京・渋谷にホテルをオープン
  「利益の3割投資」と「負けのシナリオ」

PART 4 「来年にはゴミになる」服を作らない――持続可能なモノ作りを目指すミナペルホネン!パタゴニア 226
  セールで安売りしない
  いい商品を適正価格で売る
  余った布も有効活用する
  時間と手間をかけて商品をつくる
  「短期間の大量生産」は何も生まない
  77歳の男性店員のいる店舗
  「一番売れる日」に全店休業
  「誰がアパレルを殺すのか」


参考文献・資料 [253]
写真クレジット [254]





【メモランダム】
・業界の不振と改革について、軍地彩弓氏へのインタビュー記事(2017.06.)
https://business.nikkei.com/atcl/opinion/16/092900020/060900020/ 
・シリーズの記事一覧
https://business.nikkei.com/atcl/opinion/16/092900020/




【関連記事】

・本書と同じテーマ(業界の抱える問題)を扱った2冊。
ファストファッション――クローゼットの中の憂鬱』(Elizabeth L. Cline[著] 鈴木素子[訳] 春秋社 2014//2012)
https://contents-memo.hatenablog.com/entry/20150213/1479975945

『大量廃棄社会――アパレルとコンビニの不都合な真実』(仲村和代, 藤田さつき 光文社新書 2019)
https://contents-memo.hatenablog.com/entry/20200505/1588604400


・洋服という共通点以外は関連しない本。
『カラー版 世界服飾史 増補新版』(深井晃子[監修] 徳井淑子ほか[著] 美術出版社 2010//1998)
https://contents-memo.hatenablog.com/entry/20170429/1493028796