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『プルーストとイカ――読書は脳をどのように変えるのか?』(Maryanne Wolf[著] 小松淳子[訳] インターシフト 2008//2007)

原題:Proust and the Squid: The STORY and SCIENCE of the READING BRAIN
著者:Maryanne Wolf(1950-) 認知神経科学発達心理学ディスレクシア研究
翻訳:小松 淳子(1954-) 翻訳。
解説:真柴 隆弘 サスティナブル・ライフデザイン研究所 代表。
NDC:491.371 中枢神経:脳・脊髄の生理,心理学的生理学


プルーストとイカ


【目次】
目次 [001-008]
はじめに [010-013]
献辞 [014]


Part I 脳はどのようにして読み方を学んだか? 015
第1章 プルーストイカに学ぶ 016
文字を読む脳とニューロンのリサイクリング 016
口承の文化から文字の文化へ、文字の文化から新たな文化へ 037
読み方を学ぶ幼い脳――生後五年間の環境が将来を左右する 038
ディスレクシア(読字障害)と情報インテラシー 041


第2章 古代の文字はどのように脳を変えたのか? 045
“読むこと”の始まり 046
人類が初めて口にした言葉? 048
文字の起源――シンボルと認知の飛躍的向上 049
楔形文字――ロゴシラバリーの登場と脳内回路の拡張 055
現代の最先端を既に実践していたシュメールの読字教育 062
シュメール語からアッカド語へ 067
ヒエログリフが育んだ活発な脳 072
竜骨・亀甲・結縄――他の古代書記体系に見られる興味深いサイン 076


第3章 アルファベットの誕生とソクラテスの主張 082
初期アルファベットとその特徴 082
アルファベットの成り立ち 087
  口承文化とギリシャ・アルファベットの誕生
  フェニキア語の娘か妹か
アルファベットを読む脳は、優れているのか? 095
  第一の主張――アルファベットは効率性であらゆる書記体系を凌いでいる
  第二の主張――斬新な思考を生み出すことにかけてアルファベットに勝るものはない
  第三の主張――アルファベットは音声に対する意識を高め、読字の習得を促進する
ソクラテスはなぜ書き言葉の普及を非難したのか 109
  第一の反対理由――書き言葉は柔軟性に欠ける
  第二の反対理由――記憶を破壊する
  第三の反対理由――知識を使いこなす能力を失わせる


Part II 脳は成長につれてどのように読み方を学ぶか? 123
第4章 読字の発達の始まり――それとも、始まらない? 124
小児期を分ける二つのシナリオ 124
第一のシナリオ ――早期リテラシーの大切さ 126
  名前の気付きと認知システムの大きな変化
  物語は他人を理解する能力を養う
  書物がもたらす豊かさ
  対象物の命名と文字の音読
  幼児にはいつから文字を読ませたらよいか――早過ぎると逆効果も
  字を書き始めるきっかけ――型破りな規則
  グース・音素の認識と賢いマザー ――音楽的トレーニングの可能性
  幼稚園は読字の前段階を統合する場所
第二のシナリオ ――恵まれない読字環境 154
  語彙の貧困と“夕食時の語らい”
  中耳炎が言語発達におよぼす影響
  バイリンガルな脳と外国語学習への準備


第5章 子どもの読み方の発達史――脳領域の新たな接続 163
私の“マドレーヌ”を探して 164
文字を読む発達のプロセス ――それは奇跡のような物語 165
読字発達にかかわる五つのタイプ 172
まだ文字を読めない子ども 174
読字初心者の段階 175
  音韻・音素の認識の発達
  自動化できるようになる表象への変換
  “虫”がスパイになれる! 読字初心者の語意味の発達
    意味の理解――読字指導における最大の誤り
    意味を引き出す力、文脈を把握する力
    意味の多義性への理解
  読字初心者の脳――単語解読の基盤
“解読に取り組んでいる読み手”の段階 192
  “サイト・ワード”と“サイト・チャンク”が重要
  “解読”から、“流暢な読み” の段階へ
  与えられた情報を踏み越え、考える時間が始まる
  感情は読解力を伸ばす


第6章 熟達した読み手の脳 204
アメリカの子どもの四〇パーセントは“学習不振児” 205
“流暢な解読者”から“戦略的な読み手”へ 207
  皮質の旅――脳の経路の切り替え
熟達した読み手の脳とは? 218
  500ミリ秒までのあいだになされること
    最初の0ミリ秒〜100ミリ秒――注意の神経回路網の方向付け
    50ミリ秒〜150ミリ秒――文字の認識・セル、アセンブリとサッカードの働き
    100ミリ秒〜200ミリ秒――文字と音、綴りと音素の接続
    200ミリ秒〜500ミリ秒――意味ネットワークの活性化
  意味知識と語形情報の連携
  熟達した読み手の脳では、言語システムが大活躍する


Part III 脳が読み方を学習できない場合 245
第7章 ディスレクシア(読字障害)のジグソーパズル 246
ディスレクシアを見直す 247
ディスレクシアになる四つの原因 250
  第一の原理――古くからある構造物の欠陥
  第二の原理――自動性獲得の失敗(処理速度の不足)
  第三の原理――構造物間の回路接続の障害
  第四の原理――異なる読字回路の使用
  厄介な原理――言語によって異なる、障害の表れ方
遺伝子原因説の検討 281
ディスレクシアの歴史からわかること 283


第8章 遺伝子と才能とディスレクシア 291
エジソンダ・ヴィンチアインシュタインディスレクシアだった 2 92
複数の遺伝子座の関与 302


第9章 結論――文字を読む脳から“来るべきもの”へ 311
“より多く、より速い”はよいことか? 312
オンライン・リテラシーの進展によって何が失われるのか? 316
知的潜在能力を伸ばせているか? 325
“超越して思考する時間”という贈り物 331
読者へ――最後に考えていただきたいこと 337


謝辞 [338-344]
転載の許諾 [21-23]
注・参考文献 [1-20]
解説(本書出版プロデューサー 真柴隆弘) [370-377]