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『日本〈聖女〉論序説――斎宮・女神・中将姫』(田中貴子 講談社学術文庫 2010//1996)

著者:田中 貴子[たなか・たかこ] (1960-) 中世国文学。
NDC:910.23 日本文学史( 古代:奈良時代まで[古代前期.上代],平安時代[古代後期.中古])


『日本〈聖女〉論序説 斎宮・女神・中将姫』(田中 貴子):講談社学術文庫|講談社BOOK倶楽部


【目次】
目次 [003-005]


第一章 捨てられ姫の物語――中将姫と「女の病」 009
  謎のお姫さま
  津村順天堂の伝説
  『中将姫行状記』から中将湯の伝説へ
  鎌倉時代の中将姫
  二つの雲雀山
  継子いじめの物語
  継母の讒言〔ざんげん〕
  捨てられた女神
  女の病
  聖女伝へ


第二章 斎宮の変貌――「聖」と「性」のはざまで 073
  禁忌の姫宮
  斎宮の誕生
  「密通」する斎宮たち
  済子と当子
  『小柴垣草子』をめぐって
  逆流する巫女のイメージ
  神璽〔しんじ〕と斎宮
  神妻の身体
  「男女物語」としての『伊勢物語
  神に捨てられた斎宮


第三章 結婚しない女たち――鎌倉物語の皇女 133
  斎宮のその後
  物語の中の斎宮・斎院
  帰ってきた斎宮――『源氏物語』の秋好中宮
  皇女不婚の原則
  不幸な結婚
  母の不在
  「家」を支える女性
  老いた聖女
  前斎宮のスキャンダル
  パロディとしての前斎宮


第四章 女神考――神のジェンダーをめぐって 194
  「女神たちの日本」展から
  女体の神の出現
  訪れる神と訪れを待つ神
  三輪明神天照大神
  女神の苦悩
  醜さと嫉妬と
  夫婦の崩壊
  変容する嫉妬のすがた
  石の女と花の女
  女神の行方


参考文献 [253-257]
原本あとがき [258-264]
学術文庫版あとがき(梅雨入りの日に 田中貴子) [265-268]
初出一覧 [269]




【抜き書き】
・「学術文庫版あとがき」(265-266頁)から。

 また、管見に入ったものでは、小谷野敦氏が「「聖なる性」の再検討」(国際日本文化研究センター紀要『日本研究』29号、2004年)で言及しているが、本書は、氏の言うような「聖性は本質的なものである」という立場をとっているわけではないので、その点読者はお間違えないように願いたい。/そもそも、私は本質なるものを肯定しているのではなく、「何かに聖性が付与される過程」を検証したつもりであったのだが、「あとがき」には「〔…〕なんで「聖女」なんていうもんがずーっと存在し続けてるのかはわからへんねん」という一文を残している。これは当時、なんでもかんでも「男が作り出した幻想である」と言えばそれですむといった風潮が一部であり、それに反発を覚えたゆえに敢えて曖昧な気分があることを訴えようとしたのだった。