著者:渡辺 靖[わたなべ・やすし] (1967-) 現代アメリカ研究、パブリック・ディプロマシー論、文化政策論、文化人類学。
【目次】
目次 [iii-vii]
題辞 [002]
第1章 リバタリアン・コミュニティ探訪 003
1 フリーステート・プロジェクト 004
ニューハンプシャーに移住しよう
「リバティ・フォーラム」
若者の間で高まるリバタリアン志向
なぜリバタリアンか
2 人類を政治家から解放しよう 024
シーステッド構想
祖父はミルトン・フリードマン
アメリカから“独立”した市
自由と市場主義を徹底した先に
第2章 現代アメリカにおけるリバタリアニズムの影響力 043
1 「デモクラシー・ギャング」から身を守れ 044
『のんきなジョナサンの冒険』
リヴァイアサンではなくペンギンを
アイン・ランドとは何者か
トランプ大統領も愛読?
慈悲深いリバタリアン?
2 「私、鉛筆は」…… 062
リーズン財団
ミーゼス研究所
リバタリアンは「非寛容」?
経済教育財団
もし自由を信じているなら
第3章 リバタリアニズムの思想的系譜と論争 081
1 自由思想の英雄たち 082
ノーラン・チャート
リバタリアンを分類すると
リバタリアンの通奏低音
源流はヨーロッパにあり
なぜアメリカで隆盛となったのか
リバタリアニズムへの懐疑
2 自由は不自由? 099
「縁故資本主義」
ベーシック・インカムを容認する声も
差別是正に政府は関与すべきか
平和への異なるアプローチ
「共和党こそ道を踏み外している」
サンデルへの不満
「リバタリアン・パターナリズム」
第4章 「アメリカ」をめぐるリバタリアンの攻防 117
1 アレッポって何? 118
レーガン大統領は英雄か?
リバタリアンとしてのゴールドウォーター
四六ドルの下着
政府の暫定的な政策ほど恒久的なものはない」
ケイトー研究所
リバタリアンの聖地
「センター」の時代の終わり?
2 アメリカのムッソリーニ 137
「トランプの党」に変貌する共和党
ペイリオコンと「アメリカ第一主義」
「独裁制への小さな一歩」
ローティの慧眼
「「アメリカ第一主義」ならもっと移民を」
フリーダムフェスト
ジョージ・ウィル参上
コーク兄弟の危機感
第5章 リバタリアニズムの拡散と壁 157
1 越境する「アイデアの共同体」 158
中国のリバタリアン
天則経済研究所の受難
好対照の香港
アトラス・ネットワーク
シンクタンクのインキュベーター
越境するリバタリアン
2 自由への攻防 177
中米の名門大学も
「リベルランド」の挑戦
「アイデンティティの政治」と「ポピュリズム」
マッカーシズム2・0
「リベラル国際秩序」はリベラルか
ミレニアル世代という課題
あとがき(平成最後の秋に 鎌倉にて 渡辺靖) [195-203]
なせリバタリアニズムか
日本社会への含意
より選択肢の多い社会へ
主要参考文献 [204-207]
索引 [208-213]
【抜き書き】
・題辞は、Abraham Lincoln のことば。
私たちは皆、自由を謳い上げます。しかし、同じ言葉を用いているからといって、同じ意味で用いているとは限りません。
("We all declare for liberty, but in using the same word we do not all mean the same thing.")
――エイブラハム・リンカーン (一八六四年)
・巻末の214頁から初出情報を抜き書き。
本書は『中央公論』(二〇一八年四月号 二〇一九年一月号) に連載された「リバタリアン・アメリカ 「保守」と「リベラル」を超えて」(全10回)を再構成のうえ加筆・修正したものです。