著者:佐藤 岳詩[さとう・たけし] (1979-) 倫理学。
装丁:宮川 和夫[みやがわ・かずお] 装丁家。
装画:あまえび イラストレーター。
NDC:150 倫理学.道徳
【目次】
はじめに [i-v]
目次 [vi-x]
I 道徳のそもそもをめぐって 001
第一章 メタ倫理学とは何か 002
1 倫理学とは何か 002
2 倫理学の分類 004
規範倫理学と応用倫理学
メタ倫理学
3 メタ倫理学は何の役に立つのか 008
メタ倫理学の役割①――議論の明確化
メタ倫理学の役割②――自分たちの道徳の見直し
結局、メタ倫理学は役に立たないのか
4 メタ倫理学では何が問われるのか 014
(1) 倫理における真理をめぐる問題群
(2) 倫理と判断、行為をめぐる問題群
(3) 倫理における諸概念をめぐる問題群
5 本書の構成 021
第二章 メタ倫理学にはどんな立場があるか 023
1 客観主義と主観主義 023
客観主義的な考え方
ムーアの「善いもの」と「善さ」の区別
客観主義的に考えることの利点
客観主義による主観主義の批判
第三の立場
2 道徳的相対主義 039
道徳的相対主義とは
道徳的相対主義の区別
(1) 事実レベルの相対主義
(2) 規範レベルの相対主義
(3) メタレベルの相対主義
3 客観主義と主観主義のまとめ 055
II 道徳の存在をめぐって 057
第三章 「正しいこと」なんて存在しない――道徳の非実在論 058
1 道徳の存在論 058
真理と実在
2 錯誤理論――道徳の言説はすべて誤り 063
錯誤理論(エラーセオリー)の基本的な考え方
メタ倫理学における認知
マッキーの二つの論証
二つの論証への反論
非実在論が正しいなら?
3 道徳の存在しない世界で 076
道徳全廃主義――道徳は全廃すべし
道徳全廃主義の問題点
道徳的虚構主義――道徳はフィクションとして利用すべし
道徳的虚構主義の問題点
保存主義――道徳はそのままでいい
保存主義の問題点
4 道徳非実在論のまとめ 086
第四章 「正しいこと」は自然に客観的に存在する―― 道徳実在論①自然主義 089
1 実在論の考え方と二つの方向性 089
2 素朴な自然主義(意味論的自然主義)――もっともシンプルな自然主義 093
素朴な自然主義への反論――開かれた問い論法
開かれた問い論法を回避する方法
3 還元主義的自然主義――道徳を他の自然的なものに置き換える 103
(1) 分析的還元主義という考え方
分析的還元主義の問題点
(2) 総合的還元主義という考え方
総合的還元主義の問題点
4 非還元主義的自然主義――道徳は他と置き換えられない自然的なもの 114
コーネルリアリズム――実在するとするのが一番もっともらしい
非還元主義とコーネルリアリズムの問題点
5 自然主義全般の問題点 122
6 自然主義的実在論のまとめ 125
第五章 「正しいこと」は不自然であろうと存在する――道徳実在論②非自然主義的実在論 128
1 神命説 130
神命説の問題点
神命説からの反論
2 強固な実在論 139
強固な実在論
強固な実在論の問題点
3 理由の実在論 144
理由に注目する非自然主義――メタ倫理学において注目されるべきは価値ではなく理由である
規範性から理由へ
価値から理由へ
非自然主義と理由
理由を中心とした非自然主義的実在論の問題点
4 非自然主義的実在論のまとめ 156
第六章 そもそも白黒つけようとしすぎじゃないのか――第三の立場と静寂主義 159
1 準実在論――道徳は実在しないが、実在とみなして構わない 160
準実在論の問題点
2 感受性理論――道徳の実在は私たちの感受性を必要とする 168
感受性理論の問題点
3 手続き的実在論――道徳は適切な手続きを通して実在する 180
手続き的実在論の問題点
4 静寂主義――そもそも実在は問題じゃない 188
静寂主義の問題点
5 第三の立場および第II部のまとめ 196
III 道徳の力をめぐって 199
第七章 道徳判断を下すとは自分の態度を表すことである――表出主義 200
1 道徳的な問いに答えること 200
道徳判断をめぐるる二つの考え方――認知主義・記述主義と認非力知主義・記述主義
2 表出主義 203
3 表現型情緒主義――道徳判断とは私たちの情緒の表現である 205
表現型情緒主義の問題点
4 説得型情緒主義――道徳判断とは説得の道具である 212
説得型情緒主義の問題点
5 指令主義――道徳判断とは勧めであり指令である 221
ヘアの指令主義の問題点
6 規範表出主義――道徳判断とは私たちが受け入れている規範の表出である 232
規範表出主義の問題点
7 表出主義のまとめ 238
第八章 道徳判断を下すとは事実を認知することである――認知主義 242
1 認知主義 242
道徳的事実の認知と道徳判断
認知主義の問題点
2 内在主義と外在主義 248
内在主義の主張とその反例に見える事例
内在主義と外在主義、および動機づけの主張のまとめ
3 ヒューム主義――信念と欲求は分離されねばならないか 263
信念と欲求の分離要求
第一の路線――信念と欲求は区別できないか
第二の路線――信念は動機づけを生み出す力をもちうるか
4 認知は動機づけを与えうるか 272
5 道徳判断の説明のまとめ 275
第九章 そもそも私たちは道徳的に善く振る舞わねばならないのか 278
1 Why be Moral 問題 280
2 道徳的に善く振る舞うべき理由などない 282
本当に道徳的に善く振る舞うべき理由はないのか
3 道徳的に善く振る舞うべき理由はある――プリチャードのジレンマ 288
4 道具的価値に基づく理由 290
道具的価値に基づく道徳的理解の問題点
5 最終的価値に基づく理由――理性主義 294
理性主義、そして最終的価値に基づく道徳理解の問題点
6 そもそも理由なんていらなかった?――直観主義、再び 304
直観主義の問題点
真理へ向けた態度としての道徳――行為選択の倫理と見方の倫理
見方の倫理と Why be Moral
見方の倫理の問題点
7 Why be Moral 問題および第III部のまとめ 313
おわりに 317
あとがき(二〇一七年七月 佐藤岳詩) [321-328]
文献一覧 [6-10]
事項索引 [4-5]
人名索引 [1-3]