contents memorandum はてな

目次とメモを置いとく場

『モラルの起源――実験社会科学からの問い』(亀田達也 岩波新書 2017)

著者:亀田 達也[かめだ・たつや](1960-) 意思決定科学、社会心理学、行動生態学
NDC:301.6 社会科学方法論
NDC:361.4 社会心理学


モラルの起源 - 岩波書店


【目次】
はじめに [i-x]
  人文社会科学の危機
  実験社会科学とは?
  『猿の惑星』からの問い
  ヒトはどこまでサルなのか
  ヒトの心、人の社会
目次 [xi-xiii]


第1章 「適応」する心 001
1. 生き残りのためのシステムとしてのヒト 003
  自然淘汰と適応
  歴史・文化という時間軸
  適応的視点という発見の道具
  生き残りのシステムとしての人間
2. 適応環境としての群れ 013
  群れ生活と脳の進化
  マキャヴェリ的知性
  ヒトと集団


第2章 昆虫の社会性、ヒトの社会性 021
1. 群れを優先させるハチ 023
  ヒトと昆虫の集団の違い
  昆虫の「集団意思決定」
  ミツバチの引越し
  「集合知」を生むためには
  ミツバチは自分の目で評価する
2. 個人を優先させるヒト 032
  ヒトは集合知を生み出せるか
  インターネット実験の結果は……
  ハチとヒトではなにが違うのか
  血縁社会と非血縁社会の判断
  空気を読むヒト、読まないハチ


第3章 「利他性」を支える仕組み 045
1. 二者間の互恵的利他行動 047
  ホッブズの考える自然状態
  動物たちの「自然状態」は闘争状態なのか
  持ちつ持たれつの関係
  互恵的利他主義とは
  平和の基礎としての互恵的利他主義
2. 社会的ジレンマと規範・罰 055
  共有地の悲劇
  社会的ジレンマの構造
  「オレもやっちゃえ」では解決しない
  社会規範と罰
  規範を守る主体は社会ではない
  高次のジレンマ問題
  「公共財ゲーム」実験
  罰は「はったり」ではない
  見返りがなくても罰したい
  規範を維持する「他人の目」
  「目の威力」の意味するもの
3. 情と利他性 076
  ズルを許せない感情
  罰に実効性をもたせるもの
  直感の重要性
  助け合いを支えるもの
  ゴシップと評判
  結局は人情家が得をする?


第4章 「共感」する心 087
1. 動物の共感、ヒトの共感 089
  さまざまな共感
  ついマネしてしまう身体
  他者の心を理解するためのマネ
  「痛い!」も伝染する
  親しい人ほど情動がうつる
  種を超えて「仲間」とのきずなを作るホルモン
  思いやり行動も哺乳類に広く存在する
  オキシトシンが促進する利他行動
2. 内輪を超えるクールな共感 102
  情動的共感の限界
  詐欺師の「共感」
  認知的共感を支える脳の回路
  体の痛みと社会的痛み
  自他分離的な情動変化
  内集団を超えるクールな共感の可能性


第5章 「正義」と「モラル」と私たち 115
1. セーギの味方の二つの疑問 117

2. いかに分けるか――分配の正義 120
  「功利主義」という考え方
  最後通告ゲーム
  人間はホモエコノミクスらしく振る舞うか
  平等な分配は普遍的?
  分配の規範は文化によって異なる
  道徳規範というシステム
  進化ゲームでみる倫理の衝突
  効用関数というモデル
  格差を嫌うヒトの脳
3. 社会の基本設計をめぐって――ロールズの正義論 141
  どちらの所得政策が優れているか
  ロールズの思考実験
  「最小を最大に」で合意する?
  無知のヴェールのかぶせ方
  分配とギャンブルの関係
  分配するなら? ギャンブルするなら?
  分配とギャンブルの選択は連動する
  みんな「最悪」が気になるという共通性
4. 正義は「国境」を越えるか 159
  「私 vs. 私たち」の問題
  自動モードで調整される正義
  「私たち vs. 彼ら」と功利主義
  共通基盤を探り続ける努力


おわりに(二〇一七年元旦 亀田達也) [169-172]
主要参考文献 [1-2]






【関連記事】
『複雑さに挑む社会心理学――適応エージェントとしての人間[改訂版]』(亀田達也, 村田光二 有斐閣アルマ 2010//2000)