編者:阿部 芳郎[あべ・よしろう](1959-) 日本考古学。
著者:吉田 邦夫[よしだ・くにお](1947-) 年代学、考古科学、文化財科学。
著者:栗島 義明[くりしま・よしあき](1958-) 日本先史考古学。
著者:高瀬 克範[たかせ・かつのり](1974-) 先史考古学。
著者:丑野 毅[うしの・つよし](1942-) 考古痕跡研究。
著者:宮腰 哲雄[みやこし・てつお](1945-) 有機合成化学、有機工業化学、漆の化学、機能性材料の合成。
【目次】
目次 [iii-iv]
序章 発掘からはじまる歴史学[阿部芳郎] 001
歴史学と耕地
遺物の手触り
遺跡を歩く
発掘の醍醐味
ある発掘調査で
失敗のなかでみつけた新たな展開
遺跡を調査することの意義
第1章 炭の粒で年代を測る[吉田邦夫] 017
考古学と年代
壊れる炭素を時計に使う
時計の針を読み取るために
タンデム加速器の長所
C14年代測定で測れるもの
外からの汚れを取り去るために
AMS法【Accelerator Mass Spectrometry】で測定するための試料を用意する
この時計は正確に時を刻んでいるのだろうか
貝や魚の年代
砂粒ほどの炭素をはかる
越後新潟に咲いた縄文の華
火炎土器様式の年代
この時代の気候を理解する
最近一〇〇〇年間の較正曲線とC14濃度の変動
火焔炎土器が登場した環境は
第2章 森の資源とその利用[栗島義明] 049
縄文人を取り巻く環境
縄文人の主食は何か
生活を支えた木の実
木の実が選ばれた理由
好みの変化
調理と加工
食卓を彩る木製品
木製品容器を作る技術
縄文人の環境適応
○資源の偏在
○危機回避
縄文文化の位置
第3章 食べたものを明らかにする[吉田邦夫] 087
あなたはあなたが食べたもの
生き物の体をつくるもの
植物から動物へ――同位体比の伝達と分別
そしてヒトへ――ヒトが食べたもの
重さを分ける方法
人骨はそのままでは測れない
日本列島で暮らした人びとの食生活
北辺に住む人びとの食生活
本州島の人びとの食生活
九州の人びとが食べていたもの
一人一人の食べ物か見えてくる
土器付着炭化物は煮炊きの跡――おこげは情報を保存しているだろうか
火炎土器に残された食材
遺跡ごとに特徴が見える
山下遺跡/清水上遺跡/川久保遺跡
火炎土器は何に使われたのか
第4章 石器が語る「使用履歴」[高瀬克範] 121
石器の用途
使用痕の種類
ポリッシュ【使用痕光沢面】の種類
ポリッシュができる要因とブラインドテスト
ポリッシュの観察
石庖丁の使用痕
石庖丁の使用法
隣接した地域と比較する
穂摘み以外の収穫具
さまざまな石器の分析へ
第5章 ミクロの痕跡から情報を読みとる[丑野 毅] 143
遺物に残された痕跡
レプリカ法
レプリカ法による観察資料の作成
土器片に残された痕跡
針状骨製品に残された痕跡
第6章 漆のふしぎとジャパン[宮腰哲雄] 167
漆を知っていますか?
漆の科学分析
漆は輸入されていた
漆器を分析する
漆の特性を解明するさまざまな研究
ウルシの木とは
漆液はどう最終するか
漆液の性質
漆膜への変化
漆の塗りと現代漆工芸
遺物に残された漆
縄文時代の漆
漆の歴史と未来を考える
第7章 貝輪作りと実験考古学[阿部芳郎] 199
仮説をもつことの大切さ
道具つながりの実験考古学
ある貝塚の発掘〜千葉県銚子市余山貝塚と貝輪〜
海辺で貝を拾おう
貝輪の実験考古学
奇妙なかたちの砥石
貝輪は誰が身に着けたのか
大学の教室で
貝輪と縄文社会
実験考古学の大切さ
おわりに(二〇一〇年四月 阿部芳郎) [225-237]
思考のアンカー(錨)を下ろそう
ある研究の会議で
新たな思考の芽
歴史を知ることの奥深さ
考古学は現在と未来を結ぶ人間学
参考文献 [5-6]
図版出典・写真提供 [3-4]
執筆者紹介 [1-2]