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『戦争はいかに終結したか――二度の大戦からベトナム、イラクまで』(千々和泰明 中公新書 2021)

著者:千々和 泰明[ちじわ・やすあき](1978-) 国際政治学
NDC:209.7 世界史(20世紀)
NDC:391 戦争、戦略、戦術


戦争はいかに終結したか|新書|中央公論新社



【目次】
はしがき [i-iv]
目次 [v-vii]
題辞 [2]


序章 戦争終結への視角――「紛争原因の根本的解決」と「妥協的和平」のジレンマ 003
  日本における戦争終結研究の欠如
  戦争終結研究の知的潮流
  権力政治的アプローチ①――パワー
  権力政治的アプローチ②――構造的なパワー・バランスの変化
  権力政治的アプローチの限界
  合理的選択論的アプローチ①――妥協
  合理的選択論的アプローチ②――紛争の根本原因の除去
  合理的選択論的アプローチの限界
  「紛争原因の根本的解決と妥協的和平のジレンマ」
  「将来の危機」と「現在の犠牲」のバランス
  戦争終結の三つのパターン
  国内政治的アプローチ


第1章 第一次世界大戦――「勝利なき平和」か、懲罰的和平か 025
1 双方による妥協的和平の拒絶―平和の保障を求めて 027
  「勝利なき平和」は可能か
  アメリカ参戦とロシア革命

2 ロシアへの和平要求―――ブレスト=リトフ スク講和 032
  打倒されるより分割を
  ロシアの連合離脱

3 「十四か条の原則」とドイツとの対話――ウィルソン覚書をめぐって 036
  「十四か条の原則」発表
  「暗黒の日」を過ぎて
  マックス内閣成立
  ウィルソンの第一覚書
  第二覚書の波紋
  第三覚書

4 ドイツへの和平要求――コンピエーニュへの道 049
  連合国・協力国最高戦争指導会議
  「十四か条の原則」をめぐる理想主義 vs. 現実主義
  革命の火の手上がる
  コンピエーニュの森
  勝手に退位を発表


第2章 第二次世界大戦〈ヨーロッパ〉――無条件降伏政策の貫徹 065
1 イギリスの和平拒絶・フランスの屈服――ドイツの快進撃と連合国の分裂 067
  ヒトラーの「平和」
  チャーチルの決意
  屈服か、北アフリカ
  パリの鉤十字旗
  イギリスとの連合は「死体との連合」
  再びのコンピエーニュ
  「理性への呼びかけ」拒否される

2 無条件降伏政策――ウィルソンの「亡霊」 082
  第一次世界大戦の教訓
  単独講和の防止
  「無条件降伏」とは何か
  ドイツ反体制派を相手とせず

3 イタリアへの降伏要求――無条件降伏政策の緩和 092
  クーデター
  短期条件と長期条件
  「ハンマーと銃床の中間」

4 ドイツの打倒――「勝者の意志の容赦ない押しつけ」 101
  西部における単独講和
  忍びよる不信の影
  「ベルリンは、ただ地理的に存在するだけ」
  「ブランデンブルクの奇跡」起きず
  主権消滅


第3章 第二次世界大戦〈アジア太平洋〉――「幻想の外交」の悲劇 121
1 ポツダム宣言の発出――無条件降伏政策の修正 124
  日本にも無条件降伏を
  ポツダム宣言案の起草と天皇制存置条項の削除
  核兵器ソ連
  スターリンの署名なし

2 ソ連仲介策――「幻想の外交」の始まり 138
  同盟依存と一撃和平の破綻
  一撃和平からソ連仲介策へ
  天皇招集の懇談会
  「幻想の外交」
  特使をモスクワに
  「最後通牒とは受取れず」

3 核兵器使用、ソ連参戦、ポツダム宣言の受諾――絡まり合った運命の糸 151
  消えた最高戦争指導会議構成員
  天皇と東郷はいつ会ったのか
  一条件派 vs. 四条件派
  天皇の決断
  国体護持のゆくえ


第4章 朝鮮戦争――「勝利にかわるもの」を求めて 169
1 国連側の北進――めざすは鴨緑江 171
  北朝鮮軍の韓国からの撃退
  撃退から統一へ

2 共産側の南進――「まったく新しい戦争」 174
  中国参戦
  中国のもくろみ

3 休戦会談――「勝利にかわるもの」 179
  マッカーサー解任
  中国の転換
  休戦会談始まる

4 朝鮮休戦協定の締結――捕虜問題の迷走の果てに 186
  捕虜を引き渡してはならぬ
  核の脅しか、スターリンの死か
  緊張の持続


第5章 ベトナム戦争終幕をひかえた離脱 197
1 アメリカの離脱ヘ――ベトナム戦争の「ベトナム化」 199
  ジュネーブ協定の破綻
  朝鮮戦争の影
  追いつめられての北爆停止
  「ベトナム化」に向かって
  マニラ原則を放棄
  チュー体制をめぐる攻防

2 ハノイの妥協――革命を守るための外交 212
  サイゴンの存続はハノイの破滅
  ハノイの転換

3 パリ協定の締結――「時間的間隔」の真意 216
  和平は目前か
  十月合意からパリ協定へ
  さらばサイゴン


第6章 湾岸戦争アフガニスタン戦争・イラク戦争――共存から打倒へ 227
1 フセイン体制打倒の回避――戦争目的の限定 229
  イラク軍のクウェートからの撃退
  ソ連和平工作から地上戦へ

2 停戦の合意――「百時間戦争」の陥穽 236
  朝鮮とベトナムの教訓
  攻撃停止をめぐる評価
  サフワンの停戦会談
  独裁者のゆくすえに関する誤算

3 タリバン政権の打倒――その首をはねよ 246
  九・一一の衝撃
  タリバン政権崩壊

4 フセイン体制の打倒――「衝撃と畏怖」の誘惑 250
  「悪の枢軸
  フセイン体制崩壊


終章 教訓と出口戦略――日本の安全保障への示唆 259
  「紛争原因の根本的解決と妥協的和平」のジレンマ」から見た戦争
  三つの示唆
  成功と失敗を分けたもの
  劣勢勢力側の決断
  日本の安全保障体制
  日米同盟が優勢であるケース
  日米同盟が劣勢であるケース


あとがき(二〇二一年四月 千々和泰明) [276-280]
主要参考文献 [281-296]