著者:千々和 泰明[ちじわ・やすあき](1978-) 国際政治学。
NDC:209.7 世界史(20世紀)
NDC:391 戦争、戦略、戦術
【目次】
はしがき [i-iv]
目次 [v-vii]
題辞 [2]
序章 戦争終結への視角――「紛争原因の根本的解決」と「妥協的和平」のジレンマ 003
日本における戦争終結研究の欠如
戦争終結研究の知的潮流
権力政治的アプローチ①――パワー
権力政治的アプローチ②――構造的なパワー・バランスの変化
権力政治的アプローチの限界
合理的選択論的アプローチ①――妥協
合理的選択論的アプローチ②――紛争の根本原因の除去
合理的選択論的アプローチの限界
「紛争原因の根本的解決と妥協的和平のジレンマ」
「将来の危機」と「現在の犠牲」のバランス
戦争終結の三つのパターン
国内政治的アプローチ
第1章 第一次世界大戦――「勝利なき平和」か、懲罰的和平か 025
1 双方による妥協的和平の拒絶―平和の保障を求めて 027
「勝利なき平和」は可能か
アメリカ参戦とロシア革命
2 ロシアへの和平要求―――ブレスト=リトフ スク講和 032
打倒されるより分割を
ロシアの連合離脱
3 「十四か条の原則」とドイツとの対話――ウィルソン覚書をめぐって 036
「十四か条の原則」発表
「暗黒の日」を過ぎて
マックス内閣成立
ウィルソンの第一覚書
第二覚書の波紋
第三覚書
4 ドイツへの和平要求――コンピエーニュへの道 049
連合国・協力国最高戦争指導会議
「十四か条の原則」をめぐる理想主義 vs. 現実主義
革命の火の手上がる
コンピエーニュの森
勝手に退位を発表
第2章 第二次世界大戦〈ヨーロッパ〉――無条件降伏政策の貫徹 065
1 イギリスの和平拒絶・フランスの屈服――ドイツの快進撃と連合国の分裂 067
ヒトラーの「平和」
チャーチルの決意
屈服か、北アフリカか
パリの鉤十字旗
イギリスとの連合は「死体との連合」
再びのコンピエーニュ
「理性への呼びかけ」拒否される
2 無条件降伏政策――ウィルソンの「亡霊」 082
第一次世界大戦の教訓
単独講和の防止
「無条件降伏」とは何か
ドイツ反体制派を相手とせず
3 イタリアへの降伏要求――無条件降伏政策の緩和 092
クーデター
短期条件と長期条件
「ハンマーと銃床の中間」
4 ドイツの打倒――「勝者の意志の容赦ない押しつけ」 101
西部における単独講和
忍びよる不信の影
「ベルリンは、ただ地理的に存在するだけ」
「ブランデンブルクの奇跡」起きず
主権消滅
第3章 第二次世界大戦〈アジア太平洋〉――「幻想の外交」の悲劇 121
1 ポツダム宣言の発出――無条件降伏政策の修正 124
日本にも無条件降伏を
ポツダム宣言案の起草と天皇制存置条項の削除
核兵器とソ連
スターリンの署名なし
2 ソ連仲介策――「幻想の外交」の始まり 138
同盟依存と一撃和平の破綻
一撃和平からソ連仲介策へ
天皇招集の懇談会
「幻想の外交」
特使をモスクワに
「最後通牒とは受取れず」
3 核兵器使用、ソ連参戦、ポツダム宣言の受諾――絡まり合った運命の糸 151
消えた最高戦争指導会議構成員
天皇と東郷はいつ会ったのか
一条件派 vs. 四条件派
天皇の決断
国体護持のゆくえ
第4章 朝鮮戦争――「勝利にかわるもの」を求めて 169
1 国連側の北進――めざすは鴨緑江 171
北朝鮮軍の韓国からの撃退
撃退から統一へ
2 共産側の南進――「まったく新しい戦争」 174
中国参戦
中国のもくろみ
3 休戦会談――「勝利にかわるもの」 179
マッカーサー解任
中国の転換
休戦会談始まる
4 朝鮮休戦協定の締結――捕虜問題の迷走の果てに 186
捕虜を引き渡してはならぬ
核の脅しか、スターリンの死か
緊張の持続
第5章 ベトナム戦争終幕をひかえた離脱 197
1 アメリカの離脱ヘ――ベトナム戦争の「ベトナム化」 199
ジュネーブ協定の破綻
朝鮮戦争の影
追いつめられての北爆停止
「ベトナム化」に向かって
マニラ原則を放棄
チュー体制をめぐる攻防
2 ハノイの妥協――革命を守るための外交 212
サイゴンの存続はハノイの破滅
ハノイの転換
3 パリ協定の締結――「時間的間隔」の真意 216
和平は目前か
十月合意からパリ協定へ
さらばサイゴン
第6章 湾岸戦争・アフガニスタン戦争・イラク戦争――共存から打倒へ 227
1 フセイン体制打倒の回避――戦争目的の限定 229
イラク軍のクウェートからの撃退
ソ連の和平工作から地上戦へ
2 停戦の合意――「百時間戦争」の陥穽 236
朝鮮とベトナムの教訓
攻撃停止をめぐる評価
サフワンの停戦会談
独裁者のゆくすえに関する誤算
3 タリバン政権の打倒――その首をはねよ 246
九・一一の衝撃
タリバン政権崩壊
4 フセイン体制の打倒――「衝撃と畏怖」の誘惑 250
「悪の枢軸」
フセイン体制崩壊
終章 教訓と出口戦略――日本の安全保障への示唆 259
「紛争原因の根本的解決と妥協的和平」のジレンマ」から見た戦争
三つの示唆
成功と失敗を分けたもの
劣勢勢力側の決断
日本の安全保障体制
日米同盟が優勢であるケース
日米同盟が劣勢であるケース
あとがき(二〇二一年四月 千々和泰明) [276-280]
主要参考文献 [281-296]