著者:小原 雅博[こはら・まさひろ](1955-) 外交官。国際関係論。
NDC:319.1 外交.国際問題(日本―対外関係)
『日本の国益』(小原 雅博):講談社現代新書|講談社BOOK倶楽部
【目次】
はじめに [003-005]
目次 [006-010]
序章 今、なぜ国益を考えるのか? 011
動揺する現代国際秩序
日本の国益論議
第一章 「国益」とは何か 019
1 「国益」という概念 020
「国益」概念の重要性と曖昧性
国家はなぜ必要か?
国益の普遍性と多様性
国益の調整
2 国益と絡み合うパワーと道義 028
国益・パワー・安全の関係
パワーか正義か?
道義と国益の関係
3 国内政治と国際政治における国益の立ち位置 035
国益の「全体性」と「地方性」
「国際益」と「世界益」
「求同存異」と「開かれた国益」
第二章 「国益」の歴史的変遷 043
1 トゥキディデスの『戦史(ペロポネソス戦争史)』が語ること 044
「メーロス対談」
生存か自由か?
『トゥキディデスの罠』
2 マキャベリズムと「国家理性」 050
悲観的現実主義の「君主論」
「国家理性」の誕生
3 国家主権とホッブズの無秩序世界 054
主権国家「リヴァイアサン」
国家の安全か個人の自由か?
4 ウィーン体制と勢力均衡 058
メッテルニッヒの外交
「ビスマルク体制」
「光栄なる孤立」
明治日本のパワーと国益
5 パワーと国益が支配した二つの世界大戦 066
第一次大戦とアメリカの台頭
ミュンヘン会談の教訓
イデオロギーを超えた国益
国益とパワーは表裏一体
6 冷戦期の「戦争と平和」 074
ヤルタ会談と戦後秩序
米ソ冷戦の幕開け
第三世界での戦争と苦悩
7 キューバ危機と世界益・人類益 080
ケネディの決断
政治的リーダーの理性
8 冷戦終結と九・一一の衝撃 085
「パクス・アメリカーナ」
対テロ戦争と「国家安全保障国家」への変貌
9 国益最優先の時代 090
「アメリカ第一」
ソフト・パワーを軽視するトランプ大統領
10 リベラルな国際秩序の瓦解 094
「力」対「法」
「保護主義」対「グローバリズム」
第三章 国益とパワーをめぐる大国の攻防 103
1 「大復興」する中国の国益と戦略 104
(1) 国益優先の外交へ
「韜光養晦、有所作為」
「平和発展」
「積極有所作為」
「核心利益」
「奮発有為」
「新型大国関係」
(2) 「強国・強軍」を目指す「中国の夢」
それは誰の夢なのか
「二つの百年」
「強国」と「美麗」が意味すること
中国の戦略と日米の誤算
2 香港の「一国二制度」から台湾の統一へ 127
「近代の屈辱」と中国ナショナリズム
台湾統一と「中国の夢」
3 「一帯一路」と中国の目指す国際秩序 132
4 習近平時代の中国の行方 135
「習近平思想」と「習一強」
「人治」か、「法治」か?
5 米中「新冷戦」と東アジア秩序 139
(1) パワー・シフト:「中国はアメリカを追い抜くか?」
アメリカの優位性
米中の政治モデルの優劣
(2) 米中衝突
「修正主義勢力」との対決
米中貿易戦争
(3) 米国に求められる戦略
勢力均衡維持のための同盟国の貢献
アメリカの新たな対中戦略
外交の重要性
第四章 日本の国益を揺るがす三つの脅威 157
日本の国益とは何か?
1 北朝鮮の核・ミサイルの脅威 160
(1) 急展開する朝鮮半島情勢
北朝鮮の核・ミサイルと国際社会の対応
朝鮮半島の非核化の行方と日本の戦略
(2) 北朝鮮の意図と論理
「悪人の論理」
「弱者の論理」
(3) 核・ミサイルに代わる「体制保証」とは何か?
「恒久的な平和体制」
国連と米中を巻き込んだ朝鮮戦争は終わっていない
「休戦協定」の下での朝鮮国連軍
「平和協定」締結による在韓米軍ノ撤退
(4) 「朝鮮半島の非核化」の意味と進め方
「朝鮮半島の非核化」と「北朝鮮の非核化」
非核化が先(「リビア方式」)か同時進行(「双軌並行」)か?
(5) 朝鮮半島の非核化と日本の国益
「デカップリング」の懸念
「CVID[Complete, Verifiable and Irreversible Denuclearization]」と弾道ミサイルの扱い
(6) 米朝対話の行方
「悪人との対話」
イラン核合意は「最悪の合意」か?
(7) 非核化は実現できるか?
米朝首脳会談と非核化の行方
「検証」の重要性
2 東シナ海の対立と海の守り 196
(1) 日中が攻守対峙する「新常態」
東シナ海資源開発問題
尖閣諸島周辺海域での中国の活動の増大
(2) 尖閣諸島をめぐる対立
日中の立場の相違
山縣有朋と井上馨の交換書簡と尖閣諸島の日本編入
(3) 尖閣諸島問題の本質
「棚上げ」をめぐる対立
福田首相の「泰然自若」
日本の「常識」と世界の「常識」
尖閣諸島の「有効支配」と「国有化」
(4) 尖閣諸島と日本の国益
アメリカの立場と日米安全保障条約
緊張緩和と危機管理メカニズム
3 南シナ海問題と「法の支配」 226
(1) 領有権をめぐる周辺諸国の争い
問題の所在
中国の「九段線」と仲裁裁判での全面敗北
南シナ海における関係国の対立と衝突
米中間て揺れるASEAN
(2) 中国の「サラミ戦術」とアメリカの「航行の自由作戦」
「サラミ戦術」と人工島化・軍事化
「航行の自由作戦」
中国の相反する心理
(3) 南シナ海問題と日本の国益
「法の支配」をめぐる米中のせめぎ合い
日本の国益
沖ノ鳥島問題
注 254
終章 日本の「開かれた国益」外交 257
1 日米同盟と「境界国家」論 258
国際協調と日米同盟
「境界国家」論と日米同盟の行方
2 日本外交の選択肢 264
「日米同盟至上主義」か「アジア主義」か
日米同盟だけで良いのか?
3 「日米同盟+α」 269
「自由で開かれたインド太平洋戦略」
「一帯一路」にどう関与するのか
4 「日中関係のマネージメント」の難度と重要性 273
あらゆるレベルと分野での対話の必要性
日中関係の新たな均衡点
5 「開かれた国益」を目指して 277
「国家・国民の安全」という国益と憲法九条
日本の「開かれた国益」外交
あとがき(二〇一八年八月 小原雅博) [284-286]
参考文献 [287-289]