[編著者]
小田 亮[おだ・りょう]名古屋工業大学大学院工学研究科
橋彌 和秀[はしや・かずひで] 九州大学大学院人間環境学研究院
大坪 庸介[おおつぼ・ようすけ] 東京大学大学院人文社会系研究科
平石 界[ひらいし・かい] 慶應義塾大学文学部
[著者](所属は刊行当時のもの。専攻は各リンク先のサイトから転載または推測したもの。)
安藤 寿康[あんどう・じゅこう] 行動遺伝学、教育心理学。 慶德義塾大学文学部
池渕 万季[いけぶち・まき] 動物行動学。神経科学。 理化学研究所脳科学総合研究センター
伊澤 栄一[いざわ・えいいち] 生物心理学,動物行動学,神経行動学。 慶德義塾大学文学部
内田 亮子[うちだ・りょうこ] 自然人類学。 早稲田大学国際教養学部
大槻 久[おおつき・ひさし] 数理生物学・進化ゲーム理論。 綜合研究大学院大学先導科学研究群
荻原 直道[おぎはら・なおみち] 生体力学。 東京大学大学院理学系研究科
河野 和明[かわの・かずあき] 感情心理学、進化心理学、動物心理学。 東海学園大学心理学部
喜入 曉[きいれ・さとる] 社会心理学、進化心理学。 大阪経済法科大学教養部
小林 洋美[こばやし・ひろみ] 認知科学。 九州大学大学院人間環境学研究院
齋藤 亜矢[さいとう・あや] 芸術認知科学。 京都芸術大学文明哲学研究所
齋藤 慈子[さいとう・あつこ] 教育心理学、進化心理学。 上智大学総合人間科学部
坂口 菊惠[さかぐち・きくえ] 行動科学、生命科学、教育工学。 東京大学教養学部・大学院総合文化研究科附属教養教育高度化機構
篠原 亜佐美[しのはら・あさみ] 実験心理学。 NTTコミュニケーション科学基礎研究所
島田 将喜[しまだ・まさき] 霊長類学、"遊び論"。帝京科学大学生命環境学部
竹澤 正哲[たけざわ・まさのり] 社会心理学、適応的意思決定、文化進化論。 北海道大学大学院文学研究院
竹下 秀子[たけした・ひでこ] 比較発達心理学、進化発達支援論。 追手門学院大学心理学部
中尾 央[なかお・ひさし] 自然哲学。文化進化論、科学技術社会論。 南山大学人文学部
中西 大輔[なかにし・だいすけ] 社会心理学、進化心理学。 広島修道大学健康科学部
中丸 麻由子[なかまる・まゆこ] 社会シミュレーション、人間行動進化学、数理生物学。 東京工業大学環境・社会理工学院
中分 遥[なかわけ・よう] 社会心理学、認知人類学、人文情報学。 高知工科大学経済・マネジメント学群
橋本 敬[はしもと・たかし] "知識科学"。認知脳科学、進化生物学、言語学。 北陸先端科学技術大学院大学知識科学系
服部 裕子[はっとり・ゆうこ] 認知科学。 京都大学霊長類研究所
平田 聡[ひらた・さとし] 霊長類学、比較認知科学。 京都大学野生動物研究センター
福川 康之[ふくかわ・やすゆき] 健康心理学、老年心理学、進化心理学。 早稲田大学文学学術院
真島 理恵[ましま・りえ] 社会心理学。 北海道医療大学心理科学部
松阪 崇久[まつさか・たかひさ] 自然人類学、こども学。 関西学院大学教育学部
松本 晶子[まつもと・あきこ] 自然人類学。 琉球大学国際地域創造学部
三船 恒裕[みふね・のぶひろ] 社会心理学、進化心理学。 高知工科大学経済・マネジメント学群
明和 政子[みょうわ・まさこ] 比較認知発達科学。京都大学大学院教育学研究科
孟 憲巍[もう・けんい/Xianwei, Meng] 発達科学、実験心理学、教育心理学。大阪大学大学院人間科学研究科
森田 理仁[もりた・まさひと] 人間行動学、生物人類学、進化生態学。東京大学大学院理学系研究科
山本 真也[やまもと・しんや] 比較認知科学。京都大学高等研究院
結城 雅樹[ゆうき・まさき] 社会心理学、文化心理学、社会生態心理学。北海道大学大学院文学研究院
横田 晋大[よこた・くにひろ] 社会心理学・進化心理学(集団間葛藤、差別・偏見、男女差、サイコパス傾向、など)。広島修道大学健康科学部
和田 幹彦[わだ・みきひこ](1957-) 、民法(家族法)、法と遺伝学、法と進化生物学、進化心理学。法政大学法学部
装丁:designfolio
NDC:140 心理学
件名:進化心理学
件名:行動心理学
「食べる」「考える」「結婚する」など,ヒトの日常的な行動について,主に行動の機能と進化史に焦点を当て解説した中項目事典。コラムや用語解説も盛り込み,人間行動進化学がヒトを観る視点について知ることができる。
【目次】
はしがき(2021年4月 編集者一同) [i-iv]
執筆者一覧 [v]
目次 [vi-viii]
遊ぶ [島田将喜] 001
1. 遊ぶことの進化史
2. 遊ぶことの機能
争う [中尾 央] 005
1. 争うことのしくみ
2. 争うことの進化史
a. チンパンジーにおける争い
b. ヒトにおける争い
3. 争うことの機能
a. チンパンジーにおける争いの機能
b. ヒトにおける争いの機能
c. 利他行動の進化とのかかわり
歩く [荻原直道] 010
1. 歩くことの機能
2. 歩くことの進化史
慈しむ [齋藤慈子] 016
1. 慈しむことの機能
2. 慈しむことの発達
3. 慈しむことのしくみ
a. 対象を見たときの生理的・認知的変化
b. 行動・認知を左右する内分泌
c. 神経基盤
歌う [池渕万季] 024
1. 歌うことの進化史
a. ヒトはなぜ歌うのか:ヒトの歌の起源をめぐる仮説
b. ヒトはいつから歌っているか:化石の情報から考える
発声器
制御する器官,脳
ヒトはいつから歌っていたか
c. 音楽性の起源を探る
動物の歌
分節化の能力
拍子の進化
2. 歌うことの機能
a. 求愛
b. 社会の結束
c. 親子関係への影響
d. 娯楽・耳を楽しませる・リラックスする
e. その他の機能と可能性
産む [竹下秀子] 030
1. 産むことの機能
a. 多産か,少産か
b. 男か,女か
2. 産むことの進化史
a. 卵を産むか,子を産むか
b. いつ産むか:脳と身体の発育進化
c. どのように産むか:直立二足歩行と巨大な赤ちゃん
浮気をする [喜入 暁] 036
1.浮気をすることの機能
a. 男性の短期的配偶戦略の利益とコスト
b. 女性の短期的配偶戦略の利益とコスト
資源
遺伝的利益
配偶者の変更
長期的配偶のための査定
現場のパートナーの操作
2. 浮気をすることの進化史
噂をする [中丸麻由子] 041
1. 噂をすることの進化史
2. 噂をすることの機能
a. ゴシップの機能
b. 進化ゲーム理論から噂をとらえる
c. 人伝てのゴシップの広がりと嘘のゴシップの進化ゲーム理論
描く [齋藤亜矢] 048
1. 描くことの進化史
a. 人類最古の絵
b. 動物の「描く」
2. 描くことのしくみと発達
a. なぐりがき期
b. 表象を描く
c. 描画と言葉
3. 描くことの機能
老いる [福川康之] 054
1. 老いることのしくみ
2. 老いることの機能
3. 老いることの発達
4. 老いることの進化史
教える [安藤寿康] 059
1. 教えることの機能
2. 教えることの発達と進化史
踊る [服部裕子] 065
1. 踊ることの機能
a. 社会的結束仮説(social cohesion hypothesis)
b. 社会的集団シグナル仮説(social signaling hypothesis)
c. 性淘汰説(sexual selection hypothesis)
d. 聴覚のチーズケーキ仮説(auditory cheesecake hypothesis)
2. 踊ることの進化史
飼う [齋藤慈子] 070
1. 飼うことの機能
2. 飼うことの進化史
3. 飼うことのしくみ
飾る [大坪庸介] 076
1. 飾ることの機能
2. 飾ることの進化史
3. 飾ることのしくみ
column 見栄を張る [結城雅樹] 082
1. 名誉の文化
2. 自信過剰
考える [平石 界] 084
1. 人間の思考は合理的か
2. システム1の思考
a. システム1思考の機能:社会的交換の論理
b. システム1思考の進化史
3. システム2の思考
a. システム2思考の機能
b. システム2思考の進化史
勘違いする [平石 界] 089
1. 勘違いすることの機能
a. 血縁の勘違いの場合
b. 2種類の勘違い
c. 性的意図の勘違い
d. 進化環境と生活環境のミスマッチによる勘違い
2. 勘違いすることの進化史
嫌う [河野和明] 094
1. 嫌うことの機能
a. ロジン(Rozin, P.)の嫌悪理論
b. 行動免疫の理論
c. 性嫌悪と近親相姦回避の理論
d. 嫌悪機能の三領域理論
e. 集団形成および互恵的利他性維持に関わる機能:嫌い感情
2. 嫌うことの進化史
3. 嫌うことの発達
結婚する [坂口菊恵] 100
1. 「結婚」とは何か
2. 婚姻形態の分布
3. 結婚することの機能
a. 一夫多妻の程度を説明する要因
b. 結婚の機能と乱婚の効用
4. 結婚することの進化史
a. 一夫多妻の進化史
b. 乱婚の進化史
c. 一夫一妻の進化史
d. ヒトの一夫一妻はどこまでさかのぼれるか
交換する [竹澤正哲] 107
1. 交換することの機能
2. 交換することの進化史
3. 交換することのしくみ
a. 互恵性
b. コミットメント関係
c. 評判
d. 閉ざされた社会から開かれた社会へ
殺す [横田晋大] 113
1. 殺すことの機能
a. Homicide adaptation theory
b. 二つの立場:産物と副産物
c. 子殺し
d. 集団単位での殺し
2. 殺すことの進化史
差別する [中西大輔] 119
1. 差別することの進化史
2. 差別することのしくみと発達
a. 差別の社会的認知と統計的差別
b. 現実的葛藤
3. 差別することの機能
a. 血縁者の認識
b. 集団間の葛藤
c. 行動免疫
嫉妬する [喜入 暁] 126
1. 嫉妬することの機能
a. 妬み
b. 嫉妬
c. パートナー関係維持行動
2. 嫉妬することのしくみ
男性の適応課題
女性の適応課題
a. 進化的に形成された嫉妬の性差に関する証拠
b. 進化的仮説に基づく嫉妬の性差に対する議論
3. 嫉妬することの進化史
a. オスによるメスに対する配偶者防衛
b. メスによるオスに対する配偶者防衛
所有する [大槻 久] 131
1. 所有することの機能
2. 所有することのしくみ
3. 所有することの進化史
信じる [中分 遥] 135
1. 信じることの機能
a. 学習的アプローチ:迷信の学習過程
b. 認知的アプローチ:副産物としての宗教
c. 社会機能:道徳神・儀式
道徳神仮説
儀式
2. 信じることのしくみ
a. 事前の期待
b. 儀式
3. 信じることの発達
4. 信じることの進化史
信頼する [三船恒裕] 142
1. 信頼することの機能
2. 信頼することのしくみ
3. 信頼することの発達
4. 信頼することの進化史
想像する [平田 聡] 146
1. 想像することの進化史
2. 想像することのしくみ
3. 想像することの機能
育てる [森田理仁] 152
1. 育てることの機能
a. 子供の数と質のトレードオフ
b. 親子の対立
2. 育てることの進化史
a. ヒト以外の動物の子育て
b. 共同的な子育て
助ける [小田 亮] 158
1. 助けることの機能
2. 助けることの進化史
食べる [内田亮子] 163
1. 食べることの機能
2. 食べることの進化史
a. 過去の再構築
b. 脳の拡大:狩猟・調理との関係
c. 食糧生産:農耕・牧畜の開始
d. 食べる:進化的遺産と課題
だます [篠原亜佐美・山本真也] 168
1. だますことの機能
2. だますことのしくみ
3. だますことの進化史と発達
伝える [橋本 敬] 173
1. 伝えることの進化史
2. 伝えることの機能
道具をつくる/使う [伊澤栄一] 179
1. 道具使用の機能
2. 道具使用のしくみ
3. 道具使用の進化史
a. ヒトの道具使用の進化史
b. 効果器の形態の進化史
c. 感覚運動協調の進化史
d. 道具使用のための認知機能の進化史
仲直りする [大坪庸介] 186
1. 仲直りすることの進化史
2. 仲直りすることの機能
3. 仲直りすることのしくみ
仲間をつくる [山本真也] 191
1. 仲間をつくることの機能
a. 集団形成
b. 集団内同盟
2. 仲間をつくることのしくみ
a. 仲間との協力
b. 協力する心
3. 仲間をつくることの発達
a. 社会の多様性
b. 家族の期限・未来
4. 仲間をつくることの進化史
罰する [真島理恵] 197
1. 罰することの機能
a. 相互協力を支える罰
b. 罰の実証的証拠
c. なぜ罰が存在するのか
2. 罰することのしくみ
3. 罰することの発達
4. 罰することの進化史
学ぶ [孟 憲巍] 203
1. 学ぶことの機能
2. 学ぶことのしくみ
3. 学ぶことの発達
4. 学ぶことの進化史
まねる [明和政子] 210
1. まねることのしくみ
2. まねることの進化史と発達
3. まねることの機能
見つめる [小林洋美] 217
1. 見つめることの進化史
2. 見つめることの発達
3. 見つめることの機能
群れる [松本晶子・小田亮] 223
1. 群れることのしくみ
a. 群衆(集合)ができるしくみ
b. 集団(群れ)ができるしくみ
2. 群れることの機能
a. 群れることの利益
b. 群れることの損失
3. 群れることの発達
4. 群れることの進化史
病む [小田 亮] 229
1. 病むことの機能
2. 病むことの進化史
律する [和田幹彦] 234
1. 律することの機能
2. 律することのしくみ
3. 律することの発達
4. 律することの進化史
恋愛する [坂口菊恵] 239
1. 恋愛することのしくみ
a. 性欲,熱愛,友愛
b. 特定個体への執着を生じさせる神経メカニズム
c. 恋愛状態の続くカップル
2. 恋愛することの機能
a. 一夫一妻:子殺しの防止と4年目の浮気
b. ペア外配偶行動と連続的単婚
c. 魅力と生殖
d. 生殖とは直接は結びつかない恋
3. 恋愛することの進化史
a. 乱婚の霊長類にみられるコンソートシップ
b. 一夫一妻のモデル生物としてのハタネズミと種内変異
c. 連続的単婚
笑う [松阪崇久] 247
1. 笑うことの進化史
a. ヒト以外の動物における笑い
b. ヒトの笑いの特徴
①笑い声の音響構造
②ユーモアとおどけ
③攻撃的な笑い
④笑い声の伝染と共有
⑤言語の使用
⑥笑顔の多様化とコミュニケーション
2. 笑うことの機能
a. 笑いと社会的遊びの機能
b. 笑いとユーモアの機能
c. 攻撃的な笑いの機能
d. 心身の健康への笑いの機能
e. 笑顔の機能
コラム 人類の進化 [小田亮] 254
用語解説 [小田 亮・橋彌和秀・大坪庸介・平石 界] 257
■進化生物学
親子の対立
間接互恵性の理論
共進化
群淘汰
血縁淘汰
互恵的利他主義の理論
自然淘汰
正直な信号
進化的適応環境
生活史理論
性的対立
性淘汰
前適応
適応度
ナックルウォーキング
ニッチ構築
複数レベル淘汰
父性の不確実性
プライス方程式
ボトルネック効果
ポピュレーション
マキャベリ的知性仮説
■社会科学
一般的信頼
エラー管理理論
ガルシア効果
ゲーム理論
限定合理性
心の理論
コードモデル
推論モデル
ダンバー数
認知バイアス
ミラーニューロン
■各種の実験ゲーム
囚人のジレンマ・ゲーム
公共財ゲーム
最後通牒ゲーム
信頼ゲーム
独裁者ゲーム
■その他
自然主義的誤謬
天井効果
メタ分析
文献 [267-300]
索引 [301-307]
【メモランダム】
・追記:2023年06月に本書の続編(?)が刊行された。
『広がる!進化心理学』(小田亮, 大坪庸介 編 朝倉書店 2023)
・リサーチナビで本書の目次は、やや浅い階層で止まっている。
進化でわかる人間行動の事典/2021.5 | テーマ別データベース | リサーチ・ナビ | 国立国会図書館
・書評のひとつ。
書評 「進化でわかる人間行動の事典」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
・ここからはさらに本書から外れるメモ。
本書でも「自然主義の誤謬」に陥らぬように読者への呼びかけが繰り返し行われている。
次の論文が明快なので、一読してほしい。
ヒトの行動に関する進化生物学的研究と社会の関係: 社会生物学論争を踏まえて
伊勢田哲治氏のブログ記事(2020/07/16)から。
「生物学者は「自然主義的誤謬」概念をどう使ってきたか」