編者:鳥飼 玖美子[とりかい・くみこ]
著者:河原 清志[かわはら・きよし]
著者:齊藤 美野[さいとう・みの] 翻訳学。文学翻訳。
著者:武田 珂代子[たけだ・かよこ] 翻訳通訳教育、翻訳通訳政策。
著者:坪井 睦子[つぼい・むつこ] メディア翻訳論、談話分析、言語人類学。
著者:平塚 ゆかり[ひらつか・ゆかり] 中国語通訳。
著者:山田 優[やまだ・まさる] 産業翻訳。翻訳研究。
著者:吉田 理加[よしだ・りか] スペイン語会議・法廷通訳。言語人類学。
シリーズ:やわらかアカデミズム・〈わかる〉シリーズ
よくわかる翻訳通訳学 - ミネルヴァ書房 ―人文・法経・教育・心理・福祉などを刊行する出版社
【目次】
はじめに[2013年10月 編者 鳥飼玖美子] [i-ii]
翻訳と通訳を学ぶにあたって必要な用語[齊藤美野] [iii-iv]
目次 [v-vii]
◆第1部 翻訳とは? 通訳とは? 001
1 翻訳通訳と異文化コミュニケーション 002
1 翻訳とは何か
2 通訳とは何か
3 異文化コミュニケーションとしての翻訳
2 3種類の「翻訳」 004
1 「翻訳」の定義
2 言語内翻訳[intralingual translation]
3 言語間翻訳[interlingual translation]
4 記号法間翻訳[intersemiotic translation]
5 翻訳学における「翻訳」
3 声と文字 006
1 「声の文化」と「文字の文化」
2 声と文字の相互作用性
3 翻訳通訳における「声と文字」の探究
4 グローバリゼーションと翻訳 008
1 グローバリゼーションと現代社会
2 翻訳の拡大・多様化
3 多言語共生と翻訳の重要性
5 グローバリゼーションと通訳 010
1 グローバリゼーションと通訳ニーズの増加
2 国際組織の多言語主義
3 紛争解決と戦争処理
4 多言語多文化共生社会と通訳
◆第2部 翻訳と通訳の歴史 013
I 日本の翻訳通訳史
1 古代日本の通訳 014
1 7世紀初頭の「おさ(訳語・通事)」
2 通訳者の養成
3 多様な言語
2 長崎通詞 016
1 「通詞」の起源
2 長崎通詞の特徴
3 シーボルト事件
4 長崎通詞の役割
3 翻訳と明治の近代化①:近代科学の発展と翻訳 018
1 身近な近代科学用語
2 近代国家への道のりと翻訳
3 蘭学から洋学へ
4 文明開化と翻訳
4 翻訳と明治の近代化②:欧文脈 020
1 欧文訓読
2 欧文直訳体
3 欧文脈の発生
5 東京裁判 022
1 東京裁判における通訳の特徴
2 証拠文書と判決文の翻訳
3 通訳が審理に与えた影響
4 日本の通訳史における意義
6 戦後外交と同時通訳 024
1 日本生産性使節団
2 日米経済閣僚会議
7 アポロ宇宙中継と同時通訳 026
1 アポロ宇宙中継
2 姿を見せた同時通訳者
3 社会文化史的な影響
8 日本の多言語化とコミュニティ通訳 028
1 多文化/多言語社会となった日本
2 日本に暮らす世界各国からの人々
3 コミュニティ通訳[community interpreting, public service interpreting]の必要性
II 世界の通訳史
1 新大陸の通訳者 030
1 通訳者の歴史
2 マリンチェ[Malinche(1500?-1527)]
3 サカジャウィア[Sacajawea(1790?-1812 or 1884)]
4 現地調達か自前調達か
2 中国の通訳 032
1 中国における通訳の歴史
2 中国における通訳研究
3 会議通訳の誕生:パリ講和会議 034
1 パリ講和会議における英語の使用
2 ベルサイユ体制下での通訳ニーズ
3 「逐次通訳の黄金期」
4 通訳者養成のニーズ
4 同時通訳の誕生:ニュルンベルク裁判 036
1 初期の同時通訳装置と同時通訳の試み
2 ニュルンベルク裁判における通訳
3 同時通訳の普及
III 世界の翻訳史
1 西欧翻訳史と聖書翻訳 038
1 聖書翻訳の歴史
2 ルター[M. Luther]によるドイツ語翻訳
3 ローゼンツヴァイク[F. Rosenzweig]によるドイツ語翻訳
4 ナイダによる「形式的等価」と「動的等価」
2 中国翻訳史と仏典翻訳 040
1 中国の翻訳史
2 仏典翻訳
3 仏典翻訳からみる中国翻訳の動向
◆第3部 社会における翻訳と通訳 043
IV 翻訳/通訳者の役割
1 翻訳者の役割 044
1 翻訳者の役割
2 内容を読者に伝えることの煩雑さ
3 産業翻訳者の役割
4 更新される言語,異質化
5 これからの翻訳者の役割
2 通訳者の役割 046
1 通訳者の役割とは
2 通訳者の役割と規範
3 翻訳者・通訳者の倫理規定 048
1 職務倫理規定
2 守秘義務
3 正確性
4 公平性,中立性,利益相反の回避
5 日本における翻訳者・通訳者倫理規定
4 透明性,中立性 050
1 通訳者は見えない存在か
2 近年の研究動向からみる通訳者の透明性・中立性
3 翻訳者の透明性
V 通訳の種類
1 同時通訳/逐次通訳(ウィスパリング/サイト・トランスレーション) 052
1 同時通訳
2 逐次通訳
3 その他の通訳方式
2 対話通訳/手話通訳 054
1 さまざまな通訳
2 対話通訳[dialogue interpreting]
3 手話通訳[sign/signed interpreting]
VI 職業としての通訳
1 会議通訳 056
1 会議通訳とは
2 会議通訳者の仕事
3 会議通訳者の適性
4 会議通訳者になるには
2 ビジネス通訳 058
1 ビジネス通訳とは
2 ビジネス通訳者:フリーランス通訳者の場合
3 ビジネス通訳者:企業内通訳者の場合
4 ビジネス通訳者に求められる資質
3 放送通訳 060
1 放送通訳とは
2 テレビのニュース番組の訳出形態
3 放送通訳の特徴
4 司法通訳/法廷通訳 062
1 司法通訳/法廷通訳の仕事
2 司法通訳/法廷通訳の特徴
3 権利としての司法通訳/法廷通訳
4 司法/法廷通訳者になるためには
5 コミュニティ通訳(医療/教育) 064
1 コミュニティ通訳
2 医療通訳
3 教育通訳
4 コミュニティ通訳
6 通訳案内士(通訳ガイド) 066
1 通訳案内士の仕事
2 通訳案内士試験
3 地域限定通訳案内士試験
4 今後の課題
VII 翻訳とテクノロジー
1 ローカリゼーション 068
1 ローカリゼーションとは
2 現代のローカリゼーションのはじまり
3 国際化
4 翻訳するために軸となる言語
2 翻訳メモリ 070
1 翻訳メモリ[Translaton Memory]
2 翻訳メモリの仕組み
3 歴史とコンボの動向
3 機械翻訳(プリ&ポストエディット) 072
1 機械翻訳とは
2 機械翻訳の仕組み
3 プリエディット&ポストエディット
VIII 職業としての翻訳
1 文学翻訳 074
1 「翻訳文学」という文学ジャンル
2 文学翻訳者
3 文学翻訳者の地位
4 新訳の出版
2 産業翻訳 076
1 翻訳市場と翻訳分野
2 翻訳会社
3 翻訳的行為と産業翻訳
3 法務/特許/医学/行政翻訳 078
1 公共サービスの翻訳
2 専門性
3 法令外国語訳データベースシステム
4 特許翻訳と機械翻訳
4 コミュニティ翻訳/クラウドソーシング翻訳 080
1 クラウドソーシング翻訳
2 ボランティア翻訳,コミュニティ翻訳
3 クラウドソーシング翻訳の商業利用
4 公共サービスとしての翻訳
5 視聴覚翻訳 082
1 字幕,吹き替え,ボイスオーバー
2 日本語の映画字幕
3 字幕翻訳の制約
4 ファンサブ
6 翻訳者・通訳者団体 084
1 翻訳者・通訳者団体の役割
2 国際的な翻訳者・通訳者団体
3 日本の翻訳者・通訳者団体
IX メディアと翻訳通訳
1 ジャーナリズムとニュース翻訳 086
1 海外ニュースの報道
2 ジャーナリズム:ニュースの編集と翻訳の間で
3 新聞ニュース記事の翻訳作業
2 国際紛争と翻訳 088
1 グローバリゼーションと頻発する国際紛争
2 国際紛争と翻訳
3 紛争とメディア翻訳
3 紛争と通訳 090
1 危機的な場での通訳
2 日本陸軍の通訳者
3 紛争の通訳
4 災害の通訳
4 ドキュメンタリー翻訳 092
1 「ドキュメンタリー」とは
2 視聴覚翻訳としてのドキュメンタリー翻訳
3 ドキュメンタリー翻訳に伴う問題
Ⅹ 教育
1 適性と資格 094
1 翻訳通訳訓練生の適性
2 言語能力と知識
3 認知的能力と性格
4 適性試験
5 資格認定
2 翻訳者コンピタンスと訓練 096
1 翻訳コンピタンスと翻訳者コンピタンス
2 翻訳者コンピタンスのリスト
3 社会構成主義的アプローチ
4 翻訳プロセス指向の訓練
5 卒業論文としての翻訳
3 通訳者コンピタンスと訓練 098
1 通訳コンピタンスと通訳者コンピタンス
2 通訳者の「社会化」支援としての通訳教育
3 プロセス指向の通訳訓練
4 「熟達化」ベースのアプローチ
5 外国語教育との関連
4 高等教育機関での翻訳者・通訳者養成 100
1 大学での翻訳者・通訳者のはじまり
2 翻訳通訳大学院の国際的広がり
3 日本語関連の翻訳通訳大学院
4 大学院で翻訳者・通訳者を養成する利点
5 外国語教育への応用①:文法訳読と翻訳 102
1 「文法訳読」という学習法
2 文法訳読と翻訳の違い
3 外国語教育における翻訳の有効性
6 外国語教育への応用②: コミュニケーション能力育成と通訳訓練 104
1 文法訳読からコミュニケーションへ
2 コミュニカティブ・アプローチ[communicative approach, communicative language teaching]での活用
3 コミュニカティブ・アプローチの弱点補強
7 外国語教育への応用③:シャドーイングと言語教育 106
1 通訳者訓練法としてのシャドーイング[shadowing]
2 シャドーイングの外国語教育への応用
3 外国語教育としてのシャドーイングの効果
◆第4部 翻訳通訳研究へのアプローチ 109
イントロダクション[武田]
XI 翻訳学
1 翻訳学とは何か 110
1 学問の対象としての翻訳
2 翻訳学の流れ
3 翻訳学の研究対象
4 日本における翻訳学
2 西洋の古典的翻訳理論 112
1 キケロ[M. T. Cicero]
2 ドライデン[J. Dryden]
3 タイトラー[A. F. Tytler]
3 翻訳学の「マップ」 114
1 翻訳学の名前と性質
2 トゥーリー[G, Toury]によるホームズ[J. S. Holmes]の「マップ」
3 応用分野の新提案
4 言葉の意味と翻訳の不確定性 116
1 そもそも言葉の意味とは何か
2 言葉の意味の不確定性
3 翻訳の不確定性
5 等価 118
1 等価とは何か
2 翻訳ユニットと等価
3 動的等価
6 シフトと方略 120
1 翻訳シフト
2 翻訳方略
7 機能主義的アプローチ(スコポス理論) 122
1 スコポス[Skopos]理論のはじまり
2 翻訳の目的
3 誰がスコポスを決めるか
4 評価と応用
8 翻訳のテクストタイプ 124
1 テクストタイプと機能
2 テクストタイプと訳出法
3 翻訳批評
4 批判と重要性
9 翻訳的行為 126
1 翻訳と翻訳的行為[translation action]
2 異文化コミュニケーションにおける翻訳
3 目標重視
4 実務翻訳と翻訳的行為
10 多元システム理論 128
1 社会的コンテクストの中の翻訳
2 システム概念
3 文学的多元システムにある翻訳文学システム
4 翻訳文学システムの位置
11 記述的翻訳研究と翻訳規範 130
1 記述的翻訳研究
2 想定される「翻訳」,幻想として「等価」
3 翻訳規範
4 通訳規範
12 普遍的特性 132
1 翻訳の普遍的特性と法則
2 普遍的特性の例
3 法則と発生理由
13 ドイツの翻訳論 134
1 ゲーテ[J. W. v. Goethe]
2 シュライアーマハー[F. Schleiermacher]
3 ベンヤミン[W. Benjamin]
14 異質化と受容化(翻訳者の不可視性) 136
1 異質化[foreignization]方略と受容化[domestication]方略
2 アメリカ・英国における両方略と翻訳者の不可視性[invisibility]
3 日本における両方略
15 植民地支配と翻訳 138
1 植民地主義[colonialism]と翻訳
2 ポストコロニアリズムとポストコロニアル文学
3 ポストコロニアル翻訳研究
16 翻訳と権力・イデオロギー 140
1 文化的転回
2 カルチュラル・スタディーズ
3 翻訳学における権力とイデオロギー
4 翻訳と主体
17 文化の翻訳 142
1 異文化との出会い
2 人類学と文化の記述
3 翻訳学と文化の翻訳
18 少数言語と翻訳 144
1 言語の多様性と言語の権利
2 少数言語とは何か
3 少数言語の翻訳と翻訳学
19 翻訳とジェンダー 146
1 ジェンダーとは何か
2 ジェンダー・スタディーズと翻訳
3 ジェンダーと翻訳研究
20 中国の翻訳論:厳復の「信達雅」 148
1 厳復〔げんふく〕について
2 厳復の「信達雅〔しんたつが〕」論
3 「信達雅」論が中国翻訳学に与えた影響
21 日本:明治・大正の翻訳論 150
1 明治・大正時代の翻訳と翻訳者
2 坪内逍遥〔つぼうち・しょうよう〕
3 森田思軒〔もりた・しけん〕
4 岩野泡鳴〔いわた・ほうめい〕
22 日本:昭和・平成の翻訳論 152
1 昭和の翻訳論
2 『白鯨』翻訳論争
3 平成の翻訳論
4 翻訳理論を参照した研究
5 今後の課題
23 近年の研究の動向 154
1 テクノロジーの活用
2 複眼的研究
3 翻訳者への注目
4 翻訳理論の普遍性と地域性
XII 通訳学
1 通訳学とは何か 156
1 トランスレーション・スタディーズと通訳学
2 通訳学のはじまり
3 研究対象と研究者の広がり
4 日本における通訳研究
2 「意味の理論」 158
1 通訳の認知的プロセスに対する関心
2 「意味の理論」による訳出モデル
3 批判
4 教育的意味
3 「努力モデル」 160
1 「努力モデル」の構成要素
2 同時通訳と逐次通訳の「努力モデル」
3 通訳の難しさの説明
4 問題の対処法
4 通訳者の役割とアイデンティティ 162
1 コミュニケーションの仲介者
2 相互行為の調整,文化的介入
3 権力弱者の擁護と紛争時の通訳
4 通訳者のアイデンティティ
XIII 隣接分野
1 言語人類学 164
1 言語人類学という学問領域
2 言語人類学のコミュニケーション観
3 「言われていること」と「なされていること」
4 翻訳通訳研究の新たな展開へ
2 社会言語学 166
1 社会における言語の多様性
2 言語使用と社会的ステレオタイプ
3 社会言語学的視点と翻訳通訳研究
3 語用論 168
1 語用論
2 発話行為理論と通訳
3 会話の協調の原則と通訳
4 社会学/国際関係論 170
1 ブルデュー[P. Bourdieu]社会学
2 ミクロ社会学
3 国際関係論
5 認知科学①:意味の捉え方と訳出処理 172
1 認知科学からみた翻訳と通訳
2 翻訳・通訳における意味の捉え方
3 訳出のプロセス(訳出処理)
6 認知科学②:記憶・作動記憶 174
1 認知負荷と通訳・翻訳
2 作動記憶と同時通訳
3 翻訳における翻訳単位と作動記憶の容量制限
おわりに[2013年10月 編者 鳥飼玖美子] [177-178]
おすすめ文献 [179-186]
さくいん [187-189]
執筆者紹介 [190]
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