原題:Adults in the Room: My Battle With Europe's Deep Establishment (London and New York: Random House, 2017)
著者:Γιάνης Βαρουφάκης[Yanis Varoufakis](1961-)
訳者:朴 勝俊
訳者:山崎 一郎
訳者:加志 村拓
訳者:青木 嵩
訳者:長谷川 羽衣子
訳者:松尾 匡
装丁:明石書店デザイン室
NDC:338.23 金融.銀行.信託 >> 金融史・事情.銀行史・事情
備考:二段組。
黒い匣 密室の権力者たちが狂わせる世界の運命 - 株式会社 明石書店
【目次】
謝辞 [003]
日本語版への序文 [004-010]
日本はギリシャではない
両国の苦痛の共通の根源
二〇一〇年のギリシャ、一九二九年の日本
結語
序文(ヤニス・バルファキス) [011-014]
目次 [015-017]
主な登場人物 [018-019]
引用した発言について [020]
凡例 [021]
第I部 われらが不満の冬は続く
1 序章 024
スーパー・ブラックボックス 027
迷宮に入るテセウス 031
ここに署名しろ! 032
私のためじゃありません 035
2 ベイルアウティスタン=救済策の植民地 037
自分の仕掛けた罠にはまる 038
(ドイツとフランスの)銀行のことだよ、馬鹿野郎! 041
銀行負債軽減作戦から破産閥支配〔バンクラプトクラシー〕へ 045
「国家の裏切り者」――奇妙な批判の起源 048
緊縮策の金メダリスト 052
ブラックリストに載る 056
希望の広場 060
ベイルアウティスタン2.0 063
「声を上げるのに資格なんて必要なの?」 066
3 彼らは舌を弓のように引き絞る 070
男二人とウィスキー一樽 071
ギリシャのメディアの「舌と弓」 073
若きプリンス 075
アルキメデスの視点 080
警告音 083
友情が息を引き取った 088
サクセス・ストーリー 092
五本柱の戦略 097
(一) ECBの来襲を阻止して銀行を営業させる
(二) 破産した銀行を無力化する
(三) 賢明な財政政策と債務再編提案
(四) 人道上の危機に対処する緊急対策
(五) ユーロ圏を堅実化するための穏健な提案
不安はつのる 103
4 立ち泳ぎ 108
血と汗と涙 109
腹を割っての意見交換 112
抑止力のカギ:ECBに残るギリシャ国債 114
平行決済制度 116
申し出 120
盟約 121
イエスかノーか? 124
卑怯な攻撃の時系列〔クロニクル〕 126
恐れずに真実を語る 128
敵の武器を却下する 131
頑健な頑なさ 133
5 光明が消えることへの怒り 137
荒地 144
グリークカバリー? 147
ギリシャ的緊縮策〔グリークステリティ〕! 150
ファースト・コンタクト 153
民主主義に銃口が突きつけられた 157
常識外れのパートナー 159
「もし君が夢を抱くことができて――そして夢の奴隷にならなければ」 162
第II部 決意の春
6 戦端が開かれた 170
「健全」と「緊縮」の違い 172
「節度」と「服従」の違い 174
米国の友人たち 176
「悪くない」とは、あと何日だという意味ですか 180
オレが刑務所にぶち込まれないようにしてくれ 181
スイスチーズ 183
最後通牒 185
国内戦線 192
小休止 196
7 幸先のよい二月 199
期待できる人脈(一)欧州委員 201
期待できる人脈(二)トロイカの男 203
期待できる人脈(三)ECBのフランス人 205
ミシェル・サパンの友人 207
ダウニング街 211
金融の天才たちに訴える 214
不都合な成果 217
イタリア人のアドバイス 219
中央銀行のサボタージュ 220
あなたにです! 226
彼らも悪い人たちではなかった 228
三機関の管轄だ! 232
非難に驚き、賞賛に慄く 233
ジーメンス事件 235
社会民主主義者の壊滅 237
8 嵐の前の熱狂 241
七〇%の誠意 245
OECDに助言を求める 249
ユーログループ会議にて 250
継続性と民主主義の衝突 253
選挙と経済政策の衝突 256
コミュニケーションなきコミュニケ 258
「あんたらのカネがなくなりますぜ」 264
9 この瞬間に酔いしれる、どんよりと 268
トロイカの巣穴に入る 271
予告された銀行閉鎖まであと一三日 273
大きな進歩 277
モスコヴィシの屈辱 279
二回目の「ノー」 283
戦時内閣 285
幸せな日々と建設的な曖昧さ 290
吉報 二年二〇月吉日 293
この瞬間に酔いしれる、どんよりと 296
10 正体を現す 300
敵との共同作業 302
ショイブレ[Wolfgang Schäuble]の反撃 306
懺悔します 309
嵌められた 311
私が自ら手を下したのだ 314
正体を現す 318
11 われらが春は遠ざかる 323
邪魔者はつまみ出せ 325
ユーロ圏流のたらい回し 326
スウェーデン国歌 326
ペネロペの策略 327
真実反転作戦 328
因果関係の誤解 329
赤い龍の牙 330
「いいニュースと悪いニュース、どちらを先に聞きたいですか?」 335
三月の潮目 339
手ぶらの使者 343
いざ、ユーログループへ! 346
12 メルケルの魔法 349
ジェフ[Jeffrey Sachs]も絶句 355
トロイカを閉じ込める 358
メルケルの魔法 365
13 レディと直談判 371
落ち込んで、熱狂し、バカをみる 374
レディは理解していた…… 379
14 残酷すぎる一か月 392
大統領、私の場合は違います! 394
思いもよらぬ米国の友人 397
パリにもトロイカを 401
リガでの不意打ち 404
人格攻撃 407
毛糸の上着 409
残酷すぎる四月のある日 411
サメに血を与えるな 413
盗聴 417
ダナエの殊勲 418
第III部 勝負の終わり
15 破滅へのカウントダウン 424
こんな敵がいれば味方は必要なのか? 425
ショイブレの一手 429
融けたユーロ、沈んだ心 435
コンピュータ戦争 438
突然の中止 442
ニセ情報機関 444
破滅へのカウントダウン 446
16 あの部屋の大人たち 450
無体な大人たち 452
情熱の火が再び燃えた 460
非常口 465
ユーログループは実在しません! 469
17 ロバたちに導かれたライオンたち 471
マクロンの試み 477
まさにギリシャ喜劇 478
心の深淵:同志たちについての回顧 480
希望と栄光の広場 485
信念を持った人たちへの報い 487
国民投票の結果が黙殺された 491
もはや大臣ではない 496
おじさんだよね? 497
エピローグ 503
自由主義的支配層〔リベラル・エスタブリッシュメント〕? 5
敗北のなかでの名誉回復 507
国は離れ小島ではない 508
付録1 夜明けの錯覚はデフレーションのせい 511
付録2 IMFには間違いを犯す動機があった 514
付録3 なぜ私はハッタリを自ら封じることにしたのか 516
付録4 ギリシャの債務管理の選択肢 520
一、ECBのSMP国債と永久債をスワップする
二、一度目の対ギリシャ融資の負債を、GDP連動債とスワップする
三、二度目の対ギリシャ融資における対EFSF債務を二つの部分に分ける
訳者解説[松尾匡] [523-530]
博覧強記の人文知と経済理論
ギリシャ人民の現代史を重ね合わせて
「ドイツ帝国」に屈服するか
財務大臣辞任後の反緊縮活動
日本における「ねじれ現象」
ドイツのようになるな
この物語に関連する主な出来事 [532-535]
原註 [536-574]
索引 [575-582]
【メモランダム】
・メモ。
「13 レディと直談判」のタイトルに含まれている「レディ」が指すのはIMF専務理事ラガルド。
本文中のチプラスのセリフ「あのレディにデフォルトすると言ってきてください」(p.378 上段)が由来か(他の箇所でラガルドに「レディ」という呼称はあまり使用されていない)。ダナエ・ストラトゥを指しているわけではない。
・回想録
『日銀日記――五年間のデフレとの闘い』(岩田規久男 筑摩書房 2018)
『ルワンダ中央銀行総裁日記 増補版』(服部正也 中公新書 2009//1972)
『キルギス大統領顧問日記――シルクロードの親日国で』(田中哲二 中公新書 2001)