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『黒い匣 密室の権力者たちが狂わせる世界の運命――元財相バルファキスが語る「ギリシャの春」鎮圧の深層』(Yanis Varoufakis[著] 松尾匡ほか[訳] 明石書店 2019//2017)

原題:Adults in the Room: My Battle With Europe's Deep Establishment (London and New York: Random House, 2017)
著者:Γιάνης Βαρουφάκης[Yanis Varoufakis](1961-)
訳者:朴 勝俊
訳者:山崎 一郎
訳者:加志 村拓
訳者:青木 嵩
訳者:長谷川 羽衣子
訳者:松尾 匡
装丁:明石書店デザイン室
NDC:338.23 金融.銀行.信託 >> 金融史・事情.銀行史・事情
備考:二段組。


黒い匣 密室の権力者たちが狂わせる世界の運命 - 株式会社 明石書店



【目次】
謝辞 [003]
日本語版への序文 [004-010]
  日本はギリシャではない
  両国の苦痛の共通の根源
  二〇一〇年のギリシャ、一九二九年の日本
  結語
序文(ヤニス・バルファキス) [011-014]
目次 [015-017]
主な登場人物 [018-019]
引用した発言について [020]
凡例 [021]


  第I部 われらが不満の冬は続く


1 序章 024
  スーパー・ブラックボックス 027
  迷宮に入るテセウス 031
  ここに署名しろ! 032
  私のためじゃありません 035


2 ベイルアウティスタン=救済策の植民地 037
  自分の仕掛けた罠にはまる 038
  (ドイツとフランスの)銀行のことだよ、馬鹿野郎! 041
  銀行負債軽減作戦から破産閥支配〔バンクラプトクラシー〕へ 045
  「国家の裏切り者」――奇妙な批判の起源 048
  緊縮策の金メダリスト 052
  ブラックリストに載る 056
  希望の広場 060
  ベイルアウティスタン2.0 063
  「声を上げるのに資格なんて必要なの?」 066


3 彼らは舌を弓のように引き絞る 070
  男二人とウィスキー一樽 071
  ギリシャのメディアの「舌と弓」 073
  若きプリンス 075
  アルキメデスの視点 080
  警告音 083
  友情が息を引き取った 088
  サクセス・ストーリー 092
  五本柱の戦略 097
    (一) ECBの来襲を阻止して銀行を営業させる
    (二) 破産した銀行を無力化する
    (三) 賢明な財政政策と債務再編提案
    (四) 人道上の危機に対処する緊急対策
    (五) ユーロ圏を堅実化するための穏健な提案
  不安はつのる 103


4 立ち泳ぎ 108
  血と汗と涙 109
  腹を割っての意見交換 112
  抑止力のカギ:ECBに残るギリシャ国債 114
  平行決済制度 116
  申し出 120
  盟約 121
  イエスかノーか? 124
  卑怯な攻撃の時系列〔クロニクル〕 126
  恐れずに真実を語る 128
  敵の武器を却下する 131
  頑健な頑なさ 133


5 光明が消えることへの怒り 137
  荒地 144
  グリークカバリー? 147
  ギリシャ的緊縮策〔グリークステリティ〕! 150
  ファースト・コンタクト 153
  民主主義に銃口が突きつけられた 157
  常識外れのパートナー 159
  「もし君が夢を抱くことができて――そして夢の奴隷にならなければ」 162


  第II部 決意の春


6 戦端が開かれた 170
  「健全」と「緊縮」の違い 172
  「節度」と「服従」の違い 174
  米国の友人たち 176
  「悪くない」とは、あと何日だという意味ですか 180
  オレが刑務所にぶち込まれないようにしてくれ 181
  スイスチーズ 183
  最後通牒 185
  国内戦線 192
  小休止 196


7 幸先のよい二月 199
  期待できる人脈(一)欧州委員 201
  期待できる人脈(二)トロイカの男 203
  期待できる人脈(三)ECBのフランス人 205
  ミシェル・サパンの友人 207
  ダウニング街 211
  金融の天才たちに訴える 214
  不都合な成果 217
  イタリア人のアドバイス 219
  中央銀行サボタージュ 220
  あなたにです! 226
  彼らも悪い人たちではなかった 228
  三機関の管轄だ! 232
  非難に驚き、賞賛に慄く 233
  ジーメンス事件 235
  社会民主主義者の壊滅 237


8 嵐の前の熱狂 241
  七〇%の誠意 245
  OECDに助言を求める 249
  ユーログループ会議にて 250
  継続性と民主主義の衝突 253
  選挙と経済政策の衝突 256
  コミュニケーションなきコミュニケ 258
  「あんたらのカネがなくなりますぜ」 264


9 この瞬間に酔いしれる、どんよりと 268
  トロイカの巣穴に入る 271
  予告された銀行閉鎖まであと一三日 273
  大きな進歩 277
  モスコヴィシの屈辱 279
  二回目の「ノー」 283
  戦時内閣 285
  幸せな日々と建設的な曖昧さ 290
  吉報 二年二〇月吉日 293
  この瞬間に酔いしれる、どんよりと 296


10 正体を現す 300
  敵との共同作業 302
  ショイブレ[Wolfgang Schäuble]の反撃 306
  懺悔します 309
  嵌められた 311
  私が自ら手を下したのだ 314
  正体を現す 318


11 われらが春は遠ざかる 323
  邪魔者はつまみ出せ 325
  ユーロ圏流のたらい回し 326
  スウェーデン国歌 326
  ペネロペの策略 327
  真実反転作戦 328
  因果関係の誤解 329
  赤い龍の牙 330
  「いいニュースと悪いニュース、どちらを先に聞きたいですか?」 335
  三月の潮目 339
  手ぶらの使者 343
  いざ、ユーログループへ! 346


12 メルケルの魔法 349
  ジェフ[Jeffrey Sachs]も絶句 355
  トロイカを閉じ込める 358
  メルケルの魔法 365


13 レディと直談判 371
  落ち込んで、熱狂し、バカをみる 374
  レディは理解していた…… 379


14 残酷すぎる一か月 392
  大統領、私の場合は違います! 394
  思いもよらぬ米国の友人 397
  パリにもトロイカを 401
  リガでの不意打ち 404
  人格攻撃 407
  毛糸の上着 409
  残酷すぎる四月のある日 411
  サメに血を与えるな 413
  盗聴 417
  ダナエの殊勲 418


  第III部 勝負の終わり


15 破滅へのカウントダウン 424
  こんな敵がいれば味方は必要なのか? 425
  ショイブレの一手 429
  融けたユーロ、沈んだ心 435
  コンピュータ戦争 438
  突然の中止 442
  ニセ情報機関 444
  破滅へのカウントダウン 446


16 あの部屋の大人たち 450
  無体な大人たち 452
  情熱の火が再び燃えた 460
  非常口 465
  ユーログループは実在しません! 469


17 ロバたちに導かれたライオンたち 471
  マクロンの試み 477
  まさにギリシャ喜劇 478
  心の深淵:同志たちについての回顧 480
  希望と栄光の広場 485
  信念を持った人たちへの報い 487
  国民投票の結果が黙殺された 491
  もはや大臣ではない 496
  おじさんだよね? 497


エピローグ 503
  自由主義的支配層〔リベラル・エスタブリッシュメント〕? 5
  敗北のなかでの名誉回復 507
  国は離れ小島ではない 508


付録1 夜明けの錯覚はデフレーションのせい 511
付録2 IMFには間違いを犯す動機があった 514
付録3 なぜ私はハッタリを自ら封じることにしたのか 516
付録4 ギリシャの債務管理の選択肢 520
  一、ECBのSMP国債と永久債をスワップする 
  二、一度目の対ギリシャ融資の負債を、GDP連動債とスワップする
  三、二度目の対ギリシャ融資における対EFSF債務を二つの部分に分ける 


訳者解説[松尾匡] [523-530]
  博覧強記の人文知と経済理論
  ギリシャ人民の現代史を重ね合わせて
  「ドイツ帝国」に屈服するか
  財務大臣辞任後の反緊縮活動
  日本における「ねじれ現象」
  ドイツのようになるな
この物語に関連する主な出来事 [532-535]
原註 [536-574]
索引 [575-582]




【メモランダム】
・メモ。
 「13 レディと直談判」のタイトルに含まれている「レディ」が指すのはIMF専務理事ラガルド。
 本文中のチプラスのセリフ「あのレディにデフォルトすると言ってきてください」(p.378 上段)が由来か(他の箇所でラガルドに「レディ」という呼称はあまり使用されていない)。ダナエ・ストラトゥを指しているわけではない。


・回想録
日銀日記――五年間のデフレとの闘い』(岩田規久男 筑摩書房 2018)
ルワンダ中央銀行総裁日記 増補版』(服部正中公新書 2009//1972)
『キルギス大統領顧問日記――シルクロードの親日国で』(田中哲二 中公新書 2001)