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『「心の理論」は必要か――心のありかを探る12の視点』(Ivan Leudar & Alan Costall[編] 熊谷晋一郎,藤野博[監訳] 加藤浩平ほか[訳] 金子書房 2023//2009)

原題:Against Theory of Mind (Palgrave Macmillan)
編者:Ivan Leudar
編者:Alan Costall
著者:Michael Bavidge[マイケル・バヴィッジ] ニューカッスル・アポン・タイン大学 生涯教育センター。
著者:Alan Costall[アラン・コスタル] ポーツマス大学 心理学研究科。
著者:Jeff Coulter[ジェフ・クルター] ボストン大学 社会学研究科。
著者:Ian Ground[イアン・グラウンド] サンダーランド大学 教育・生涯学習学部。
著者:Daniel D. Hutto[ダニエル・D・フトー] ハートフォードシャー大学 哲学研究科。
著者:Ivan Leudar[イヴァン・ルーダー] マンチェスター大学 心理科学部。
著者:Ivana Marková[イヴァナ・マルコヴァ] スターリング大学 心理学研究科。
著者:Rosemarie McCabe[ローズマリー・マッケイブ] ロンドン大学 クイーンメアリー校。
著者:Paul Morris[ポール・モリス] ポーツマス大学 心理学研究科。
著者:Vasudevi Reddy[ヴァスデビィ・レディ] ポーツマス大学 心理学研究科。
著者:Stuart Shanker[スチュアート・シャンカー] ヨーク大学 ミルトン・アンド・エセル・ハリス研究機構。
著者:Wes Sharrock[ウェス・シャロック] マンチェスター大学 社会科学部。
著者:Jim Stieben[ジム・スティーブン] ヨーク大学 ミルトン・アンド・エセル・ハリス研究機構。
著者:Emma Williams[エマ・ウィリアムズ] サリー大学 心理学研究科。
監訳:熊谷 晋一郎[くまがや・しんいちろう] 
監訳:藤野 博[ふじの・ひろし] 
訳者:加藤 浩平[かとう・こうへい] 金子総合研究所/東京学芸大学大学院教育学研究科
訳者:石田 柊[いしだ・しゅう] 広島大学大学院人間社会科学研究科
訳者:浦野 茂[うらの・しげる] 三重県立看護大学看護学部
訳者:臼田 泰如[うすだ・やすゆき] 静岡理工科大学情報学部
訳者:綾屋 紗月[あやや・さつき] 東京大学先端科学技術研究センター
訳者:浅田 晃佑[あさだ・こうすけ] 東洋大学社会学部
訳者:片岡 雅知[かたおか・まさのり] 広島大学大学院人間社会科学研究科
訳者:天谷 晴香[あまたに・はるか] 神奈川工科大学基礎教養教育センター
訳者:星加 真実[ほしか・まみ] 関西外国語大学英語国際学部
訳者:池田 喬[いけだ・たかし] 明治大学文学部
翻訳協力:石原 孝二[いしはら・こうじ] 
翻訳協力:岡崎 亮[おかざき・(?)] (?) 
翻訳協力:狩野 祐人[かのう・ゆうと] 
翻訳協力:佐渡 麻衣子[さど・まいこ] 翻訳家。
翻訳協力:髙橋 海人[たかはし・かいと] (?) 
翻訳協力:鶴田 想人[つるた・そうと] 
翻訳協力:平井 正人[ひらい・まさひと] 
  (所属は2023年12月末現在)
装幀:INABA STUDIO
メモ:本書では、本文における語句・文の強調は斜体で行われるが、とても見つけにくい。傍点や太字を選べない理由は見当たらない。
メモ:上記の著者訳者一覧に含まれる空白について。巻末においては、翻訳協力者にはルビも所属も肩書も与えられておらず、漢字表記のみ。したがって同姓同名の人物が存在している場合や、個人サイトを持っていないまたはresearchmap未登録の場合、その翻訳協力者が誰であるかを特定できない。

 「心の理論」の概念が登場してから半世紀。これまで問われてこなかった心のありかについて社会学、哲学も含め多面的に検証した書。


https://www.kanekoshobo.co.jp/book/b633262.html


【目次】
監訳者まえがき [i-v]
目次 [vi-ix]
監訳注 [ix]
執筆者一覧 [x]


第1章 はじめに──本書について[Ivan Leudar and Alan Costall] 001
  註釈 019


  第I部 理論と歴史 

第2章 「心の理論」パラダイムの歴史的先行物について[Ivan Leudar and Alan Costall] 023
  他我問題 
  「心の理論」とコミュニケーション 
  チョムスキーと「心の理論」 
      チョムスキーと,「心の理論」主義における理論の地位 
      チョムスキーと,「心の理論」主義における行動の地位
      チョムスキーの語用論,グライス,「心の理論」主義 
  グライスと「心の理論」 
  結論
  註釈 049


第3章 「心の理論」──方法論上の混乱[Alan Costall and Ivan Leudar] 053
  方法,問題そして理論 
  方法としての距離化 
  認知「革命」 
  残る3つの問い
  註釈 075


第4章 「心の理論」──批判の続き[Wes Sharrock & Jeff Coulter] 077
  はじめに 
  実験的方法と概念的混乱 
  理論への強迫 
  「観察可能なもの」と「観察不可能なもの」 
  ダブルバインドに置かれたTT 
  「心の理論」という観念 
  モジュール性の泥沼 
  疑似実験 
  私たちは行動主義者なのか 
  シミュレーション説はTTのライバルか 
  他の状況を理解する 
  「心の理論」主義についての結語 
  註釈 123


  第Ⅱ部 応用

第5章 参与者に理論はいらない──関わり合いの中で心を知ること[Vasudevi Reddy & Paul Morris] 129
  すべきでないことをする 
  欺きと誤信念 
  無知の訂正と知識の理解 
  ミスコミュニケーションの修復と理解の理解 
  叙述的指差しと複数の表象 
  理論の問題 
  力なき理論? 
  理論に適合するように現象を再定義する 
  行動主義と心理主義の説明の検証不可能性 
  日常的な関わり合いからのアプローチに向けて
  註釈 150


第6章 臨床的診察における統合失調症の相互行為的標識の特定[Rosemarie McCabe] 153
  はじめに 
  「心の理論」と統合失調症 
  実証研究 
  実験と会話における矛盾の発見の考察 
    統合失調症における研究
    概念的問題
  結論
  註釈 176


第7章 マインドブラインドネスのルーツ[Stuart Shanker & Jim Stieben] 177
  はじめに──選択的障害の意義 
  サインの読み取りから心の読み取りへ 
  自閉症と精神発達 
  ToMの力動発達的観点 
  介入のアウトカム 
  複雑さの豊かさ 
  発達経路の科学的探究
  註釈 197


第8章 心の「理論」を本当に必要としているのは誰か──高機能自閉スペクトラム症者の自伝的記述から導き出される社会的理解の発達への示唆[Emma Williams] 199
  はじめに 
  理論説[Theory-Theory] 
  理論説と自閉症 
  高機能自閉スペクトラム症者からの示唆 
    本章の議論
  IPA[Interpretative phenomenological analysis]の研究 
    分析戦略
  自伝の分析 
    自己と他者の間の隔たり
  社会的・感情的手がかりは「隠されている」か手が届かない 
    社会的関わりの不可解な性質
    「隠された」社会的・感情的手がかりを利用することの難しさ
    社会的・感情的手がかりを感覚的問題のためにつかむことができないこと
    感情的手がかりを「読む」能力の発達
  対処方法 
    他の人々の行動を研究すること
    ルール化すること
    「視覚的図書館」の利用
  代替方略の限られた成功 
    般化の困難
  考察 
    アスペルガー症候群と高機能自閉症における「理論化」の性質
    熟達者と初心者
    社会的理解の発達に関する代替となる概念
  結論
  註釈 230


第9章 動物に「心の理論」は必要か[Michael Bavidge & Ian Ground] 231
  はじめに 
  なぜ理論なのか 
  人間がもつ動物についての知識 
  動物がもつ動物についての知識 
  TToM,行動主義,隠れたデカルト主義 
  表出 
  概念化された経験 
  結論
  註釈 263


  第Ⅲ部 新たな視点
第10章 ディスコース心理学の隠されたデカルト主義[Wes Sharrock] 267
  私的言語の議論とは何だったか 
  私的思考の可能性 
  2つの試験的事例 
  心理主義者/行動主義者のカルテル再び
  註釈 290


第11章 心理学における対話的アプローチ──「心の理論」の二元論に代わるもの[Ivana Marková] 291
  自我と他我の相互作用における2つの傾向 
  非対称と対話的緊張 
  知識とコミュニケーションにおける無意識と暗黙性 
  思考と対話における認知的多面性と不均質 
  結論


第12章 「心の理論」が支配しているけれど,それではいけない![Daniel D. Hutto] 305
  はじめに
  科学者たちはどのように言っているのか
  反応と過剰反応
  もっとよい解決


参考文献 [332-358]
索引 [359-361]
監訳者あとがき(2023年9月24日 藤野博) [362-363]
監訳者紹介 [364]
訳者一覧 [365]
  翻訳協力





【メモランダム】
 版については、本書のColophonを転載する。

First published in English under the title
Against Theory of Mind edited by I. Leudar and A. Costall, edition: 1 Selection and editorial matter Ivan Leudar and Alan Costall 2009
Individual chapters © their respective authors 2009
This edition has been translated and published under licence from Springer Nature Limited through Tuttle-Mori Agency, Inc., Tokyo.
Springer Nature Limited takes no responsibility and shall not be made liable for the accuracy of the translation.


■以下、文献リストの誤植。

・誤植(339ページ)。本来ひとつの語を無用に分割している。雑誌公式のページ(AGE Publications)では「language」と表記されている。

Edwards, D. (2006). Discourse, cognition and social practices: The rich surface of lan guage and social interaction. Discourse Studies, 8: 41-9.


・誤植(342ページ)。無駄な分割がある。

Grant, C. M., Grayson, A. and Boucher, J. (2001). Using tests of false belief with chil dren with autism: How reliable and valid are they? Autism, 5: 135-45.


・誤植(354ページ)。無駄な分割がある。

Smith, J. A., Flowers, P. and Osborn, M. (1997). Interpretative phenomenological ana lysis and the psychology of health and illness. In L. Yardley (ed.), Material Discourses of Health and Illness (pp.68-91). London: Routledge.


・誤植(355ページ)。改行を忘れている(二つの文献をひとつと見なしている)。

Spitzer, M. (1990). On defining delusions. Comprehensive Psychiatry, 31: 377-97. Stephen, L. (1882). Swift. London: Macmillan.


・誤植(357ページ)。漢字の混入。

Whiten, A. (1994). Grades of mindreading. In C. Lewis and P. Mitchell (eds), Children Early Understanding of Mind (pp.47-70). Hove: Erlbaum.

 本来は勺ではなくアポストロフィとs。また、書名には副題がある。「Children's early understanding of mind: Origins and development


・誤植(357ページ)。半角スペースが欠落している。

Wimmer, H., Hogrefe, J. and Sodian, B. (1988). A second stage in children's conception of mental life: Understanding informational access as origins of knowledge and belief. InJ. Astington, P. Harris and D. Olson (eds), Developing Theories of Mind (pp.173-92). Cambridge: Cambridge University Press.


・誤植(358ページ)。無駄な分割がある。

Yirmiya, N., Erel, O., Shaked, M. and Solomonica-Levi, D. (1998). Meta-analyses com paring theory of mind abilities of individuals with autism, individuals with mental retardation and normally developing individuals. Psychological Bulletin, 124: 283-307.


・慣例破り(339-340ページ)。

Foucault, M. (1989). The Order of Things: An Archaeology of the Human Sciences. New York: Routledge.

 原著は『Les Mots et les Choses』(1966年)なので、文献欄には最初にそちらを書いてもいいのでは。また英語版を載せるなら英訳した翻訳者の氏名も併記すべき(仮に英語版限定の追補だけを参照する場合であったとしても)。




【抜き書き】
・「監訳者あとがき」から。

 本書の「心の理論」批判はブルーナーやホブソンよりもさらに徹底している。社会学や哲学を含む領域横断的な議論が行われている。その立脚点のひとつは本書でも言及があるウィトゲンシュタインの考察であろう。人は他者の痛みをいかにして理解するのか,という議論である。ウィトゲンシュタインの哲学のように本書もしばしば難解であり,読者の問題意識の深さを問うようなところがある。心理学的なデータに基づく「心の理論」仮説の棄却でなく,「心の理論」という問題の立て方自体に根本的な誤りはないかという検証が本書を通じて念入りになされている。