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『日本十進分類法の成立と展開――日本の「標準」への道程 1928-1949』(藤倉恵一 樹村房 2018)

著者:藤倉 恵一[ふじくら・けいいち] (1973-) 司書。図書館学。
カバーデザイン:菊地 博徳(BERTH Office)
カバー・口絵撮影:眞島 和隆

http://www.jusonbo.co.jp/books/211_index_detail.php


※旧字あり。
※下記目次内にあるスミ付き括弧【 】の中の語句は、個人的なメモ。


【目次】
口絵
はじめに [i-vi]
  NDC の時代区分について
  調査対象について
  人名,用語,文字について
  参考・関連文献と引用について
  本書の構成
目次 [vii-viii]


  第I部 日本十進分類法の成立と展開 

第1章 日本十進分類法の成立前夜 003
1. 近代図書分類法の登場 003
  図書分類前史(中世まで)
  学問の体系化
  公共図書館の登場と書架分類
  十進分類法の誕生
  デューイ十進分類法(DDC
  その後のDDC
  十進分類法後の図書分類法
  件名分類法(SC【Subject Classification】)
  展開分類法(EC【Expansive Classification】)
  国際十進分類法(UDC)
  米国議会図書館分類法(LCC
  分析合成型分類法(ファセット分類法)
  世界図書分類法
2. わが国の分類法と十進分類法の伝来 022
  東京書籍館帝国図書館の分類とその源流
  十進分類法の伝来
3. 十進的分類法の普及と標準分類法の待望 033
  山口縣立圖書館圖書分類表
  臺灣總督府圖書館和漢圖書分類表
  和漢圖書分類表並ニ索引
  大阪府立圖書館分類表
  標準分類法への待望論とその否定
  公共図書館以外での標準分類法への期待
  標準分類法の使用例
  1930年当時の分類
  「似非」十進分類法への批判
4. 森清間宮不二雄青年圖書館員聯盟 054
  間宮不二雄と分類法
  間宮商店
  間宮文庫
  青年図書館員連盟
  森清間宮不二雄

コラム1 間宮不二雄の人となり 064


第2章 日本十進分類法の誕生 065
1. 和洋圖書共用十進分類表案(1928年) 065
  記事前半(序文,分類表)
  記事後半(索引)
  原案の体系・排列順
  原案からNDCへ
2. 日本十進分類法 第1版 (1929年) 071
  第1版について
  第1版の構成
  第1版への補訂
3. NDC と同時期の一般分類法 074
  乙部泉三郎『日本書分類表』
  毛利宮彦『簡明十進分類法』
4. 鈴木賢祐の支援:標準分類法をめぐる論争 080
  鈴木による比較検証
  毛利宮彦の反論
  仙田正雄の論考
  鈴木の再反論
  毛利の再反論
  和田万吉の論考
5. 加藤宗厚の支援:NDC の実用普及へ 087
  図書館講習所での使用
  「分類規定試案」と標準分類法論争
  選定図書目録での使用

コラム2 間宮商店のあった場所 096


第3章 日本十進分類法の発展と批評 097
1. NDCへの批評と展開 097
  フェローズによる抗議
  芸艸會〔うんそうかい〕【文部省図書館員教習所同窓会組織】による批判
    高田定吉「『日本十進分類法』を評す」
    彌吉光長日本十進分類法を打診す」
    波多野賢一日本十進分類法を批判す」
    と・たまゐ【玉井藤吉】「日本十進分類法の考察」
    高橋生「日本十進分類法私見
  芸艸會への反論
  非論理的な批難
  NDCの普及と展開
2.日本十進分類法 訂正増補第2版(1931年) 110
  第2版の構成(概要)
  第2版刊行後の動き
3.日本十進分類法 訂正増補第3版(1935年) 112
  第3版の構成(概要)
  第3版刊行後の動き
4.日本十進分類法 訂正増補第4版(1939年) 114
  第4版の構成(概要)
  第4版刊行後の動き
5.日本十進分類法 訂正増補第5版(1942年) 115
  第5版の構成(概要)
  第5版刊行後の動き
コラム3 衛藤利夫へのリスペクト 119
コラム4 NDCのユーザー登録 120


第4章 日本十進分類法の展開 121
1. 日本の「標準」への道程 121
  戦時中の動き
  間宮商店炎上,そして終戦
  終戦後の図書館界GHQ
  『学校図書館の手引』とNDC

2. 分類委員会の誕生,国立国会図書館とNDC 131
  国立国会図書館の分類
  分類委員会とダウンズ勧告

3. 日本十進分類法 抄録第6版 (1947年) 138
  戸澤信義日本図書館研究会,NDC
  抄録第6版の刊行
  第6版刊行後の動き

4. 日本十進分類法 縮刷第7版(1947年) 141
  第7版の構成
  第7版刊行の前後

5. 日本十進分類法 縮刷第8版(1949年) 143
  第8版の内容

6. 日本十進分類法 新訂6版(1950年)以降のNDC 144
  分類・目録委員会第1回会合
  第2回分類委員会
  第3回分類(目録)委員会
  第4回分類委員会
  第5回分類委員会
  第6回分類委員会
  第7回分類委員会
  毛利宮彦の反論
  日本図書館協会によるNDC改訂
  「新訂6版」の誕生
  その後の改訂と委員会組織

コラム5 新訂6版について 155
コラム6 NDCの装丁をめぐるあれこれ 156


  第II部 日本十進分類法の変遷 

第5章 日本十進分類法の序文類の変遷 159
1. 巻頭言および謝辞 159
  和洋圖書共用十進分類表案(1928年) 
  第1版(1929年) 
  訂正増補第2版(1931年) 
  訂正増補第3版(1935年) 
  訂正増補第4版(1939年) 
  訂正増補第5版(1942年) 
  抄録第6版(1947年)
  縮刷第7版(1947年)
  縮刷第8版(1949年)

2. 本書の歴史 170
  各版変更点
  抄録第6版での記述

3. 凡例 172
  第1版 172
  第2版 173
  第3版以降の凡例 174

4. 導言 174
  第1版 174
  第2版 181
  第3版 184
  第4版 186
  第5版 189


第6章 日本十進分類法の分類表の変遷 191
1. 第1次区分表 191
  原案 191
  第1版 192
  第2版 193
  第3版 195
  第4版 195
  第5版 195
[表6-1] 192
[表6-2] 193
[表6-3] 193
[表6-4] 194
[表6-5] 194
[表6-6] 194

2. 第2次区分表 195
[表6-7] 196
  原案 197
  第1版 197
  第2版 197
  第3版 197
  第4版 197
  第5版 198
[表6-8] 199
[表6-9] 200
[表6-10] 201
[表6-11] 202
[表6-12] 203
3. 第3次区分および細目表 204
  原案 204
  第1版 205
[表6-13] 206-215
[表6-14] 216-225
  第2版 226
  第3版 226
[表6-15] 228-237
[表6-16] 238-247
  第4版 248
[表6-17] 249-258'
  第5版 259
[表6-18] 260-269
  第6版 270
  
4. 助記表およびその他の諸表 270
  原案 270
  第1版 271
    A 主分類區分
    B 一般形式及總記共通區分
    C 地理的區分
    D 日本地方區分
    E 日本時代區分
    F 言語的區分
    G 言語共通區分
    H 文學形式區分
  第2版 272
  第3版 273
  第4版 273
  第5版 274
  兒童用日本十進分類表 274
  小圖向日本十進分類表 276
  小説作者記號表 277

5. 相関索引等 278
  原案 278
  第1版 278
  第2版 279
  第3版 280
  第4版 280
  第5版 280


おわりに(2018年8月 藤倉恵一) [283-286]
関連年表(1871-1950) [287-293]
参考・関連文献 [295-303]
索引 [305-310]





【抜き書き】

・「はじめに」[i-vi]冒頭。本書のテーマ。

 『日本十進分類法』(NDC: Nippon Decinal Classification)は今日,日本の標準
図書分類法として,日本図書館協会から新訂10版(2014年12月)が刊行されている。
 1929(昭和4)年に青年図書館員連盟のもり・きよし(森清,1906-1990)が発表した NDC は,発表後の十余年をかけて採用館が徐々に拡大していき,戦後の図書館界の再語のなかで,日本の標準図書分類法としての地位を得ることとなった。また,それにともない,森個人の著作から日本図書館協会分類委員会がその誰持・改訂を継承することとなった。
 しかしながら,NDCの成立から普及の過程について記されたものは,当事者たちの記録や回顧によるものが大部分であり,第三者によって語られたものは多くない。また,通史的なものについては,NDC巻頭に掲載された序文類や,情報資源組織分野の教科書などにわずかな記述を見せるのみで,今日それらが顧みられることも少ない。
 筆者は2007年から日本図書館協会分類委員会の末席にあり,「当事者のひとり」といえなくもないが,できうる限り中立的な視点をもって,NDCの成立前後の背景と成立の経緯,そして,なぜNDCが標準分類法たりえるという評価が得られたかについて研究を重ねてきた[1]。そこには,NDC 旧版や関連文献を(なかば偶然)多数手にすることができたという個人的動機もある[2]。

1 筆者の先行調査・研究については文献リスト(f1〜f4)にまとめた。
2 本書巻頭「NDC 写真ギャラリー」およびコラム参照。

 他方,NDC は特に新訂8版(1978年)以降,主題の配置を大きく変えるような改訂方針を立てていない。それは,利用する館の書架への影響をなるべく控えたいなどいくつかの理由がある。このような考えはいつごろから出たものか,また初期のNDC がどのような方針で,どのような規模の改訂を行っていたのか,できるだけ仔細に確認しようと考えた。
 本書では,これら歴史的経緯と変遷を可能な限り一次資料の比較をすることで概観したいと考える。
 本来であれば NDC全体の通史として,戦後から現在に至るまでのすべてをもまとめたいとも考えたが,本書ではまずその黎明期から確立に至るまでの時代について整理したい。


・「はじめに」から、文字表記についての凡例。(弊ブログで載せている)目次にもそのまま当てはまるので、やや長いが抜き書きした。

◆人名,用語,文字について
 日本人名については,引用を除いて新字体での表記を優先し(例:「衛藤利夫」→「衛藤利夫」,「和田萬吉」→「和田万吉」),生没年を括弧で付記する。
 外国人名については,原則として姓のみの記述を基本とし,欧文表記と生没年を括弧で付記する。
 NDC の原編者もり・きよし(森清)は,後年「もり・きよし」の筆名を主に用いていたが,1960年代以前は「森清(淸)」と表記されていた。本書では原則として「森清」「森」の表記を優先する(引用,書誌事項その他必要な場合を除く)。
 書名・雑誌名・分類名等については,原則として二重鉤括弧(欧文文献はダブルクォーテーション)で囲み,可能な範囲で,その原典に記載された字体を優先するを例:『圖研究』, “Manuel du libraire et de Tamateur de livres")。よって,発行時期の違いにより同じ媒体でも表記が変わることがある(例:『圖書館雑誌』と『図書館雑誌』)。また,本文中で繰り返し言及する場合は,新字体での表記を用いる。
 その,他引用に際しては Unicode での記述が可能な範囲で極力原典に近い表記(文字)での転記を心がけたが,一部の文字は現用あるいは常用の表記とした(例:「情」や「逃」などの旧字体Unicode での表記ができないため,新字体で表記した)。また,引用ではなく本文で言及する際は必ずしも原典の字によらず,新字体で表記を行っている(例:「靑年圖書館員聯盟」→「青年図書館員連盟」)。
 ただし,微細な違いによる異体字,たとえば「日本十進分類法」の「進」は戦前,いわゆる二点之繞〔しんにょう〕(点が二つある「進」)で表記されており,これは通常使用されない字体であるため,現用あるいは常用の表記を用いている。
 日本十進分類法に対する「NDC」の略記は本来「N.D.C.」のように省略を示すピリオドを介するが,本書では引用など特に必要な場合を除いて今日慣用される「NDC」に統一した(ピリオドのない NDC の表記は 1940年代後半以降に見られ始めたが,書誌情報上では新訂9版まで「N.D.C.」と表記された)。引用においては「N.D.C.」「N・D・C」などさまざまな表記が見られたが,これは引用する原典の記述に拠った。
 また,メルヴィル・デューイの“Decimal Classification"(十進分類法)については,改訂のたび数度にわたって名称(特に副書名)や綴りが変化しており,また当時「D.C.」「DC」のように略記されたが,今日では「DDC」(デューイ十進分類法:Dewey Decimal Classification の略記)の表記が一般に用いられている。
 本書が対象範囲とする時代(1950年以前)は「D.C.」(DC)の略称が一般的に用いられていたが,NDC 同様に必要な場合を除いて,今日慣用される「DDC」で統一する。
 他の分類法も同様に,現在一般的に用いられる省略形(「EC」「LCC」等)を用いる。
 「分類法(System,体系)」と「分類表(Schema,Table,Schedule)」について,日本においてはしばしば混用されている。本書においては,明らかに識別可能な場合,固有名詞や引用その他特に必要な場合を除いて原則として「分類法」あるいは単に「分類(Classificaiton)」という表現を優先して用いることにする。

・「はじめに」末尾から。各章の概要を述べた箇所。

 本書は,第I部「日本十進分類法の成立と展開」と,第II部「日本十進分類法の変遷」および関連資料等で構成されている。
 第I部は,NDC の歴史をおおむね時系列に沿って述べる。
 第1章「日本十進分類法の成立前夜」においては,まず西洋を中心とした,体系化された学問が記号による分類として割り当てられ,十進記号による体系を獲得するまでの流れとそれに対する影響,日本への波及について述べる。なお,NDC 登場後(1930年代以降)の国外の分類史については,最低限の解説にとどめる。
 第2章「日本十進分類法の誕生」では,間宮商店青年図書館員連盟にあった森清が NDC のプロトタイプにあたる分類表案を公開し,その翌年,「日本十進分類法」の名を与えられて刊行されたNDC について,どのように展開し,どのように支持されていったかを述べる。
 第3章「日本十進分類法の発展と批評」においては,NDCに寄せられた当時の批判について,また,改訂された NDC の経緯について述べる。
 第4章「日本十進分類法の展開」においては,太平洋戦争中・戦後の激動の時代における NDCと周辺の人々について述べる。
 第II部は,原案から第5版に至るまでの諸版の構造を,序文類と第3次区分までの分類表,および付帯する諸表等の引用と比較を通じてまとめる。
 第5章「日本十進分類法の序文類の変遷」では,各版の冒頭に掲載された巻頭言,序説,凡例等について,改訂の時系列に沿って述べる。
 第6章「日本十進分類法の分類表の変遷」では,各版の第1次〜第3次区分表の変化や,助記表(補助表)およびその他の表,索引について述べる。〔……〕
 また各章の合間には,本文に含むことが難しかった「筆者個人の視点」による NDC 史研究の余録を「コラム」として載せた。


・「おわりに」から、少しだけ抜粋

 本書が目的としたのは,巻頭にも記したように当事者たちの回想や記録を中心として分散していたNDC史をひとつの軸に集約することであった。そして,歴史を追うこの過程から見えてきたものがいくつかある。

(1) NDCは森清ひとりによって作成されたものではない
 森は確かに原案を作製したが,その公表・刊行には間宮の意向がかなり強く働いていた。それが不十分なものであったことは森自身が充分に承知しており,牧野富太郎のような外部識者の意見も容れて増補改訂を行っていた。いっぽう,加藤が実用に供していき,鈴木が理論面で他の分類法に対するアドバンテージを主張していくなかで,連盟の会員がいる館を中心に採用実績が増え,その実績が逆に森の「大きく改訂したい」という考えを制約していた側面もある。〔……〕
 NDC は確かに森のライフワークであったが,森ははたして成長していくNDC に対して,十分に満足していたのだろうか。

(2) 戦後,GHQはNDC に理解を示していた
 NDC が日本の標準分類表となるにあたって GHQ (CIE)との交渉があり,GHQ側が DDC を推奨するのを覆してNDCを認めさせた,というのは端的な事実として伝わっているが,順を追って確認すると,『学校図書館の手引』や国立国会図書館で採用する分類,ひいては日本の標準分類法となりえる分類として,キーニーやグラハム,ダウンズらはおおむね一貫して日本の事情を汲んで,NDC の採用に前向きであったことがわかる。〔……〕

(3) 改訂規模についてのジレンマはほぼ最初期から続いていた
 上にも書いたが,森は NDCの完成度に決して満足していなかったようである。しかし改訂については最初期はともかくとして,第4版頃から改訂の規模は小さくなる。〔……〕


 戦前のNDC に対する批判は,主題排列や記号の論理性に対するものよりも,急速に勃興した連盟に対する不信感や反発心から生じたものが多いように思われる。
 いっぽう,戦後 NDC に対する批判は「分類法としてのNDC」に対する批判が多く,また採用館の急増から,実用面での疑問や不満などが多く文献として存在している。
 いずれ機会を設け,新訂6版以降の都議や細目の変遷をも含めて追いかけたいところではあるが,これらは戦後 NDC 史あるいは通史として稿を改めたい。


□著者のライフワークとしての本書。

あとがきと謝辞
 本書をいつからこの形として執筆し始めたかは,まったく記憶にない。
 2012年8月に京都で開催された TP&D フォーラム 2012(第22回整理技術・情報管理等研究集会)において NDC史について初めて発表し,それをもとに論文を起こしたが,その後関連したテーマで文献を書く機会が続いた。いずれそれらを整理統合しようと思って,少なくとも2016年の夏より前にはもう文章を書き始めていた。
 〔……〕本書のもとになった原稿は,縦書き・横書きとさまざまに試みており,その都度,調べ物と相まって原稿は厚くなっていった。
 論文とも書籍ともつかない手慰みのようなその原稿であったが,樹村房の大塚栄一社長のお声がけで,思いもかけず日の目を見ることとなった。〔……〕

 筆者にとって人生の悲願とすることは,① 退職までに自分の名前で著書を出すこと ② 生涯のうちに NDC の改訂編集に携わること のふたつであった。① は 2006年に,②は 2007年に(我ながら若いうちに)それぞれ実現してしまい、次なる目標として ③ 分類に関する著書を出すこと を立てたが,どうやらこれにて大願成就,ということになりそうである。ただ,それに甘んじてはいけない。より完成度の高い,次なる目標を立てなくてはならない。



【関連記事】

『NDCへの招待――図書分類の技術と実践』(蟹瀬智弘 樹村房 2015)
https://contents-memo.hatenablog.com/entry/20151229/1522271122