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『図書館情報学概論』(David Bawden, Lyn Robinson[著] 田村俊作[監訳] 塩崎亮[訳] 勁草書房 2019//2012)

原題:Introduction to Information Science (Facet Publishing, 2012)
著者:David Bawden  Professor of Information Science at City University London
著者:Lyn Robinson  Senior Lecturer in Information Science, and Director of the Postgraduate Information Studies Scheme, at City University London
監訳:田村 俊作[たむら・しゅんさく](1949-) 
訳者:塩崎 亮[しおざき・りょう](1977-) 
NDC:010  図書館.図書館情報学


図書館情報学概論 - 株式会社 勁草書房



【目次】
日本語版への序文(田村 俊作) [i-iii]
目次 [v-ix]
図版一覧 [x]
序文(デビッド・ボーデン、リン・ロビンソン) [xi-xii]
略語一覧 [xiii-xvii]


第1章 情報学とは何か:学問分野・専門職 001
はじめに 
情報学の特性 
情報学とはどのような類の学問分野なのか 
構成要素と基本概念 
他の情報関連領域 
  コレクション
  技術
  社会
  コミュニケーション
  経営管理及び意思決定
  特定領域の専門職
情報学の独自性 
情報学の歴史 
まとめ 
主要文献/参考文献 015


第2章 情報の歴史:ドキュメントを巡って 020
はじめに 
情報から見た時代区分? 
前史・古代 
古代ギリシャ・ローマ時代と中世 
印刷の時代 
19世紀 
20世紀 
まとめ 
主要文献/参考文献 035


第3章 情報学の哲学・パラダイム 039
はじめに 
哲学と情報学 
哲学的立場 
  実在論
  構成主義
  批判理論
パラダイムと転回 
  システム志向
  認知志向
  社会認知志向
哲学者と情報学 
カール・ポパーと客観的認識論 
ジェシー・シェラと社会認識論 
ルチアーノ・フロリディと情報の哲学 
まとめ 
主要文献/哲学の情報源/参考文献 061


第4章 情報学の基本概念 068
はじめに 
情報と知識 
情報:物理的、生物的、社会的 
  情報の数学理論(若干の記号論
情報学における情報  
情報学における知識 
ドキュメント 
コレクション 
適合性とアバウトネス 
情報の利用・利用者 
まとめ 
主要文献/参考文献 094


第5章 領域分析 100
はじめに 
情報学理論としての領域分析 
領域とは何か 
領域分析の観点 
資料案内 
情報組織化ツール 
  索引・検索
  利用者研究
  計量書誌学
  歴史的観点
  ドキュメントとジャンルの研究
  認識論的・批判的研究
  ターミノロジー(専門用語集)、言語、ディスコース(談話)
  構造、制度、組織
  認知、知識表現、人工知能
領域分析の実務上の価値
領域分析の例
領域分析と主題専門家 
まとめ 
主要文献/参考文献 114


第6章 情報の組織化 117
はじめに 
統制語彙とファセット分析 
ターミノロジー(専門用語集) 
メタデータ 
情報資源の記述と目録作成 
オントロジー 
系統的な語彙体系:分類とタクソノミー 
アルファベット順の語彙:件名標目とシソーラス 
抄録 
索引とタグ 
まとめ 
主要文献/参考文献 145


第7章 情報技術:作成・流通・検索 150
はじめに 
情報技術とは何か 
デジタル技術 
ネットワーク 
モバイル機器とその普及 
ソフトウェア 
コンピュータとの相互作用 
情報システム:分析、アーキテクチャ、設計 
アプリケーション 
  作成
  流通
  共有
  組織化と検索
  電子図書館リポジトリ
  保存
まとめ 
主要文献/参考文献 185


第8章 計量情報学 192
はじめに 
計量情報学の発展過程 
  計量書誌学の法則の起源
どれくらいの量の情報があるのか? 
計量情報学の主な法則 
  ロトカの法則
  ブラッドフォードの法則
  ジップの法則
  これらは同じ法則なのか?
ネットワーク理論 
計量情報学の活用 
  文献の特性とその変化
  コレクション管理
  文献や学術分野の構造
  情報資源の理解
  影響度の評価
  情報検索への応用
まとめ 
主要文献/参考文献 213


第9章 情報行動 219
はじめに 
情報行動とは何か 
情報行動研究の起源と発展 
理論とモデル
  記述モデル
  認知モデル
  複合モデル
  個人の知覚理論
  進化論と生態学
情報行動研究の手法 
情報行動の調査事例 
集団の情報行動 
個人の情報行動スタイル 
まとめ:結局、何が分かっているのか? 
主要文献/参考文献 241


第10章 情報の流通:変容する環境 247
はじめに 
概念枠組み 
  情報連鎖とライフサイクル
  情報資源の概念枠組み
変容する情報環境 
印刷世界のデジタル化 
  新たな情報環境:均質化された単純さ
  モバイルへの以降
変化する経済モデル 
オープンアクセスとリポジトリ 
コミュニケーションの新たな形態 
研究活動と学問の新たな形態 
情報空間・場所 
まとめ 
主要文献/参考文献 265


第11章 情報社会 270
はじめに 
情報社会とは何か 
  経済的な意味での情報社会
  職業的な意味での情報社会
  技術的な意味での情報社会
  政治的な意味での情報社会
  社会文化的な意味での情報社会
  理論的な意味での情報社会
  開かれた社会
情報社会の枠組み 274
  情報政策
  情報の法的枠組み
  情報倫理と価値
  倫理の基本原理
情報社会のインフラ 
情報社会に内在する問題と格差 
  情報過多と情報不安症
  情報貧困とデジタル格差
  情報の世代間格差
まとめ 
主要文献/参考文献 289


第12章 情報管理・情報政策 294
はじめに 
情報管理の基本 
情報管理の文脈 
  データ管理
  ドキュメント管理とコンテンツ管理
  記録管理とアーカイブス管理
  図書館経営リポジトリ管理
  博物館・美術館の情報管理
  コレクション管理
  ナレッジマネジメント
  環境スキャニング
情報ガバナンスと情報リスク 
情報政策と情報戦略 
情報監査と情報マッピング 
情報の評価
  効果とインパク
創造とイノベーション 
まとめ 
主要文献/参考文献 328


第13章 デジタルリテラシー 337
はじめに 
情報リテラシーコンピュータリテラシー 
情報リテラシーを備えた人 
デジタルリテラシーの概念 
  デジタルリテラシーの派生概念
デジタルリテラシーのモデル 
デジタルリテラシーの重要性 
デジタルリテラシーの振興 
まとめ 
主要文献/参考文献 354


第14章 情報学の調査研究法:何について、どのように? 357
はじめに 
情報学研究のスタイル 
調査研究手法の概要 
研究と実務
 情報学の調査研究手法 
調査研究手法:社会調査 
情報学における社会調査の事例 
調査研究手法:実験・評価・観察 
情報学における実験・評価・観察の事例 
調査研究手法:机上調査 
情報学における机上調査手法の事例 
サンプリング 
情報学の研究倫理 
研究成果の探索と評価 
まとめ 
主要文献/参考文献 383


第15章 情報学の未来 386
はじめに 
予測と予言 
変化の要因 
情報専門職と情報学の未来観
  「これまで通り」
  「景観の変容」
  「クラウド上へ」
  予想は注意深く
情報学の研究テーマ 
情報学の未来 
まとめ 
主要文献/参考文献 399


補足情報 [402-404]
  他の教科書/学術雑誌/抄録索引サービス/参考情報源

あとがき(塩崎亮) [405-415]
  本書の特徴
  著者について
  原書について
  翻訳について
  謝辞
  参考文献
索引 [414-424]



【図版一覧】
図2.1 タルタリアの石板:前史文字の例 024
図2.2 楔形文字の粘土板 025
図2.3 シッパルの粘土板図書館 026
図2.4 シナイ写本 028
図2.5 ハンドソートパンチカードでの検索 033
図2.6 ポール・オトレ 034
図2.7 ムンダネウム 035
図4.1 クロード・シャノン 074
図4.2 フロリディの情報マップ 079
図4.3 データ - 情報 - 知識 の階層 081
図6.1 FRBRモデルの一部 127
図6.2 綱レベルのデューイ十進分類法 134
図6.3 シソーラスの形態で表現された用語の例 139
図7.1 ジョン・フォン・ノイマン 154
図7.2 ノイマンアーキテクチャ 155
図7.3 情報検索システムの構成要素 173
図7.4 詳細檢索機能 178
図7.5 電子図書館の構成要素 182
図9.1 情報行動の入れ子モデル 221
図9.2 ウィルソンの記述モデル 228
図9.3 ウィルソンの第一モデル 229
図9.4 レッキーらの「専門家の情報探索」モデル 230
図9.5 ウィルソンの拡張モデル 231
図9.6 ジョンソンによる「情報探索の包括モデル」 232
図10.1 情報のライフサイクル 249
図10.2 書籍のライフサイクル 250
図10.3 記録資料のライフサイクル 250
図12.1 記録管理のライフサイクル 302
図13.1 SCONUL情報リテラシーに関する7柱モデル 342
図13.2 SCONULの情報リテラシーモデル改訂版 343





【抜き書き】


・監訳者(田村俊作)による序文。情報学の来歴と、日本での一般的な受容について。

  日本語版への序文


  わが国の図書館情報学は、公共図書館の専門職員である司書と、学校図書館の職員である司書教諭という二つの国家資格取得をめざす学生への教育を軸に展開してきた。そのため、研究よりも教育が重視され、研究にしても、公共図書館学校図書館の歴史、サービス、運営、利用といったテーマに関心が集中し、他のテーマといってもせいぜいのところ大学図書館や情報組織法関連で、図書館「情報」学とは言っても、非常に狭い範囲での研究と教育に終始しているとの印象がある。
  〔……〕図書館情報学はもともと欧米由来の研究・実践領域で、図書館の管理運営法に起源を持つものの、対象領域はもっと広い。〔……〕第二次世界大戦後は、コンピュータを中心とする技術の急速な発展と科学技術政策の推進などにより、科学技術分野の文献情報流通をデジタル情報にまで広げ、多様な情報の活用法とそれに伴う諸問題を、より広い社会的文脈の中でとらえ直そうとする研究・実践がさかんになった。そうして、文献情報を扱うという点で図書館学と親和性の高い分野、本書で言うところの情報学が誕生した。
  図書館情報学は、こうしたドキュメンテーション由来の情報学が、図書館学と本質的には同じ対象と課題を扱っている、との認識から、両者を統一的にとらえることばとして1960年代に登場した。〔……〕本書で扱う情報学は、図書館に関わる研究・実践を含んでいるという点で、図書館情報学と実質的に同じものであると考えてよい。
  わが国の場合、図書館学がもっぱら公共図書館学校図書館と強く結びついていて、情報学に展開する契機を十分に持たなかった上に、コンビュータ科学由来の「情科学」やマスコミュニケーション研究由来の「社会情報学」などの分野の語の方が一般に知られているため、原語の information science を直訳して「情報学」と言っても、それが図書館情報学由来の語だということを理解できる人は少ないであろう。本書でも「情報学」と「図書館情報学」の語が混在しているが、両者は実質的に同じことであると思っていただいてよい。

・ひきつづき監訳者の序文から、欧米(の)図書館情報学の動向についての記述。

  21世紀に入り、欧米の情報学は一段の飛躍を遂げ、新たな段階に入ったように見える。〔……〕組織を超えた情報流通の問題を扱ってきた図書館情報学は、その対象範囲を拡張し、インターネット上の情報の発信、蓄積、検索、利用等に関わる技術、制度、倫理、情報リテラシー等の問題も、新たに対象範囲に含めるようになった。それによって、書館情報学の新たな可能性が拓けてきたのと同時に〔……〕他領域と重なる部分が大きくなったため、領域の輪郭を描くのが難しくなっている。 
  〔……〕欧米図書館情報学は急激に姿を変えてきているように見える。図書館情報学を基盤に据えつつ、コンピュータ科学や経営学等と融合することにより、新領域の開拓をめざす iスクールと呼ばれる大学院も登場した。
  伝統的な司書・司書教諭養成に力点を置くわが国の図書館情報学は、こうした欧米の動向と断片的につながっているだけで、対応しようとしているようには見えない。〔……〕国際的な図書館情報学の動向をきちんと理解・把握しておくことは、わが国図書館情報学の今後の展開を考える上で重要であろう。
  そのような問題意識の下で、欧米図書館情報学の動向を概観するよい本はないかと探していたときに出会ったのが本書である。〔……〕
  シティ大学情報学大学院出身の塩崎亮君という最適の訳者を得て、本書がわが国の図書館情報学分野の研究者、学生、大学院生だけでなく、図書館で働く人々、他分野の方や市民にも、欧米図書館情報学を紹介する本として、広く読まれることを期待する。