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『心の臨床を哲学する』(榊原英輔ほか[編] 新曜社 2020)

編者:榊原 英輔[さかきばら・えいすけ]
編者:田所 重紀[たどころ・しげのり]
編者:東畑 開人[とうはた・かいと](1983-)
編者:鈴木 貴之[すずき・たかゆき](1973-)
著者:植野 仙経[うえの・せんけい](1976-)
著者:遠藤 季哉[えんどう・としや]
著者:井原 裕[いはら・ひろし](1962-) 
著者:廣瀬 雄一[ひろせ・ゆういち]
著者:野村 晴夫[のむら・はるお](1970-) 
著者:東斉 彰[あずま・なりあき](1960-) 
著者:渡邊 芳之[わたなべ・よしゆき](1962-) 
著者:信原 幸弘[のぶはら・ゆきひろ](1954-) 
著者:南学 正仁[なんがく・まさひと]
著者:佐々木 拓[ささき・たく](1976-) 
著者:石原 孝二[いしはら・こうじ](1967-) 
装幀:桂川 潤[かつらがわ・じゅん](1958-2021) 装丁、イラストレーション。
件名:精神医学
件名:臨床心理学
NDLC:SC361
NDC:493.7 医学 >> 内科学 >> 神経科学.精神医学


心の臨床を哲学する:Philosophy of Psychiatry & Psychology - 新曜社


【目次】
まえがき(二〇二〇年三月 編者を代表して 榊原英輔) [i-xi]
目次 [xi-xvi]


  第I部 精神医学

精神医学の「二つの心」[榊原英輔] 003
1 はじめに 003
2 生物医学的スタンス 005
3 精神力動的スタンス 009
4 米国の現状と日本の精神科医療 013
5 二つの心は混ぜられない 016
6 おわりに 019
  注・文献 020


精神療法家は人の人生観にどこまで踏み込めるのか[田所重紀] 021
1 はじめに 021
2 「心の健康」をめぐる価値論 023
3 心の規範的性質を自然化する 025
4 「健康な心」の自然化に伴う認識論的問題 027
5 森田正馬の「心の健康」哲学 029
6 プロフェッショナル・メンタルヘルスリテラシーとしての「心の健康」哲学 033
7 おわりに 035
  注・文献 036


精神科医はどのようにして心を理解するか?――了解・シミュレーション・共感[植野仙経] 041
1 心の理解と精神科臨床 042
2 了解[Verstehen] 043
  リップス[Theodor Lipps]の感情移入
  ヤスパースの感情移入的了解
3 シミュレーション 047
  科学におけるシミュレーションと心的シミュレーション
  二つのシミュレーション
  風洞実験とフライトシミュレーター
  投射および調整と仮説―検証
  モデル理論説
4 共感 056
5 精神科臨床における心の理解 058
  文献 059


自閉スペクトラム症への医療介入における妥当性の問題:試論[遠藤季哉] 061
1 はじめに 061
2 ASDとは何か 062
3 構築されるASD 064
4 自閉的な発達の偏りが起こしうる逸脱行動 069
5 ASDへの介入をめぐる医療者の倫理 072
6 逸脱と教育 075
7 人間性とは何か 078
8 おわりに 079
文献 079


「クイ・ボノ?」(“Cui bono?")――精神医学は「あなたのためを思えばこそ」なのか?[井原裕] 081
1 はじめに――反精神医学と「クイ・ボノ?」の問いかけ 081
2 措置入院――反精神医学の積み残し課題 083
3 相模原事件と山本レポート 086
4 予防拘禁としての措置入院 088
5 警察権力から措置入院へ 089
6 来るべき法制度 093
7 おわりに――それは誰のためか? 095
  注・文献 096


  第II部 心理学

心理教育の人類学――予防・布教・マーケティング[東畑開人] 101
1 はじめに――盲点としての心理教育 101
2 予防としての心理教育 102
3 心理教育の遍在性 104
4 人類学的分析――説明モデルと心理学的想像力 106
5 布教される心理学的人間 108
6 心理教育が問題を創造する 110
7 疾患喧伝とマーケティング 112
8 文化運動としての臨床心理学 114
  注・文献 116
 

ナラティヴ・アプローチによる心理臨床――人々の「声」を取り戻す実践[廣瀬雄一・野村晴夫] 119
1 心理療法におけるナラティヴ・アプローチ 120
2 オルタナティヴ・ストーリーを喚起するには 122
3 ナラティヴ・アプローチにおける「対等性」 124
4 集団におけるナラティヴ・アプローチ 128
5 新たな物語を社会・経験とつなげる 131
6 おわりに 133
  注・文献 134


比較心理療法論――認識論と心の哲学からの考察[東斉彰] 137
1 はじめに 137
2 心理療法の歴史的経緯 138
3 各心理療法の認識論 139
4 心の哲学から見た心の見方 141
5 比較認識論から見た心理療法 144
  哲学・思想的見地から見た比較認識論
  心理学的・実証的見地から見た比較認識論
  各種心理療法の認識論の比較
6 おわりに――心理療法を比較すること、そして認識論、心の哲学、文化ということ 150
  注・文献 151


性格心理学をめぐるいくつかの問題[渡邊芳之] 153
1 性格に関わる諸概念 153
  類型と特性
  性格関連行動と性格の測定
  性格次元と性格構造
  個人差と性格
2 性格概念の用法 156
  性格概念による性格関連行動の予測
  性格概念による性格関連行動の説明
3 一貫性の問題 158
  ミシェルの性格心理学批判
  一貫性論争とその結果
  相互作用理論
4 観察と測定の問題 160
  観察の問題
  測定の問題
5 性格心理学をめぐる最近の問題 163
  社会的成果と性格の関係
  動物の性格
  性格と進化
6 結語 167
  文献 167


  第III部 心の哲学

精神医学の多元性と科学性[鈴木貴之] 173
1 背景――生物心理社会モデル 174
2 還元主義と非還元主義 175
3 穏健な多元主義 177
4 ラディカルな多元主義 180
5 考察 185
注・文献 187


感情労働と心の病[信原幸弘] 189
1 情動管理 190
  いかにして情動は管理されるか
  なぜ情動は管理されるか
  良い管理と悪い管理
2 感情労働 193
  情動の商業的利用
  感情労働の害
  本当に間違っているのか
3 自己欺瞞 196
  偽りの自己は存在するか
  統合の亀裂
4 燃え尽き症候群 198
  情動資源の枯渇
  尽きせぬ泉
5 真正な生 
  情動の社会的規範
  自然な情動
  環境内自己の力動的統合
注・文献 202


言語を持たない動物は精神疾患のモデルになるのか?――精神疾患の動物モデルと精神医学史における発見[南学正仁] 205
1 精神科臨床と動物モデル 
2 三つの妥当性基準 
3 動物モデルに対する認識論的批判と存在論的批判 
4 身体疾患の動物モデルの哲学 
5 外挿の問題に答えんとする諸理論 
6 プロセス比較追跡法 
7 因果的類似モデルと仮説的類似モデル 
8 認識論的批判とプロセス比較追跡法 
9 仮説的類似モデルとしての精神疾患の動物モデル 
10 精神医学の歴史における仮説的類似と発見 
11 まとめ 
  注・文献 222


薬物依存症者に対する適切な非難のあり方――非難の関係性説に基づく依存行動への対応[佐々木拓] 225
1 薬物依存症者の行為者像にみられる誤解――二種類の行為能力の混同 
2 神経科学倫理からみる依存症者の行為能力の制限 
3 関係に基づく非難
4 薬物依存行動への非難を差し控える理由 
  注・文献 241


精神障害精神疾患)とは何か[石原孝二] 245
1 精神障害という語 
2 DSMにおける精神障害の定義の変遷
3 信頼性・妥当性と記述的アプローチ 
4 同性愛をめぐる論争の帰着としての除外規定の導入
5 カテゴリー的アプローチからディメンジョン・モデルへ 
6 RDoC[Research Domain Criteria]とHiTOP[The Hierarchical Taxonomy Of Psychopathology] 
7 分類は何のためか 
  注・文献 259


あとがき(二〇二〇年三月 編者を代表して 田所重紀) [263-265]
執筆者紹介 [267-268]





【メモランダム】

・植野論文(53頁)で、他者の行動の予測について説明する際、「将棋の棋士が相手の着手を予測するとき」という例が出されている。