編者:繁桝 算男[しげます・かずお] 東京大学名誉教授。アイオワ大学大学院修了、 Ph.D.
著者:北岡 明佳[きたおか・あきよし] 立命館大学総合心理学部教授。教育学博士。
著者:上原 泉[うえはら・いずみ] お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科准教授。博士 (学術)。
著者:小塩 真司[おしお・あつし] 早稲田大学文学学術院教授。博士 (教育心理学)。
著者:楠見 孝[くすみ・たかし] 京都大学大学院教育学研究科教授。博士 (心理学)。
著者:小田 亮[おだ・りょう](1967-) 名古屋工業大学大学院工学研究科教授。博士(理学)。比較行動科学、自然人類学。
著者:杉浦 義典[すぎうら・よしのり] 広島大学大学院人間社会科学研究科准教授。博士(教育学)。
著者:丹野 義彦[たんの・よしひこ] 東京大学名誉教授。医学博士。
著者:村本 由紀子[むらもと・ゆきこ] 東京大学大学院人文社会系研究科教授。博士 (社会心理学)。
著者:山 祐嗣[やま・ひろし] 大阪市立大学文学研究院教授。博士(教育学)。
著者:竹村 和久[たけむら・かずひさ] 早稲田大学文学学術院教授。 博士(医学)。
著者:四本 裕子[よつもと・ゆうこ] 東京大学大学院総合文化研究科准教授。 Ph.D.
著者:西川 泰夫[にしかわ・やすお] 上智大学名誉教授。文学博士。
装幀:新曜社デザイン室
NDC:140.4 心理学
心理学理論バトル:心の疑問に挑戦する理論の楽しみ - 新曜社
【目次】
まえがき(繁桝算男) [i-iv]
目次 [v-viii]
1章 錯視とは何か――エラー説と副産物説[北岡明佳]
1 錯視の副産物説 001
2 記憶色説 004
3 ヒストグラム均等化説 009
4 色の対比か色の恒常性か 011
[Q&A][参考文献] 015
2章 発達の二大理論と次にくる理論――ピアジェの発達段階説とヴィゴツキー の社会的相互作用説[上原泉]
1 ピアジェの理論 018
1-1 発達段階説――実際の子どもの行動や近年の知見との関連
1-2 ピアジェの説と教育、実践との関係
2 ヴィゴツキーの社会的相互作用説 022
2-1 発達の最近接領域――実際の子どもの行動や近年の知見との関連
2-2 ヴィゴツキーの説と教育、実践との関係
3 ピアジェの説 vs.ヴィゴツキーの説 025
3-1 こどもの独り言とは?――外言、内言の発達に関する論争
3-2 二つの理論はどちらが有効か? 本当に相反するのか?
3-3 二極的な味方を超えて
4 これまでの理論や実践に足りなかった視点と今後の研究 028
[Q&A][参考文献] 030
3章 パーソナリティ特性はいくつあるのだろうか――理論と予測[小塩真司]
1 パーソナリティ概念とは 033
2 ビッグファイブ・パーソナリティ 034
2-1 語彙仮説
2-2 五つの特性
3 ビッグファイブに対する批判 036
3-1 理論の欠如
3-2 因子数の妥当性
3-3 外部変数の予測
4 批判をどのように考えるか 039
[Q&A][参考文献] 042
4章 なつかしさはなぜ起こるか――単純接触効果と自伝的記憶、デジャビュ[楠見孝]
1 なつかしさと単純接触効果 049
1-1 なつかしさとは
1-2 なつかしさの手がかり
2 なつかしさと自伝的記憶 053
2-1 メンタルタイムトラベル
2-2 なつかしい記憶にともなうポジティブ-ネガティブ感情
2-3 なつかしい記憶のポジティブな機能
2-4 なつかしさを支える三つの記憶
3 デジャビュとなつかしさ 057
3-1 日常的経験としてのデジャビュ
3-2 デジャビュを支える反復接触による典型的表象
4 まとめ 060
[Q&A][参考文献] 061
5章 ヒトはなぜ協力するのか──進化心理学と文化進化論[小田亮]
1 「万能酸」としての自然淘汰理論 065
2 進化心理学とは何か? 067
3 「文化的動物」としてのヒト 068
4 ヒトはなぜ協力するのか? 070
5 「強い互恵性」はあるのか? 075
[Q&A][参考文献] 077
6章 幸福には道徳が必要か――快楽主義・幸福主義・原始仏教[杉浦義典・丹野義彦]
1 幸福研究の三つの理論――快楽主義・幸福主義・原始仏教 081
1-1 快楽主義
1-2 幸福主義
自己決定理論
美徳の目録
1-3 原始仏教の幸福観――戒定彗の三学
1-4 バトルのルールを定義する
2 強いネガティブ感情が不適応とはいえない――快楽主義への反論 084
2-1 適切な感情制御とは?
2-2 強いネガティブ感情は不安症状を低減する
3 一貫した道徳基盤から反社会的な行動が生じうる――幸福につながる道徳とは 087
4 マインドフルネスは道徳(思いやり)を欠くと逆効果になる――原始仏教と幸福主義への支持 089
4-1 優れた注意機能は悪用されるのか――サイコパシー場合
4-2 マインドフルネスのスキルが悪用されることはあるのか――有害事象の検討
4-3 マインドフルネス瞑想には思いやりが不可欠である
5 止揚 094
[Q&A][参考文献] 095
7章 「心の文化差」はあるのか――個人へのアプローチ、社会へのアプローチ[村本由紀子]
1 「文化的存在たる個人」への文化心理学アプローチ 102
1-1 文化心理学アプローチの理論的視座
1-2 文化心理学アプローチに基づく実証研究
2 文化的行動を引き出す「社会環境」への適応論アプローチ 105
2-1 適応論アプローチの理論的視座
2-2 適応論アプローチに基づく実証研究
3 二つのアプローチ、そしてその先へ――「心と文化」研究の課題と展望 109
3-1 「なぜ」という問いに答える文化差の規定因
3-2 多様なレベルの文化を扱う
3-3 文化の自己維持メカニズムを探る
3-4 再び、 「なぜ」 という問いに答える――適応行動の社会的意味
[Q&A][参考文献] 114
8章 人間は論理的か――進化心理学と二重過程理論[山 祐嗣]
1 領域固有 対 領域普遍 120
2 進化心理学 対 二重過程理論 122
2-1 社会的契約モジュールと危機管理モジュール
2-2 スローを認めるのか?
3 スローはファストを飼いならせるのか――歴史的自然実験 126
3-1 謀反-共存-従僕
3-2 同士討ち
3-3 平和と人権の時代
3-4 スローの力
4 おわりに 131
[Q&A][参考文献] 132
9章 経済人は合理的でないといけないのか――形式的合理性と実質的合理性[竹村和久]
1 合理性と社会的行為 138
2 経済行動と形式的合理性 140
2-1 経済行動における合理性
2-2 選好関係と最良選択肢を保証する条件
最良選択肢の存在に関する定義
最良選択肢の存在の必要十分条件に関する定義
3 合理的な選好関係の経験的テスト――非循環性の経験的検討 145
4 顕示選好と合理性 147
4-1 顕示選好とは
4-2 合理性と顕示選好のより一般的な定義
リクターの合理化可能性の定理
5 意思決定の不合理性と顕示選好 151
6 まとめと今後の展望 153
[Q&A][参考文献] 155
10章 後悔しない意思決定は可能か――直感的に決めることも悪いとは限らない[繁桝算男]
1 問題 157
2 人間は間違える 159
2-1 ギャンブラーの誤謬とホットハンド
2-2 後悔の念が起こるとき
2-3 後悔に関する心理学的知見のまとめ
3 人は基本的に合理的である――当たり前から導かれる主観的期待効用理論 166
3-1 主観的期待効用理論
3-2 ベイズの定理
4 まとめ――後悔しない意思決定のために 173
[Q&A][注][参考文献] 174
11章 脳機能計測でわかること、わからないこと―― fMRIを用いた研究で「メカニズムを解明」することは可能か不可能か[四本裕子]
1 脳機能研究の歴史と方法 180
2 fMRIの測定と単変量解析 181
3 多変量解析 183
4 混乱はどこからくるのか? 185
4-1 機能局在と平均値の差――アクティベーションマップから言えること
4-2 因果と相関
4-3 単変量解析・多変量解析と個人差
4-4 脳の可塑性
5 神経デコーディング 192
6 脳機能計測で何がわかって何がわからないのか 193
[Q&A][参考文献] 195
12章 心理学と理論(理論心理学)――心理学史の見地から[西川泰夫]
1 心理学における理論とは 197
1-1 哲学的心理学から新・心理学(自然科学的実験心理学)への変遷
1-2 近代科学革命の影響――新心理学(自然科学的実験心理学)の自立
1-3 決定論(線形性)から非決定論(非線形性)へ
1-4 まとめ――心理学と理論,歴史的経緯
2 心理学における理論の意義――理論の予測と再現性、日本独自の心理測定法と理論化の取り組み 203
2-1 両眼視空間の幾何学に関する理論――リーマン幾何学空間を事例として
2-2 多重比率判断法の適応例として
2-3 両眼視空間の幾何学――今後への開かれた論点
2-4 まとめに代えて――心理学における理論をめぐる補足
3 独自の理論体系――革新的行動論者の排除すべき“理論”観 208
3-1 スキナーの徹底的科学理論観
3-2 スキナーが排除した3タイプの“理論”とは
本章を閉じるのにあたり参考課題
[参考文献] 211
執筆者紹介 [214-216]