著者:保城 広至[ほしろ・ひろゆき] 国際関係論、現代日本外交、社会科学の哲学。
NDC:301.6 社会科学 >> 理論.方法論
備考:珍しい、日本語で書かれた「社会科学の哲学」の本。なお、一般的な科学哲学の本であれば[自然科学]に分類してある。
【目次】
はじめに [i-iv]
目次 [v-viii]
序章 歴史と理論――古くて新しい緊張関係 003
はじめに 004
1 歴史学者による社会科学者批判 004
歴史社会学の名著
歴史学者による社会科学者批判(1)
近代日本政治の理論と歴史
歴史学者による社会科学者批判()2
両研究に内在する問題点
2 社会科学者の見解 013
狭い歴史学者の視野?
3 歴史と理論の断絶にはらむ問題 018
本書の目的
本書の構成
第1章 中範囲の理論――イシュー・時間・空間の限定 025
はじめに 026
1 パターンと個性 026
理論とは何か?
法則性と一過性?
2 「自然主義」と社会科学 028
3 社会科学理論の社会への影響 030
予言の自己否定性
予言の自己実現性
理論の現象消失性
4 中範囲の理論 035
イシューの限定
時間の限定
空間の限定
中範囲の理論へのひとつのアプローチ
おわりに 044
第2章 「説明」とは何か? 047
はじめに 048
1 「説明」に関する三つの見解 048
2 因果関係の解明としての「説明」 049
社会科学者の因果説
歴史家による因果説
3 統合としての「説明」 053
4 記述としての「説明」 054
歴史研究者の記述説
歴史学の叙述傾向
社会科学者の記述説
5 解釈・理解としての「説明」? 059
文化人類学者の解釈学
ポスト実証主義と解釈学
社会構成主義者の理解説
6 二つの「説明」概念を同時に満足させる 062
因果説と記述説の統合
おわりに 066
第3章 帰納/演繹、アブダクション 067
はじめに 068
1 帰納法とその問題点 069
J. S. ミルの五つのカノン
実験の不可能性 自然実験という試み
帰納的飛躍――「すべてのスワンは白い」?
理論負荷性――ウサギにもアヒルにも
理論負荷性を問い直す
2 社会科学における演繹法の陥穽 084
前提の不確実性と結論の不確実性
3 アブダクション 087
アブダクションと仮説演繹法
アブダクションとさまざまなディシプリン
おわりに 096
第4章 構造的問いと事例全枚挙 099
はじめに 100
1 単一事例の問題点 100
単一事例の擁護
単一事例への批判
2 構造化、焦点化された比較の方法 111
ヘンペルのカラスと比較の単位
3 事例全枚挙 113
分析対象範囲の問題
事例を全枚挙する利点
従属変数からの選択という問題
おわりに 121
第5章 過程構築から理論化へ 123
はじめに 124
1 過程追跡という手法 124
ベイズの定理と過程追跡
理論志向 「過程追跡」の問題点
プロスペクト理論とキューバ危機
2 歴史過程の構築 133
現象の発端と事例の定義
プレイヤーの特定
プロセスに沿った分析
3 抽象化、比較分析から理論化へ 138
分割表による体系的比較
戦後日本の地域主義外交の例
おわりに 148
終章 さらなる議論を! 151
本書が論じてきたこと
本書の意義と限界
謝辞(2015年1月3日 京都・北白川にて 保城広至) [159-160]
引用文献 [161-175]
事項索引 [177-180]
人名索引 [181-182]
ショート解説一覧
ショート解説0-1 定性的研究と定量的研究
ショート解説0-1 一次資料と二次文献
ショート解説0-2 「プロクルーステースの寝台」問題
ショート解説0-3 中心極限定理
ショート解説0-4 経済学「方法論争」
ショート解説0-5 パラダイム・シフト
ショート解説1-1 前向きの解
ショート解説1-2 最小二乗法
ショート解説2-1 D−N説明とI−S説明
ショート解説2-2 社会構成主義
ショート解説3-1 実験群と統制群
ショート解説3-2 比較優位説
ショート解説3-3 「ハード・ケース」と「イージー・ケース」
ショート解説3-4 反証可能性
ショート解説4-1 「最もありえそうな事例」 と 「最もありえそうにない事例」
ショート解説4-2 決定的実験の不可能性 「デュエム=クワイン・テーゼ」
ショート解説4-3 ヘンペルのカラス
ショート解説5-1 ベイズの定理と3囚人問題
ショート解説5-2 プロスペクト理論
ショート解説5-3 ブール代数とファジー集合