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『構造主義の冒険』(上野千鶴子 頸草書房 1985)

著者:上野 千鶴子[うえの・ちづこ] 社会学ジェンダー論。評論。
NDC:116.9 構造主義
NDC:389 文化人類学


構造主義の冒険 - 株式会社 勁草書房


【目次】
はしがき(一九八五年六月 著者) [i-ii]
目次 [iii-vii]


  I  


1 構造主義入門 002
1 構造主義の立場 002
  1-1 未開人暗愚説
  1-2 動物類似説
  1-3 氏族紋章説
  1-4 アニミズム
  1-5 神秘的融即説
  1-6 進化論説
  1-7 神経症
  1-8 機能主義
  1-9 構造主義
2 構造主義の成立 013
  2-1 マルクス主義の社会体系論
  2-2 フランス社会学派の集合主義的伝統
  2-3 構造言語学の構造概念
3 構造主義から記号学へ 018
  3-1 祭の記号学――聖と俗の弁証法
  3-2 周縁性の記号学――内と外の弁証法
4 現代社会と構造主義 025


2 カオス・コスモス・ノモス――聖俗理論の展開 027
序 構成主義の思潮と聖俗理論 027
1 聖俗理論の現況 030
  1-1 認識社会学としての聖俗理論
  1-2 二元論から三元論へ――バーガーの宗教社会学
2 カオス・コスモス・ノモス 039
  2-1 ノモス/コスモス+カオス
  2-2 コスモス/ノモス+カオス
  2-3 カオス/コスモス+ノモス
  2-4 カオス/コスモス
  2-5 コスモス/ノモス
  2-6 ノモス/カオス
  2-7 カオス/コスモス/ノモス
3 通時分析と三元論 055
  3-1 通時分析と共時分析
  3-2 過程分析と変動分析
  3-3 論理的序列と現実的序列
おわりに 059
注 059


  II 


3 異人・まれびと・外来王――または「野生の権力理論」 066
1 はじめに 066
2 フィジーの「外来王」と「支配の正統性」 067
3 「野性の権力理論」 071
4 比較文化の課題 073
5 文化カテゴリーとしての「まれびと」観念 074
6 モデルと現実 082
7 支配視点から被支配視点へ――「今昔物語」の位相 086
8 「遠野物語」と「異人神格」 090
9 文化の変容装置 095
注 098


4 異常の通文化的分析 103
1 はじめに 103
2 異常とは何か 104
  2-1 異常の記号的定義
  2-2 異常の機能的定義
  2-3 異常の心理=社会的定義
  2-4 異常の状況的定義
  2-5 文化精神医学における異常
3 異常創出のメカニズム 110
4 「異常」の類型と「社会」の類型 112
  4-1 葛藤回避型の社会
  4-2 攻撃対象のスペクトラム
  4-3 異常の類型と社会の類型
5 異常の一般理論 120
  5-1 自己自身への攻撃
    5-1-1 自殺
    5-1-2 衝動的他殺
    5-1-3 精神分裂症
    5-1-4 ツキモノ
  5-2 身代わりの他者への攻撃
  5-3 他者への攻撃
6 結論――異常の応用科学へ向けて 132
注 134


5 バーガー ――われらがシャーマン――新保守主義のゆくえ 138
1 「意味学派」の巨頭 138
2 社会学という病い 139
3 社会学相対主義 140
4 シャーマンとしての社会学者 141
5 新保守主義者のゆくえ 143
6 認識の荒野 144
付論1 書評/バーガー他『故郷喪失者たち――近代化と日常意識』 146
付論2 書評/山口節郎『社会と意味――メタ社会学的アプローチ』 152


  III 


6 構造主義の認識論――レヴィ=ストロースの場合 156
序 156
1 方法的公準 157
  1-1 階梯モデル
  1-2 同型説
  1-3 システム論
2 発達する構造 162
  2-1 〈生体‐環境〉軸
  2-2 〈集団‐環境〉軸
  2-3 〈主体‐主体〉軸
  2-4 発達のメカニズム――脱中心化
3 構造了解の方法 173
4 メタ・ストラクチャー 179
5 構造主義的理解とは何か 183
結語 184
注 184


7 レヴィ=ストロースの社会フロイディズム 185
1 レヴィ=ストロースフロイト 185
2 円錐モデルと逆円錐モデル 187
3 レヴィ=ストロース批判 191
  3-1 無意識という先験主観
  3-2 構造は仮構か実在か?
  3-3 発達概念の拒否
  3-4 方法の誤用
  3-5 対象の限定
  3-6 非合理性の導入
4 結語 208
注 209


8 発生的構造主義へ向けて 210
1 パラダイムとしての構造主義――構造主義第二世代の登場 210
2 比較と総合の試み――構造主義者とは誰か? 214
3 構造分析論と構造発生論――レヴィ=ストロースとギュルヴィッチ 219
4 新たな総合――発生的構造主義へ向けて 226
注 231


あとがき(一九八五年五月 著者) [233-235]
参考文献 [vii-xvii]
索引 [ii-vi]
初出一覧 [i]





【メモランダム】

・本書の原型について、「あとがき」から抜粋する(p. 233)。

本書は一九七五年から八四年に至る十年間の、私の理論社会学の分野での論文を収録したものである。はじめて修士論文の内容をまとめた処女作(第6章)から、思いがけず日本文化論の領域に踏みこんだ近作(第3章)に至るまでが、納められている。

 余談ながら第3章がいわゆる日本文化なのかは、私には自信がない。また、橋爪大三郎氏のとある著作へ寄せた巻末解説において、上野氏はさりげなく日本文化論について言及していた。いつか日本文化論について一本書いてほしいと思う。



・初出一覧。

1 構造主義入門  (原題「構造主義から記号学へ」)吉田民人編著『社会学』1978年 日本評論社
2 カオス・コスモス・ノモス  『思想』640号,1977年11月号 岩波書店
3 異人・まれびと・外来王  『現代思想1984年4月号 青士社
4 異常の通文化的分析  『社会学評論』123号31巻3号,1980年 日本社会学
5 バーガー ――われらがシャーマン  (原題「新保守主義のゆくえ」)『現代思想』1982年8月号 青土社
   付論1 『季刊人類学』9巻4号 講談社
   付論2 『週刊ポスト』1982年7月2日号 小学館
6 構造主義の認識論  (原題「構造主義の認識モデル」)『社会学評論』102号26巻3号1975年 日本社会学
7 レヴィ=ストロースの社会フロイディズム  (原題「レヴィーストロースにおける社会フロイディズム批判」)『ソシオロジ』63号20巻1号1975年 京都大学社会学研究室『ソシオロジ』編集委員会
8 発生的構造主義へ向けて  (原題「構造分析論と構造発生論」)『ソシオロジ』69号22巻1号 1977年